一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
選択された号の論文の326件中151~200を表示しています
ポスター発表 5月27・28日 家政教育
  • アップサイクルを取り入れた製作教材を用いて
    財津 庸子, 一法師 英恵
    セッションID: P-151
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】 安価な衣料品があふれ、死蔵衣類が増加する一方で、衣料品の3R率は26.3%である。このような課題解決のために、リサイクル等に対する意識を義務的なものではなく「楽しい・格好いい」と思えるようにすることが環境配慮行動を促すことにつながるのではないかと考えた。アップサイクルを取り入れ、個人差が出にくく楽しく取り組める製作教材(はぎれロープ)を用いた授業による検証を通して、環境配慮を促す学習方法のあり方を検討することを目的とする。
    【方法】 授業実践(2015年12月実施:1年生160名)による検証。分析対象は、事前・事後調査票、作品およびワークシート・授業記録(ビデオ等)。
    【結果】 環境配慮行動をしたいかという問では、事前「まったく思わない、あまり思わない」が45名だったが、事後は4名。リサイクルへの意欲は、事前「はい60名、いいえ59名」が、事後「はい113名、いいえ4名」。リサイクルに対するイメージも事前「楽しい・かっこいい」は10名が、事後26名と、授業前後での意識の変容がみられた。自由記述でも製作の楽しさや家庭実践したい等の記述がみられ、アップサイクルを取り入れた作品製作には環境配慮を促す効果が認められる。以上より、効果的な要素として次の3点が考えられる。1)身近な題材かつアップサイクルなど最新の活動例なども加える。2)技術や時間がなくても、意識があれば誰でも楽しくできる製作を取り入れる。3)工夫次第で様々な活用方法のある作品になるものを取り上げる。
  • 村上 陽子, 石橋 美穂, 冨田 千秋, 紅林 秀治, 植田(勝山) 郁美
    セッションID: P-152
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 近年、高度情報化社会といわれている。学習指導要領では、情報教育や授業における教員・児童・生徒のICT活用が明記されており、学校における教育の情報化について一層の充実が求められている。一方、学校教育の情報化における問題点として、情報教育に対する教員のスキルの低さや偏り、情報機器を用いた授業実践の低さなどが指摘されている。家庭科では、実践的・体験的な学習活動が重視されており、実験・実習を中心とした授業の工夫が必要である。その一環と して、実物や紙教材を活用した「見せる」授業が行われているが、従来の「見せる」授業では、①一斉授業では手元を見せることが難しい、②実物を用意するのに時間がかかるなどの課題が指摘されている。そこで本研究では、家庭科における「見せる」指導の効率化を図るため、AR(拡張現実)を用いた3DCG・AR教材の開発を行った。
    方法 3DCG・AR教材は、フリーソフト「Metasequoia」を用いて作成し、「NyARToolkit for Android」を用いて現実世界の空間の位置をマーカで認識させ、AR化した。
    結果 3DCG・AR教材は、パソコン、タブレット、スマートフォンなどで使用できるようにした。教材開発は、家庭科の衣食住分野において行い、和食や洋食の盛り付け(食分野)や、家具のレイアウト(住分野)などに関する教材を作成した。
  • 三宅 元子, 白井 靖敏
    セッションID: P-153
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 消費者教育では公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会の構築を目標としている.目標達成のためには個人的意思決定能力と協働して社会を変えていこうとする社会的意思決定能力が必要であり,大学での主体的な学びがその基盤作りとなる.そこで,アクティブラーニングを用いた授業研究の一環として,プレゼンテーションにルーブリック評価を導入する授業法を提案することを目的とする.
    方法 多様化する市場において合理的かつ倫理的,主体的な消費行動ができる「自立した消費者」の育成を目標としている講義科目「消費生活論」の授業に,持続可能な社会の構築のためのエシカル消費と環境・開発問題(フェアトレード)をとりあげ,ルーブリック評価を導入したKP(紙芝居プレゼンテーション)法を用いる.
    結果 学生が予習してきた内容をもとにグループで話し合い,まとめた結果を発表するKP法にルーブリック評価を用いる.評価規準(学修到達目標)は,公正な経済社会の形成に関する知識・理解(エシカル消費等の基礎知識,消費が社会に与えている影響),公正な経済社会の形成に向けた思考力・判断力(開発途上国の児童労働,貧困等),公正な経済社会を形成するための問題解決力・協働力(自らのライフスタイルと消費行動),公正な経済社会の形成を提言する表現力(プレゼンテーション力)等を設定する.スケールは3段階(A~C)とし,評価表を用いた授業を提案する.
    今後は,授業を実践しその効果検証を行うつもりである.
  • 福井 典代, 速水 多佳子
    セッションID: P-154
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 和服は日本固有の衣装であるが,現在の日常生活ではほとんど着用されず,花火大会や成人式など限られた行事の中で着用されているにすぎない。中学生にとっても和服を身近な存在としてとらえる機会は限られている。そこで本研究では,着付けに必要な用具が少なく,比較的短時間で着用できる浴衣を教材として取り上げた。浴衣の着用を通して和服の構成や特性について理解を深め,日本の衣服として受け継いでいくことの大切さについて考えることを目標とした授業実践を試み,その効果を検証した。
    方法 授業実践前に和服に関する実態調査を行い,中学生がどの程度和服に興味を思っているかについて調べた。調査対象者は中学校2学年129名である(2016年10月実施)。実態調査を踏まえて,2016年12月に同中学校において,浴衣の着付けと伝統文化の継承に関する授業を1時間(50分)実践した。授業後に再度調査を行い,和服に関する生徒の意識の変容について分析した。
    結果 浴衣の着付けを行うとともに,和服に関するコラージュ作製の結果,和服に関して興味や関心が増し,自分で浴衣を着てみたいと考える生徒の数も増えた。浴衣の着付けを体験したことから,日本の伝統文化としての和服の特徴を再発見することができた。和服に対する肯定的なイメージをもつ生徒の割合は,49.7%から75.8%へと大幅に増加した。
  • 多文化共生への一考察
    小林 陽子, 前田 亜紀子, 高橋 紗智代
    セッションID: P-155
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 本研究は、多文化共生の実現に寄与する家政教育カリキュラムを開発する基礎的階梯として、日本で学ぶ留学生の食生活環境とQOLの関係を明らかにすることを目的とする。留学生の母文化と日本文化の融合からなる食生活環境がどのような要因から構成され、留学生のQOLとどのような影響関係にあるか明らかにする。
    方法 留学生の食生活環境に関する35項目、QOLに関する5項目、基本属性からなる質問紙調査を行った。調査対象者は、G大学に在籍する留学生225名であった。日本語版と英語版の調査票を作成し、インターネットを介して、留学生のメールリストに一斉送信し回答を得た。調査期間は2016年12月13日から12月27日であった。有効回収は110票(48.9%)であった。
    結果 留学生の食生活環境に関する35項目の因子分析(最尤法、バリマックス回転)を行い、5因子が採択された。第1因子を「留学生同士のネットワーク」(α=0.834)、第2因子を「日本人とのネットワーク」(α=0.867)、第3因子を「食における多文化共生の実現」(α=0.659)、第4因子を「日本文化に対する受容度」(α=0.686)、第5因子を「健康志向」(α=0.652)と命名した。「日本人とのネットワーク」以外の因子で、各因子得点が高い留学生ほど、QOLが高いことが認められた。
  • 洋服の着装に関する教材開発
    駒津 順子, 森田 みゆき
    セッションID: P-156
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 高等学校家庭科の専門教科では、激動する社会の変化へ対応し職業人として生涯学び続ける態度を養うことが目標にあげられ、情報社会の進展を踏まえICTを活用した教科の指導方法を工夫改善することが求められている。そこで本研究では、多様な進路に対応して教育課程が編成されている普通科単位制高校で履修する衣生活教育の「服飾手芸」(3年次選択クラス8名)において、「洋服の着装を考える」ICT教材の開発を行った。 方法 ICT機器は、タブレットPC(Microsoft製)を使い、検索サイトを利用して行った。授業スタイルは、50分の授業で、個別学習で20分自学し、まとめには交流型の授業を行った。ルーブリックを示し、布地の柄を活かしたコーディネートを考え、自己表現に影響を与える要素に気付かせることを目標とした。 結果 ICTの活用の効果としては、「頭の中で想像がしやすかった」・「見たり使ったりしたことのない柄を見て価値観が広がった」等があげられた。柄を意識したコーディネートについては、「服装を通して自分のことを知ってもらい、生きていく中での1つの楽しみとして着装を捉えたい」等があげられた。生徒の相互評価では、「他の人と交流して新しい発見や知識を得られた」という生徒の回答が得られた。又、ルーブリック評価は、上位2段階目の評価である「TPOを活かした柄を用いて各自の設定したテーマに基づくファッションイメージを考えることができる」となり、独創性について、さらに検討する必要がある。
  • 神澤 佳子, 片平 理子, 千歳 万里, 金坂 尚人, 清水 きよみ, 河村 美穂, 上村 協子
    セッションID: P-157
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:神戸市のA児童館は、18歳未満の子どもが利用可能な地域住民に開かれた施設であり、放課後児童クラブと一体的に運営されている。ここでは平成21年度より毎年10~12月の3か月間、遊びの一つとして「どんぐり」を通貨とした買い物体験プログラム「どんぐりマーケット」を行っている。このプログラムを消費者教育の視点からとらえなおして特徴を抽出し、今後の内容の広がりの可能性を考察する。
    方法:「どんぐりマーケット」の見学と利用児童の観察、職員へのヒアリングを行い(2016年10~12月)、「子どものまち」等の体験型プログラムと内容を比較検討した。
    結果:このプログラムで子ども達は、地域でどんぐりを収集し、マーケットの商品を選択・購入する。そのマーケットで販売する商品を製作し、自ら値段をつけ、会社を組織し販売と通貨管理を行い、売上の一部と労働によって給料を得る。消費者・生産者・労働者の立場を体験しながら、主体的な価値選択と意思決定を行っている。これらは、バイマンシップだけでなく、組織の運営とルールを守りプログラムに参画するシチズンシップの要素も含む「消費者市民」教育の具体的な形といえる。さらに、住民参加による「地域社会との共生」、どんぐりを発芽させ植樹する自然循環体験の内容を持ち、日常に溶け込む継続的な消費者教育という特徴がある。今後、子ども達の企画への参加等を加えることで、一層の内容充実が期待される。
  • 堀 光代, 柴田 絵利香, 平島 円, 磯部 由香
    セッションID: P-158
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 我々は高校卒業後に栄養士養成施設に入学した学生に対して調理の知識や技術について継続的に調査している。調理実習は料理を実践的に学べる科目であるが、個人ではなく4人程度のグループで行うことが多いため、実習で担当しない料理もある。今回は調理実習後に料理の担当の有無による調理技術の習得効果の比較を行った。また、実習前の料理名の認知度、喫食経験、調理経験についても調査した。
    方法 平成25年度から平成28年度に短期大学の栄養士養成コースに入学した学生256名を対象とした。1年生前期で行う基本的な和食献立の中の18品とだし汁4種類の計22種類について実習前の料理名の認知度、喫食経験、調理経験を、実習中には担当した料理を、実習後には調理技術の習得状況についてアンケート調査を行った。アンケート結果は集計し、有意差検定はχ2検定を用いた。
    結果 学生の認知度が90%以上あった料理は「親子丼」・「味噌汁」等の5品と「だし汁」3種類の計8種類であった。喫食経験、調理経験ともに多い料理は「味噌汁」、喫食経験、調理経験ともに少ない料理は「あわ雪かん」であった。実習後の技術の修得は、「味噌汁」と「だし汁」2種類の計3種類のみ担当の有無による差がみられなかった。しかし、他の19種類の料理においては、担当しなかった学生が「できる」と回答した割合は、担当した学生が「できる」と回答した割合より低かった(p<0.05)。
  • 速水 多佳子
    セッションID: P-159
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 家庭科で扱う領域の中で住居領域は、他の内容と比較すると生徒の興味・関心が低いことや指導の困難さなどから扱いが低調であることが指摘されている。効果的な住居領域の授業開発を行うために、生徒はどのような意識をもって授業に取り組んでいるのか、そして住居領域の具体的な学習内容の何に興味・関心があるのか、どういう内容に対して学ぶ意欲を示すのか等を明らかにすることを目的とした研究を行った。
    方法 県立A高等学校の普通科1年生8クラス315名を対象として、住居領域の学習が始まる前にアンケート調査を行った。実施は、平成29年1月である。調査内容は、家庭科学習への意識、住居領域に対する意識(重要度、興味・関心の度合い、役立ち感等)、住居領域の学習内容22項目に対する意識(理解度、役立ち感、学習意欲)、現在の自分の住まいに対する満足度とその理由についてである。
    結果 住居領域が好きであると回答した生徒は全体の18.2%、興味・関心がある生徒は40.6%、内容が難しいと感じている生徒は53.0%であった。住居領域の役立ち感は、80.2%と高かった。具体的な学習内容については、役立つと思う内容は、地震対策、騒音対策、災害の種類、メンテナンス、快適な住居の条件の順に多く、学習意欲が高いのは地震対策、騒音対策、結露対策、メンテナンスであった。役立ち感が高い内容は、学習意欲も高い傾向が見られた。自分の住まいに対しては、満足していると回答した生徒は62.6%、不満とした生徒は10.5%であった。
  • ―Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.)を分析する―
    倉元 綾子, 黒川 衣代, 山下 いづみ, 正保 正惠
    セッションID: P-160
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 米国等では,家政学・家族研究を基礎とした生活課題の予防・支援が行われてきている。ここでは,米国の家族生活教育の主要文献である Family Life Education: Working with Family across the Life Span,Chapter 8: Foundations of Sexuality Education および Chapter 9: Appraoches to Sexuality Education を分析し,性教育の基礎と実践を明らかにする。
    方法 Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.), Lane H. Powell & Dawn Cassidy, 2007, Waveland Press, USA(邦訳『家族生活教育:人の一生と家族』倉元綾子・黒川衣代監訳,2013,南方新社)を分析した。
    結果 (1)第8章「性教育の基礎」は,歴史,現状,性的警告か性の健康か,性教育のニーズと背景,教員養成,プログラム開発に理論を用いること,プラクシスの原理;第9章「性教育へのアプローチ」は,プログラムのタイプ,有効性の評価の各節から成り,各章に要約,討論問題と復習問題が付されている。
    (2)性教育は家族生活教育のなかでは比較的新しい。1960年代に性教育の革命的変化があり,1964年にSIECUS(米国性情報・性教育協議会),1995年に全米性教育支援連盟が設立された。
    (3)包括的性教育とは,性的発達,リプロダクティブ・ヘルス,人間関係,愛情,親密性,身体イメージ,ジェンダー役割を含む情報を取得し,態度,信念,価値を形成する生涯にわたる過程である。
    (4)効果的性教育プログラムには,ニーズに基づく,行動変容のための理論モデル,特定の行動とその変化に焦点を当てる,情報提供,インプットと相互作用の機会の提供,質的評価と量的評価を用いるなどの特徴がある。
  • ―Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.)を分析する―
    山下 いづみ, 倉元 綾子, 黒川 衣代, 正保 正惠
    セッションID: P-161
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 今日,日本の個人・家族・コミュニティにおいては,晩婚化・未婚化,DV等に対する取組が求められている。米国等では,家政学・家族研究を基礎とした生活課題の予防・支援が行われてきている。ここでは,米国の家族生活教育の主要文献である Family Life Education: Working with Family across the Life Span,Chapter10: Education for Relationships and Marriage を分析し,結婚前教育と結婚教育について明らかにする。  
    方法 Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.), Lane H. Powell & Dawn Cassidy, 2007, Waveland Press, USA(邦訳『家族生活教育:人の一生と家族』倉元綾子・黒川衣代監訳,2013,南方新社)等の文献を研究した。
    結果 (1)第10章「結婚前教育と結婚教育」は,結婚教育の必要性,結婚教育の歴史,予防的方法対治療的方法,哲学・理論およびプロセス,結婚教育へのアプローチ,プログラム評価,要約の各節と,討論問題・復習問題から成る。
    (2)結婚教育は,長く続く幸せな結婚を支える順調な人間関係を築くために準備する方法を見つけることである。
    (3)結婚エンリッチメント・プログラムにおける必要最小限のスキルは,個人・関係・パートナーの成長への関与,理解につながるコミュニケーション方法,創造的変化を刺激するために葛藤を用いる能力,親密性を作り維持する能力である。
    (4)結婚教育は,認識行動学,学習理論,宗教的指導,ロジャーズ学派,人間性心理学,システム理論,コミュニケーション・システム理論,社会的学習理路,認知行動理論などを理論的基礎としている。
  • -よさこいソーランを取り入れた実践を通して-
    川邊 淳子, 伊藤 大貴
    セッションID: P-162
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>厚生労働省が2016(平成28)年7月に発表した「国民生活基礎調査」によると,核家族が60%,三世帯家族は全体の6%しかないと報告されている。そこで本研究では,北海道発信の地域文化でもある「よさこいソーラン」を取り入れた,小学生と高齢者の異世代間交流の可能性とその意義について明らかにすることを目的とした。<方法>新たなプログラムを開発し,その効果と有効性を検証するために,参加者へのアンケートおよびインタビュー調査を実施した。交流事業における述べ参加者数は,高齢者12名(70代~80代),小学生2名(5年生),大学生5名(3~4年)であった。A市H公民館の共催のもと,2016(平成28)年5月から9月までの計7回の実践とし,最後はH公民館フェスティバルでの発表を目標とした。<結果>参加理由としては,よさこいに興味はあったが今まですることがなく,一度してみたかったという声,さらに参加すること・できることがいきがいという声が多かった。一番印象に残っているものとしては,鳴子を牛乳パックとPETボトルキャップで制作,はっぴを不織布のものにフェルトでデザインしたことがあげられた。今回の実践から,異世代間交流を行っていくためのポイントとして,①参加者募集方法の工夫,②継続して指導できる指導者の配置,③活動内容の工夫の3点が挙げられる。いずれかの年齢集団の希望や願いが優先され,他方はそれに依頼されたり応じるという場合が多いが,関わる双方に目的があり,それが双方で達成できるWin-Winな関係が不可欠である
  • 宮川 有希, 上村 協子, 米元 みずほ
    セッションID: P-163
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目 的】金融リテラシーマップ4分野(家計管理、生活設計、金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択、外部の知見の適切な活用)にあわせた「金融リテラシー」調査が金融広報中央委員会により2016年18~79歳の2万5千人を対象に実施された。高校生を対象に金融リテラシー調査を行い、高校家庭科における「家計管理と生活設計教育」を検討する。
    【方 法】千葉県の私立高等学校の家庭基礎履修者の2年生、668名に全10問の金融リテラシーに関する質問(3問)と意識調査(7問)のアンケート調査を実施した。問1(家計管理)問2(生活設計)問3(外部の知見の適切な活用)の3問は成人向けと比較するため選択肢を同じにした。
    【結 果】成人向け金融リテラシー調査の正解率は全国平均、家計管理55.1%、生活設計47.6%、外部知見73.7%。高校生全体の正解率は家計管理66.1%、生活設計36.8%、外部知見56.8%である。家計管理の正解率は、高校生が高く、さらに高校生男女で比較すると、女性が高い。全体にチャレンジクラス(高卒で経済的自立を求められる若者)と進学クラス別では、進学クラスの正解率が高く、特に外部の知見の適切な活用では進学クラスの男子の正解率が高かった。家計簿アプリなどを活用した高校生のニーズにあった家計管理と生活設計教育の必要性が示唆された。
  • 萩村 眞奈, 亀崎 美苗
    セッションID: P-164
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 生活様式の変化に着目して、中学校学習指導要領に記載された住生活に関連した内容の変遷を分析することにより、今後の住教育において生徒に習得させたい内容を検討する。

    方法 戦後から現在までの中学校学習指導要領の住生活の内容項目分析を行ったうえで、生活様式の変化をとらえて、その関係性を探る。

    結果 現行の学習指導要領においては住居の機能・安全性・快適性に関わる内容を学ぶことになっている。昭和44年の指導要領までは男子向き、女子向きに分かれていたため家庭科における住領域を学ぶのは女子だけであった。特に昭和26年までの女子は、家族の慰安・厚生のため、住環境の整え方の習得が求められていた。昭和32年には各室の設備についても学ぶようになり、電気・機械技術が進歩した昭和33年には「家庭機械・家庭工作」に重きを置かれ、 住領域はその中の[すまいの工夫]に含まれ「住居」という名の項目は消えた。昭和44年に再び「住居」の項目が復活したが、製図や木工などの技術的内容が主であった。昭和52年、平成元年の改訂で機能や快適性といった現在のものに近い内容が重視されるようになり、平成10年には現行の指導要領とほぼ同じ項目構成となった。時代の進歩とともに、住居設備やものの管理に関する項目重視から空間や機能など人々の行為と結びついた項目重視の内容に変化してきているが、今後はそれらと関連付けた住生活文化の継承を検討することが課題と思われる。
  • 次田 一代, 上岡 はつみ, 大下 市子, 梶山 曜子, 鈴木 明子
    セッションID: P-165
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】調理と栄養に関する知識・技能習得に関して,第二報では栄養系大学での半期調理実習受講前後に調査をおこない分析・考察した。本研究では栄養系短期大学で同様の調査をおこない分析・考察した。 【方法】広島県内私立大学管理栄養士養成課程2014年入学女子学生(大学)106名と,香川県内私立短期大学栄養士養成課程2015・2016年入学女子学生(短大生)89名を対象として,最初の調理実習受講前後において,小・中・高等学校家庭科学習指導要領記載の「調理と栄養に関する知識・技能(知識・理解29項目,技能・表現26項目,創意工夫3項目,成長1項目)」59項目について,4段階自己評価(1~4点)で調査した。有効回答率は大学生97.2%,短大生95.5%であった。【結果】59項目の平均点は,大学生受講前2.55,後2.93,短大生受講前2.63,後2.73と,いずれも自己評価点は増加していたが,短大生の方がその変化が小さかった。短大生では,小・中・高等学校での調理経験が多く,「調理が好き・大好きである」とするが高く,また家庭でも調理をよくする傾向がみられた。調理実習受講前後の自己評価変化は,大学生,短大生とも同様の傾向がみられ,受講後自己評価が高まった項目は「1日分の献立を立てる仕方を知っている」「食品を3つのグループに分けることができる」「調理中に何かトラブルなどが起こっても上手く対応することができる」であった。
  • 小学校特別支援学級高学年児童へのアプローチ
    大橋 裕子, 岡田 みゆき
    セッションID: P-166
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究では,小学校家庭科教科書と文部科学省「食に関する指導の手引」からの関連記述を分析することを通して,それらの特徴を明確にし,特別支援学級在籍児童のための食生活の課題解決に向けた食に関する指導目標と学習内容を示すことを目的とする。
    方法 小学校家庭科教科書の学習内容と文部科学省「食に関する指導の手引」の高学年と特別支援学校における食に関する指導目標,学習内容について検討し,表に整理して分析と考察を行った。
    結果 小学校家庭科の学習内容からは,食事の役割や1食分の献立を考え,自分で食事を作るための基礎的基本的な知識および技能の習得を重点としていることが明らかとなった。それらから,調理用具の使い方や調理方法などの調理に関する学習内容を取り入れて構成する必要がある。文部科学省「食に関する指導の手引」より小学校高学年における食教育は,児童が自分の食を管理するための知識を習得することを重点としていることが明らかとなった。それらから,バランスの取れた献立や栄養素に関する学習内容を中心に取り入れて構成する必要がある。文部科学省「食に関する指導の手引」より特別支援学校における食教育は,栄養バランスの大切さに加え,子ども自身が日常の食生活を見直す力を育むことを重点としていることが明らかとなった。それらから,好き嫌いなく食事をする必要性や,1食分の食事を作るなどの学習内容を中心に取り入れて構成する必要がある。
  • -大学生と中学生の比較から-
    伊藤 大貴, 川邊 淳子
    セッションID: P-167
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>消費行動をとる場合は,その過程で多くの意思決定を含んでいる。そこで本研究では,大学生と中学生を対象とし,筆箱の中身からニーズとウォンツの調査を実施し,その違いを明らかにすることを目的とした。<方法>調査対象は本学学生127人およびA中学校56人,調査時期は2016(平成28)年1月ならびに2017(平成29)年1月,調査方法は自記式質問紙法, 集計・分析方法はExcel2010を用いた。<結果>各文房具類の所有数ごとに「指定単価」をかけ,「授業中と授業以外でも使う」,「授業中に主に使用」,「授業以外で主に使用」および「入れているだけであまり使わない」で,所有数ごとに,その金額に頻度の割合「0.8」,「0.6」,「0.4」および「0.2」をそれぞれかけて小計を算出し,それらを合計して「使用頻度別に見る金額」を算出した。所有する文房具類の合計金額は,大学生は最高6,300円,最低310円であり,平均1,762円であった。一方中学生は,最高10,699円,最低1,140円,平均4,691円となり,すべてにおいて中学生が大学生を上回った。また,使用合計金額を所有合計金額で割った利用価値においては,利用率が大学生は20~60%が66.1%,61~80%が33.9%,一方中学生は,20~60%が57.1%,61~80%が42.9%となり,中学生の方が利用率は高い傾向にあった。所有文房具は,中学生の方がシャープペンシルなどにおいて,高額なもので数も豊富に有していたが,大学生は中学生よりも低額で精選されたものを所持する傾向にあることが分かった。
  • 兼安 章子
    セッションID: P-168
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的
     本研究は、中学校家庭科教師の保有する校内・外の教師同士のネットワークが教師の授業改善に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする。中でも、授業で使用する教材の変化に着目して分析を行った。

    方法
      2014年7月から2016年12月に、中学校家庭科教師8名(20~50代の各2名)を対象とした半構造化インタビューを行った。内容は過去の授業の実施内容や使用教材とその選択理由、今後の授業構想、学校の様子や仕事の状況、保有するネットワークについてとした。比較対象として、高等学校教師3名、中学校理科教師2名を対象とした同様のインタビューを行った。 インタビュー調査で対象とする授業領域・学習項目を選定するために、2014年3月にX県344校の公立中学校及び中等教育学校の家庭科教師365名を対象とした授業改善意識に関する質問紙調査を行った。 インタビュー調査から、家庭科教師同士のネットワークの詳細を明らかにする手法として、ネットワーク分析を採用した。

    結果
      1点目に、地域の家庭科教師のフォーマルな様々な研修は教師の出会いの場、また、ネットワーク形成の場として有効である。インフォーマルな場での関わりが、授業改善を促進する可能性がある。2点目中学校教師は、高校教師と比べ、勤務校に同僚の家庭科教師がいないことで、校外の家庭科教師とネットワーク形成、その授業改善への活用・促進が期待できる。
ポスター発表 5月27・28日 環境・健康・国際
  • 各種刊行物から探る60年史
    高橋 洋子
    セッションID: P-169
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 過去60年ほどの間に刊行された各種刊行物を資料として,衣食住の変遷を可視化する試みに取り組んでいる.本報では,実用面・精神面の両方に効用をもたらすものとして,家庭における洋裁・編物に着目し,それらを取り巻く状況の変遷を考察した.
    方法 歴代の家計調査報告・職業別電話帳・NHK放送講座テキスト・新聞連載記事・婦人雑誌3誌(「婦人倶楽部」「婦人生活」「主婦と生活」)などを資料として,調査した.
    結果 (1)総務省家計調査の「被服費(履物類を除く)」に占める「生地・糸類」の割合を算出したところ,1950年代半ばの30%台から次第に下降し,1970年代後半には10%を下回り,1990年代半ば以降は1~2%程度となった.(2)1965年刊行の職業別電話帳で,新潟県佐渡島(当時人口約10万人の離島)に,ミシン編機メーカー5社の支店・営業所が掲載されていた.(3)1950年からNHKラジオ「女性教室」で和裁・洋裁・編物・手芸等の放送講座が実施され,1964年頃からテレビ講座へ移行した.(4)読売新聞は1952~1957年と1960~1965年,朝日新聞は1959~1970年,毎日新聞は1962~1969年に,製図・作り方を載せた洋裁記事を長期連載した.(5)婦人雑誌3誌は,創刊当初から洋裁・編物に注力し,本誌の綴込付録・別冊付録および増刊号の付録に実物大の型紙をつけるなどしていた.
  • 武井 玲子, 大泉 由美, 鍋山 友子
    セッションID: P-170
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的  便利で快適な生活を送るために、様々な生活関連品やモノを活用している。これらを安全かつ安心して使うための評価手法としてリスクマネジマント研究が有用である。実際に、食品添加物等はこの考え方が採用されている。しかし、依然として安全性に納得できず不安を抱いている生活者が多い。そこで、リスクマネジメント研究事例を分析評価し、リスク予測の精度を上げ生活者に対してより説得性の高い手法の提言を試みる。
    方法  家政学会誌はじめ関連学会誌を対象として生活関連品に関するリスクマネジメント研究を分析評価した。
    結果   一般にリスクマネジメントは、暴露評価やリスク分析評価に基づきリスク低減化策を講じた後残されたリスクの性質や程度を公表するリスクコミュニケーションの一連の流れで進められる。様々な生活関連品に関するリスクマネジメント事例研究の課題の一つ目は、暴露評価の充実である。台所用洗剤の場合は老若男女の通常使用時の経口、経皮暴露に加えて誤飲時の眼への暴露等、乳幼児の被服の場合は乳幼児の生活実態の即した暴露評価に続くリスク評価が必要不可欠である。二つ目は、「ゆりかご」から「墓場」までをカバーするライフサイクルアセスメントの考え方を採用することである。この事例としては被服の変退色をリスクととらえ、製造・購入・着用・手入れ・保管の各段階においてリスク評価を行うことでより精度が高まる。三つ目は、実際に即したリスクコミュニケーション手法の充実である。
  • 土田 詩帆, 浅田桃子 桃子, 坂内 元気, 鈴木 香澄, 佐藤 直人, 澁谷 顕一, 稲葉 洋美
    セッションID: P-171
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【背景と目的】一人での食事は味気ない。家族・親しい友人・仲間との食事は美味しい。このように摂食行動は他者の存在の有無により影響を受ける。摂食量の増加(社会的促進)、料理という共通の話題があることによる会話の増加、不定愁訴の軽減など共食には多数のメリットが報告されている。しかし、全くの他人あるいは親密性の低い人との共食でおいしさが増すことが少ないことをわれわれは経験している。そこで「食の環境」の一因子として他者との共食時の心的・身体的変化を調査することにより、最適な食環境のあり方を検討することとした。【方法】対象者は18~19歳の健常な女子大学生8ペア、16名とした。嗜好調査用の食品は、3種類とした。①食パン6枚切りの耳を切り落とした10cm×10cmを1枚(敷島製パン株式会社)②グミを3粒(株式会社明治)③米菓1枚(亀田製菓株式会社)。実験条件は、4条件を設定した。孤食は、1人で嗜好調査した。共食は、友人と2人で嗜好調査、他人の中での孤食は、被験者1名と他人2人の合計3人で嗜好調査、他人との共食は、友人同士の2人と他人2人の合計4人で嗜好調査を行った。VASと閾値検査(電気味覚計)を行った。【倫理的配慮】新潟医療福祉大学倫理委員会承認 【結果と考察】実験・解析進行中である。目的に照らした結果および考察を報告予定。本研究は江頭ホスピタリティ事業振興財団の助成を受けたものである。
  • -T女子高等学校での家庭科実践事例から-
    三神 彩子, 権藤 真理子, 和田 八代里, 針生 貞子, 長尾 慶子, 赤石 記子, 久松 裕子, 小池 温子, 松葉口 玲子, 岩瀬 正 ...
    セッションID: P-172
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 持続可能な社会の実現に向けたライフスタイルの確立は家庭科教育においても重要課題である。そこで,昨年度開発された『省エネ行動スタートBOOK』を活用し体系化した授業を通し,高校生の意識や行動がどう変化していくのかをもとに,教育効果を図ることとした。

    方法 対象者はT高等学校普通科2年生276名とし,2016年11月の4週に渡り家庭科の授業内で4時間の省エネ教育を行った。1時間目には,環境問題の現状や省エネ行動の大切さを現状把握・課題認識のための授業,2~3時間目には,食生活を題材に自分達の暮らしと環境問題とのつながりを調理実習などの体験学習を通し自己効力感を醸成した。4時間目はまとめとし新聞作成を行った。各回の授業の最後には自己評価を行った。

    結果 自己評価には生徒が取り組むことのできる省エネ行動12項目を設定した。授業の回数を経るごとに,いつも実践している生徒が約46%から約64%と推移した。たまに実践している生徒と合わせると,実践度が約91%となった。新聞作成では,「省エネの定義や大切さ」,「地球温暖化や地球環境問題」,「食と省エネ行動の関係」,「具体的な省エネ行動」について多く言及されており,知識として理解していることを確認した。編集後記には,自分自身で省エネ行動を実施するという決意表明が書かれたものが約95%,普及啓発を促す呼びかけが約3%あり,自主的な取組みにつながっていることを確認した。
  • 赤石 記子 , 三神 彩子  , 久松 裕子 , 小池 温子 , 藤本 ひろみ, 長尾 慶子 
    セッションID: P-173
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 これまでの研究から食生活に関する省エネ行動に関し、健康・栄養改善にて推進されている行動変容ステージモデルが適用できることを確認してきた。また、省エネ行動の取り組みやすさには、その行動自体の難易度が関係しており、ステージに応じた難易度の省エネ行動を提案することが望ましいことが示唆された。そこで本研究では、教育前後の認知度と実践度からステージに応じた省エネ行動の難易度評価方法を検討することとした。

    方法 T大学3年生65名を対象に平成27年9月から12月に調査した。省エネ教育前に食生活に関する省エネ行動(買い物、調理、片付けに関する15項目)の認知度や実践度を自己評価シートに記入させた。その後、食を取り巻く環境問題の講義や調理実習を通した省エネ行動の体験、新聞作成課題等を実施し、3か月後(省エネ教育後)に同様の自己評価シートに記入させた。得られた結果より食生活に関する省エネ行動各項目の認知度と実践度から難易度を評価検討した。

    結果 食生活に関する省エネ行動の教育前後の認知度と実践度を聞くことで、行動の難易度を行動変容ステージモデルと同様の5段階に分類できる可能性が示唆された。難易度の低いものは比較的容易に分類できることが明らかとなったが、難易度の高い項目は省エネ教育後に実践度が上がるものと上がらないものとに分かれること、行動変容を阻害する要因が様々であり、判別にはさらなる検討が必要であることが示唆された。
  • 久松 裕子, 三神 彩子, 赤石 記子, 小池 温子, 藤本 ひろみ, 長尾 慶子
    セッションID: P-174
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 東京家政大学では2013年より東京都北区と共同で区民へのリデュースクッキングの普及啓発に取り組んできた。その一環とし,このような普及啓発活動がごみ削減にどの程度寄与できるのかを計測するため「リデュースクッキングモニタリング調査」を1回目は2015年,2回目は2016年に実施した。 方法 北区内在住もしくは在勤の2人以上世帯で週2回以上調理する人を対象とした。調査時期を各年で半年違えた2-3月と8-9月に設定し、リデュースクッキング講習会を挟んだ前後2週間とした。各期間中3日ずつ計6回の夕食献立を自由に選択し,調理時に出た野菜及び果物の生ごみ量の実測を行い報告してもらった。合わせて講習前後でアンケート調査を実施した。集計は2年間の計40名について行った。 結果 講習前後に実施したアンケート調査からは,意識及び行動変容効果が確認された。生ごみ量の実測に関しては,1食分のごみ排出量が平均122gから56gとなり,講習前後で54.0%の削減効果が得られた。このうち,初受講者30名の削減率は56.4%,受講経験者10名の削減率は45.0%となった。受講後のごみ削減量はいずれも同等程度であったが,受講経験者は初受講者よりも事前のごみ量が18.6%少なく,講習会の効果が一定程度持続していることを確認した。以上より,リデュースクッキングに関する普及啓発活動が家庭からの生ごみ削減に寄与することを確認した。
  • 城田 直子, 金澤 良枝, 高橋 俊雅, 中尾 俊之, 峯木 眞知子
    セッションID: P-175
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 維持血液透析(HD)患者の食事療法は、食塩・水分、カリウム管理が第一義であるが、嗅覚や味覚という要素も食事には重要な要素である。HD患者の味覚低下に関する研究は報告があるが、嗅覚状態に関する研究はほとんどない。本研究では、嗅覚検査および味覚検査を行い、その関連性も検討した。
    方法 対象は、Aクリニックに通院しているHD患者、61名(男性42名、女性19名)を対象とした。平均年齢63.0±10.4歳、平均透析歴11.3±9.6年である。嗅覚同定能力研究用カードキット(和光純薬工業)を用い、12種類の日常生活臭を嗅ぎ当てる検査を行い、嗅覚同定能力を判定した。味覚検査については、ろ紙ディスク法を用い、塩味、酸味、甘味、苦味の状況を把握した。
    結果 HD患者の嗅覚異常判定者は32名(52.5%)であり、味覚異常者は、塩味75.4%で、最も異常者が多いのは苦味であった。嗅覚、味覚共に異常の者は52.5%であり、嗅覚異常者であれば、味覚も異常者である人が多かった。嗅覚異常判定者では、カレーのにおいの正答率は93.4%で高く、メントールのにおいも識別できた。みかん・練乳のにおいの正答率は25.0%、53.1%で正常者より有意に低かった。嗅覚の異常者は塩味の異常者と正の相関があった(p<0.05)。塩味の異常者は、苦味を除く酸味・甘味と関連していた。このことから、塩分の管理が第一義であり重要であることが示された。
  • 田中 守, 川北 浩久, 渡邊 浩幸
    セッションID: P-176
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 海洋深層水(深層水)の特徴として、低温安定性、富栄養性、清浄性が挙げられ、これらの特徴を利用して、現在多くの分野で活用が進められている。本研究では、ラット好塩基球様細胞株RBL-2H3(RBL-2H3)を用いて深層水及び深層水から作製したにがりの抗アレルギー効果を検討した。
    方法 実験に用いた深層水及び表層水は、高知県室戸沖で採取した物を用いた。にがりの作製は、深層水及び表層水をフィルター濾過後に撹拌しながら加熱濃縮し、冷却後、再度フィルター濾過を行った。抗アレルギー効果は、抗体感作させたRBL-2H3細胞に、各種試料(深層水、深層水にがり及び表層水にがり)を作用させた後、抗原刺激により惹起される脱顆粒現象をβ-hexosaminidase放出活性及び細胞内Ca2+濃度により評価した。
    結果 深層水及び深層水にがりをRBL-2H3細胞に作用させたところ、β-hexosaminidase放出活性及び細胞内Ca2+濃度では、深層水で有意な差は認められなかったものの、深層水にがりで濃度依存的に有意な脱顆粒抑制効果が認められた。また、深層水にがり及び表層水にがりで同様に検討したところ、それぞれ濃度依存的に脱顆粒抑制効果が認められ、その抑制強度は、深層水にがり>表層水にがりであった。
  • 今野 暁子, 小泉 嘉子, 池田 和浩, 大滝 美雪, 桑折 智美
    セッションID: P-177
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー

    目的  福島県相双地区では、子どもたちのう蝕や肥満の割合が高い傾向にあり、震災後に保護者が子どもに提供する食との関連が問題とされている。そこで本調査では、関係機関の協力を得て、幼児期の食環境を調査し、保護者の生活状況や精神的健康度との関連を分析した。
    方法  相双地区の保育所及び幼稚園の37施設(避難先で開園している公立施設を含む)から協力を得て、3~6歳の子ども2066名とその保護者を対象とした。無記名自記式質問紙を、施設を通じて対象者に配布し、1790名から回答を得た(回収率86.6%)。質問は、対象者の属性、生活習慣、食生活、精神的健康度(保護者)の4つのカテゴリーとした。精神的健康度の調査には、抑うつ障害、不安障害、強迫性障害などの精神疾患症状の発見・評価に有効なGHQ-12を使用した。回答に不備のあった者を除いた1560名(回答率75.5%)を分析対象とした。
    結果  共分散構造分析を行った結果、モデルの適合度を示す指標は次の通りであり(GFI=.997、AGFI=.992、RMSEA=.03、χ2(6)=12.9、p<.05)、モデルの当てはまりは比較的良いと考えられた。モデルの構造から、精神的健康度が高い保護者(リスク低群)は食事作りのつらさ感が低く、食物摂取頻度得点が高く、子どものう蝕と肥満傾向が低いことが確認された。
  • 前田 亜紀子, 小林 陽子, 高橋 紗智代
    セッションID: P-178
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 「国民や民族などの異なる人々が、互いの文化を認めあい、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きてゆく」多文化共生が実現することにより、活力ある豊かな社会を形成する一助となる。しかし、日本における多文化共生は、しばしばマイノリティの人々に「日本人化」を強いてきたと批判されている。多文化共生を実現するためには、マジョリティである日本人がマイノリティの抱える問題を理解し、共に解決していく姿勢に立つ必要がある(日本学術会議 2014)。そこで本研究は、日本におけるマイノリティ、とくに留学生に着目し、彼ら彼女らの母文化と日本文化の融合からなる食生活の実態を調査し、多文化共生の実現に必要な情報収集を試みることを目的とする。
    方法
    留学生がどのような食生活を送っているのか実態把握を目的に、G大学に在籍している交換留学生や大学院生16名(台湾4名、インドネシア・ハンガリー3名、中国・タイ2名、マレーシア・スロベニア1名)を対象にインタビュー調査を行った。平均年齢は21.8歳であった。調査期間は2016年10月21日から11月25日であった。
    結果 ほとんどの留学生は、金銭的な理由から自炊していた。また、留学生の友人や日本人チューターを介して、食に関する情報を得て、留学生活を楽しんでいた。一方、イスラム教圏出身の留学生は、宗教上の関係で日本での食生活に苦労していることがわかった。
ポスター発表 5月27・28日 震災・福祉
  • ―食生活の分野を中心として―
    野田 奈津実, 小川 宣子, 久慈 るみ子, 坂田 隆, 大竹 美登利, 佐々井 啓, 中島 明子, 宮野 道雄, 浜島 京子, 加藤 浩文 ...
    セッションID: P-179
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 「東日本大震災生活研究プロジェクト」は、ボランティア団体を対象に、被災者への支援状況をインタビューし、そのデータを元に被災者の生活復興の状況や生活上の諸問題を明らかにするとともに生活支援に向け、さまざまな分野で活動を行ってきている。食生活の分野では、炊き出しの栄養評価や衛生マニュアルの作成、被災者通しや親子のコミュニケーションを図るための料理教室の開催、石巻の特産を活用した料理コンクールを開催してきた。これらの活動の中で、震災がもたらした生活の変化により、石巻の気候風土に根差した食生活や食文化などが途絶える危険性のあることを強く感じた。そこで、石巻の豊富な食材を活かした郷土食や食文化の継承を行うための資料としてこれらについて調査し、情報を整理することを目的とした。
    方法 平成26年6月から平成29年1月にかけて以下のような項目、1)石巻市農林課や農家を対象に石巻の特産物や伝統野菜について、2)食生活改善推進委員や民宿を経営されている方を対象に伝統食について、3)料理長には料理のレシピについて聞きとりを行い、春・夏の石巻の特産物および郷土料理の整理を行った。
    結果
    調査内容をもとに、特産物から石巻の食文化を整理し、石巻市民、海外を含めた観光客らが石巻の料理を知り、調理することができるように石巻の特産物や伝統料理を整理することができ、教材および観光資料として活用の予定である。
  • 岡本 和花
    セッションID: P-180
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年, 我が国の防災に対する関心は高まってきている. 教育あるいは保育の現場も同様であると考えられる.そこで本研究では, 保育者が防災についてどの程度, 正しい知識を備えているかを調査することによって, 保育者の防災に対する関心を知る手がかりとすることを目的とした.
    方法 調査時期は, 2016年10月上旬~12月末, 調査対象者は, 新潟県, 栃木県, 静岡県の3県における就学前施設に勤務する保育者670人と教員養成系大学生48人を対象とし, 防災に関する知識を問う設問を含めた質問紙調査を行った.なお, 知識に関する設問は東京都が出版している『東京防災』を参考に6題作成した.
    結果 知識項目6題の平均正答率は, 保育者が68.3%, 大学生が64.6%であった. 設問ごとに保育者と大学生との正答率を比較したところ, 避難生活での子どもへの接し方に関する質問1では, 保育者, 大学生ともに正答率は高かった. 避難口の確保に関する質問3と避難する際の車の使用に関する質問2では, 保育者と大学生で差がみられた. 質問3の正答率は, 大学生より保育者の方が高かった(保育者正答率=86.0%, 大学生正答率=66.7%). 一方, 質問2の正答率は, 保育者より大学生の方が高かった(保育者正答率=52.2%, 大学生正答率=77.1%). 以上より, 保育者の防災知識には偏りが見られた.
  • 水谷 千代美
    セッションID: P-181
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー


    我が国は高齢化が急速に進み、高齢者を受け入れる施設、医療現場の人材不足、社会保障費の増大、介護負担の増大、生産年齢人口の減少などの問題が山積している。デンマークやスウエーデンのような福祉先進国は、高齢者福祉が進んでおり、介護者の負担の軽減を考慮した介護器具の開発も進んでいる。このような背景から、我々は日本とデンマークの介護制度や介護用品について現地で調査を行った。

    補助器具を作る補助器具センターやそれを認定するデニッシュスタンダード、高齢者施設を訪問し、高齢者自立の取り組み、高齢者の残存機能と介護用品の種類、介護用品の認定の比較などについてインタビュー調査を行った。高齢者は、不可能になった体の部分や残存機能を活かすような補助器具が多く使われていた。また、介護者に負担がないように、デンマークは高齢者をベッドから車椅子に移動するリフトやアームレストやフットレスト着脱可能な介護用椅子などが使われており、残存機能と補助器具の用い方などについて調査した。また、デンマークは市の判定委員会が高齢者の身体機能を調べ、高齢者へのサービス内容を決定し、実際の介護はサービス提供者が行っていた。市の判定委員会、サービス提供者、利用者の三者が連携して行う制度であった。
  • 田中 謙
    セッションID: P-182
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 戦後日本における障害乳幼児支援の歴史的展開過程において、保育所や幼稚園と通園施設および通園事業がどのような関係性のもとで障害乳幼児支援を担ってきたのかに関しては、十分な実証的研究の蓄積がなされていない現状がある。そこで本研究は公立通園事業の一つである立川市「ドリーム学園」を事例に、特にドリーム学園の「リエゾン機能」に焦点を当てながら、通園事業と保育所との関係性を明らかにすることを目的とする。
    方法 本研究ではドリーム学園が創設され、立川市立保育所で障害児保育が実施され始めた1970年代に焦点を当て、『立川市手をつなぐ親の会二十周年記念誌』『立川市議会会議録』等を分析史資料として採用しながら、歴史的展開過程の検討を行う。
    結果 ドリーム学園は1971(昭和46)年に創設された立川市立の心身障害児通園事業である。ドリーム学園では「障害児といえども本来通園通学の場は、ふつうの幼稚園、保育園、学校、医療的施設等でなければならない」との支援者の考えから、「本指導室の存在意義がこれら公的機関へはいるための橋渡しの役目を負うところにある」とされ、「すべての障害児が受けいれられるような社会制度の開発と充実」を「本指導室自らが社会全体に訴えてい」くための「リエゾン機能」の強化を図っていった。ドリーム学園は障害幼児を「立川市立柴崎保育園」「立川市立中砂保育園」等と「リエゾン」していく機能を有する通園事業であったと考えられる。
口頭発表 5月27日 家庭経営・経済・家政学原論
  • 天野 晴子, 三神 彩子
    セッションID: 2D-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 持続可能な社会の構築に向け,家庭部門における温室効果ガス削減が喫緊の課題となっている。家庭におけるエネルギー消費量の約3割が給湯であることから,給湯器に注目し,省エネルギー型給湯器の選択という行動変容を促すための効果的な情報の内容及び提供方法を明らかにする。

    方法 家電製品カタログとの情報提供の比較分析と合わせ,首都圏在住者の内,2011年以降の高効率給湯器購入者309名と従来型ガス給湯器購入者309名を対象としたWeb調査により省エネルギー型給湯器の選択行動の特徴を洗い出した。その上で,省エネルギー型給湯器の選択につなげるために,従来型給湯器との市場価格差の表示や回収年数,ランニングコストメリットの伝え方などを検討し,購入に至るプロセスを踏まえた訴求ツールを作成した。

    結果 各社のカタログの省エネ性に関する記述を分析したところ,効率,節約に関する表記の優先順位が高く,環境面での訴求や割引制度などに関しては優先順位が低かった。また,アンケート調査の自由記述分析からは,省エネルギー型機器の普及に必要な情報やサービス・政策として,コストに関する情報提供( 32%),広報や宣伝などの重要性( 19%)が挙げられた。コストに関しては,導入コストの削減が最も多く,次いでメリット(費用対効果・耐久年数),ランニングコスト,ガス料金の割引となった。以上の結果を踏まえ,訴求ツールを開発した。
  • 重川 純子
    セッションID: 2D-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    <B>目的</B> 家計調査などでは集計対象世帯の消費支出は平均値で示されている。この中には食料のように具体的な品目は変わっても毎月支出するものの他、耐久消費財のように購入頻度は低いが比較的高額なものも含まれる。家計は病気や事故などの突発的事項だけでなく、これらの更新を考慮した備えが必要となる。本研究では、どの程度の備えが必要となるのかを購入品目の消耗・更新頻度を考慮し、消費支出の変動幅の推定により検討した。
    <B>方法</B> 2010年から2011年に実施された一般市民の話し合いによる最低生活費の研究プロジェクトでは消耗や買換の期間を踏まえ1ヶ月あたりの生活費が算定されている。この中の稼働年齢女性単身者の生活費リストを用い、生活費の変動幅の推定を行った。家電製品などの耐久財については、耐用年数のばらつきをワイブル分布を用いて統計的に導出した。
    <B>結果</B> 消費支出のうち、毎月支出がある割合は4分の3であり、この半分は家賃による。購入頻度が5年以上の割合は2%である。購入単価積算に占める割合では毎月支出分の割合は約1割となる。耐用年数5年以上の家電品等14品目について、平均的な耐用年数で除した年間支出額合計は約2.5万円であるが、ワイブル分布による耐用年数ばらつきを考慮した支出額は最大約13万円、90%値は5万円強である。本試算では概ねの備えとして当該品目の支出年額の2倍程度分が必要といえる。
  • 生活資源コントロールに着目して
    佐藤 海帆
    セッションID: 2D-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 2011年福島原発事故により、安全な屋外遊び環境は奪われ、代替として屋内遊び場の整備や保養の機会の提供がなされている。そこで、本報告の目的は、第1に、屋内遊び場の利用や保養の参加がもたらす生活の変化(生活の外部的条件による内部的条件の変化)を把握し、第2に、生活主体のあり様に応じたより良い遊び環境の獲得状況(生活の内部的条件による外部的条件の変化)を把握し、福島原発事故下での幼児の遊び環境獲得に向けた課題を明らかにすることとする。
    方法 2015年に保護者約2000名を対象に実施した遊び環境調査結果に基づき、第1の目的は生活資源コントロール論、第2の目的はエンパワメント論により分析する。
    結果 生活の外部的条件の獲得(屋内遊び場の利用や保養の参加)は、利用や参加の頻度に応じて、内部的条件に変化をもたらし、子育て家庭の生活資源コントロールの可能性を高めている。さらに、積極的な内部的条件(生活意識)をもっている保護者は、外部的条件を生活資源として活用しているという特徴がある。そのため、1)行政や遊びの提供主体が、子育て家庭による生活の外部的条件の獲得を促進するような環境を整えるにあたって、子育て家庭の生活資源コントロールの可能性を高めること、2)子育て家庭が、エンパワメントにより、積極的に内部的条件を高めること、3)行政が、遊び環境づくりへの子育て家庭の参加を制度的に保障することなどが課題である。
  • 色川 卓男
    セッションID: 2D-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    本発表の目的は、 大学生を対象にした消費者教育の類型化することにある。2011年に文部科学省が「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」をだし、2012年に消費者教育推進法が制定されているように、以前よりは大学生を対象にした消費者教育は様々な取り組みがなされている。しかしそれらについて体系的に類型化したものはないのが現状である。そこで我々は、過去5年間で公刊された論文と全国の総合国立大学を対象にしたシラバス調査をもとにして、大学生を対象にした消費者教育の類型化を行い、その課題を述べていくことにした。
    結果として、大学生を対象にした消費者教育は、共通教育から専門科目レベルまであり、授業時間数や地域との連携状況も様々、実施されている。それらを類型化していくための暫定的な指標を示すと、①誰に教えるか、②何を教えるか、③どこで教えるか、④何を使って教えるか、⑤何回教えるか、⑥主にどのように教えるか、⑦誰が教えるか、⑧関連科目があるか、に分類できる。一般学生向けにおいてもまだケースが少なく、教員養成は免許法上の規定から、ほぼ実施されている一方、その他専門家養成向けは、ほとんどないとまとめられる。課題として、体系的な視点で、各授業の到達目標を明確にしていくこととともに、授業内容に踏み込んだ類型の検討が必要である。
  • ~1936年から1940年~
    大藪 千穂, 山内 千礼
    セッションID: 2D-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究は、アメリカで初めて誕生した消費者情報誌 Consumer Reports の発刊から5年間の1936年から1940年の消費者情報を分析し、現代の消費者問題の解決の糸口を探り、消費者情報誌の役割や方向性を考える。
    方法 Consumer Reportsに提供している情報を「商品・サービス」と「社会・時事問題等」の2つに大別し、「商品・サービス」については、10大費目に非消費支出を加えた11大費目と品目に分類した。また、「社会・時事問題等」は、社会保障、経済、社会、その他の4つに分類し、情報のメッセージ性として、紹介、啓発、解決策提示を設定した。また、それぞれの情報の流れについて、消費者、消費者情報誌、企業、政府の4主体別に分析した。 結果 情報量は2893件で、「商品・サービス」が46.1%を占めていた。中でも教養娯楽、家具・家事用品、交通・通信、食料、被服及び履き物類に関する記事が多かった。情報のメッセージ性は、「評価」と「機能性」が多かった。情報の流れは、「消費者情報誌から企業」への情報が最も多かったことから、初期は企業の商品テスト結果のみを掲載していたことが分かる。「社会・時事問題等」は53.9%を占めており、「CU・CR関連」と「社会」が中心となっており、情報のメッセージ性は「紹介」が大半を占めていた。情報の流れは、「消費者情報誌から消費者」が最も多く、次いで「企業から消費者」となった。
  • 森田 美佐
    セッションID: 2D-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー


    【目的】本研究の目的は、働く男性が男女共同参画にかかわる主体となりえるために必要な要素を、かれらの学生時代の生活の学びや現在の生活の状況と意識から明確にすることである。男性の長時間労働の削減に向けて、「働き方改革」の重要性が指摘されている。しかしその政策がどれだけ進んでも、男性自身が経済・効率を優先する企業中心社会の価値観や、性別役割分業の規範を受け入れる限り、例えば政府の掲げる「女性の活躍推進社会」は、女性が“男並み”に働きつつ、家庭で家事労働を全て引き受ける社会に過ぎず、男性自身も、人間らしい働き方や暮らし方を営むことが難しい。【方法】2013年と2017年に日本の女性および男性被雇用者(以下、働く男性と表記)を対象とした質問調査を行った。【結果】働く男性は女性よりも、職場では上司が自分たちの私事を考慮しないと感じ、仕事を助け合う雰囲気もなく、コミュニケーション不足だと感じる傾向があった。また個人・家庭生活では、働く男性は女性よりも仕事中心の暮らしを営む中で、自分の(そのような)生き方に満足していない傾向があった。そして男性のみで比較した場合、自分の生き方に満足している人は、そうでない人よりも、男性の生活的自立力を重視したり、次世代育成支援について肯定的な意見をもったりしていた。ただし男性が自分の生き方に満足していることと彼らの性別分業意識は、特に有意な関連性は見られなかった。
  • 雑誌『装苑』に現れる「更生服」から「アップサイクル」
    渡瀬 典子
    セッションID: 2D-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>日本は国民生活における「服装の合理化」のため、和装から洋装への転換等、服装改善運動が近代以降試みられてきた。また、戦時下では被服材料の不足、機能性の面から、これまで所持していた和服を「つくり変える」ことが行われた。「衣服をつくり変える」方法を知る手立ては、服装改善に関する講演会・講習会・機関誌のほかに、当時の婦人雑誌記事があった。本報告は「服装改善とその普及」を目的に創刊された『装苑』に焦点を当て、「衣服をつくり変える」ことの意義を当該誌の記事中でどのように語られていたか、注目する。高橋(2004)、工藤(2010)が示すように『装苑』は時勢に合わせて雑誌の誌面構成に様々な変化が加えられてきた。そこで、第二次大戦後に刊行された時期の記事と最近の記事とを比較することで同誌における「衣服をつくり変える」ことの意義の変容を明らかにすることが本報告の目的である。<方法> 1946(昭和21)年~1956(昭和31)年に刊行された『装苑(服装研究 装苑)』(文化出版局)と2014(平成26)年1月~2016年(平成28)年12月に刊行された同誌の記事を分析資料とする。<結果>戦後の婦人雑誌では「更生服」に関する雑誌記事が見られ「実用性」が重視された。『装苑』では他誌よりも専門的な縫製技術を必要とするスタイル、製図が掲載されたことが特徴的である。また近年ではアップサイクル等、「衣服(材料)をつくり変える」ことの付加価値に意義づけの重点が置かれている。
  • -「鹿内瑞子旧蔵資料」を資料として-
    八幡(谷口) 彩子
    セッションID: 2D-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 「鹿内瑞子旧蔵資料」には、昭和20~40年代にの全国各地で小学校家庭科がどのように展開されたのかを示す貴重な資料が多数含まれている。本研究では、昭和20年代の資料を取り上げ、小学校家庭科が全国各地でどのように展開したのかを検討する。
    方法 本報告では、国立教育政策研究所教育図書館所蔵「鹿内瑞子旧蔵資料」の(資料番号113)「長野県小学校学習指導要領第二部(試案)家庭科編、5」「同6」(昭和27年)を資料として検討する。
    結果 (1)本資料の表紙(箱)には「長野県小学校学習指導要領(第二部試案)家庭科編 長野県教育委員会」とある。(2)「目次」によれば、「まえがき」「単元一覧表」「学年目標と単元との関係一覧」「小学校家庭科技術指導内容一覧」「資料単元」「あとがき」から内容が構成されている。(3)「まえがき」には、「生活全般にわたる諸問題に関して、理想的な問題解決をなすに必要な、知識・理解・能力・態度・習慣等を、児童の心身の発達段階に応じて学習する」という教科観が述べられている。(4)単元内には問題解決のための学習問題があり、学習活動の便となるよう工夫されている。(5)本資料は、系統的・組織的に学習活動の展開例を示すとともに、学級担任等の指導のあり方や地域と家庭との連携、諸教科との密接な関係などに留意して編集されている。
    本研究は、JSPS科研費26360049の助成を受けた。 
口頭発表 5月27日 家政教育
  • 表 真美
    セッションID: 2E-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本報告の目的は、北アイルランド(UK)における家庭科教育について明らかにすることである。 方法 本報告は、北アイルランドカリキュラム・試験・評価委員会資料、および2017年1月における同委員会、中等教育学校への訪問調査を元にした。 結果 得られた結果は以下の通りである。1)北アイルランドにおける家庭科は、イングランドおよびウェールズにおけるデザイン&テクノロジーとは異なる形で、8〜10年生を対象とした「生活と仕事」の1領域として、男女生徒に必修で教えられている。「生活と仕事」には、「個人の発達」「地域および国際的市民教育」「職能」「家庭科」の4領域が含まれ、家庭科は「健康的な食事」「家庭と家族の生活」「自立した生活」の3主要概念から成る。2)さらに家庭科は修了資格取得、および職業教育のための選択教科として位置付けられている。修了資格取得試験では、筆記試験のほか、実技試験が課される。3)授業時間数など授業計画の作成は学校の裁量に任されている。訪問したベルファストとその近郊に位置する3校では、各校の実情に応じた異なるタイプの家庭科の授業が行われていた。4)初等教育カリキュラムにおける「個人の発達と相互理解」においても「健康的な食事と衛生」の項目が含まれている。
  • 地域文化をどう探求・表現するかを教材化するために
    松本 由香, 佐野 敏行
    セッションID: 2E-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究は、沖縄の染め織りに関する衣生活教材の製作を目的とし、染め織りに含まれる価値観、染め織りの世代間の継承のあり方と、その今後の持続可能な生活の形成への貢献のあり方について考察する。

    方法 沖縄の染め織りを(1)地域生活でのつながり、(2)地域文化の探求、(3)経済性の追求、に分けて調査研究を行っている。本研究発表では(2)について、大宜味村、那覇市、うるま市、読谷村、沖縄市、浦添市、豊見城市、多良間島の10の事例から考察する。

    考察 各地域の人々が、自らの染め織りの文化を探求し表現するしかたを次の4つに分けてとらえることができる。一つ目は、地域の人々が、自らの暮らしの中で感じる「自然」や「昔の暮らし」を取り上げ、染め織りに表現するしかたである。 二つ目は、自らの地域文化のルーツを認識し、その特徴を染め織りに表現するしかたである。三つ目は、琉球王朝の歴史を認識し、その伝統文化を再現し表現するしかたである。四つ目は、行政が、かつて沖縄のどこにでもあった染め織りを取り上げ、新たに創造するしかたである。地域の人々と行政との双方によって、相互に作用して行われてきたこれらの地域文化の探求のしかたは多様であり、染め織りが、人々に自らの地域文化の探求・再考をうながす役割を果たし、それらの地域文化の探求・再考によって、地域の人々がそれぞれに染め織りを創造し表現する、という機能を果たしているといえる。
  • 野中 美津枝, 亀井 佑子, 新山 みつ枝
    セッションID: 2E-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 家庭科の限られた授業時数の中で、生活経験の少ない子どもたちに効果的な調理実習のあり方が課題となっている。一方で、家庭科における調理実習の学びについて、子どもだけでなく教員も楽しさを重視する傾向があることが指摘されている。そこで、本研究では、家庭科における調理実習の現状と学びから課題を検討することを目的とする。

    方法 小学校・中学校・高校で使用されている家庭科教科書に掲載されている調理実習の記載内容から、食材、調理方法、科学的視点、食文化、環境への配慮などを分析した。また、調理実習での学びを検証するため、大学生452名に小学校・中学校・高校での家庭科の調理実習に関するアンケートを実施して分析した。

    結果 (1)教科書に掲載されている総料理数は中学校が最も多く、調理方法や切り方など調理技術に関する掲載も多い。また、高校は調理の科学的根拠や環境への配慮が掲載されている調理実習がほとんどなく、小学校・中学校・高校の発達段階に応じた発展的な調理実習になっていない。(2)大学生が経験した家庭科の授業における調理実習の回数は、小学校が最も多く、次いで中学校、高校が最も少ない。調理実習を通して身についたことは、協働性、手作りの良さ、調理器具の扱い、衛生が高く、食文化が最も低く、調理実習で協働や作る楽しさは学んでいるが、調理技術の習得や食文化に課題がある。
  • 生活ポートフォリオ蓄積の成果と課題
    内藤 祐輔, 鈴木 明子
    セッションID: 2E-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】家庭科教員を目指す学生は,自分の生活を見つめ,課題を捉えて,改善や発展に向けて自分で工夫し実践できる生活実践力を身に付けることが必要である。そこで,学習過程において形成的に自己評価を行い資質・能力の変容を把握できるポートフォリオ(以下PFと略)の活用を試みた。本研究では,自分の課題に向き合った記録をとどめるワークシート(以下WSと略)と,定期的に生活実態を調査する質問紙によって構成された「生活PF」を考案し,意欲をもって継続的に生活実践するように促す工夫を行い,生活PFの成果を検証することを目的とした。
    【方法】問題解決的な学習のプロセスを用いて構成し,食,衣,住等の生活課題を取り上げたWS(11回分)を作成した。H大学家庭科教員を目指すコースの1年生(24名)を対象として,入学直後から6ヶ月間の課題実践とPFの蓄積を経て,前後の変容を質問紙調査により明らかにした。また,3段階(A,B,C基準)のルーブリックに基づいて各々の課題を評価し,取り組み過程の個々の変容を時系列で捉え分析した。
    【結果】質問紙調査において,85.7%の学生が「自分の生活に対する考え方が変わった。」と回答した。しかし,生活PFの内容や課題実践では,生活を科学的に捉える視点をもたせるには不十分であった。ルーブリックに基づく個々の分析においては,「他者との関わりを通して考える課題が効果的である」など類似の変化の傾向が見られた。
  • 広島大学人間生活系コースにおけるカリキュラムの検討・改善をめぐって
    鈴木 明子, 村上 かおり, 梶山 曜子, 今川 真治, 松原 主典, 高田 宏
    セッションID: 2E-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】家庭科教員養成における教科観構築のために,広島大学教育学部人間生活系コースにおけるカリキュラムの検討・改善において核となる科目「人間生活教育概論」(1年次)の再構想を行っている。平成27年度の課題として,生活課題を概念的抽象的にとらえることはできるが,生活者としての自己の立場や課題を意識するには至っていないこと,家庭科の背景科学としての家政学の理解がそれらに十分役立っていないことが明らかになった。これらの課題を改善するために,平成28年度は食品関連企業との連携による商品企画と調理を主たる学習活動として位置づけ,生活課題のとらえ方等の変容を検証することを目的とした。

    【方法】パフォーマンス課題は,「家族で春に食べる市販弁当(500円程度)」の企画立案と調理実践とし,主体的に協働的に課題追究する学習過程を取り入れた。授業終了後に記述された29名の履修者のレポート内容を分析することによって,生活課題を具体的にとらえられているか,自己の生活者としての課題を認識しているか,家政学の理解と生活実践を結んで考えられているか等の視点から成果をとらえた。

    【結果】課題を追究する中で,家族,食事,価格,ごみ,栄養,味覚,技能,流通,外食,文化の継承等に関わる具体的な生活課題を認識し,自分と環境とのかかわりを問い直し実践するという家政学の使命の理解に基づいて生活改善の方向を意識していることが明らかになった。
  • (その1)分子模型を活用したアクティブラーニングで食品成分の構造を理解する
    黒田 久夫
    セッションID: 2E-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 家政学を学ぶ女子学生に対して、分子模型を利用したグループワークが食品成分の構造を理解する方法として有効かを検証する  
    方法と結果
    (1)食品学や食品加工貯蔵学などで扱われる食品成分を調査後、求められる構造概念と有機化学の知識をレビューし、重要かつ理解が比較的容易な項目を洗い出した。一方、学生の化学のバックグラウンドと、履修目的やモチベーションをアンケート調査した。調査の結果、食品学を暗記科目として認識し、化学に対する苦手意識がとても強いこと、理系科目の勉強方法に慣れていないことがわかった。
    (2)食品化学の本質的理解を目的に、分子模型のアクティブラーニングを行なった。アンケート結果から学生を知識・意欲の2軸で分類し、学生をペア・チーム分け後、C1、C2化合物、糖、アミノ酸、脂肪酸に関して分子模型を組み立てるグループワークを行った。その結果、炭素、水素、酸素間の化学結合の仕方、二重結合と単結合の違い、立体異性等の理解が進み、また構造が「面白い」という感想を引き出せた。さらに、副次的にコミュニケーション能力を高める効果を発見した。   
    考察 分子模型のアクティブラーニングは、理系学生以外にも教育効果があると考えられる。特に、グループワークを組み込むことで、食品化学を座学の暗記ものから自主的な学びへ展開できる可能性がある。より効果の高いアクティブラーニングの方法を検討していきたい。 
  • 青木 香保里, 志村 結美, 日景 弥生
    セッションID: 2E-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的
       糖質や脂質、塩分等の過剰摂取は生活習慣病に深く関与するといわれ、生活課題として認識されている。なかでも脂質は、食の欧米化をはじめ、加工食品や中食・外食等の社会化や多様化等の進展により、その量的な問題に加え、質的な問題に目を向ける必要がある。
       本研究では、食品表示にみる脂質の取り扱いについて、日本および諸外国を比較を行い、その結果をふまえ中学校家庭科教科書における食品表示に関する教育内容をめぐる課題を述べ、教材としての食品表示にみる脂質の取り扱いの改善の具体的な提案を目的とする。

    方法
       日本および諸外国における食品表示をめぐる現状と課題について資料をもとに整理した。食品表示のサンプルとして、日本および諸外国に流通する菓子のパッケージを選択した。菓子を選択した理由は、1)菓子は児童・生徒にとって馴染みや関心の高い商品であること、2)近年、諸外国の多様な菓子が大量に流通し、従前に比べ身近な商品となっていることによる。食品表示のうちトランス脂肪酸をめぐる表示に着目し比較検討を行った。
        以上をふまえ、中学校家庭科教科書における食品表示に関する課題を検討した。

    結果
        トランス脂肪酸の表示をめぐり、日本の取り組みは後進であることが把握できた。また、中学校家庭科教科書における食品表示に関する記述は課題が多く、早急な改善が望まれる。

     
  • 小学校特別支援学級高学年児童へのアプローチ
    大橋 裕子, 岡田 みゆき
    セッションID: 2E-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究では,小学校家庭科教科書と文部科学省「食に関する指導の手引」からの関連記述を分析することを通して,それらの特徴を明確にし,特別支援学級在籍児童のための食生活の課題解決に向けた食に関する指導目標と学習内容を示すことを目的とする。
    方法 小学校家庭科教科書の学習内容と文部科学省「食に関する指導の手引」の高学年と特別支援学校における食に関する指導目標,学習内容について検討し,表に整理して分析と考察を行った。
    結果 小学校家庭科の学習内容からは,食事の役割や1食分の献立を考え,自分で食事を作るための基礎的基本的な知識および技能の習得を重点としていることが明らかとなった。それらから,調理用具の使い方や調理方法などの調理に関する学習内容を取り入れて構成する必要がある。文部科学省「食に関する指導の手引」より小学校高学年における食教育は,児童が自分の食を管理するための知識を習得することを重点としていることが明らかとなった。それらから,バランスの取れた献立や栄養素に関する学習内容を中心に取り入れて構成する必要がある。文部科学省「食に関する指導の手引」より特別支援学校における食教育は,栄養バランスの大切さに加え,子ども自身が日常の食生活を見直す力を育むことを重点としていることが明らかとなった。それらから,好き嫌いなく食事をする必要性や,1食分の食事を作るなどの学習内容を中心に取り入れて構成する必要がある。
  • -大学生と中学生の比較から-
    伊藤 大貴, 川邊 淳子
    セッションID: 2E-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>消費行動をとる場合は,その過程で多くの意思決定を含んでいる。そこで本研究では,大学生と中学生を対象とし,筆箱の中身からニーズとウォンツの調査を実施し,その違いを明らかにすることを目的とした。<方法>調査対象は本学学生127人およびA中学校56人,調査時期は2016(平成28)年1月ならびに2017(平成29)年1月,調査方法は自記式質問紙法, 集計・分析方法はExcel2010を用いた。<結果>各文房具類の所有数ごとに「指定単価」をかけ,「授業中と授業以外でも使う」,「授業中に主に使用」,「授業以外で主に使用」および「入れているだけであまり使わない」で,所有数ごとに,その金額に頻度の割合「0.8」,「0.6」,「0.4」および「0.2」をそれぞれかけて小計を算出し,それらを合計して「使用頻度別に見る金額」を算出した。所有する文房具類の合計金額は,大学生は最高6,300円,最低310円であり,平均1,762円であった。一方中学生は,最高10,699円,最低1,140円,平均4,691円となり,すべてにおいて中学生が大学生を上回った。また,使用合計金額を所有合計金額で割った利用価値においては,利用率が大学生は20~60%が66.1%,61~80%が33.9%,一方中学生は,20~60%が57.1%,61~80%が42.9%となり,中学生の方が利用率は高い傾向にあった。所有文房具は,中学生の方がシャープペンシルなどにおいて,高額なもので数も豊富に有していたが,大学生は中学生よりも低額で精選されたものを所持する傾向にあることが分かった。
  • 兼安 章子
    セッションID: 2E-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的
     本研究は、中学校家庭科教師の保有する校内・外の教師同士のネットワークが教師の授業改善に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする。中でも、授業で使用する教材の変化に着目して分析を行った。

    方法
      2014年7月から2016年12月に、中学校家庭科教師8名(20~50代の各2名)を対象とした半構造化インタビューを行った。内容は過去の授業の実施内容や使用教材とその選択理由、今後の授業構想、学校の様子や仕事の状況、保有するネットワークについてとした。比較対象として、高等学校教師3名、中学校理科教師2名を対象とした同様のインタビューを行った。 インタビュー調査で対象とする授業領域・学習項目を選定するために、2014年3月にX県344校の公立中学校及び中等教育学校の家庭科教師365名を対象とした授業改善意識に関する質問紙調査を行った。 インタビュー調査から、家庭科教師同士のネットワークの詳細を明らかにする手法として、ネットワーク分析を採用した。

    結果
      1点目に、地域の家庭科教師のフォーマルな様々な研修は教師の出会いの場、また、ネットワーク形成の場として有効である。インフォーマルな場での関わりが、授業改善を促進する可能性がある。2点目中学校教師は、高校教師と比べ、勤務校に同僚の家庭科教師がいないことで、校外の家庭科教師とネットワーク形成、その授業改善への活用・促進が期待できる。
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