日本小児放射線学会雑誌
Online ISSN : 2432-4388
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35 巻, 2 号
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特集 動画で見せます,小児外科疾患
  • 越智 崇徳, 下島 直樹
    2019 年 35 巻 2 号 p. 1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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  • 加藤 源俊, 下島 直樹, 富田 紘史, 廣部 誠一
    2019 年 35 巻 2 号 p. 72-77
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    電子付録

    急性虫垂炎は小児の急性腹症をきたすcommon diseaseである.急性虫垂炎と診断された場合,標準治療は手術による虫垂の切除だが,複雑性虫垂炎に対してはinterval appendectomy(以下,IA)を選択することもある.軽症の場合,手術や抗菌薬投与を行わずとも症状の軽快が得られるspontaneously resolving appendicitis(以下,SRA)の報告もある.

    東京都立小児総合医療センター(以下,当施設)では,急性虫垂炎が疑われる場合は小児外科医が超音波検査を施行,急性虫垂炎の確定診断及び当施設独自のGrade分類を行い,治療方針を決定している.虫垂壁の構造が保たれている,または不整であっても血流が亢進している場合は,補液のみで経過観察を行う.壁構造の不整かつ血流の低下,もしくは壁構造の消失がみられる場合は準緊急的な手術,もしくはIAの方針としている.腫瘤形成性虫垂炎に対しては,抗生剤加療を先行し,膿瘍消失後3か月以降にIAを行っている.

    超音波による虫垂の形態評価,血流評価は,急性虫垂炎の診断のみならず,治療方針を決める上で有用であると考えられた.

  • 三宅 優一郎, 越智 崇徳, 古賀 寛之, 山高 篤行
    2019 年 35 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    電子付録

    小児先天性嚢胞性肺疾患に対する完全胸腔鏡下肺葉切除は,狭い胸腔内スペースに加えて,占拠している嚢胞により術野が妨げられるため,術前に画像検査により解剖学的な特徴を把握しておくことが極めて重要である.

    本稿では,当科で施行している完全胸腔鏡下肺葉切除における術前の画像評価と,実際に術前の画像評価が有用であった先天性肺気道奇形(CPAM)の1例を動画を用いて紹介する.症例は2歳の男児.胎児診断の左下葉CPAMで,出生後呼吸状態が安定していたため,待機的に手術を施行した.術前造影CT検査で左下葉に限局した最大径35 mmの嚢胞を認め,肺動脈A6が2本確認された.術中は,A6を1本処理した後,肺を前方に圧排して後方から覗き込むようにして肺動脈下幹を剥離し,A6の重複枝を露出した.

    完全胸腔鏡下肺葉切除を安全・確実に施行するためには,血管の走行や分葉不全の有無など,術前の画像評価が極めて重要である.

  • 北河 徳彦
    2019 年 35 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    電子付録

    インドシアニングリーン蛍光法は,肝芽腫および肝細胞癌の原発巣・転移巣の術中検出に有用である.転移巣ではコントラストが良いため非常に小さな病巣を描出できる.原発巣では肝切除断端の残肝に遺残する腫瘍の有無を確認できる.注意点として,比較的疑陽性が多いことは銘記すべきである.ICG蛍光法が肝芽腫および肝細胞癌の予後を直接改善するかどうかは不明であるが,術中に遺残腫瘍の有無の検索のため迅速病理診断を待つ必要がなく,手術時間の短縮につながることは確かである.さらに切除断端を逐次確認できるため,症例によっては区域切除や葉切除をしなくとも部分切除で安全に病巣を摘出できることがあり,有用である.

  • 伊吹 省, 本田 正樹, 磯野 香織, 林田 信太郎, 嶋田 圭太, 成田 泰子, 入江 友章, 三本松 譲, 原 理大, 山本 栄和, 山 ...
    2019 年 35 巻 2 号 p. 90-93
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    電子付録

    肝胆膵外科領域,特に肝切除においては脈管のバリエーションが豊富で術前の解剖把握が必須である.当科では以前より富士フイルムSYNAPCE VINCENT®を用いてドナー肝切除におけるグラフト容積および残肝容積の測定を行ってきた.近年は静脈の灌流域の計算ならびに胆管情報も統合した画像を用いて術前3Dシミュレーションを行っている.肝腫瘍においても肝臓解析の技術を応用し腫瘍と脈管の位置関係を把握している.ドナー肝切除および肝腫瘍切除における当科の工夫を実際のシミュレーション画像を用いて紹介する.

  • 原田 篤, 芦塚 修一
    2019 年 35 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    電子付録

    漏斗胸に対する外科的治療はNuss法が標準術式として定着している.低侵襲とは言われているが,前縦隔の剥離の際に心臓や血管を損傷し致死的となった報告もある.当施設ではこのような合併症を減らすため,胸骨挙上鈎と鏡視下手術用のメリーランド剥離鉗子を用いた安全な剥離方法に工夫を行っており,術中動画を供覧する.前縦隔剥離の手技は1.右側胸部肋間に5 mmトロッカーを挿入 2.人工気胸で肺を圧排し前縦隔の視野を確保 3.挙上鈎を用いて胸骨を挙上 4.胸腔鏡下でメリーランド鉗子を用いて前縦隔を剥離し,人工気胸の効果で速やかに対側胸腔に到達する.当院で手術を行った15歳以下の漏斗胸患者に対し,この剥離方法(A群:n = 21)と従来の胸骨挙上鈎を使わずにイントロデューサーのみで前縦隔剥離を行った群(B群:n = 34)を比較すると,前縦隔の剥離時間を短縮することができ(A群:220.5秒,B群:111.3秒,p < 0.05),合併症発症率(A群:4.8%,B群:8.8%)を軽減することができた.

原著
  • 井上 明星, 板橋 健太郎, 濱中 訓生, 井本 勝治, 山﨑 道夫, 坂本 力, 岩井 崇泰, 川上 光一, 小林 久人, 村田 喜代史
    原稿種別: 原著
    2019 年 35 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    [背景]Fibromatosis colliは新生児の頸部腫瘤で斜頸の原因となる疾患である.過去に多くの画像所見が報告されているが,その画像所見は日齢に応じて変化する可能性がある.

    [目的] 本研究の目的はfibromatosis colliのUSとMRIの画像と検査時の日齢をと画像所見を検討し,その多様性を明らかにすることである.

    [対象と方法]対象は臨床的にfibromatosis colliと診断された13症例(M:F=6:7)である.超音波検査が12例に対して21検査(8例に1検査,1例に2検査,1例に3検査,2例に4検査),MRI検査が5例に対して7検査(3例に1検査,2例に2検査)が行われていた.USでは,長軸像における患側の胸鎖乳突筋の最大径,健側と比較した胸鎖乳突筋の輝度,筋束の不連続性,胸鎖乳突筋内の低輝度域,MRIでは胸鎖乳突筋の最大径,T2WIでの胸鎖乳突筋の高信号域のパターン(斑状またはびまん性),胸骨頭および鎖骨頭の腫大の有無を評価した.4例のUS,2例のMRIについて画像所見の推移を評価した.

    [結果]USが行われた12例中,胸鎖乳突筋の高信号を12例,筋束の不連続性を4例,胸鎖乳突筋内の低輝度を8例に認められた.MRIが行われた5例中,斑状高信号が2例,びまん性高信号が3例,胸骨頭の腫大が4例,鎖骨頭の腫大が1例に認められた.胸鎖乳突筋の最大径と検査時の日齢の間に有意な相関を認めなかった(R=0.111).USでの経過観察で,胸鎖乳突筋の輝度は4例中2例,筋束の不連続性は1例中1例,胸鎖乳突筋内の低輝度域は4例中2例で改善を認めた.

    [結論]Fibromatosis colliのUSおよびMRI所見は時間経過とともに変化すると考えられた.

  • 江口 麻優子, 野坂 俊介, 植松 悟子, 藤野 明浩, 金森 豊, 岡本 礼子, 窪田 満, 石黒 精
    原稿種別: 原著
    2019 年 35 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    小児の盲腸捻転は稀であるが,重症心身障害児,特にCornelia de Lange症候群(以下CdLS)での報告が多い.症状は非特異的で,画像診断の役割は大きい.早期診断は腸管壊死を回避する上で重要で,診断や治療の遅れは死亡に繋がる可能性がある.当院で経過観察中のCdLS 13例中4例に盲腸捻転を認めた.いずれも盲腸捻転に特異的な腹部単純撮影所見,もしくは過去と比較して変化を認め,引き続き行った造影CT所見から全例で術前に盲腸捻転を疑うことができた.盲腸捻転併発4例と捻転非併発9例を比較すると,併発例全例が胃瘻造設術・噴門形成術後で,これらの手術が捻転の誘因になると考えられた.また,既報告と比較して死亡率と術後合併症率は,より低率であった.CdLSで,胃瘻造設術・噴門形成術後の児が腹部症状を示す場合,盲腸捻転の併発を念頭に,腹部単純撮影に続く造影CTが早期診断と治療に有用である.

症例報告
  • 松寺 翔太郎, 渡邊 峻, 谷 有希子, 山口 岳史, 荻野 恵, 桑島 成子, 土岡 丘
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 35 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    毛髪胃石は経口摂取された毛髪が胃内で一塊となったもので,稀に腸閉塞を引き起こす.今回我々は毛髪胃石による腸閉塞に対し小開腹により胃石を摘出した一例を経験したので報告する.症例は11歳女児.腹痛・嘔吐を主訴に来院した.腹部造影CTでは非絞扼性の内ヘルニアが疑われた.イレウスチューブを挿入すると大量の血性排液を認めたため緊急手術を施行した.中腹部正中切開にて開腹すると,Treitz靭帯から200 cmの小腸内に長径6 cmの毛髪胃石を認めたため摘出した.術後イレウス管抜去の際に胃内の胃石残存が疑われ,内視鏡的摘出の方針とし術後9日目に一旦退院となった.再入院後,胃石の内視鏡的摘出を試みたが困難で,初回と同じ創で小開腹し長径8 cmの胃石を摘出した.開腹歴のない腸閉塞の鑑別診断として稀ではあるが胃石によるものも考慮する必要がある.また胃石の画像的特徴を認識し重複毛髪胃石の確認を行うことが重要である.

  • 篠原 慧, 大森 多恵, 山田 隆太郎, 吉橋 知邦, 平井 聖子, 玉木 久光, 三澤 正弘
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 35 巻 2 号 p. 122-125
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    当初上部尿路感染症が疑われていたが,画像検査により診断した感染性脊椎炎の一例を経験した.症例は14歳男子.発熱,腰痛を主訴に近医を受診し,尿検査で尿中白血球が陽性であったため,抗菌薬が開始された.その後も症状が持続するため発熱5日目に当院に紹介となった.腹部超音波検査では,右腎臓に等~低エコーの内部性状不均一な構造を認めた.腎膿瘍が疑われ,造影CTを施行したところ,脊椎のL5/S1で椎間板周囲の脂肪織濃度上昇があり,MRI(fat suppressed T2-weightedimage,以下FST2WI)ではL5椎体右側,周囲組織に高信号性変化を認め,脊椎炎と画像検査によって局在診断した.6週間の抗菌薬投与による保存的加療で軽快した.感染性脊椎炎は小児では比較的稀な疾患ではあるが,発熱を伴う腰痛の場合には本症も鑑別に挙げ,画像検査を考慮する必要がある.

  • 石井 大介, 宮本 和俊, 宮城 久之, 平澤 雅敏, 高林 江里子, 櫻井 由香里, 鳥海 尚久, 更科 岳大
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 35 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    11歳,女児.8歳時に胸部X線検査で腫瘤影を指摘された.CTでは前縦隔右側から心臓右縁にかけて44 × 32 mmの腫瘤を認め,周囲の組織との境界は明瞭で,石灰化は観察されず,明らかな造影効果は認めなかった.MRIでは,T1強調画像(WI)で中間信号があり,T2-WIで低信号から高信号が混在していた.明らかな脂肪成分は認めなかった.血管造影で右内胸動脈から腫瘤への流入血管および上大静脈への複数の流出血管を認めた.PETでは,有意な取り込みを認めなかった.以上の結果から,肺葉外肺分画症を第一に考え,無症状であり,経過観察の方針とした.しかし11歳時のCTで67 × 49 mmと腫瘤の増大,および上大静脈圧排を認めた.またMRIではT1およびT2-WIで腫瘤内部に高信号を示す嚢胞構造を認めた.摘出術の方針とし,胸骨正中切開でアプローチ,腫瘍摘出術(胸腺合併切除)を施行した.病理学的診断は胸腺原発血管脂肪腫であり,悪性所見は認めなかった.

  • 谷口 遥佳, 池川 健, 佐藤 睦美, 村田 宗紀, 小郷 寛史, 中村 智子, 松田 基
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 35 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    脳動静脈瘻(pial arteriovenous fistula)は,脳動脈と脳静脈が直接接続する血管異常を持ち,頭蓋内シャント性病変のうち1.6–4.8%程度を占める比較的まれな疾患である1).画像の特徴として,MRAや脳血管造影検査で脳主幹動脈や皮質動脈を流入路とし皮質静脈を流出路とする血管異常が見られる1).病態については不明な点が多いが,未治療の場合は予後不良との報告もあることから2),早期発見・早期治療が重要であると考えられる.今回発達遅滞を伴い,無熱性けいれんを契機に見つかった脳動静脈瘻の一例を経験したので報告する.

  • 清水 達人, 田口 律代, 金子 修也, 谷口 義弘, 津田 英夫
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 35 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    先天性難聴の原因となる内耳奇形は,小児における反復性髄膜炎の主な原因である髄液瘻を合併しうる.我々は肺炎球菌髄膜脳炎を呈した5歳女児例を経験した.症例は先天性難聴の既往があり2歳時に側頭骨CT検査で内耳奇形と診断された.当院受診時,意識障害と片麻痺を認めていた.頭部単純CT検査で高度の脳浮腫,頭部単純MRI拡散強調画像で左前頭頭頂弁蓋部に高信号を認めた.過去の側頭骨CT検査において髄液瘻が明らかとなり反復性髄膜炎のリスクがあると考え内耳充填術を施行した.術後髄膜炎の再発は認めていない.内耳奇形を合併する患者においては髄液瘻の合併と髄膜炎のリスクを評価することが重要である.

  • 青木 龍, 原 裕子, 山田 洋輔, 鶴田 志緒, 長谷川 久弥
    原稿種別: 画像報告
    2019 年 35 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
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    神経皮膚黒色症は,先天性巨大色素性母斑と中枢神経系のメラノサイト増殖からなる稀な先天性疾患である.我々は先天性巨大色素性母斑と多発する衛星色素性細胞を有し,頭部MRIで神経皮膚黒色症として特徴的な画像所見を認めた新生児2例を経験したので報告する.2例ともにT1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号を示す脳実質病変が,特に側頭葉扁桃体と脳幹,小脳に多発して認められた.MRIでの信号異常はメラニンに特徴的であり,病変の分布,先天性巨大色素性母斑とあわせて神経皮膚黒色症と診断した.脳軟髄膜にはメラニン細胞の増殖を示唆する結節は認められなかった.1例では,交通性水頭症を表す脳室とくも膜下腔の拡大や脂肪腫あるいはdermoidの合併もMRIで描出された.頭部MRIは先天性巨大色素性母斑を伴う新生児における神経皮膚黒色症の診断と合併症の検出,フォローアップに有益な情報を与えてくれる.

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