昭和2年に開業した地下鉄銀座線末広町駅∼浅草駅間の躯体は,鉄構框構造を有しており,今後の合理的な維持管理方針を定めるためには,当該構造の特性を踏まえた現有耐力を確実に把握する必要があった.
そこで本研究では,先ず躯体構成部材の発生応力を,ひび割れ発生に伴う応力再配分の結果として算定できる三次元非線形有限要素解析手法を構築した.次にその手法を静的荷重状態にある実際の躯体のひび割れ調査結果シミュレーションに適用し,解析的に算定されるひび割れ発生位置およびクラックひずみの大きさとひび割れ展開図との比較から当該手法の妥当性を確認したほか,その解析から得られた各種の部材応力等から,検討対象区間の躯体は安全性を十分確保できていることを確認した.
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