一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
選択された号の論文の326件中201~250を表示しています
口頭発表 5月27日 家政教育
  • 篠原 久枝, 金子 佳代子, 品川 明
    セッションID: 2E-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】牛乳は良質のたんぱく質やカルシウムの給源として学校給食にも導入され、家庭科における食品群の学習にも明記されてきた。一方、近年は乳アレルギーなどの問題も指摘されている。そこで、本研究では小学校~中学校の家庭科の教科書において「牛乳・乳製品」がいつごろから、どのように取り扱われてきたのかを明らかにすることを目的とした。
    【方法】公益財団法人教科書研究センター附属教科書図書館所蔵の学習指導要領に準拠した平成27年までに発刊・使用されてきた小学校家庭科、中学校技術・家庭科の教科書を分析対象とした。
    【結果・考察】「牛乳・乳製品」は、小・中学校を通じて「三色食品群」、「6つの基礎食品」などに一貫して必ず記載されてきた。中学校家庭科においては、我が国の食生活における「牛乳・乳製品」の受容の変化に伴い、「食品の保存方法」や「食品添加物の使用例」、「特定保健用食品」、「アレルギー原因物質」、「食糧自給率の例」など多彩な記載となり、調理実習における使用例も増加した。しかしながら、牛乳の種類による栄養成分の比較や殺菌方法などの記載はなく、今後は、調理科学的な視点や消費者として適切な食品選択、消費生活と環境の視点なども必要であろう。
口頭発表 5月27日 住居
  • 大塚 順子, 定行 まり子
    セッションID: 2F-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 本研究は第68回大会の「UR団地における生活支援アドバイザーに求められるニーズの現状と課題」の続報で、UR都市機構(以下UR)が、一部の団地に設置している生活支援アドバイザー(以下アドバイザー)の業務のうち、団地巡回と郵便受け確認業務に着目し、団地高齢者の今後の見守りのあり方を考察することを目的とした。

    方法 アドバイザーが設置されているUR団地のうち、管理業務を日本総合住生活株式会社(以下JS)が受託している33団地(平成28年1月調査時)、アドバイザー30人を対象にアンケート調査を行った。(期間2015年9~10月、JS支社を通して配布、回収)そのうち、18人について聞き取り調査を実施した。(期間 2015年11月~12月)

    結果 団地巡回は、業務仕様書に『団地巡回(集合郵便受け又は玄関ポスト等の確認)』と定められており、(1)団地巡回と(2)住棟集合郵便受けの確認は、全ての団地で実施、(3)玄関郵便受けの確認(高齢者世帯を含む)は、調査対象のアドバイザーのうち約半数が実施していた。団地巡回は、管理戸数の多少、住棟の形態、郵便ポストの形状にも影響を受け、巡回の仕方や順序、郵便受け状況観察は、アドバイザーごとの工夫が見られた。巡回業務での問題発見は少ないものの、生活状況の変化や事故発見につながるものもあり、今後さらに重要になると考えられる。

    本調査研究は、JSからの委託研究として実施したものである。
  • 長期継続サロンの実態と課題
    中村 久美
    セッションID: 2F-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 介護保険法の改正により要支援レベルの高齢者は地域でケアすることが前提となる一方、平成28年3月に閣議決定した住生活基本計画によると、高齢者を中心に住民の居住安定確保が重視され、高齢者同士や高齢者と若者の支え合いによる居住の仕組みづくりが求められている。住民による住民のための地域福祉事業である「ふれあい・いきいきサロン」は、地域居住政策としてもさらに重要性を増すと考えられる。本研究は、地域福祉機能を包含するコミュニティ拠点としてのサロンの包括性、持続性を備える仕組みを検討することを目的とし、まずは長期に活動を継続するサロンの実体と持続性への課題を明らかにする。

    方法 10年前に調査した宇治市のふれあい・いきいきサロン11事例のその後の活動状況の追跡調査(社協や各サロンへのヒアリングおよびサロンの参与観察)、平成8年の宇治市のサロン開設期からの活動継続サロンへの調査。調査期日は2016年4月~9月。

    結果 既調査対象11サロンのうち、現在も活動を継続しているのは8サロン、非継続の3サロンはいずれも開設時点ですでに高齢者であった代表者の入院等の事情によるものである。前回調査時点で運営代表者が高齢者であった継続サロン5サロンのうち4サロンは代表者を支えるボランティアの中から代表者が引き継がれている。継続サロンの参加者数は前回調査時と比較して現状維持、または若干増加。施設入所等で不参加となった人に代わり新規参加者が断続的にあり、代表者の継続意欲の高いサロンほど、その傾向は強い。開催場所は個人宅よりも集会所が安定性があるが老朽化の問題を抱える。代わってサ高住等の地域開放集会室の使用が注目される。継続のかぎは参加者の新陳代謝のしくみ、会場空間の開放性、安定性、それにサロン外の支援者の存在。
  • 竹原 広実
    セッションID: 2F-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 高齢者が地域で自立し社会との関わりをもち健やかに暮らすことができることは、活力に満ちた地域社会の実現につながる。そのためには個人の生活習慣としての身体活動の活発化と同時に個人では解決できない生活環境の整備が重要である。著者は高齢者の身体活動量に寄与する外出1)を取り上げ外出を妨げない地域住環境のあり方を提言するための基礎資料として高齢者の外出実態についてGPS端末を用い量的に把握してきた2)。本研究は対象地を変え引き続き実施したもので利便性が低い地域で行った。方法 対象地は福島県H市、総人口は約3万人、高齢化率は24.8%(H27.1月現在)である。当地区在住の健康で自立した生活を送る家事担当の高齢女性10名を被験者とした。被験者は外出の際にGPS端末を携帯し外出に関する行動内容を記録紙に自身が記録する。実験は普段の生活の1~2日間とした。平成28年8月~10月に実施した。参考として京都市在住の女子大生3名についても行った。結果 外出を必要、任意、社会活動に分類し検討した。必要活動(18件)は移動距離10 km以上が11件と遠方ですべて車を利用、任意活動(24件)は5 km以内で徒歩が17件と多数であった。任意活動が自宅近辺で活発なことや必要活動で車依存が高いことはこれまでの過疎地と類似し、利便性の高い地域とは相反する結果である。[文献]1)竹原広実、梁瀬度子:日常生活における高齢女性の生活行動と身体活動量に影響を及ぼす要因,日本家政学会誌No.60-11,p937-944(2009) 2)竹原広実:地域の生活利便性と高齢者の外出行動実態,日本建築学会2016年度大会環境工学Ⅰ,p93-96(2016)
  • 日南市南郷地区の事例調査報告
    米村 敦子
    セッションID: 2F-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的:本研究は南九州における隠居家の変遷と住生活の特性について住文化の視点から探求し、その実態と今日的意義を明らかにしようとするものである。本報では、日南市南郷地区において実施した事例調査より、隠居家と伝統的住宅の現状と経年変化について報告する。
    方法:宮崎県日南市で隠居家の伝統を残す南郷地区において、隠居家及び伝統的住宅4棟の住民聞き取り調査・住宅実測調査を実施し、その現状と同地区で行った前調査からの経年変化を調べた。南郷地区は旧南郷町、2009年に日南市に併合され、人口10,100人、高齢化率37%、柑橘類の栽培と漁業の盛んな半農半漁地区である。調査期間は2016年11月~2017年2月。
    結果:事例1)A家では、昭和初期の隠居家が残されており、前調査から、手摺り・スロープの付設とトイレ改築の変化がみられた。事例2)B家では、明治中期の主屋と昭和初期の隠居家が平成5~6年の同時期に解体、新築されていた。事例3)C家では高齢夫婦に変化はなく、隣地に子どもが住んで世話をする、主屋が実質的隠居家となっていた。事例4)D家では、大正初期建設後、昭和50年に茅から瓦屋根にする改築以降、変化は少なく、近年、高齢者寝室が子ども部屋になり、高齢夫婦は元来の若夫婦部屋に住み替えされていた。多様な現状と変化の実態が認められた。(平成27~29年度科研費助成研究 基盤研究(C) 代表者:米村敦子)
口頭発表 5月27日 食物
  • 河上 瑞穂, 森本 恵子
    セッションID: 2H-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 女性では閉経後にエストロゲン欠乏によるエネルギ-代謝異常が起こりやすく、ライフスタイルの適正化をはかる必要がある。そこで、本研究では閉経モデルラットを用いて、エネルギ-代謝の調節に重要なAMP-activated protein kinase(AMPK)シグナリングにおけるエストロゲン補充の影響について検討すると共に、摂食制限の効果についても検討を加えた。

    方法 成熟雌性ラットを卵巣摘出後偽薬補充(Pla)群、卵巣摘出後エストロゲン補充(E2)群に分けた。さらに、Pla群をControl群、Pair feeding群に分けた。Pair feeding群はペレット補充後(13週齢)から、E2群の前日の平均摂食量を与え、摂食制限を行った。17週齢にて安楽死させ、肝臓、腓腹筋を摘出し、AMPK、AS160、及びそれらのリン酸化タンパク質発現量を測定した。

    結果 E2群ではPla群より体重や腹部内臓脂肪重量が減少したが、Pair feeding群との間に差は見られなかった。また、E2群では、Pla群に比べ肝臓・腓腹筋におけるAS160タンパク質発現量の増加、腓腹筋のAMPKαリン酸化の増加傾向が見られたが、Pair feeding群ではE2群と同程度であった。以上より、卵巣摘出ラットに対するエストロゲン補充及び摂食制限は腓腹筋のAMPKα活性化とAS160発現を増加させて、糖代謝を促進することが示唆された。
  • 矢野 傑, 西村 園子, 久保園 隆康, 佐藤 昌裕, 畑中 裕貴, 数野 千恵子, 金井 博幸, 西松 豊典
    セッションID: 2H-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的

    カット野菜の製造で用いられている除菌剤の種類や除菌方法により、食味や外観などの品位に与える影響は様々である。そこで、汎用除菌剤である次亜塩素酸ナトリウムとマイクロバブル化したオゾンの品位に与える影響を調べ、その原因を明らかにすることを目的とした。

     

    実験

    喫食サイズにカットしたキャベツを、ライオンハイジーン㈱製MiBO(Microbubble Ozone)洗浄殺菌システムで除菌処理した。除菌剤は、次亜塩素酸ナトリウム(以下、次亜)とマイクロバブル化したオゾン(以下、MiBO)を用いた。処理した野菜について、食味と外観についての官能評価(パネル:専門家、男女大学生)、野菜中の蒸発水分量、一般生菌数、クロロフィル量、顕微鏡観察等を実施した。

     

    結果及び考察

    次亜処理は薬品臭や辛味が強くなるが、MiBO処理は除菌剤を用いない場合(以後、水処理)に近い食味であった。また、次亜処理はキャベツの色調が黄色化する傾向であったが、MiBO処理及び水処理は野菜本来の緑色を保持していた。更に、次亜処理はMiBO処理に比べボリュームが低下した。除菌効果は同等であったが、その他の評価項目については、次亜処理の変化量が大きい傾向にあった。
    以上の結果より、MiBO処理は野菜本来の品位保持効果が高いことがわかった。MiBO処理では除菌剤のキャベツカット面から内部への浸透が少なく、構造破壊を抑制しているためと考えられる。
  • 第2報 洗浄殺菌と野菜低損傷の両立
    戸板 翔, 佐藤 昌裕, 戸堀 悦雄, 矢野 傑, 久保園 隆康
    セッションID: 2H-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    背景
    近年、カット野菜は、野菜摂取の簡便性、調理時間の短縮、種類の充実にともなって需要が伸びている。そこで、洗浄法の違いがカット野菜の品質に与える影響を評価することとした。第1報では、マイクロバブルオゾン(MiBO)が千切りキャベツの鮮度に与える効果を評価し、主流の次亜塩素酸Naに対して、色、臭気、食感に優位なことを報告した。本報では、MiBO洗浄法が野菜細胞に与える影響を評価し、鮮度に現れる違いを考察することとした。
    方法
    キャベツは、細胞観察が可能な厚さ300 μmの切片とし、各洗浄液に10分浸漬後、水道水で90秒すすぎ、0.4 w/v%のトリパンブルー色素を用いて死細胞を判定した。洗浄液は、水道水、有効塩素濃度50 ppmとなるpH6.5の微酸性次亜塩素酸水を、MiBO水はオゾン濃度0.5 ppmに調整して用いた。
    結果
    水道水で洗浄したキャベツはほぼ全ての細胞が生存し、高い生細胞率を示した。生細胞率はMiBO水で水道水と同等の水準であったが、微酸性次亜塩素酸水では著しく低下した。細胞の色素呈色は、本来は色素を透過しない細胞膜が、洗浄による損傷を受けて色素を透過するようになることを意味する。このことから、MiBO水では細胞膜への損傷が水道水並に低い水準に抑えられていることが分かった。また洗浄による細胞膜の損傷が小さいMiBO水は、細胞内の成分を保持して鮮度を保つことも分かったので併せて報告する。
  • 井奥 加奈, 川越 星来, 山本 真子, 岸田 恵津
    セッションID: 2H-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】野菜摂取量確保のためには内食における野菜料理の増加が必要不可欠であるが、食生活の多様化は家庭での野菜の調理方法にも影響を及ぼしていると考えられる。そこで、子育て世代の保護者に対して野菜の調理方法に関する実態調査を行い、家庭における野菜調理の特徴や変遷を検討した。【方法】主に大阪府に在住し、保育園児の子どもを持つ保護者を対象として質問紙調査を実施した。配布時期は2016年11月、配布票数は433票、有効回収票は186票であった。調査項目は店舗に並ぶ主な野菜24種類に関する意識と自分で行う調理操作とした。1部の調査票に対象野菜を3種類配置したので、野菜の個別有効回答数は20-27の範囲であった。なお、回答者の年齢は30代が62%、40代が21%であった。
    【結果・考察】今回対象とした野菜では「揚げる」「レンジ加熱」に対して約80%が「しない」と回答した。また、週に12回以上調理する者は1つの野菜に対する調理方法数が多い傾向がみられた。各野菜についての調理操作の平均をクラスター分析した結果、主に炒める野菜としてキャベツ、たまねぎ、パプリカ、ピーマン、白ねぎがクラスターを形成した。キャベツは杉山ら(1)の「煮る」野菜から「炒める」野菜に変化したことが分かった。現在、他の野菜に関しても検討中である。
    (1)杉山法子他、野菜の官能特性の評価、調理科学26(4)、315-326、1993
  • 宝蔵 もと子
    セッションID: 2H-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的:日常生活の食に関して、今でこそ精白米が主食と思われているが、戦前には主食として何を食す れば良いのか、何が適しているかとの論争があった。それは、七分搗き米・胚芽米・玄米であり,これらが健康によいと主張する人達がいた。この3種類の米の特徴をふまえながら、日本の主食の系譜を明らかにすることを目的とする。
    方法:文献検索を主に、各主張をまとめる。
    結果:日清・日露戦争中、多くの兵士が脚気で死に、その原因が分からず、脚気菌説まで飛び出した。鈴木梅太郎によりビタミンB1が発見され、脚気がビタミンB1欠乏症であることを発見・証明したのが島薗順次郎(東京帝国大学第1内科)であった。そのビタミンB1は胚芽に多く含まれているので、胚乳に胚芽をつけた胚芽米が良いとしたのであった。7分搗き米を主張したのは佐伯矩(国立栄養研究所)である。搗き減りも少なく、経済的にも好ましく、嗜好的にも、消化吸収の点からも七分搗き米が最良とした。玄米食の方は医師の二木謙三が玄米を完全食と呼び、健康のために玄米食を普及していた。この系譜は明治時代に石塚左玄により提唱された玄米菜食の食養会の流れである。
  • 伊尾木 将之, 宇都宮 由佳
    セッションID: 2H-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    東日本大震災を中心に、レシピ検索データ上に現れる震災の影響を調査した。
    インターネットの普及にともない、インターネット上に存在する料理のレシピを検索することが一般的になってきている。特にクックパッド株式会社が展開するレシピサービスには非常に膨大な検索が実施されている(2016年12月の時点で、検索利用者が月間6000万を超える)。このレシピ検索には、ユーザの関心が反映されており、現在の日本の食事情が反映されていると考えることができる。
    通常のレシピ検索の状態と、震災直下でのレシピ検索の状態を比較することで、どのような震災の影響があったのかを調査した。
    結果、震災当日は東北地方を中心に大きな影響があり、特に宮城県では検索データが激減しており、震災が大きなものであったことが伺える。一方、この少ない検索データのなかには、当時の利用者が真にどのような料理や調理の知恵を求めていたかが反映されていた。その一つとしてパンに関する料理名や調理法がよく検索されていた。これは、水を大量に必要とする米の代替の主食としてパンを求めたからではないかと考えられる。
    その他、発表ではどの地域、どれくらいの日数、震災の影響が存在しかも合わせて発表する。
  • 小泉 昌子, 小関 陽子, 徳田 愛華, 島村 綾, 佐藤 吉朗, 峯木 眞知子
    セッションID: 2H-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    (目的)コーヒーに牛乳を入れる層は増えてきている。本研究では、コーヒーにいれる牛乳の温度がコーヒーのおいしさに関与するかどうかを時系列評価によるTDS法を用い、味の面より検討した。
    (方法)コーヒーは、インスタントコーヒー(株式会社ネスレ)を用い、表示されている熱湯140mlに対し、コーヒー2gを用いて、試料を調製した。コーヒーの温度が86±2℃あるいは80℃になったのを確認後、コーヒーに普通牛乳(株式会社明治)30mlを入れ、その後55℃~60℃に保ち、試料とした。TDS法は、メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルは女子大学生11名、感覚属性は8属性(苦味、酸味、甘味、渋味、焦げた味、油っぽい、牛乳味、無味)を用いた。
    (結果)コーヒーでは、初めに苦味を感じ、酸味と苦味が続き、焦げた味、渋味が感じられる。それに対し、コーヒー液80℃に牛乳をいれた試料では、開始直後から苦味が立ち上がり、苦味を感じ、甘味、牛乳味、渋味の順に感じられる。90℃でいれた試料より、複雑な味を感じていた。採点法による官能評価では、90℃で牛乳を加えた試料では、香りの強さ、苦味の強さ、後味の強さが強く、甘みの強さ、なめらかさ、牛乳感が弱いと識別された。嗜好型官能評価では、80℃で加えた試料が有意に好まれた。牛乳はコーヒーがあまり熱いうちに加えない方がよいことがわかった。
  • 島村 綾, 小関 陽子, 小泉 昌子, 原 未来, 折戸 美月, 重村 泰毅, 峯木 眞知子
    セッションID: 2H-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    (目的)コーヒーの焙煎法の違いには、直火型、半熱風型、熱風型の焙煎機があり、この風味の違いは明らかではない。そこで、直火焙煎、熱風焙煎による短時間加熱、長時間加熱で調製したコーヒー液を用い、その風味を時系列評価によるTDS法を用い、味の面より検討した。
    (方法)同じコーヒー豆による焙煎方法の異なるコーヒー液を株式会社ドトールに依頼した。試料の濃度はbrix×1.5を用い、温度による違いを避けるために室温で用いた。メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルはコーヒーを好む本学女子学生10名で、測定時間は60秒とした。味の感覚属性は6属性(甘味、酸味、苦味、うま味、ナッツの味、渋味)を用いた。採点法による嗜好型官能評価も行った。コーヒー試料のアミノ酸分析も行った。
    (結果) 直火焙煎短時間加熱試料の味の評価は、初めに苦味、その後酸味を感じる。長時間加熱試料では先に苦味を感じ、その後に酸味、苦味、うま味、そして後味にうま味を有意に感じている。熱風焙煎の短時間と長時間を比べると、短時間では、苦味を先に感じ、ナッツの味もわずかに感じ、渋み、甘味、うま味、苦味を感じ、後味にはナッツの味、酸味を有意に感じている。直火焙煎と熱風焙煎を比べると、直火焙煎のほうが好まれることがわかる。採点法による総合評価において、焙煎方法に関係なく、短時間加熱試料が長時間加熱試料よりも有意に好まれた。
  • 小寺 真実, 喜多村 佳代, 豆村 楽九, 森 太郎, 久保 加織
    セッションID: 2H-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】近年、安全志向の高まりや環境に対する配慮から地産地消が推奨され、在来野菜も見直されている。滋賀県に伝わる在来カブには様々な色や形、味の特徴がある。本研究では、滋賀県在来カブの中で特に辛味が強い山カブと知名度の高い日野菜に含まれるイソチオシアネート(ITC)類の調理加工中の変化を調べた。
    【方法】滋賀大学教育学部農場で露地栽培したカブの根部を試料とした。厚さ2mmのいちょう切りにし、4%食塩とともに即席漬物器中で1時間室温放置し、これを絞って塩漬けカブとした。さらに塩漬けカブを甘酢とともに即席漬物器中で一定時間室温放置し、甘酢漬けカブとした。各カブの搾汁液からクロロホルムによってITC類を抽出し、オクタデカンを内部標準としてGCにより定量した。ピークの同定にはGCMSを用いた。
    【結果と考察】生の山カブと日野菜からは、3-ブテニルITC(B-ITC)と2-フェニルエチルITC(P-ITC)が検出された。いずれのITC含量とも個体差が大きかったが、破砕後は減少した。塩漬けにより、いずれのITC類含量とも減少した。甘酢漬けカブ中のP-ITC含量は、甘酢漬け時間が長くなるほど減少し、3日目以降は微量以下になった。B-ITC含量は甘酢漬け1日後まで増加した後、徐々に減少した。これらの変化は、辛味などの嗜好に影響すると考えられる。
  • 檀上 沙梨, 吉田 充史, 村川 秀樹, 杉山 寿美
    セッションID: 2H-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 広島風お好み焼きには多くのキャベツが使用され,加熱時にお好み焼きは鉄板上で2度返されるため,鉄板から近くなったり遠くなったりするキャベツと,常に中ほどに位置するキャベツが存在する。本研究は,お好み焼きキャベツおよび加熱温度の異なる茹で,蒸しキャベツの糖,テクスチャー分析と官能評価から,広島風お好み焼きの嗜好性を検討した。
    方法 鉄板からの位置により上,中,下層としたお好み焼きのキャベツと茹で,蒸しキャベツ(65℃,80℃,95℃)を試料とした。全糖量と搾汁中糖量はフェノール硫酸法で,テクスチャーはキャベツ6枚に対する剪断強度を測定した。官能評価は,加熱温度の異なる蒸しキャベツ3試料とこれらの混合キャベツの計4種類の甘味とテクスチャーとした。
    結果 お好み焼きキャベツや茹で,蒸しキャベツの搾汁中糖量は生キャベツよりも高く,また,お好み焼きキャベツでは中層で高く,蒸しキャベツでは加熱温度による差は認めらなかった。テクスチャー測定ではお好み焼きキャベツの上層,下層および加熱温度が高い茹で,蒸しキャベツで剪断ピークが少なかった。官能評価では加熱温度が高いキャベツは強い甘味を早く感じる一方,軟らかいテクスチャーが好まれず,混合キャベツは持続的な甘味と好ましいテクスチャーとされた。以上より,広島風お好み焼きでは,不均一な加熱のキャベツが有する甘味とテクスチャーが嗜好性へ影響していることが示された。
  • 土岐田 佳子, 藤井 恵子
    セッションID: 2H-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 豆類は日本人の伝統的な食文化において欠かすことのできない食材であるが、その中でも黒豆は仕上がりに調理技術が影響する。そこで真空調理の応用可能性を検討することを目的とし、従来の鍋調理と真空調理で調製した黒豆の物性および嗜好性について検討した。
    方法 黒豆30gを浸漬後、真空調理試料は、黒豆重量の2倍量の調味液を加え真空包装し、97℃の湯煎で2.5時間加熱した。コントロールとして真空包装用フィルムに黒豆と調味料を入れシールのみをした試料について同時に調製した。鍋調理試料は黒豆30gを浸漬後、1500gの調味液とともに鍋に入れ沸騰水中で2.5時間加熱し調製した。調製した黒豆について色度、破断特性、還元糖量等を測定し、さらに官能評価を行い食味特性について評価した。
    結果 コントロールと真空調理試料は鍋調理試料と比べ、L*値が高値、b*値が低値を示し黒豆色素が残存していることが示された。破断特性は、コントロールと真空調理試料が鍋調理試料よりもみかけの破断ひずみ、みかけの破断応力、みかけの破断エネルギーが有意に低値を示し、初期弾性率は高値を示した。還元糖量は、加熱調理後の調味液で、コンロールと真空調理試料は鍋調理試料と比べ有意に低値を示し、調味液への還元糖の溶出を低減できる調理法であることが示された。官能評価の結果は、真空調理試料は鍋調理試料と比べ、ふっくら感、色の濃さ、つやの3項目で有意に高値を示した。
口頭発表 5月27日 被服
  • 末岡 奈々, 村上 かおり
    セッションID: 2I-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 化粧の方法は流行に応じて変化している。その背景として,理想の顔も同様に変化していることが推測できる。そのため,現代では,理想のイメージを演出するために,化粧道具やその色などを複雑に組み合わせた方法を用いて化粧が行われている。すなわち,化粧は従来のような単純に印象を向上するものであるとは言えない。そこで本研究では顔の対称性に着目し,顔の対称性からみたイメージとの関係性について分析する。そしてイメージから得られた理想の顔を具現化し,その実現に向けた化粧について示唆を得ることを目的とする。
    方法 大学生の男女を対象に,好まれる顔を明らかにするため,顔画像を選択する項目を含む質問紙調査を実施した。また,使用した画像の顔の対称性について分析を行った。さらに,被験者自らが化粧を施す実験的検証を行い,顔の対称性,印象について被験者による自己評価と評価者による他者評価を用いて考察した。
    結果 好まれる顔のイメージは男女で異なることが明らかとなった。一方,男女とも,好まれる顔と顔の対称性には関連性がみられた。さらに,化粧行動における対称性に対する意識もイメージの形成に関わることが示唆された。また,印象の評価には,評価者と被験者との関係性による影響がみられ,今後の課題が明らかとなった。以上より,顔の対称性を指標とすることで,より具体的なイメージの形成を実現する化粧の方法を提案できると考えられる。
  • -Tシャツの場合-
    内田 直子
    セッションID: 2I-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 販売されている商品で同じ生地素材でありながら、イラストやロゴマークの有無で価格に違いが見られることがある。本研究では、イラストの有無で商品価格設定はどのようになるのか、またロゴマークの種類により、どの程度価格に相違があるのかについて検討した。 方法 評価1では、無地の白Tシャツ画像と、無地の上に3種のイラストを各々大きさ[大] [小] 2種類に加工したものの計7種用意し、価格設定をしてもらった。さらに、評価2では、同じく無地の上に様々な種類のブランドロゴマーク8種を加工し、価格設定、イメージ、その理由について尋ねた。評価は2014年12月、女子大学生108名に実施した。 結果 同じキャラクター同士では大きさが[小] より[大]のほうが、価格が高くなる。また、無地のTシャツに対して、有名キャラクター[大]では、1.5倍近く価格が上がった。無名キャラクター[大]では、無地のものと差がみられず、 [小]ではむしろ価格の下落傾向がみられた。「高級感」のイメージの多いブランドでは、無地に比べ、4~5倍高い価格に設定されたが、一方でハイブランドの偽物として、逆に「安っぽい」の評価もあり、二分された見方がされている。これらより、イラストやロゴマークの有無や大きさで商品価格設定は変動し、また、認知度、高級感があれば価格が上がるものの、付いていることで価格や価値が下がる場合もあることが明らかとなった。
  • 小町谷 寿子, 内藤 章江, 大澤 香奈子, 石原 久代
    セッションID: 2I-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的  生活行動と色には結びつきがある.これまでの研究では,行動に関わる左右,開閉などの対語を示す色で20%以上の一致が見られ,左右ではイヤホンなど実際の生活アイテムにおいても色票での調査結果と合致することを示した.本研究では,色と文字で提示した場合のイメージの差異について検証することを目的とした.
    方法  提示試料は,5色(2,6,12,18,22),2トーン(ltとv)とし,提示タイプは,○(記号)と用語対(2語)の3タイプとし,用語対9種類,合計270種類について実験を行った.用語対は,男-女,暑い-寒い,晴れ-雨,右-左,明ける-閉じる,暖かい-涼しい,怒る-笑う,上-下,入口-出口である.試料を印刷して提示し,評価尺度は,1~10の10段階評価とした.被験者は女子大学生222名,実験は平成28年11月に行った.
    結果  v2とv18の色は,1や10で明確に評価される傾向を示し,特に男-女,暑い-寒い,暖かい-涼しいにおいて顕著であった.色相6は2に,22は18に類似し,12は評価点は,中央付近が多く色の影響が少ないことが分かった.色相別では,記号と文字で示した場合で評価が変化し,色によっては用語とは逆に評価される場合もあった.数量化Ⅰ類を用いて,評価に対する「表示方法」と「色」の影響について検討した結果,全ての言葉において非常に高い重相関係数となり,アイテムレンジから特に「色」の影響が強いことを示した.
  • 長谷 博子, 丸山 眞澄, 平林 由果
    セッションID: 2I-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    <目的>若年女性の香り付き商品の使用実態を調査し,香りに対する意識と流行への関心度との関係を明らかにすることを目的とする. <研究方法>調査対象は18~22歳の女性390名,2016年11月に実施した.アンケートは集合調査法により行った.調査内容は,衣服の購買行動,流行に対する関心度,香り商品への意識と使用実態,公的自意識である.これらの要素を分析し,若年女性の香りに対する意識と流行への関心度や公的自意識との関係を検討した. <結果および考察>流行への関心度は,高さにより3つのグループに分類された.若年女性の約3割は流行に関心が高く,6割はある程度関心をもっている.香り商品の使用実態について,オーデコロン・香水は,流行への関心度が高い人の方が低い人より使用していた.流行に関心の高い人は「自分から香っている方がよい」が約8割に対し、低い人は約5割であった. 香り付き商品を選択する際,流行への関心度の高い人は,低い人に比べて流行,ブランド,ボトルの色,柄の項目を重視していることを確認した. 流行への関心度と公的自意識の高さとの関係では,流行への関心度が高いほど公的自意識が高く,他人の目を気にすることが確かめられた.流行への関心の高さで比較すると,関心が高い人ほどファッションや香り商品への関心や使用率が高く,他人からの目やおしゃれにも気を遣っていることが明らかになった.本調査の結果から,香りもファッションアイテムの一つになっていると考えられる.
  • 事前の生徒の実態やゆかた着装後の活動の効果に注目して
    大矢 幸江, 薩本 弥生
    セッションID: 2I-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 きもの文化を伝承する意識を高めることをねらい、中学校・高校でゆかたの着装を含む授業実践を行った。学校の特徴、授業内容の違いに着目し、「きもの文化への関心」の向上にはどのような要因が関わるかを明らかにし、その要因の影響力を検討することを目的とする。
    方法 2013年に中学校2校、2014年に高校2校と中学校1校、全5校を対象に授業実践を行った。授業ではゆかた着装を軸にし、着装後にはファッションショーやお辞儀などのワークを実施した。ゆかたの着装やその後の活動の影響を明らかにするために、授業前後のアンケート調査および教師へのインタビューを実施した。
    結果 アンケート回答の因子分析から、授業前2因子、授業後4因子の6因子が抽出された。その要因間の関係をパス解析すると、中高生ともに授業後の「きもの文化への関心」は授業前の「服への興味関心」「ゆかたへの興味関心」、授業後の「ゆかた着つけ理解習得」「ゆかた着装への意欲・高揚感」の各因子からの影響を受け高められていることが示され、着装授業の有効性が示された。授業の内容の違いからは、授業前の「ゆかたへの興味関心」が最も低い学校でも着装後のワークの実施によって、ワークなしの学校より事前のゆかたへの興味の低い状態の割に「きもの文化への関心」を高められることが明らかとなった。着装後のワークは、ゆかたを体感し味わう時間となり「きもの文化への関心」を高めるのに有効であることが示された。
  • 孫 珠煕, 中嶋 史央里
    セッションID: 2I-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 温泉浴衣はTPOでみると、温泉宿で着る館内着であり、集団で着る制服でもある。晴れの場で着る浴衣に関する研究は多数あるが、温泉浴衣に関する研究は殆ど見当たらない。2020年は東京オリンピックが開かれ、温泉浴衣は若者や外国人に気軽に和文化体験できる機会となるのではないか。本研究では、好みの温泉浴衣の類型化にみる装い行動を明らかにする。

    方法 温泉宿で貸し出しサービスをしている温泉浴衣30種類を対象に、好きな浴衣を複数回答で選んでもらった。次に「好きな浴衣」の因子分析を行い、その因子得点を基にCluster分析を行った。「装い行動」測定尺度(38項目、6件法)は因子分析を行い、各Clusterにみる装い行動を可視化した。対象者は温泉宿利用客515名・若者375名の合計890名である。

    結果 女子好みの女性・男性浴衣、男子好みの男性・女性浴衣をポジショニングマップにより「現代的なー伝統的な」「はなやかな配色ー渋い配色」で可視化した。また、「好みの浴衣」は7因子、「浴衣の行動」は5因子が得られた。女子の「好きな浴衣」を基に5クラスターに類型化した。現代的なイメージを好む女子群(64.4%)は装い行動の「高揚感」「選べる浴衣」に因子得点が高く、肯定的であった。一方、伝統的で渋いイメージの浴衣を好む女子群(35.6%)は因子得点が低く、否定的な傾向が示唆された。(JSPS KAKENHI JP15K00749)
  • 辻 幸恵
    セッションID: 2I-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 同じ年代の男子大学生が女子大学生たちの服装を見て、良いと感じるか否かは個人差があるとはいえ、一定の傾向があると考えた。そこでどのような装いに対して、男子大学生たちが女子大学生としてふさわしい服装であると評価しているのか、その基準を明らかにすることを目的とした。
    分析 関西圏に在住する共学の大学に通っている男子大学生100人を調査対象とし、主に質問紙を用いて調査を実施した。調査時期は2016年12月上旬から中旬とした。A4サイズの用紙に大学生としてふさわしいと思う装いを図示し、それらの解説を加筆してもらった。この回答をデータとした。各調査対象が描いた図から、季節、品目、色別に集計した。
    結果 ふさわしい服装として想起するのは春と秋の装いが約50%を占めた。アイテムではセーター、スカート、長いTシャツが上位を占め、色では上に着るものは、季節の差はなく白色が65%を占め、スカートやズボンでは紺と黒の合計が58%となった。
    考察 目の前の女子大学生の装いというよりもステレオタイプ的な装いを高く評価している傾向があった。これはあまり女子の装いを注視していないことが考えられる。また、奇抜な装いよりも定番なものを選んでいると考えられる。ジーパンや短パンなどは8%以下であり、評価が高いとはいえない。よって、現在の男子大学生たちの評価は、保守的な傾向があると考えられる。
  • 長浜 小春, 藤木 節子, 森 俊夫, 横田 裕子
    セッションID: 2I-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 日本の浴衣(Y),ハワイのアロハシャツ(A),アロハシャツをモチーフとした沖縄のかりゆしウェア(K)について,これらの間に色彩的および形態的にどのような類似や相違がみられるかについて明確にする.本研究では画像解析により色柄模様の形態情報量,明度,彩度および色相の各分布に基づく平均的な色彩情報量を算出し,これらの情報量から色彩テクスチャの視覚的特徴を検討する.
    方法 試料として色柄資料集から,120種類のK、48種類のYおよび60種類のAを任意に選び,カラースキャナを用いて,色柄画像を取り込む.色彩画像解析により,明度平均,彩度平均および色相角平均を求める.また,角二次モーメント(ASM),コントラスト(CON),相関(COR),エントロピー(ENT)の4つの形態情報量を求める.
    結果 平均明度と平均彩度の関係からは色彩特徴としてKは,明度ではYと類似し,彩度ではAと類似していることが分かる.また,Kは明清色や暗清色に多く,Aは濁色(中間色)に分布し,Yは明清色,暗清色、中間色に幅広く分布しているが,低彩度側に多いことを見出した.CORとCONの関係において,YはCORやCONが最も小さいことから,KやAに比べて柄がはっきりとして,局所的変化が小さいことが特徴といえる. Kの柄はCONが他に比べて大きく,柄の局所的変化が大きく、線上性が小さいが,Aの柄はYの柄とKの柄の中間的位置にあると考えられる.
  • 大正期の家事労働の観点から
    山村 明子
    セッションID: 2I-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:本研究では家族の衣生活の担い手が主婦であったことに着目し、明治末から大正期にかけての衣生活の変容の背景を検討する。家庭生活における主婦の役割が多様化している今日において、本研究は家庭内の衣生活研究を通して、次世代に心豊かな家庭生活を提言することへの端緒とする。
    方法:主な一次史料には当時の婦人雑誌『婦人世界』(1906年創刊)、『主婦の友』(1917年創刊)を取り上げる。これらは良妻賢母思想のもと、家庭における実際的な知識等を掲載し、多数の読者を得ていた。
    結果:大正期の新中間層家庭における主婦は、家庭と社会が分断された「おくさん」としての家事行為が求められた。明治末には女中を取り仕切ることが主婦の姿であった(「女中は如何に使うべきか」『婦人世界』1906年10月)が、大正期には女中を使わずに家政を取り仕切れることが良妻賢母の姿(「女中を使はぬのを主婦の名誉とせよ」『主婦之友』1918年10月号)となった。近代の主婦の家事労働において、家族の衣生活を整えることも重要な任務であった。従来の和服を仕立てるさらに仕立て返す衣生活から、主婦の労働力と労働時間を軽減するために、衣類の着数の整理、ミシン利用、洗濯が簡便で仕立て返しが不要な洋服の採用、といった変遷が読み取れる。すなわち主婦の位置づけの変化が家族の衣生活に影響を及ぼしたといえる。
  • 村田 裕子, 池田 仁美, 横川 公子
    セッションID: 2I-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的: 大正末の子供洋服裁縫記事の内容を現代と比較・評価するとともに、その背景を発掘することで、当時の女子教育や生活現場との関係性を明らかにし、子供洋服裁縫の意義を再考することを目的とする。
    方法:  明治33年(1900)に福島四郎によって創刊された『婦女新聞』は、「女子教育方針の確立」や「家事経済の知識の普及」などを目的とし、前年の明治32年に高等女学校令により女子の高等教育に対する意識が高まってきた時期に発行された週刊新聞である。本研究では前号まで掲載されていた論文・雑録・雑報・小説等をすべて休んで広告を除く全32頁を子供洋服の裁縫記事に充てている大正11年(1922)7月30日に第1158号として発刊された「子供洋服号」の特集号を主な調査対象とし、内容を精査し分析する 。
     結果: 記事には、読者が子供の年齢や体形にあった洋服を製作できるように、必要な身体の採寸方法や型紙を作成するための寸法の割出し方法などが挿図と共に掲載されている。記事の執筆者は東京女子高等師範学校教授の神田順子、同助教授の高橋イネ、寺尾きくの三女史である。三女史は、文検の裁縫科検定試験の試験委員であったことから、家庭で必要とする子供洋服の製作に加え、裁縫科教員を目指す読者の独習書として使用されたことも示唆される。
     尚、本研究は日本生活学会「2016年度生活学プロジェクト」採択課題の一部である。
  • 貝淵 正人
    セッションID: 2J-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー


    目的 過去に習慣的に5本指ソックスを着用したことのない健常男子大学生を対象に5本指靴下の継続的着用におけるパフォーマンスの変化を明らかにすること,また5本指靴下の着脱時間および,5本指ソックス着用の主観的評価の変化を調査することを目的とし,実験を行った.

    方法 過去に習慣的に5本指ソックスを着用したことのない健常男子大学生20名を対象とし,普通靴下群と5本指靴下群に10名ずつ分け,1日8時間以上の着用を5日間行った.そして初日と5日後に反復横跳びとTUGの測定に加え,靴下着脱時間の計測,主観的評価(履き心地の悪さと着脱困難感)を行った.

    結果 反復横跳びでは普通群と5本指群では有意差は認められなかった.しかし,TUGの5本指群では,介入後の測定にて有意差が認められた.着衣時間では,介入後の5本指群の着衣時間にて有意差が認められた.主観的評価においても5本群に有意な減少を認めた.

    考察 反復横跳びでは,足底と地面との接地時間が短く,地面からのフィードバックやグリップを行うことでの姿勢制御の向上をもたらすには十分な時間がなかったため変化しなかったと考える.主観的評価の変化は,継続的着用による慣れが生じたと考えられる.今後は着用期間を延長した再実験をおこなう必要である.
  • 発汗サーマルマネキンと換気装置を用いた実験
    薩本 弥生, 青柳 卓也, 小柴 朋子, 田村 照子
    セッションID: 2J-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:本研究では暑熱に効果的な着衣の条件を検討するため、発汗サーマルマネキン、トレーサガス法を用いた実験によりアウトドアパーカ着装時の蒸発熱伝達率や換気速度にパーカの透湿特性や換気口の開口がどのように影響するかを明らかにすることを目的とした。さらに、蒸発熱伝達率と換気速度評価を同期して行い、両者を比較することで、着衣の蒸発熱移動性の評価法として換気速度からの間接的評価法の妥当性を検証することを第2の目的とした。
    方法:換気口の開閉と素材の透湿性の効果を明らかにするため、換気口を開口・閉鎖の2条件、素材の透湿性を有・無の2条件のアウトドアパーカを試作した。換気口の開閉の効果を明らかにするため、アウトドアパーカの換気口を前後4か所(胸部と胴部、背中、腰部)に設置し、閉鎖時には換気口をテープで封鎖した。人体からの熱水分放散を再現性良く再現するため、20℃50%RHの人工気候室で発汗サーマルマネキンを用いた。同期してトレーサガス法(定常法)を用いてアウトドア用パーカの換気性能を評価した。
    結果:素材の透湿性および換気口は立位安静で無風環境でも蒸発熱伝達率向上に有効であった。換気速度と蒸発熱伝達率には相関係数0.68で相関関係があることが明らかになった。
  • 市販クーリンググッズを中心に
    坂下 理穂, 諸岡 晴美
    セッションID: 2J-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 地球温暖化に伴い、猛暑日が全国各地で記録される中、2020年夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催される。選手のみならず、試合の観戦者やサポータ等の熱中症対策が必要となる。本研究では、暑熱環境下においてクーリング方法が体熱放散に及ぼす影響を市販のクーリンググッズを中心に検討した。
    方法 市販クーリンググッズとして、吸水ポリマーの入った細長い袋を十分に吸水させてネックに巻く方法(試料A)、小型ファンが取り付けられた上着を着用する方法(試料B)のタイプの異なる2種を実験に用いた。さらに、試作したアームカバーを着用時にスプレーで湿潤させる方法(試料C)を追加した。20歳代女性6名を被験者として、簡易型人工気象室内(28±1℃、45±5%)にて実験を行った。10分間安静後、クーリンググッズを装着してトレッドミル上を17分間歩行、20分間安静を保った。その間の発汗量、深部温、熱流量、心電図および主観評価を測定した。
    結果 発汗量は試料A装着時に最も多いことがわかった。深部温において、試料Aは歩行終了後の深部温が上昇した後に回復期で低下したが、試料Cでは上昇せずに低下し、試料Bは装着後に深部温が大きく低下した。試料Aおよび試料Cは装着した部位の皮膚が冷却され、熱流量が上昇し、試料Bは対流の吐口である後頸部で熱流量が大きかった。心拍数において、試料Bの変化量が試料の中で最も小さいことがわかった。
  • 西山 加奈, 水野 一枝, 水野 康, 久慈 るみ子, 井上 美紀, 難波 めぐみ
    セッションID: 2J-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】寝衣は睡眠に影響を及ぼすことが知られているが、着用実態の報告は少ない。本研究では学生の寝衣を調査し、実態を明らかにするとともに性差を検討した。
    【方法】2016年6月に、東北の学生1167名を対象としてアンケート調査を行った。有効回答数は1140名(男315名、女825名)、回答率は97%であった。調査項目は就寝状況、居住状況、寝衣の要求性能、着用時の行動、洗濯頻度であった。
    【結果】寝衣の上衣は、Tシャツ類(67%)、タンクトップ(36%)、下衣はジャージ(51%)、パジャマ(25%)の着用率が高かった。寝衣の要求性能では、動きやすさ(64%)、保温性(57%)、肌触り(51%)が高かった。寝衣着用時の行動では、家の中のみ(50%)、屋外のゴミ捨てに行く(28%)、コンビニ等に行く(30%)であった。寝衣で一日過ごすことのある学生は平日(22%)、休日(74%)であった。性差では、上衣のパジャマは男子(14%)より女子(21%)、上衣のジャージは女子(15%)より男子(21%)で着用率が高かった。寝衣の要求性能では、女子が動きやすさや保温性、サイズ、着脱しやすさ、価格が手頃の項目で男子より高かった。寝衣着用時の行動では、コンビニに行く頻度が男子(41%)で女子(26%)より高かった。
    【結語】学生は寝衣として市販されている以外の衣服を着用し、寝衣の選択や要求性能、寝衣での行動には性差がある可能性が示唆された。
    *本研究は日本家政学会東北・北海道支部の助成を受けて行われた。
  • 渡邊 敬子
    セッションID: 2J-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    s目的:三次元計測から自動採寸される値は、JIS-L0111と同じ項目名であっても値が異なる。衣服設計用の手計測に近い値が算出できるよう、本研究では、現状の自動採寸と手計測の値の関係や誤差の原因を究明した。方法: 男女1057名を対象に手計測と浜松ホトニクス社製BLSでISOに準じた上肢20度外転・20cm開脚姿勢と立位正常姿勢の三次元計測を行った。20から50歳代の各年代の男女10名、計80名を体格(BMI)に配慮して選出し、解析した。解析ソフトBLMでランドマークを手計測の基準点と合わせ、これに基づいて自動採寸で高さ、周径、体表長、シルエット長を算出した。この値と手計測の値の差を比較・検討した。 結果: 高さ項目での差は他の項目と比較して相対的に小さいが、体幹部に比べ肩部での差が大きかった。腰囲や肩部の誤差は、開脚や腕の外転による影響と考えられた。股上前後長や腕付け根囲の差は、腋下や股下のデータの欠損と自動補間のためと考えられた。ウエストから股の高さまでの前後の体表長と股下の直線距離の3か所に分けて採寸した結果、手計測との差は自動採寸の平均22.5mm(S.D.16.4mm)から4.8mm(12.8mm)に減少した。腕付根囲でも55.6mm(25.8mm)から-0.1mm(7.4mm)になった。股の高さや腕付根の高さを利用して補完・採寸するシステムを作ることで、誤差が改善できる。乳頭位や上部胸囲は、腕を含んだ周径となることがある。水平断面の形状を自動で判断して、体表長と補間を組み合わせて周長を算出することで誤差を改善できる。
  • j増田 智恵
    セッションID: 2J-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】オーダーメイドによる3次元紳士服自動設計のために,幅広い年齢の成人男子の人体曲面形状の特徴を捉える。【方法】被験者は18歳~83歳の成人男子934名(平均年齢:48歳,SD:17歳)。非接触3次元自動人体計測を行い,既存計測ソフトをオリジナル計測基準点や計測方法による人体寸法が得られるシステムに改善,3次元座標(XYZ)と長さなどの寸法を求めた。基準点をもとに個々の相同化モデルを作成,首から手首および足首を包む三角形メッシュモデル(1019頂点,3010辺,1988面)を形成した。各頂点の角度による点集中のガウスの曲率Kcと点集中の測地的曲率kc,面の法線方向の角度による点集中の平均曲率Hcを算出し,10領域(首部,頸部,胸部など)による人体曲面形状を検討した。【結果】成人男子の凹凸を含めた楕円曲面と双曲面による平均的人体曲面形状の特徴を捉えた。10領域別のΣ+Kc+Σ+HcとΣ-Kc+Σ-Hcの値を用いて,凸楕円面曲面形状と凹双曲面形状を把握し,年齢や個体差による5つの曲面体型分類(腹部・臀部・胴腰脇部・上肢部の曲面大で平均体重大のタイプ,首部・背部・腹部の凸楕円面小で平均身長大のタイプ,背部の曲面小,首・頸部の曲面大,下肢部双曲凹面大のタイプ,下肢部・臀部・股部の曲面小で,首部・頸部曲面大の高年齢タイプ,背部・頸部・臀部・下肢部の曲面大,首は楕円凸面やや大で双曲凹面は小,胴腰脇部の楕円凸面小,人体体表面長など小で背肩幅のみやや大のタイプ)を試みた。

  • 脊柱アライメント,膝伸展筋力,皮下脂肪厚に着目して
    佐藤 真理子, 渡辺 絵理香
    セッションID: 2J-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】

    現代の若年女性が自分自身の姿勢・体型についてどのように認識しているか,また,生活行動や習慣が,姿勢・体型に何らかの影響を及ぼしているか,計測とアンケート調査より明らかにすることを目的とする.

    【方法】

    被験者は健康な若年女性51名(年齢21.0±1.0才,身長159.4±6.0㎝,体重52.5±7.2kg)である.生活行動に関するアンケート調査17項目,自身の体型に関する意識調査13項目,及び姿勢・体型に関する計測を行った.計測項目は,身長・体重・体組成,肩傾斜角度,脊柱アライメント,膝伸展筋力,皮下脂肪厚であった.

    【結果】

    本研究の対象者では,よく肩がこる人,時々肩がこる人を合わせて,70%以上が肩こりを申告した.よく肩こり,腰痛になる人では,肩傾斜角度の左右差が大きく,姿勢の歪みが肩や腰に負担を与えていると考えられる.体型の意識調査では,自覚している体型が肥満>やや肥満>普通>やや痩身>痩身の順に,皮下脂肪厚,体脂肪率,BMIの値が大きく,現代の若年女性が自分自身の体型を正しく認識している様子が示された.また,日常的にヒールのない靴を履いている群に比べ,ハイヒールを履いている群で,仙骨傾斜角が大きい傾向を示した.胸椎後彎角と膝伸展筋力に有意な負の相関が示され,猫背な人ほど下肢支持性の弱い傾向が明らかとなった.
  • -ブラジャー装着の指導に着目して-
    庄 莉莉, 村上 かおり, 鈴木 明子
    セッションID: 2J-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】現在,ブラジャーは女性の生活必需品となっており,その装着が適切であるかどうかは女性の心身に大きな影響を与えているため,ブラジャーを着け始める思春期から,正しい知識をもってブラジャーを装着することが求められる。本研究では思春期の女子のブラジャー装着の現状や課題,またその第二次性徴に関わる下着教育の必要性や課題を明らかにすることを目的とした。
     【方法】ワコール及びグンゼなどの調査資料に基づき,思春期の女子のブラジャー装着の現状や課題を追究した。また,歴史,教育,被服衛生などに関する先行研究を整理し,日本におけるブラジャーの普及や変遷の歴史的背景を踏まえ,家庭,学校や下着メーカーでの下着教育の現状や課題を分析した。
    【結果】バストの発達やブラジャーの装着に悩みを抱え,その正しい知識を持たないままブラジャーを着け始める思春期の女子が多いため,早い時期にバスト発達に関する知識とブラジャー装着の指導が求められることが明らかになった。一方,下着教育の重要な場である家庭では,その教育が機能せず,学校教育でもほとんど行われていない。下着メーカーは思春期向けのブラジャーの開発や下着教育を積極的に行っているが,いずれも大都市圏だけに限定されている。また,学校での下着教育については約20年前のデーターしか見られない。以上から,思春期の女子及びその親の下着教育に関する認識の実態を明らかにする必要性が認められた。
  • 田中 早苗, 川端 博子
    セッションID: 2J-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 布を用いた製作学習において動画教材が有効であることが多方面で検証されている.著者らは授業実践で動画教材の活用効果と被服製作学習のスムーズな進行を促すために,教師自身が見せたい・知らせたい情報を提供できるようにICT講習会を開催して教師を支援し,動画教材の普及を図ってきた.本報告の目的は,受講者アンケートから動画教材に対する意識と現状の課題を明らかにすることである.
    方法 平成27年8月,平成28年8月に行った動画教材を活用したものづくり講習会の受講者35名および動画教材の制作講習会の受講者54名に質問紙法で調査を行なった.調査内容は,授業で活用している動画教材,PCに対する得意意識,被服実習室の機器環境などの現状と,動画を実際に視聴・制作した後の感想と適用可能な題材である.テキストマイニングで受講者の動画教材に対する意識を要素分析し,さらに制作講習会受講者は受講後に動画教材を活用したか否かの追跡調査を行った.
    結果 受講者の80%以上が動画の利用で生徒の理解が促され教師の負担が軽減されると回答した.意識分析では,チャレンジ,やってみたい,簡単などの積極的要素が見られた一方,手惑う,時間がかかる,PCでつまづき,難しいなど消極的要素も見られた.また,約70%の被服実習室は,PC端末,タブレット端末,無線LANなどの機器設備が整っておらずICT教材活用の障害となっていることがわかった.
  • 18世紀ローブの試着用デザインの提案を通して
    水野 夏子, 杉田 慶子, 中村 圭美, 浜田 久仁雄, 後藤 弘美, 片山 郁子, 西尾 真美, 繁 仁美
    セッションID: 2J-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 大阪樟蔭女子大学と神戸ファッション美術館との学館連携事業の取り組みとして、美術館が収蔵する歴史衣装を用いて服飾教育をはかることを目的とし、18世紀フランスの宮廷衣装であるローブ・ア・ラ・フランセーズの試着用デザインを検討した。
    方法 ローブ・ア・ラ・フランセーズ(収蔵品番号2-FR-03-F1-9-1・2)の原品を調査・分析し、レプリカと1/5縮尺のパターンを資料として、実寸のトワルを制作した上、試着用のパターン作成および裁断・縫製方法を選定し、一般・入館者を対象とした試着可能なローブを制作した。制作は、大阪樟蔭女子大学被服学科の学生8名が学館連携事業の一環である実習授業において発表者の指導のもとに行った。
    結果 実物のローブの構造や設計、裁断・縫製技法、着装スタイル、当時の身体の特徴などを具体的に知ることができたのは当然ながら、着用にあたり現代の成人女性の体型・体形に合わせた各部位の修正点を把握することに加え、修正に伴ったローブ全体のデザインのバランス調整の取り方と美しいシルエットの演出方法を提示することができた。そこには歴史衣装の構成をできるだけ忠実に守るための洋裁技術の活用と工夫を施した。試着用ローブの制作を通して、美術館の収蔵品や歴史衣装の取り扱いに対する理解が深まり、歴史衣装の役割や制作することの意義を考察することができた。人々には歴史衣装に触れ着装を追体験できる機会を提供した。
口頭発表 5月28日 環境・福祉
  • 高橋 哲也, 鶴永 陽子, シュミット ヴェルナー, 吉野 勝美
    セッションID: 3D-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 セイヨウトチノキ(マロニエ)は,欧米では街路樹として多く植えられている.結実時期には道端がセイヨウトチノミで覆いつくされる.食用とはならないため,その多くは利用されずに廃棄物となっている.セイヨウトチノミの再利用のため,「果肉・内皮」と「外殻」の部位に分け,各々の粉砕物の機能を調べるとともに,その配合紙も作製した.
    方法 セイヨウトチノミをマスコロイダーにて粉砕し,所定量のパルプ,水,ラテックスバインダーと混合してスラリーを調整した.このスラリーを撹拌しながら角型シートマシンを用いて抄紙し,プレス,乾燥して配合紙を作製した.
    結果 セイヨウトチノミの粉砕物は,黄色ブドウ球菌,大腸菌,ミュータンス菌に対して優れた抗菌性を示した.特に,グラム陰性菌である大腸菌に対しては高い抗菌性を示した.また,部位では,「外殻」の方が「果肉・内皮」よりもより高い抗菌性を示した.セイヨウトチノミの外殻の粉砕物のORAC値は531mmol TE/gを示し,抗酸化力が抗菌性に寄与したものと考えられた.つまり,菌の細胞壁を構成するペプチドグリカン層に抗酸化力が作用し,ダメージを与えたものと推察された.セイヨウトチノミの再利用として作製した配合紙には,粉砕物で示された高い消臭性が保持されていた.また,配合紙の力学物性は外殻の粉砕物の配合率が増すに従って低下するものの,実用的には充分なレベルを維持していることもわかった.
  • 千田 眞喜子, ソン スイカ, 葛葉 泰久
    セッションID: 3D-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 河川水質の汚染問題の一つに,硝酸態窒素(以下NO3-Nという)による汚染問題がある.NO3-Nは人体にも悪影響を及ぼすので,水道水中の突発的なNO3-Nによる水質汚染事故の恐れについて配慮しておく必要がある.そこで,健康で快適な生活を営むための安全で良質な水が得られるように,水源から水道水に至る窒素移動の把握を試みた.
    方法 長良川流域に由来する愛知県半田市の水道水(2016年3月~2016年12月)を毎日22時に採水し,吸光度法による簡易水質測定器でNO3-N濃度を測定した.また,長良川河口堰管理所による河川流量データ,気象庁によるAMeDAS(ヒルガノ,八幡,長滝,美濃,岐阜,大垣,愛西,桑名)の降水量データと気温データ,愛知県水質試験所による水質データを用いて,水道水中のNO3-N濃度変動及び環境へのNO3-N負荷量に注目し,長良川流域におけるNO3-Nの輸送の解析を行った.
    結果 1)本研究の流域・観測期間においては,流域内平均気温及び流域内平均降水量は水道水中のNO3-N濃度の増減にほとんど寄与しないことが明らかになった.2)降水イベントの降り始めの翌日に,水道水中のNO3-N濃度も高くなる事例(2016年台風16号)がみられた.これは降水により,森林を含む流域からの流出水中のNO3-N濃度が増加することを示唆している.3)流量が増加すると,水道水中のNO3-N濃度が減少する事例があった.4)水道水中のNO3-N負荷量の変動は,概ね濃度よりも流量の影響が大きいという結果が得られた.
  • 田中 美津代, 工藤 由貴子
    セッションID: 3D-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:人が生涯にわたって安全に生活するためには、人の一生を見通す視点で、それぞれのライフステージに応じた教育や訓練が必要である。本研究は、中学生が世代を繋ぐ軸となって行う防災訓練と、それを核とする安全教育構築の可能性について検討する。

    方法:3つの方法を用いた。1つ目の文献調査では、 防災訓練の法的論拠、安全を守る活動に関する先行研究の整理を行い、2つ目のアンケート調査では、中学生の防災訓練に対する態度や安全に関する意識を明らかにした。3つ目には、中学生が軸となって行われている防災訓練の事例調査である。

    結果:文献調査から、防災訓練の法的論拠は消防法と災害対策基本法に分かれており、人の一生を通した視点でみると、訓練を受ける義務や訓練の内容等について一貫性がなく、どこで生活するかによって安全を守るための体験が異なること、また、学校教育の枠を超えて、ライフコース全般にわたる防災に関する学習の可能性も明らかになった。2つ目に行った中学生の意識調査からは、避難訓練を生活や考え方につなげていた生徒が、日常生活でも安全に生活するための工夫を行っている等、避難訓練と安全に生活するための工夫の関連性が見出せた。中学生にとって防災訓練が安全に関する関心や意欲を高めていることがうかがわれた。  また、事例調査を通じて、日本の各地で、中学生が中心になって、学校の枠を超えた地域の防災訓練を遂行する好実例を見出すことができた。
  • 南 泰代
    セッションID: 3D-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 政府は2006年幼保一体化施設の幼保総合施設「認定こども園」を創設した。「認定こども園」の機能として就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能、地域における子育て支援を行う機能としている。全国「認定こども園」の園長や施設長の意識調査から「認定こども園」の利点と課題と展望を報告するものである。
    方法 2013年10月全国認定こども園1110園にアンケート調査を行い有効回答は430であった。2015年10月再度430にアンケート調査を行い169の有効回答を得た。
    結果 園長、施設長の意識調査では、教育の質や保育の質が良くなったが多い結果が出た。しかし、非正規職員の増加、担任の入替の増加、部屋の移動の増加が増えるなどが多く、そのことは職員の仕事を増やし、研修や会議が難しくなり、子どもたちの状態を共有することを困難にしていることがわかった。それは規模の大きい施設でより悪い状態になっていることが明らかになった。これらの課題は規模や定員の上限を決めれば改善できると考えられる。
  • 田中 謙
    セッションID: 3D-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 戦後日本における障害乳幼児支援の歴史的展開過程において、保育所や幼稚園と通園施設および通園事業がどのような関係性のもとで障害乳幼児支援を担ってきたのかに関しては、十分な実証的研究の蓄積がなされていない現状がある。そこで本研究は公立通園事業の一つである立川市「ドリーム学園」を事例に、特にドリーム学園の「リエゾン機能」に焦点を当てながら、通園事業と保育所との関係性を明らかにすることを目的とする。
    方法 本研究ではドリーム学園が創設され、立川市立保育所で障害児保育が実施され始めた1970年代に焦点を当て、『立川市手をつなぐ親の会二十周年記念誌』『立川市議会会議録』等を分析史資料として採用しながら、歴史的展開過程の検討を行う。
    結果 ドリーム学園は1971(昭和46)年に創設された立川市立の心身障害児通園事業である。ドリーム学園では「障害児といえども本来通園通学の場は、ふつうの幼稚園、保育園、学校、医療的施設等でなければならない」との支援者の考えから、「本指導室の存在意義がこれら公的機関へはいるための橋渡しの役目を負うところにある」とされ、「すべての障害児が受けいれられるような社会制度の開発と充実」を「本指導室自らが社会全体に訴えてい」くための「リエゾン機能」の強化を図っていった。ドリーム学園は障害幼児を「立川市立柴崎保育園」「立川市立中砂保育園」等と「リエゾン」していく機能を有する通園事業であったと考えられる。
  • チェ ジョンシン, ユン スンドク, キム スリム
    セッションID: 3D-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 韓国においては農村人口構成の中で女性の比率が高くなり、地域コミュニティーの中で農村女性の役割が強調されつつある。そこで、本研究では韓国農村女性の共同体意識に影響を与える要因を分析し、農村女性の地域社会活動参加の活性化に向けた政策的提言を行うことを目的とする。

    方法 韓国の農村女性に対してアンケート調査を実施し、488名(92.2%)の有効回答を得た。地域社会活動をしている農村女性224名と地域社会活動をしていない農村女子264名である。調査期間は2016年10月10日から14日までである。

    結果 農村女性の地域社会活動参加有無によって生活満足度(t=-2.721、p<.01)と共同体意識(t=-4.382、p<.001)には差があったが、地域社会活動に対する夫の賛成度は差がなかった。共同体意識得点を従属変数として、「基本属性」「生活満足度」「地域社会活動有無」「夫の地域社会活動賛成度」を独立変数として重回帰分析を行った結果、有意なモデルの適合度を表しており(F=9.845、p<.001)、説明率R2は 11.3%である。共同体意識に影響を与える要因は地域社会活動有無(β=.140、p<.01)と生活満足度(β=.280、p<.001)であり、地域社会活動をしている農村女性がしていない農村女性より共同体意識がたかく、生活満足度が高いほど共同体意識が高いことが明らかになった。


    This work was carried out with the support of "Cooperative Research Program for Agriculture Science & Technology Development (Project No. PJ01203901)" Rural Development Administration, Republic of Korea.
口頭発表 5月28日 震災・国際
  • 竹崎 泰子  , 多屋 淑子
    セッションID: 3D-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 福島第一原子力発電所の事故に起因する空間放射線量の高い周辺地域に暮らす人の衣生活に必要な放射能対策に関する研究は少なく,住民は衣生活に不安を抱えて生活をしている。特に外干しされた洗濯物は放射性物質の付着が懸念されることから,衣生活に対する不安感を軽減するための方策を探ることを目的として,福島県伊達市霊山町小国地区において洗濯に関する実態調査を行った。
    方法 小国地区内にある異なる外環境の実験地6か所において6時間外環境に曝露した試料に付着するγ放射性核種の定量分析を行った。さらに,1か所の実験地において6時間から3週間の異なる曝露時間の条件で試料に付着するγ放射性核種の定量分析を行い,試料に付着する放射性核種の詳細な経時変化を捉えた。これらの結果から洗濯物の外干しの安全性および適切な外干し環境,外干し時間を検討した。放射線核種の定量分析にはゲルマニウム半導体検出器を使用した。
    結果 全ての実験地において通常の洗濯物の外干し時間である6時間外環境へ曝露した試料からは放射性セシウムは不検出であったが,外環境への曝露時間が長期になるにしたがい,放射性セシウムの放射能濃度は高くなった。特に,高い放射能が検出された試料には土壌などの濃い汚れが視認された。これらの結果から,日常生活における衣生活の安心安全を保つための留意すべき点を整理し,望ましい洗濯物の取扱い方法の提案書を作成して地域住民に提示した。
  • 中迫 由実, 水木 遥
    セッションID: 3D-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:大地震が日中発生した場合地域には仕事をしている人の多くが不在となるため、日中も地域にある大学生は共助の担い手として期待できる存在と考えられる。そこで本研究では大学生が地震発生後ボランティア等が可能な状況にあったのか検証するため被害の実態と自身の防災対策の状況について報告する。
    方法:熊本大学の学生を対象にアンケート調査を実施した。協力が得られた本学学生を対象に、調査票を直接配付、回収を行った。調査期間は2016年11月18日~12月5日である。配付数は178票、回収数は150票(回収率84%)、有効回収数149票である。
    結果:地震発生後67.1%が被害の少ないところへ避難しており、そのうち76.5%が本震から3日以内に避難していた。避難所の利用者は、全体の52.8%であった。住み続けることが困難になる程度の被害は少なかったが、半数以上が何らかの住宅被害を受けていた。7割以上の人が生活基盤に支障が生じたと回答し、その他にも家具の転倒や食器が壊れる等の被害があった。病気やけがなどの回答は少なかったが、睡眠障害や食欲不振で悩まされたケースもあった。地震発生以前の対策として、8割以上が不十分であると回答。地震発生以前には、「貴重品を持ち歩く」等比較的取り組みやすい対策を実施している人が多かったが、「家具の固定」や「ガラス飛散防止対策」は実施していない人が多かった。

     
  • 生田 英輔
    セッションID: 3D-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 学童保育施設中でも学校外に設置される施設の災害時の安全性確保に関しては、施設や運営が多様であることもあり、建物・設備・人的対応等において課題が多い。限られた資源で運営されている施設も多く、指導員の防災意識を高め、ソフト的な防災対策を利用児童も含めて検討することは効果的である。本報告では、学童保育施設の指導員に対するアンケート調査の結果から、指導員の防災への意識や対策状況を明らかにすることを目的としている。
    方法 大阪市の留守家庭児童対策事業を対象とする。大阪市が実施した指導員研修会に参加した指導員に対してアンケート調査を実施し、82名(82施設)から回答が得られた。大阪市内の当該施設は106か所であり、回収率は77.4%である。
    結果 施設の事業主体では保護者会が47施設(58.8%)で最も多く他は社会福祉法人等であった。災害対策が不安な災害としては地震対策が最も多く、有効回答のうち59施設(98.3%)、ついで火災対策43施設(71.7%)であった。建物構造に関しては、有効回答のうち耐火・準耐火構造は8施設(13.6%)であったが、「不明」も多く建物構造への関心がやや低い傾向であった。家具の固定は概ね3-5割程度であった。施設の特性上、備品や書籍が多く収納に苦慮している状況がわかった。防災マニュアルは7割程度の施設で策定されており、防災訓練はほとんどの施設で実施されていたが、避難経路の閉塞など実際の災害時を想定した訓練を実施している施設は少なかった。
  • 岡本 和花
    セッションID: 3D-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年, 我が国の防災に対する関心は高まってきている. 教育あるいは保育の現場も同様であると考えられる.そこで本研究では, 保育者が防災についてどの程度, 正しい知識を備えているかを調査することによって, 保育者の防災に対する関心を知る手がかりとすることを目的とした.
    方法 調査時期は, 2016年10月上旬~12月末, 調査対象者は, 新潟県, 栃木県, 静岡県の3県における就学前施設に勤務する保育者670人と教員養成系大学生48人を対象とし, 防災に関する知識を問う設問を含めた質問紙調査を行った.なお, 知識に関する設問は東京都が出版している『東京防災』を参考に6題作成した.
    結果 知識項目6題の平均正答率は, 保育者が68.3%, 大学生が64.6%であった. 設問ごとに保育者と大学生との正答率を比較したところ, 避難生活での子どもへの接し方に関する質問1では, 保育者, 大学生ともに正答率は高かった. 避難口の確保に関する質問3と避難する際の車の使用に関する質問2では, 保育者と大学生で差がみられた. 質問3の正答率は, 大学生より保育者の方が高かった(保育者正答率=86.0%, 大学生正答率=66.7%). 一方, 質問2の正答率は, 保育者より大学生の方が高かった(保育者正答率=52.2%, 大学生正答率=77.1%). 以上より, 保育者の防災知識には偏りが見られた.
  • ―シェムリアップ州バイヨン中学校での事例―
    楠 幹江, 山田 俊亮
    セッションID: 3D-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究は、カンボジアの地域文化に即した家庭科教育、中でも被服教育の進展に資する教育プログラムを実施・検証しようとするものである。日本の家庭科教育がこれまで培ってきた内容や指導方法等が、カンボジアの家庭科教育に役立つことを願い、そして、家庭科の教育プログラムに参加する日本・カンボジアの両国の人々が被服製作を介して国際交流を行うプログラムの提案を目的に、本研究を遂行した。
    方法 カンボジア王国シェムリアップ州バイヨン中学生を対象に被服教育に関する授業を展開した。授業の内容は、衣服に関する基礎的理解講義と被服製作実習である。実施日は、講義:2016年12月27日(1時間)、被服製作実習:2016年12月28日~31日の4日間(各日2時間)であった。
    結果 1.基礎的理解講座において、人間生活における衣服の役割については、衣服の機能が正しく認識されていることがわかったが、素材に関する知識は乏しい状態であることが確認された。2.被服製作実習における実習後のアンケート調査では、実習が簡単だったと答えた人は26%、普通と答えた人は74%、難しかったと答えた人は0%であった。教える側からすると、初めてミシンに触れ、初めてミシンを動かした生徒にとって、襟付き・袖付きのブラウスの製作は難しかったであろうと予測したが、予測に反して、生徒は好意的にとらえ、楽しんで製作したことが伺えた。
    文献 1)佐々井 啓、家庭科教育を基礎とした国際教育協力、家政誌、64(5)、2013 など

口頭発表 5月28日 児童
  • 吉澤 千夏, 上村 佳世子
    セッションID: 3E-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:本研究は、幼児の生活文化の共有過程を幼稚園における食事場面の観察により明らかにするとともに、共有過程における保育者の果たす役割について検討することを目的とする。
    方法:新潟県内の幼稚園に在籍する年中児(4~5歳児)14名と担当保育者2名を対象とする。観察期間は2015年4月~2016年3月であり、月に1回、計11回の観察を行う。対象児の昼食時の会話をICレコーダーにより録音し、それらをトランスクリプトに起こす。トランスクリプトを基に、対象児の会話のテキスト分析を行う。分析にあたっては、11回の観察を第1期:4月・5月・6月・7月、第2期:9月・10月・11月・12月、第3期:1月・2月・3月に分け、年中児及び保育者の各期の会話の特徴及び食事場面における会話の発達的変化を捉える。
    結果及び考察:1.第1期においては、幼児の会話は食べることそのものが中心となる傾向にあるものの、発達に伴い、食事以外の事柄が話題の中心へと変化する傾向にある。2.一方保育者は、観察当初、食べることや食材に関する発話を積極的に行う様子が見られ、それに幼児が呼応する様子が見られる。しかし、第3期になると、保育者の発話は減少し、発話を行う場合でも、食事のペースが遅い子どもに対する言葉かけ等がその中心となることが示唆される.
  • ~戦後70年の歴史からの考察~
    佐々木 剛, 草野 篤子
    セッションID: 3E-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的
      1992年に小学校生活科が施行されてから小学生と地域の高齢者との間の交流が活発になっている。その背景には、都市化と家族構成の変化があると指摘されてきた。本研究は、この高齢者と小学生の間の交流活動で、「里孫制度」と呼ばれる数少ない実践をしている東京都内A小学校を取り上げ、世代間交流プログラムの観点からその歴史的経緯と、地域と学校の関係構築の意義を追究してきた。今回、その「里孫制度」と教育における福祉概念について学習指導要領との関連性から再検討した。
    方法 
      A小学校の活動資料の精査と活動に関与してきた関係者への聞き取り調査による。
    結果・考察
       A小学校の「里孫制度」による高齢者との交流は、授業の根拠を家庭科及び特別活動に置き活動したと記録されていた。また、生活科設立により低学年では生活科、高学年は家庭科や総合的な学習の時間に位置づけていることが分かった。小学校の学習活動は学習指導要領により活動の方向性が求められるため、活動は家庭科以外の教科も読み替えにより、必要な授業時間を確保している。
      高齢者と小学生の交流は、高齢化社会に対応した福祉教育の実現のために重要な課題である。それ故、この学校が示す「里孫制度」による小学生と高齢者の交流活動は、「家族」を学ぶ教科としての家庭科の存在や、教科間の関連性・関係性を整理する上で、今後の学習指導要領の持つ方向性や教育者の福祉概念に一定の示唆を与える。
  • 保育者および大学生を対象とした調査から
    岡野 雅子, 町田 阿祐実
    セッションID: 3E-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー



     

    目的:絵本は保育にとって重要な教材であり、現代的なスト-リ-や作画のものも多く、人気がある。一方で、昔から読み継がれている人気の絵本もある。本研究は、人気のある絵本の移り変わりと人気のある絵本の特徴について明らかにすることを試みた。
    方法:質問紙調査法で、30冊の絵本リストを提示し、北関東A市私立保育所15箇所の保育士200名と同地区の4年制大学保育者養成学科学生321名、計521名から回答を得た。
    結果と考察:(1) [読んだことのある絵本]は「ぐりとぐら」(95.6%)「はらぺこあおむし」(95%)が多く、2000年代初版本は読んだこと無いが多い。[一番好きな絵本]は[子どもの頃]は「ぐりとぐら」が、[現在]は「はらぺこあおむし」が最多で、保育者群と学生群は同じであった。(2)保育者が知っている絵本の最多は「はらぺこあおむし」(100%)で、半数以上の保育者が1990年代初版本15冊のすべてを知っていた。 [保育士が子どもに読み聞かせたい絵本]は「はらぺこあおむし」(72.5%)「おおきなかぶ」(58%)「ぐりとぐら」(56%)で、これは好きな絵本の上位でもある。(3)保育士が[子どもに人気のある絵本]と回答した最多は「はらぺこあおむし」、提示したリスト以外では「アンパンマン」「ノンタン」で、「ねないこだれだ」などおばけ系も人気があった。(4)これらの結果から、昔から読み継がれてきた絵本は現在も人気があり、子どもの頃に好きだった絵本は現在も好きな場合が多いことが明らかとなった。
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