日本小児放射線学会雑誌
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39 巻, 2 号
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特集 小児呼吸器疾患に対する放射線診断のトピックス
  • 石立 誠人
    原稿種別: 特集
    2023 年 39 巻 2 号 p. 53
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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  • 石立 誠人, 清水 青葉
    原稿種別: 特集
    2023 年 39 巻 2 号 p. 54-61
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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    小児の上気道狭窄を疑った場合,画像検査の第一選択は上気道側面X線検査である.この検査は簡便に行えるものの撮影条件によっては有用な所見が得られない場合がある.上気道は内腔が変化しやすいため,ダイナミックな評価である喉頭内視鏡検査が診断に有用である.内視鏡検査は実施者に習練が必要であり行える施設は限られるが,麻酔なしで検査でき,CTやMRIよりも簡便に行えるという利点がある.

    今回は小児における上気道狭窄の診断において上気道側面X線と喉頭内視鏡を比較し,その役割の違いや特徴について概説する.また,各疾患において両検査の診断率を比較検討した結果を述べる.

  • 下髙原 昭廣, 下島 直樹, 富田 紘史, 廣部 誠一
    原稿種別: 特集
    2023 年 39 巻 2 号 p. 62-66
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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    小児呼吸器外科領域における画像技術や画像診断のトピックスについて述べる.完全胸腔鏡下手術やロボット支援手術において3D内視鏡システムによる立体視が可能になってきている.肺手術では3D再構成CT画像による術前シミュレーションが広く行われており,区域切除における術中区域間同定にインドシアニングリーンが用いられることがある.先天性気管狭窄症における正確な気管内径の測定方法が明らかにされ,3Dモデルや流体力学的モデルによるシミュレーションが試みられている.乳び胸に対してはリンパ管造影やMR lymphangiographyが施行されるようになってきた.

  • 槇殿 文香理
    原稿種別: 特集
    2023 年 39 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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    小児呼吸器診療において必要不可欠なCTは,外観に大きな変化は無いものの機械性能・撮影方法・画像再構成/処理法ともに進化し続けている.これに伴い難解な放射線用語や見慣れない画像を見聞きする機会は多い.放射線業務を専門としない医師にとってこれらを一から勉強する時間はなかなか確保し難いと思われる.本稿はCTにまつわるトピックスを成人とオーバーラップする内容から小児特有の内容まで取り上げ,置き去りにしてきた疑問を減らす助けとなる事を目的としている.また,被ばく無しに画像を得る事ができる有用なモダリティであるUSとMRIは,呼吸器領域の画像診断ツールに適さないとされてきたが,気道・肺の評価に用いられる様になってきており,これらについても触れる.

  • 星野 雄介, 富所 由佳, 河野 達夫, 竹井 寛和
    原稿種別: 特集
    2023 年 39 巻 2 号 p. 75-89
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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    呼吸器超音波検査(US)の所見は①A line(多重反射アーチファクト:胸膜と平行な線状高輝度),②B line(小水滴によるacoustic trap:胸膜から深部に伸びる線状高輝度),③lung sliding(呼吸に合わせ胸膜ラインがスライドする)に代表される.

    気管挿管確認のUSは精度が高く,動的snowstorm sign/bullet sign,食道への誤挿管double tract signを参考にする.気胸のUSは広く普及し,lung slidingの消失,B lineの消失,lung pointの存在等を総合診断する.胸水検出能は高く,胸腔内の無エコー域として(膿胸は相対的高輝度域として)描出される.肺実質は壁側胸膜直下は直接観察可能で,肺炎,化膿症,腫瘍,奇形が診断可能である.B lineなどの間接所見により,細気管支炎や肺水腫の診断にも有用とされる.新生児一過性多呼吸では肺胞液の吸収遅延がB lineとして観察され,呼吸の改善とともに所見も改善する.呼吸窮迫症候群は,軽症ではA lineとB lineの混在,重症ではA lineは認めずwhite lungパターンを呈し,サーファクタント投与の判断にも活用できる.

  • 桑島 成子
    原稿種別: 特集
    2023 年 39 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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    胎児肺疾患に対する画像検査の第一選択は超音波検査である.MRIを補完することによって診断の他,合併奇形の評価も行い分娩体制や治療方針に有益な情報をもたらす.撮像シークエンスはT2強調像の高速撮像法が基本となる.正常な肺の成熟に必要な条件は,適度な胸郭の広さ,適度の羊水量,胎児の呼吸様運動,そして十分な肺液である.超音波検査やMRIで肺の容積や体積が測定できる.MRIでは,胎児肺の発育や成熟度の評価に肺の容積の他,信号強度を評価する.近年,MRI拡散強調像のADCによる胎児肺の成熟度の評価が始まり,胎児肺成熟のbiomarkerとして期待されている.日々,MRI機器や撮像技術が進歩しており,より正確な術前診断や予後予測可能な胎児MRI診断法が待たれる.今回は,現在の胎児肺疾患に対するMRIの検査法,主な疾患を概説する.

症例報告
  • 南木 那津雄, 山口 直哉, 浅井 雅美, 水野 美穂子
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 39 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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    化膿性脊椎椎間板炎は稀な疾患であり,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を起炎菌とする小児例の報告はさらに少ない.今回,MRIで化膿性脊椎椎間板炎と診断し,MRSAが起炎菌と考えられた症例を経験したため報告する.症例は12歳女児.遷延する腰痛と発熱を主訴に受診した.血液検査で炎症反応の上昇を認め,MRIを行ったところ,L1/L2椎体および椎間板に病変を認め,化膿性脊椎椎間板炎と診断した.血液培養でMRSAが検出されたため,バンコマイシン塩酸塩の投与を6週間行った.発熱と腰痛は速やかに改善し,治療終了後も症状の再燃や後遺症はなかった.本症例は保存療法のみで改善が得られたが,成人のMRSA化膿性脊椎椎間板炎では保存的治療が奏功せず,外科的治療を要する症例も存在する.化膿性脊椎椎間板炎は特異的な症状や検査所見に乏しく診断に難渋することもあるが,発熱と腰痛を呈した症例は,本症を念頭に置き早期診断に心がけることが重要である.

  • 小野 沙也佳, 西野 智彦, 髙橋 和浩, 三牧 正和
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 39 巻 2 号 p. 102-106
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/22
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    超音波エラストグラフィーは非侵襲的に組織の弾性を評価でき,その適応は腎臓領域にも広がっている.一方,標準的な急性糸球体腎炎の評価法である腎生検は侵襲性が高く,より低侵襲な方法が求められている.今回,溶連菌感染後急性糸球体腎炎(post-streptococcal acute glomerulonephritis; PSAGN)2例の急性期と回復期をshear wave velocity(SWV)で比較することで,病期とSWVが関連するかを検討した.症例は4歳と6歳の男児で,PSAGNに伴う腎機能低下で入院した.入院中に測定した急性期SWVは,尿所見が改善した退院後の回復期と比較して有意に高値であった.本検討で観察されたSWVの変動は,急性期の腎血行動態や炎症に起因したと推察される.今後,症例の蓄積は必要であるが,エラストグラフィーは急性糸球体腎炎による変化を非侵襲的に評価出来る可能性がある.

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