一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
選択された号の論文の326件中251~300を表示しています
口頭発表 5月28日 児童
  • 金子 省子
    セッションID: 3E-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的  家庭・保育の場や保育学習などにおいて活用される絵本のなかで,養育行動はどのように描かれているのか.養育者の身体的性差が際立つ授乳について分析し,絵本の活用について考察する.
    方法   児童書総合目録より乳房,母乳,授乳を意味する「おちち」「おっぱい」を検索語と し46冊(1981-2014年発行)の絵本を抽出し,登場人物(動物),主題,視点(お とな・子ども)および絵の特徴について分析した.
    結果  哺乳動物の母子の授乳を科学的にあるいは擬人化して描いた絵本,他の哺乳動物の母子とともに人間の母子の授乳を描いた絵本,そして人間の子どもの大好きなおっぱいと大好きな母親という主題の絵本が多数を占めた.母親と男児の組み合わせがほとんどで,女児には,将来の母親という位置づけがみられた.卒乳には,子どもだけでなく,母親側の視点から描かれた絵本があった.少数ながら,母乳分泌のしくみを描いたもの,父親の身体との違いなど性教育的な意図や母親の病を子どもに理解させる意図をもつ絵本,民話や架空の存在の母乳イメージを描いた絵本もみられた.小児科医から人工栄養の親子へのメッセージが記載され,授乳の実際を反映し親子に配慮した絵本もあった.養育行動を描いた絵本について,様々な属性と養育環境にあるおとなと子どもが手に取ることのできる多様性と,絵本の特徴をふまえて選択・活用ができる情報提供が必要と考えられる.
  • 寒河江 芳枝, 金田 利子
    セッションID: 3E-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:佐伯の「ドーナッツ論」は、IとYOUとのかかわりの世界を「第一接面」と呼び、IとYOUとともに、そのTHEYともかかわるようになるかかわりを「第二接面」と呼んでいる。特に佐伯は、IとYOU的他者のYOUについて教師、保育者、親などを指している。ここでは、これを二人称と呼ぶ。しかし、筆者らはYOUの二人称の中を三つに分けることができると考える。一者は、対象者と直接的にかかわる存在である親役割、三者は初めは社会の側から子どもの接点となる存在(保育者、教師など)を指し、二者は一者と三者の間に位置し、本研究では伯母を示す。
    方法:本研究の資料は、昨年本学会で一児の葛藤克服方略の特徴を報告した際に用いたものと同じである。前回は、対象児Yを中心に行ったが、今回は子どもではなく第二者的立場である伯母のかかわり方を取り上げる。家族構成は、父、母、弟K(200X年+3年4月に誕生)の4人家族である。ここでは、第二者の効果についてエピソード分析を行った。
    結果と考察:子育てのプロセスにおいて二者的かかわりを分析すると、直接的表現よりも間接的表現が多く見られた。この方法は、事例児がイヤな気持ちを表現しやすくしている。第二者のかかわりは、親が子どもとの距離を考える一つの見本となることが考えられた。これは、子育て方法を示していくモデルにもなり得ることが示唆された。
  • 吉山 怜花, 吉川 はる奈
    セッションID: 3E-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 現代では都市部を中心に核家族世帯が多くを占め、在宅親子の地域での「孤立」が指摘されている。その要因の1つに「転居」がある。転居をすることは、地域環境の変化や交友関係の変化などが生じ、転居によってさまざまな生活上の不安や子育てのストレスにもつなががる。本論では、前回発表時から対象地域を増やし、転居者の多い地域にある子育て支援施設での支援の特徴について検討し、どのような共通点や違いがあるか明らかにする。<br>方法 6市9施設をとりあげ、子育て支援施設の職員9名に利用者の特徴、利用のきっかけ、利用者の館内での過ごし方、区、市の子育ての状況等、8項目について聞き取り調査を行い、転居者の多い地域の支援の特徴を整理した。調査時期は2015年11月から2016年9月であった。<br>結果 転居者の多い地域の子育て支援拠点で、利用者は、子育ての具体的な知識・情報・仲間を得ようとしており、職員も利用者のニーズにあわせた支援をしていた。どの施設でも共通していることがある一方、地域の特性や利用者の特徴、相談やニーズに合わせた支援をしていることも明らかになった。このようなきめ細やかな支援が転居者の心の拠り所として、機能していると考えられた。
口頭発表 5月28日 家族
  • ***** *****
    セッションID: 3E-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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  • -32年間の世代更新の推移と規定要因-
    佐藤 宏子
    セッションID: 3E-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 1982年から2014年の32年間における農村家族の世代更新の推移と規定要因を明らかにする。
    方法 日本有数の茶の生産地域である静岡県藤枝市岡部町朝比奈地域における追跡研究をもとに、4時点パネルデータ(1982、93、05、14年)を完成し、分析を行う。
    結果 (1)本地域は温州ミカンの栽培が盛んであったが、76年のミカン価格の暴落以降、茶生産に転換し80年代には茶生産の最盛期を迎えた。80年の国勢調査では同居率が93.0%と静岡県下で最も高率であった。90年代中頃から茶生産は停滞し、高齢化、過疎化、結婚難が深刻化した。(2)世代更新の推移をみると、05年には子世代が結婚・同居して直系家族を形成した「子世代更新」世帯が40%に達している。14年には「子世代更新」と「孫世代更新」が43.6%(122世帯)、82年からの32年間に新たな直系家族を形成した世帯は対象者世帯の36.1%(101世帯)を占めている。(3)子ども世代が他出して「夫婦のみ」または「単身世帯」へ移行した「更新困難」世帯は93年に急増した後も増え続け、14年には25.7%となった。「更新困難」世帯は、今後消滅するリスクの高い世帯であるが、「帰家」の可能性も残されている。(4) 重回帰分析により、世代更新の最も強い規定要因は「結婚コーホート」であること、次いで「農業継承期待」「養子による家の継承規範」の影響力が強いことが明らかになった。
  • ネウボラ・ナースの養成と理念
    木脇 奈智子
    セッションID: 3E-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的  本研究の目的はフィンランドの家族支援における「子育ての社会化」と「ジェンダー平等」を実証的に明らかにすることである。日本における子育て支援は「母子保健法」に代表されるように、「母子」をセットとみなす枠組みで行われてきた。子育て支援に関する法制度が、少子化対策としての成果を上げていないのもジェンダー化された子育て規範によるところが大きいといえるからである。

    方法  2015年8月および2016年10月にフィンランドの現地調査を行った。2016年はハメーリンナ市にある応用科学大学(University of applied Science)およびハメーリンナ市内のネウボラ2か所を訪ねた。本報告では主にネウボラ・ナース養成校教員とネウボラ・ナースに対するインタビュー調査について報告する。

    結果  フィンランドのパブリック・ナースは、日本における保健師に相当する国家資格である。そのうち、0-7歳の子どもとその家族支援を対象としたネウボラに勤務する者をネウボラ・ナースと呼ぶ。カリキュラムは日本の保健師養成校に近いが、ネウボラ・ナースは「人権」「ジェンダー」「利用者との対等性の理念」について高い見識をもち、かつカウンセリングマインドを持っている。利用者と対等で寛容な態度が、カリキュラムの内外でどのように養成され、標準化されていかを考察する。
  • F公民館における父親講座を中心に
    趙 碩
    セッションID: 3E-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的:父親による子育て支援講座の重要性が指摘されてきたが、父親講座の具体的な内容や方法については充分解明できているとは言えない。本発表では、父親講座の具体的な内容や方法を明らかにすることを通して、父親の子育てを促進するための父親講座の方向性を探っていきたい。

    方法:H県F公民館で行われた5回連続父親講座参加者の変容を自然観察法により明らかにする。

    対象:5回の講座に参加した延べ34組の父子(一部母子)

    期間:2016年9月~12月

    講座の概要:1回目父子のふれあい遊び、2回目絵本の読み聞かせ、3回目料理づくり、4回目おもちゃづくり、5回目父親の子育てに関する座談会

    分析:父子が活動し、会話をしたり、ふれあったりしている様子を観察・記録した。趙(2015)を参考に父親の学びとして「子どもと接することから得られる学び」「母親との関係の変容によって得られる学び」「父親自身の学び」の3点から分析した。

    結果:(1)父親は、日常生活では見られない子どもの姿を見たり、成長を感じたり、新たな一面を発見したりすることができた。

    (2)父親自身、子どもとふれあうことに自信が出てきた。

    (3)講座開始当初、父親同士の交流はあまりなかったが、講座を通じて、次第に会話が増え、父親同士のつながりが深められた。

    これらの変容の要因をさらに検討し、当日発表する。
  • 久保 桂子
    セッションID: 3E-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、男性の子育て役割への関心が高まっている。出生動向基本調査でも、「家事・育児への能力」を結婚相手に求める女性の割合は高い値を示している。しかし、男性の経済力を考慮・重視する女性の割合も高い。男性の稼得と子育て役割の板挟み状態への関心も高まっており、本研究では、男性の役割意識を4つのグループに分類し、各グループの特徴を明らかにする。
    方法  2013年11月に千葉県西部の公立保育所21保育所の保育園児の保護者を対象に行った質問紙調査の結果を用いて分析する。調査票は家族票・母親票・父親票を組にして2119世帯に配布し、回収は1118世帯分であった(回収率52.8%、有効票は1099世帯、51.9%)。本研究では、夫婦共働きの核家族世帯721票のデータを用いる。平均年齢は、父親37.2歳、母親35.7歳、平均子ども数1.78人である。
    結果(1)男性の稼ぎ手役割意識の高低と、子育て役割意識の高低を組み合わ4グループを作成し、妻の就業形態の正規・非正規別に確認すると、「稼ぎ手低・子育て高」意識のグループは、妻正規の夫で高い割合を示しており、妻非正規の夫では稼ぎ手意識の高いグループの占める割合が高い。(2)仕事から家庭生活への葛藤は、「稼ぎ手高・子育て低」のグループで最も高い。(3)子育て意識の高い夫のグループの場合、女性の就労を肯定的に捉える傾向にある。(4) 稼ぎ手意識の高い夫のグループの場合、妻の男性稼ぎ手意識も高い傾向にある。
  • 秋田 千恵, 吉田 展子, 伊藤 公江, 尾郷 彩葉, 井庭 崇
    セッションID: 3E-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 1986年の雇用機会均等法以降、子育てをしながら働く女性が増えているが、出産退職をする人はなお47%と多く1)、子育てと仕事の両立をあきらめてしまう女性は多い。そこで、働く女性を支援するために「パターン・ランゲージ」を作成した。

    方法 ①女子大学生による、子育てしながら働く女性へのインタビュー(15名、2016年4~5月実施)②仕事と子育ての両立の工夫をKJ法で抽出・整理③両立のコツや秘訣となりうるものを集約し言語化

    結果 パターン・ランゲージとは、ある「状況」で生じる「問題」をどのように「解決」すればよいのかという実践的な知を記述する手法である。今回作成したパターン・ランゲージは、子育ても仕事も大切にしたいと思いながら働く女性達の日々の工夫を34の言葉にまとめた。内容は単なる仕事と育児を両立するためのノウハウにとどまるものではなく、日々の暮らしをよりよくするための提案を目指した。このパターン・ランゲージは、子育てしながら働く女性本人だけでなく、彼女達と共に働く人々や未来の働く女性など、幅広い人々に役立つと考えられた。今後はパターン・ランゲージを使用したワークショップの開催等を通じて生活者の声を拾い、働く女性を支援するための具体的な方策を考えていく予定である。

    1) 第15回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所、2015)
  • 冬木 春子, 佐野 千夏
    セッションID: 3E-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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      近年産業構造の変化伴い共働き世帯が増加し、政策的課題として「女性の活躍促進」が掲げられているが、親の就労が子どもの生活習慣に及ぼす影響について検討はほとんど行われていない。特に幼児期の子どもにとって睡眠、食、運動をはじめとした正しい生活習慣を身につけるかどうかは発達に重要な影響を及ぼすとされる。そこで、本研究では幼児の生活習慣のうち睡眠習慣と食習慣に着目し、親の就労要因との関連を検討した。
       調査は質問紙法にて2016年8月~9月にS市A区のこども園及び保育所に在籍する子どもの保護者と1歳6ヶ月健診を受診した子どもの保護者を対象に行われた。睡眠習慣では母親の就労要因との関連が見出された。すなわち、母親が有職の場合夕食時間が遅くなり、就寝時間の遅れにつながっていた。また、出勤時間が早い母親の子どもは起床時間が早まり、睡眠時間が短くなる傾向が見られ、「遅寝早起き」が懸念された。次に、食習慣については母親の就労との関連は見られず、全体的に栄養バランスや献立バランスの乱れが指摘できた。特に朝食では約7割、夕食では約3割が野菜料理を食べていないことが明らかとなった。一方、父親の就労関連要因については子どもの生活習慣との関連は認められず、子どもの生活習慣における「父親不在」が指摘できる。以上、母親の就労は子どもの睡眠習慣に影響する一方で、食習慣については親の食に対する知識が影響を及ぼす可能性が示唆された。
  • 磯部 香
    セッションID: 3E-14
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 世界最低出生率の台湾では、少子化は克服すべき喫緊の最重要課題となっている。そんな中、台北市政府は2010年に妊娠・出産支援プロジェクト(「助妳好孕」)を立ち上げ、部局を越えて妊娠から子育てまでの全面的なサポートを推進している。そのひとつが「育児友善園及親子館」設置、所謂日本の子育てサポートセンターの設置である。 本研究では、行政の子育て支援とそれを享受する親子を繋ぐ場としての親子館、育児友善園に着目し、それらの設置理由、利用目的などから、台湾における新たな子育て支援体制を明らかにする。
    方法
    2015年10月30日~11月3日、2016年11月20日~25日に、台北市の親子館(2館)・育児友善園(2園)の見学、職員へヒアリング調査を行った。さらに利用している保護者へのアンケート調査も分析に取り入れた。
    結果 親子館・育児友善園は市政府からの補助金によって母体となっているNPOの特色を活かした運営を行っており、ある育児友善園では68.9%の保護者は週に1、2度リピートして活用し、親子の交流、関係性の見直しの場として位置づけられている。またそこでのサービスを保護者全員が子育て支援の一助となっていると認識していた。
     【付記】本研究は、大阪産業大学平成27~29年度学内研究組織「育児ネットワークの定住促進効果に関する実証研究:子育て世帯の移動を規定する要因分析」の成果の一部である。 
口頭発表 5月28日 住居
  • 金指 有里佳, 小池 孝子, 定行 まり子
    セッションID: 3F-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 本研究の目的は、DV避難や生活上の困難によって母子生活支援施設に入所する母子世帯の施設退所後の居住問題から、母子生活支援施設がどのような居住支援を行えるか、また児童福祉施設の一つとして地域でどのような子育て支援の役割を担えるか可能性を探ることである。
    方法 東京都内の母子生活支援施設の職員を対象に、民設民営3カ所、公設民営1カ所の計4カ所にヒアリング調査を実施した。内容は、母子世帯の退所後の住居や地域における支援の展開等である。
    結果 退所後はアフターケアやDV避難の様々な事情から、施設としても母子世帯も施設近隣の都営住宅への入居を望む場合が多いが当選が困難な地域がある。退所後に地域生活に慣れるためにも、近隣の民間戸建住宅でのグループホームに類似するシェア居住や民間アパートでの一時的な居室運営を考える施設もあるが、都内に広い戸建住宅は少なく空き室の確保も難しい。また、自治体の子ども家庭支援センターを併設する施設は、センターと連携し施設の母子世帯以外にも子育て支援を利用する地域のひとり親世帯の事情を把握する一翼を担っている。一方で、自治体の補助金がなくなりやむを得ず夜間学童保育を廃止した施設では、地域と関わる機会を持てなくなったことが認められた。母子生活支援施設が母子世帯の住居及び地域のひとり親世帯の子育てを支援するには、自治体や地域が施設の福祉的役割を再認識し支援の連携を図ることが重要と考えられる。
  • 大谷 由紀子, 畑 千鶴乃
    セッションID: 3F-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的:本研究は筆者等が地域子育て支援の先行国として注1)調査を行ってきたカナダ・オンタリオ州こども家庭サービスの改革の歩みを概観し、自治体が政策を推進するために地域拠点をいかに整備してきたかを把握する。

    方法:2016年までに過去7回訪問し、オンタリオ州教育省、子ども青年サービス省、トロント市およびハミルトン市こども家庭サービス部門の各責任者に聞き取り調査を行った。

    結果:(1)オンタリオ州はこども家庭サービスを提供するOntario Early Years Centres、Parenting and Family Literacy Centres、Child Care Resource Centres、Better Beginnings, Better Futures の4施設を地域のさまざまな施設で展開している。(2)州は2004年、すべてのこどもが将来能力を発揮できるよう幼稚園と小学校の接続を強化するBest Start strategyをスタートし、コミュニティセンターなどを拠点化しこども家庭サービスを拡充している。 (3)州は2010年から5年間で段階的に保育と教育の統合を図り、4-5歳児の全日制幼稚園を設置している。(4)州は2018年までに0-12歳までの保育、教育、子育て支援を統合し、Ontario Early Years Child and Family Centresをハブ化する予定である。(5)地域拠点は既存のリソースと建物を活用し、自治体のエリア形成に基づき(ward)設置している。

    注1) 日本の地域子育て支援拠点事業ひろば型はオンタリオ州のドロップインに由来する。

    *本研究は科研費(基盤C 2011-2013、基盤B 2014-2017:両代表 大谷由紀子)により実施しました。
  • 神戸市立水木小学校における実践結果より
    白川 未希子, 梶木 典子
    セッションID: 3F-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】子どもが、災害や犯罪から身を守るためには、日頃から防災・防犯の意識を高めておく必要があり、その手段の一つとして「地域安全マップ活動」がある。本研究では、マップづくりに重点を置きつつ、「楽しく簡単に」をコンセプトとした「地域安全マップ活動プログラム」を開発。実施し、その学習効果を検証することを目的とした。
    【方法】2016年11月11日に神戸市兵庫区の神戸市立水木小学校区において、5年生35人を対象に地域安全マップ活動を実施。活動内容は、防災と防犯、交通安全について楽しく簡単に学べる構成とした。本研究で開発したプログラムの有効性と、学習効果を検証するために、活動実施前と実施後に参加者対象アンケートを行った。
    【結果】本プログラムは、事前学習、まち探検、マップづくり、発表で構成し、少人数で活動することで、子どもたちが主体的に学べるように工夫を凝らし実施した結果、すべての活動内容で評価は高く、特にまち探検の評価が高かった。事前・事後アンケートによる学習効果については、すべての項目で学習効果があがっていた。研究で開発したプログラムは一定の学習効果を得たことが確認できた。しかし、認知度の上昇が完全ではなかったことや、プログラム構成に課題も多く見つかったことから、今後の活動に活かすため、今回の活動を改善する必要がある。また、一過性の活動で終わらせるのではなく、普及させていくことが課題である。
  • 第7回 冒険遊び場づくり活動団体実態調査の結果より
    梶木 典子
    セッションID: 3F-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 冒険遊び場とは、「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとし、廃材を利用した木工、たき火、料理、穴掘り、木登り等、子どもの遊び心を刺激する遊びを可能にした遊び場である。その運営は地域住民によるものが大半である。本研究では、全国各地で展開されている冒険遊び場づくり活動の実態を明らかにし、課題を抽出することを目的とする。
    方法 全国の冒険遊び場づくり活動を実施している416団体を対象に、アンケート調査を実施した。調査期間は2016年11月~12月、有効回収数は204件(回収率49%)。の概要は表1のとおり。有効回答数は212件、回収率は53.1%であった。
     結果 冒険遊び場の活動団体は関東地方に最も多く41.7%であったが、全国各地に広まりをみせている。活動開始年は2000年代以降が多い一方で、活動場所や後継者、資金が理由となり活動を終了した団体もみられた。活動頻度は、月1回から数回が44.1%で最も多く、常設(週3日以上)は13.1%であった。活動場所は、都市公園や公共管理地が多く、約7割が公共用地で活動していた。運営形態は、行政から委託・補助を受けている団体は33.5%、この方法以外で行政から支援を受けている団体は35.1%であった。冒険遊び場活動に不可欠なプレーリーダーの配置は、「いる」が79%であったが、その雇用状況には課題がみられた。(本研究は2016年度卒業生:大島瑞希との共同研究である)
  • -女子大学生の自宅における行為からの分析-
    小池 孝子, 野﨑 葵, 定行 まり子
    セッションID: 3F-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 現代の住まいにおける和室の使われ方を分析することにより、今後の住宅内における和室のあり方について検討をおこなう。
    方法 女子大学生を対象に、自宅における和室の有無、室配置、和室での生活行為について質問紙調査により分析する。調査対象者数は489人である。
    結果 対象とした女子大学生の自宅のうち和室がある家は69.1%であり、東京都では51.0%にとどまった。 住居形態別では、戸建て住宅では70.9%、集合住宅では63.8%の住宅に和室があった。和室の配置の形式は、廊下のみと接する独立間、他の室と連続する続き間、室の一部のみが畳敷きとなっている和洋室の3つに大別され、それぞれの割合は30.1%、67.6%、2.3%となっており、特に集合住宅では続き間が多くなっている。和室の使用目的では、独立間は個室としての使用が多いが、玄関脇の独立間などでは客間としての使用もみられる。続き間はリビングと連続するものが大半を占め、多目的室、寝室としての使用が同程度あり、団らん室、家事室としての使用もみられた。和室を含む住宅内で女子学生が行う行為では、和室では個人的行為のほか家事手伝いなどさまざまな行為が行われているが、行われている行為そのものが少なく、和室があまり利用されていないことがわかった。
  • 高田 宏, 水馬 義輝, 佐々木 直之
    セッションID: 3F-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 家庭における親子の省エネ意識・知識・行動及び水・エネルギー消費の実態を明らかにすることを目的とし,2014年8月からモニター住宅を対象としたアンケート調査及び実測調査を行った。2015年10月からの継続調査では,各世帯に省エネ行動目標の提示と生活の振り返りの介入方策を取り入れた。本研究では,その効果を検討する。
    方法 広島市・呉市近郊の11世帯を対象として,I期(2014年8月~2015年2月),II期(2015年10月~2016年9月)の夏期,中間期,冬期に,省エネ意識・知識・行動のアンケート調査と水・ガス・電気使用量の実測調査を行った。
    結果 子どもの省エネ意識は大人に比べて低いが,地球環境問題への関心や生活での環境への意識が「全くない」という子どもの回答は減少傾向にあった。省エネに対するイメージは,子どもの回答の変化が大きく,大人の回答に近づく傾向がみられた。各世帯の生活における省エネ行動の平均実行割合をI期とII期で比較した結果,省エネ行動目標を提示したII期に実行割合が高くなる世帯もみられたが,その差は僅かであった。また,省エネ行動を意識して生活した前半週と,さらに省エネ行動ができかたどうかの生活の振り返りを行った後半週の1日あたり水使用量を比較した結果,振り返りを行った後半週の水使用量の減少傾向がみられた。以上より,目標提示や振り返りが水使用量の削減に寄与することが示唆された。
  • 八木 廉子, 菊岡 泰平
    セッションID: 3F-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 ライフスタイル,居住環境,花粉やPM2.5等の外気変化の要因から,衣類乾燥スタイルが変化,多様化し,常に室内で洗濯物を干す(以下,室内干し)が4割に達している1)
    LCA分析により排出CO2量は,洗濯機の製造や洗濯工程よりも,乾燥工程での排出CO2 量が多く,洗濯乾燥機普及によりさらなる増加が指摘されている2)
    そこで,(1)衣類乾燥除湿機,家庭用ルームエアコン(以下,RAC)による「室内干し」,(2) 電気衣類乾燥機や洗濯乾燥機(「機械乾燥」)による衣類乾燥,について,乾燥時間と省エネルギー効果の観点から検討し,環境負荷の少ない室内での衣類乾燥方法の提案を目的とする.

    方法 (1) 洗濯物2kgを乾燥させ,乾燥率97%までの乾燥時間,消費電力量,吹出し,吸込みの温湿度を計測した.
     (2) 洗濯乾燥機や電気衣類乾燥機を,洗濯物2kgをコースに合わせて運転し,消費電力量等を測定した.

    結果 (1) 「機械乾燥」よりも「室内干し」の方が,消費電力量は少なかった.
    (2) RAC,衣類乾燥除湿機単体よりも,扇風機を併用した方が乾燥時間は短く,扇風機との合計の消費電力量は少なかった.
    (3) 室内干しでは,夏期は扇風機併用2時間以上長くなっても省エネルギー効果が認められなかったが,冬期は扇風機併用の使用時間が長くなるほど省エネルギー効果が若干認められた.
    (4) 衣類乾燥除湿機による室内干しの,部屋の広さによる乾燥時間等の差は認められなかった.

    [文献]   
    1)小渕真弓ら;洗濯物の室内干しに関する調査研究,佐賀大学文化教育学部研究論文集,20(1),111-12,(2015)
    2)山口庸子ら;ソーシャルLCAを用いた家庭洗濯の環境負荷の評価,日本エネルギー学会誌,Vol.83 No.12,1021-1029,(2004).
  • 辻本 乃理子
    セッションID: 3F-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】介護が必要でない元気で自立した生活を送る高齢者の緑行動の現状と希望する緑行動および緑行動を実行するための要因を把握し、高齢者への自然環境学習・活動支援の必要性を明らかにした(今津(辻本)2000)。今日における高齢者の緑行動の現状から自然環境学習・活動支援の必要性や支援のあり方を検討するため、近年の高齢者の緑行動の現状と講座受講決定に関する要因について考察する。 【方法】調査対象は、シニア世代をターゲットにした自然環境リーダー養成講座開講23年が経過した「NPO法人シニア自然大学校」の「シニア自然大学校自然に親しむ講座」平成28年度昼間部入学者である。調査方法は、調査票によるアンケート調査とし、調査票配布回収方法は、講座開講日にアドバイザーより配布、その場で回答、回収を行った。調査実施は2016年5月。 【結果】講座入学生の高年齢化がみられた。講座受講前の緑行動については、「専門性」「集団性」を伴う緑行動は積極的に行われていなかった。実施したい緑行動についても「専門性」「集団性」を伴う緑行動への希望は少数であった。実施したい緑行動のために必要な要因として、最も必要な要因は「健康であること」であった。また、緑行動を講座受講の決定に関して、「少し迷った」「かなり迷った」理由として、「時間的余裕」の他に「講義や実習についていけるか」や「講座の内容が期待できるものか」があがった。
  • 村田 順子, 田中 智子
    セッションID: 3F-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 本研究は、人口規模が小さく、かつ低人口密度の地域において、出来るだけ地域内居住の継続を可能とする「住まい」と「生活支援」のあり方について明らかにすることを目的としている。日本の高齢者福祉はスウェーデンの取り組みに影響を受けてきた。これまでストックホルムなど都市部での研究は蓄積があるが小規模地方都市の状況については把握されていない。本報では、スウェーデンの地方都市における高齢者福祉の実態を「住まい」と「生活支援」の視点から明らかにした。
    方法 スウェーデンの人口1万人以下のコミューン(市)2ヶ所、N市とA市を訪問し、高齢福祉の関係者にヒアリング調査を実施した。調査は2015年3月に実施した。N市は若い世帯の流入があり高齢化率は17%、A市は退職後のUターンや社会的弱者の都市部からの流入により高齢化率24%で上昇傾向にある。
    結果
    スウェーデンでは市の規模に関わらずニーズがあれば在宅ケアと在宅医療を24時間体制でサービスを提供しなければならない。近年は特別住宅の入居が減少し、在宅で介護を受ける人が増加傾向にあるが、小規模市では在宅センターが1ヶ所で、在宅ケアと在宅医療が緊密に連携を取り、迅速にサービスを提供することが出来ていた。人手不足を様々な技術活用等で補っていた。一方、ニーズは高いが高齢者住宅が不足または整備されていなかった。財政が厳しく、良い人材の確保が困難なこと、サービスの効率化が課題としてあげられた。
  • 藤本 佳子, 中迫 由美
    セッションID: 3F-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    研究目的: 熊本地震による被災状況を把握し、復興への道筋をつける段階の管理組合における問題点を明らかにすることを目的とする。
    調査の方法:熊本市の全マンションの管理組合理事長を対象に、「被災マンション相談」を、特定非営利活動法人熊本県マンション管理組合連合会主催(略して熊管連)、特定非営利活動法人全国マンション管理組合連合会、一般社団法人日本マンション学会、全国マンション問題研究会、一般社団マンション計画修繕施工協会共催で2016年5月14日(土)、15日(日)10時から18時の2日間被災マンション相談会を熊本市内で開催した。筆者も相談員として2日間参加した。相談会時の相談票(阪神大震災時のものを参考に筆者らが作成)をもとに、集計・分析した。
    調査の結果:相談を受けたのは(熊管連集計)、相談票176件、参加者は延べ380人である。管理組合数では103組合である。被災マンション相談会で、明らかになったのは、(当時、分譲マンションの罹災証明申請を熊本市が未受理)罹災証明が取得できない、被災マンションへの支援制度の内容、非常時における管理組合運営の仕方などの相談が多かった。震災復興からいえば、発生直後の時期が過ぎ、「応急危険度判定」が自治体から派遣された建築士により判定され、被災度の調査および復旧の要否の判定であり、罹災証明書を提出するために必要な「被災度判定」のために申請を待っている状態であった
  • 農業交流連携拠点施設「トレッタみよし」の事例について
    柳井 妙子, 柳井 徳磨
    セッションID: 3F-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的

    わが国の中山間地域の大半は農林業が盛んな地域であったが、現在では農林業の従事者が高齢化し、後継者も不足している。しかし、消費者の立場に立てば、食の安全・安心、地産地消の観点から地場の農作物に関心が高い。消費者と農業従事者との交流する場が存在することで、農業関連の販売者は消費者のニーズを把握し、新たな工夫によって地域の経済的効果が高まる可能性は高い。そのことが農業従事者の農業に対する意識向上につながり、中山間地域活性化の要因となると考える。今回は、自治体が仕掛けた農業交流連携拠点施設を地域活性化の「場」とし、そこに関わる農業従事者や消費者、行政、施設運営者を構成員として地域活性化の試みを実施している「トレッタみよし」を事例として現状を知見し報告する。

    方法

    農業交流連携拠点施設「トレッタみよし」の管理者である「(株)広島三次ワイナリー」の指定管理者に聞き取り調査を実施する。そこで、「トレッタみよし」が2015年に開業後、農畜産物、それらの加工品や商工品の出荷会員数や出荷量、及びレストランの利用者数、また、「トレッタみよし」での交流の現状を把握する。

    結果

    農業交流連携拠点を新設する段階では、行政が主体となって専門家に施設の設計やディスプレイの提案を依頼した。開業後、指定管理者である「(株)広島三次ワイナリー」により、「トレッタみよし」が田舎のオアシスとなるように消費者、及び生産者の目線に立脚して常に工夫を凝らしている。
  • 野村 理恵, 森 傑, 藤巻 美里
    セッションID: 3F-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    少子高齢化が顕著である農村地域において、増え続ける空き家の利活用と高齢者の地域内での住み続けを支える仕組みづくりは全国的に課題となっている。本研究では、特に積雪の多い地域に着目し、「冬期集住」の取組みを事例として、積雪寒冷地の農村という条件のもと、地域居住を持続させる方策を検討することを目的とする。 調査対象は、豪雪地帯特別措置法及び過疎地域自立促進特別法が適用されている365自治体に対して、電話によるヒアリング調査にて冬期の居住支援が確認でき、質問表調査の回答のあった15施設のうち、協力の得られた7件に対して現地調査を実施した。調査期間は 2016 年 4 月〜2017 年 1 月である。 長年事業が継続されている地域では、通所施設と異なり近隣関係を維持しながら季節による居住拠点移動が行われており、体力の低下等を要因とした地域外への転出を防ぎ、住み慣れた地域での生活を維持できるという点で、効果があると考えられる。しかし、新たに事業を進めようとした地域では、地域住民の自発的な取り組みや需要が顕著にみられない傾向がある。他の福祉・介護サービスがある中で、冬期集住施設の役割を明確に位置づけ、どのような高齢者にとって有効であるのかを実証しながら、地域居住を維持するうえでの適正な施設の立地検討や、集住時の人間関係のなどに配慮した室内配置計画、改修計画に加え、経年的な運用計画が求められる。  
  • 平田 陽子
    セッションID: 3F-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】近年、海外からの観光客が年々増加傾向にあり、ホテル不足の状態である。そこで注目されているのがAirbnbであり、一般には「民泊」と呼ばれている。この民泊は、近隣住民への周知や宿泊者の滞在期間の最低日数など、旅館業法でみると違反の状態である。また、マンション居住者の間で迷惑な事態が発生している。そこで、民泊における問題の発生状況と、マンションの居住者の認識状況を明らかにする。

    【方法】調査対象地は大阪市浪速区難波地域に存在するマンションの居住者を対象としてアンケート調査を実施した。配布は2016年10月~11月、回収は12月10日を閉め切りとした。配布数は38マンションで1519票、回収は52票、回収率は3.4%であった。

    【結果】①今後の民泊増加に対する意見を尋ねると、民泊の存在するマンションでは72%が「反対だ」と回答したのに対して、民泊が行われていないマンションでは50%であり、大きな差が生まれた。②民泊によるトラブルを尋ねると、「騒音等」、「共用部分の傷みが激しい」、「ごみの分別ができていない」、「見知らぬ人が出入りする不安」を多くの居住者が挙げた。③今後、マンションに居住し続けるかどうかを問うと、「今すぐにでも引っ越したい」と回答したのは、民泊が行われていないマンションでは引っ越し希望は0%であったが、民泊が存在するマンションでは4割の居住者が「引っ越したい」と回答しており、大きな違いがある。
  • 花輪 由樹
    セッションID: 3F-14
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【研究背景と目的】1979年にドイツのミュンヘンで始まった子どもが仮想都市をつくる遊び「こどものまち」は、現在日本に80地域ほど広まっている。これはロジャー・ハートが提唱した、持続可能なコミュニティづくりの指標『子どもの参画』(2000)の事例としても注目されている。本研究では、味噌をテーマに大学生に考案させた仮想都市「味噌タウン」づくりに、「子どもの参画」への案がどのようにみられるのか探ることを目的とした。【方法】2016年9月~2017年1月に、関西地区A大学の「地域教育論」で、味噌をテーマに授業展開をした。15回の授業のうち郷土料理や、味噌に関する料理、仮想都市の遊び場づくり、「子どもの参画」概念の紹介、4グループに分かれて味噌タウンの模型づくりなどを行わせた。本研究では期末テストに記載させた、自分のグループが他グループの「味噌タウン」と繋がる仕掛けについて、ロジャー・ハートの「参画のはしご」を用いて考えさせた案を分析した。【結果】受講者24名中、全員の回答があった。「参画のはしご」にある8パターンのうち、1つの「味噌タウン」づくりの活動の中で、例えば「子ども主体の活動に大人も巻き込む」パターンや、「大人主導ではあるが意思決定に子どもを参画させる」パターンなど、各「タウン」に各パターン1つを設定するアイデアが多く見られた。また中には、1つの「タウン」の中でも、その時々によってパターンが重層的に変化していったり、同じ「タウン」内でも仕掛けごとに「参画のはしご」が異なるような案を出す者もいた。
  • ***** *****
    セッションID: 3F-15
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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  • 榎本 ヒカル
    セッションID: 3G-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的> 著者らは2013年に一般的な事務所9フロアの温熱環境の測定と,そこで働く人延べ650人を対象としてアンケート調査を行い,快適性を中心に検討を行った1)。本稿はこの2013年度調査の結果のうち,特に室内外の温熱環境と着衣状況について,異なるフロアでの関連性の検討を試みたものである。

    方法> 調査は2013年の夏期,中間期,冬期に行った。調査対象は一般的な事務所とし,東京都心にある5社6フロアと岐阜県岐阜市の事務所1社3フロア,合計6社9フロアであった。各事務所では夏期,中間期,冬期に1日ずつ調査を行った。調査時間は各事務所において概ね始業開始時から終業時までであった。

    結果> 事務所の温湿度は概ね建築物衛生法の基準範囲にあったが,中間期や冬期には開口部の開け閉めや空調機の差の影響がみられた。また勤務者の着衣量は,夏期<中間期<冬期の順に多かったが,外気温による影響が示唆され,室内の着衣量は外気温が低い日に多く,高い日に少なくなる傾向が認められた。夏期や中間期には室温が一定を超えると,PMV値は男女とも「暑い」環境となるフロアがみられた。夏期や中間期の事務所においては着衣量の調節だけで快適状態にすることは限界があると考えられる。

    文献 1)榎本ヒカル他,節電要請期のオフィス内温熱環境と勤務者の快適性評価に関する調査,人間と生活環境,23(2),39-47,2016.
  • 傳法谷 郁乃, 小柴 朋子
    セッションID: 3G-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 空調を個別に調整することが困難な大学講義室内では,着衣行動による温熱的快適性の確保は有効な手段である.先行研究では講義室内の温熱環境に着目した調査が多く,学生の着衣行動については十分に明らかにされていない.本研究では,冷房利用される夏期に着目し,大学講義中の室内温熱環境に対して学生がどの程度の着衣行動をとっているのか明らかにすることを目的とし,温熱環境計測およびアンケート調査を実施した.
    方法 2016年7月にA大学及びB大学にて,講義中の室気温と湿度を計6日間測定した.受講する学生は講義の前後に,温冷感や快適感,着衣量,着衣行動などについてアンケートに回答した.着衣量はアンケート調査を基に推定し,風速0.1 m/s,代謝量は1.2 met,平均放射温度は測定した室気温と等しいと仮定して,PMV及びPPDを算出した.
    結果 講義中の温熱環境をちょうどいいと回答した学生は60 %未満で,女子学生に比べ男子学生は暑さ・寒さを感じても着衣行動をとっていなかった.講義室内の最低気温下において,着衣行動をとっていない学生は-0.68 < PMV < 0.23 と,ちょうどいい~やや寒いと感じる着衣量であり,着衣行動をとった学生のPMVは±0.50 の範囲内であった.夏期の講義中は,冷房の温度管理と学生自身が持参する衣服による着衣行動を促す必要があることが示唆された.
  • 澤島 智明
    セッションID: 3G-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 居住者が日常生活において、夏はより涼しい場所、冬はより暖かい場所に選択的に滞在するなど、滞在場所や生活パターンを季節に合わせて変化させれば、暖冷房エネルギーを削減できる可能性がある。本報では冬期の滞在場所選択を含めた居住者の環境調節行為について、中高齢者を対象に行ったアンケート調査の結果を報告する。
    方法 佐賀大学主催の「中高齢者のための健康教室」参加者を対象に冬の暖の取り方に関するアンケート調査を行った。主な質問項目は①暖房・採暖器具の使用②防寒の工夫③冬の滞在場所・生活パターンの変化③省エネルギー意識や価値観である。有効回収数は77票(有効回収率70%)、回答者の年齢は60代、70代が多く、性別は女性が9割を占めた。
    結果 防寒の工夫の実施率は高く、14項目のうち8項目で実施率が50%を上回った。特に、温かい食べ物・飲み物をとる(88.2%)、部屋の戸をきちんと閉める(86.8%)、敷物やカバーを冬物に替える(85.3%)、厚手の靴下やスリッパを履く(72.1%)の実施率が高かった。また冬期には、「リビングや茶の間(62.0%)」「こたつや電気カーペットのところ(52.1%)」「ストーブやファンヒーターのそば(50.7)」での滞在が増え、「暖かい日中に仕事や家事を済ませる(62.9%)」「朝起きる時間が遅くなる(51.4%)」ことが多くなるなど、様々な工夫や生活の変化によって寒さに適応していた。
  • 飯野 由香利
    セッションID: 3G-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的
     大学寮における冬期の居住環境の実態を把握し、夏期と冬期における居住環境の問題に対する検証実験を行い、改善策を提案する。

    方法
     N大学のA・B寮の空き室、居室、廊下、脱衣室、補食室の温湿度を2015年12月~2016年2月に計測し、測定期間中に2回これらの空間の表面温度と風速を測定した。一方、冬期における温冷感等の居住環境評価、居住環境問題や防寒対策等に関するアンケート調査を行った。さらに、冬期における熱伝導や冷放射及び隙間風等による寒さや結露の問題と、夏期における日射入射や夜間の高室温保持等の問題に対する改善策を提案して検証実験を行った。

    結論  知見を以下に示す。
    1)冬期の寮生室において、窓の表面温度が低いことによる冷放射や隙間風の流入、低温な床面での熱伝導や冷放射の影響により、無暖房時において寒い側の評価の割合は90%以上であった。また、2壁面からの放出熱量が大きい角部屋の室温は中部屋より低い。
    2)寮生室における結露発生割合はA・B寮で71%・48%であり、特に窓面や窓枠での発生割合が高い。検証実験により、壁から家具背面までの距離を3cm以上離すことにより湿度の上昇を緩和できることを確認した。
    3)床面に断熱材やアルミシートを、窓面に隙間テープ・プチプチシートを設置することにより、室内側表面温度を上げる対策を示した。
    4)夏期によしずを設置すると日中の窓近傍の温度上昇を抑える対策や夜間に欄間窓を開放して温度差換気により室温が低下す対策を示した。
  • 安岡 絢子, 都築 和代
    セッションID: 3G-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 温熱環境の変化が、疲労や作業効率の影響因子になることが定性的にわかりつつあり、適切な温熱環境の調整が疲労軽減や作業効率向上といった執務者の便益向上に寄与すると考えられる。しかし、温熱環境、疲労、作業効率の相互影響は十分に解明されていないことから、異なる温熱環境における疲労時の生理心理量と作業効率の関係を検討する被験者実験を行った。
    方法 人工気候室で統制した22、25、28、32℃(RH50%一定)の各条件において、生理心理量(皮膚温、心拍数、温冷感等)及び作業効率を決定する主要因である認知機能をPC作業によって測定した。認知機能は、オフィス作業に必要と考えられる4つの認知機能(課題への適応能力、長時間の集中力等)とした。被験者は2時間の睡眠不足により疲労状態にある47名の青年男性(20-40歳)で、2016年8~10月に実施した。
    結果 皮膚温は低温側条件ほど末梢部皮膚温が低下し、皮膚温の部位差は大きくなった。25、28℃条件は部位別温冷感の差が小さく、心拍数及びストレス指標の唾液アミラーゼ活性値が、実験後に有意に低下した。課題への適応能力の遂行機能に関する課題について、正答時反応時間と温度条件との間に交互作用が認められ、28℃条件は反応時間が有意に速くなった(P<0.01)。皮膚温、温冷感が温熱中性範囲に含まれた28℃条件における課題への適応能力に関する作業効率が高いことが明らかになった。
  • -省エネ行動実施に繋がる方法の検討-
    佐々 尚美, 出野 希美
    セッションID: 3G-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】環境問題に関心は高いが具体的にどうしたら良いか分からない者が多く、具体的な提案が求められている。本研究では、環境意識が向上し、具体的な行動の実施に結びつくことができる方法を検討することを目的に、女子大生を対象として、アンケート調査及び実測調査を実施した。 【方法】省エネ行動の実施や継続に関するアンケート調査を2016年7~8月に134名を対象に実施した。実測調査は2016年8~9月に12名を対象に、人体周囲温及び生活行動、冷房器具使用状況、主観申告などを測定した。1日目は普段通りの生活を送り、その後2日間省エネを心がけた生活を送ってもらった。 【結果】「冷房器具は不要な時はつけっぱなしにしない」等の「省エネ行動」の実施を促す方法として取り組みやすいと、約60%が「行動一覧表を家の目につきやすい場所に貼る」を挙げ、次いで約50%が「省エネ行動に関する情報を発信するSNSをフォローする」を挙げた。またメッセージ内容は、省エネ行動による効果を具体的な金額にて示す方が取り組みやすいとした。実測調査では、SNSによる省エネ等に関するメッセージ受信群と非受信群に分けて実施し、メッセージ受信群の方が普段通りでも省エネを心がけた生活でも人体周囲温は高く、省エネを心がけた方がその差が大きくなった。
    本研究は文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C)課題番号16K00804)により実施した。
  • 藤平 眞紀子
    セッションID: 3G-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】わが国では、竹は古くから日常の生活用具の素材として、また建築材料として欠かせないものであった。しかし戦後、生活様式の変化とともに竹の需要は激減し、管理放棄された竹林が拡大した。近年、資源としての竹の有用性が見直され、技術の向上により竹材の新たな活用方法が検討されている。本報では、竹フローリング材に着目し、内装材としての使用の可能性を検討した。【方法】竹材の積層方法の異なる竹フローリング材4種を対象として、吸放湿性、歩行衝撃性を調べた。また、女子学生を対象として、竹フローリング材の印象評価試験を行った。【結果】竹フローリング材は竹材の積層方法によって吸放湿性が異なり、縦積層および横積層ではスギ材よりも吸放湿しにくいことがわかった。また、竹フローリング材は広葉樹(ハードメイプル)フローリング材に比べて反発係数が大きく歩行衝撃が大きいことがわかった。さらに、印象評価試験より、竹材の節や積層による模様から住宅の内装材としての使用に消極的な意見が多かったものの、居間などでのアクセント的な使用や、玄関など面積の狭い、滞在時間の短い場所での使用には良い評価を得た。また、美術館や店舗などでは特別な空間の演出に効果的との意見もあった。以上のことより、竹フローリング材は表面の硬さ感および節や積層の模様のデザインを活かしていくことで内装材としての使用の可能性が広がると考えられる。(本研究は2016年度卒業生 北村穣との共同研究である)
  • 萬羽 郁子, 山田 麗美, 東 賢一
    セッションID: 3G-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、森林整備や地域活性化を目指し、公共建築物や居住空間での木材利用が推進されている。本研究では、自然素材と新建材による内装の違いが在室者の心理・生理反応に及ぼす影響について検討した。
    方法 実験は2016年10月に愛知県一宮市にある実験棟で行った。大学生12名を対象に、杉無垢材等の自然素材による内装のA室と新建材による内装のB室の評価をクロスオーバー法で行った。2室とも遮光メガネ、マスク、スリッパにより感覚刺激条件をコントロールした5条件(条件0:全て制限、条件1:視覚のみ、条件2:視覚・嗅覚、条件3:視覚・触覚、条件4:視覚・嗅覚・触覚)で観察し、質問紙への回答と脈波測定を行った。
    結果 「見た目の嗜好度」と「総合的な嗜好度」について、B室に比べA室が、条件0に比べて条件1~4が好まれていた。POMSの結果からA室はより「F(友好)」的な雰囲気であり、空間印象評価の結果からより「あたたかい」「自然な」「伝統的な」と評価された。脈波測定より、条件1に比べて2および4では交感神経優位で活性化をもたらしたが、内装による違いはみられなかった。以上の結果から、内装による雰囲気の違いや嗅覚刺激の影響が大きいことが示唆された。
    謝辞 本研究は、株式会社エコ建築考房との共同研究として実施しました。
  • 東 実千代, 佐々 尚美, 久保 博子, 磯田 憲生, 浜田 信夫
    セッションID: 3G-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 エアコンの普及率は92.5%(2016年内閣府調べ)となり、熱中症を予防するうえでも適切な使用が望まれる一方で、冷房時にエアコン内部は結露しやすく、真菌汚染の被害を受けることがある。真菌はアレルギー疾患の原因となりうることが知られているが、近年、病原性のある好温性真菌も室内塵等から検出されている。そこで本研究では、エアコンの内部の一般真菌および好温性真菌による汚染状況を実測調査し、汚染度に影響する要因を検討する。

    方法 近畿圏の6件の住宅における19台のエアコンを調査対象とした。使用年数は2年から14年である。真菌の測定はふき取り法(Pro-mediaST-25,ELMEX)とし、吹出口と送風ファンからサンプリングした。25℃培養条件では、サンプルの汚れ度を目視評価して希釈倍率を調整し、0.5mlずつDG18培地の入ったシヤーレに接種、40℃培養条件ではサンプルをそのまま接種した。25℃条件の培養期間は7日から9日間、40℃条件は3日から4日とした。実測は2016年7月と10月に実施した。

    結果 一般真菌については、吹出口からは0~4,800cfu/㎠、送風ファンからは0~73,000cfu/㎠検出され、夏季、秋季ともに吹出口よりも送風ファンからの検出数が多かった。検出頻度が高かったのは、CladosporiumやPenicilliumであった。40℃条件では真菌数は少ないものの7台から、A.niger,A.fumigatus,A.flavus等が検出された。掃除機能の有無や埃の量、室内温熱環境、設置階数等と真菌数との関連性が確認された。
    本研究は文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C)課題番号15K00769)により実施した。
  • 深井 尚子, 駒場 ゆかり, 加藤 真弓, 古村 洋子, 桐井 まゆみ
    セッションID: 3G-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的  大掃除は日本で広く行われている年末行事であるが、女性の社会進出や汚れにくく手入れしやすい住宅設備の普及が進む中、その意義ややり方は変化している可能性がある。そこで、年末の大掃除を中心とした掃除の実態調査を実施した。

    方法  ①20~60代の首都圏在住既婚女性(n=1000+20代オーバーサンプル147)を対象にしたインターネットアンケート(時期:2016年9月、2017年1月)
             ②20~60代の首都圏在住既婚女性(n=15)を対象にした家庭訪問インタビュー(時期:2016年3~7月、11~12月)

    結果  年末の大掃除の実施理由は、「新年を気持ちよく迎えたい」「我が家の恒例・習慣だから」という風習を意図した考えが多く、年代が上がるにつれその割合が高くなる傾向が見られた。しかし、年末におこなうことには「忙しい」「寒くてつらい」「気温が低くて汚れ落ちが悪い」などのストレスも感じており、年末年始以外に大掃除を実施した世帯も見受けられた。
       一方、「できるだけ家をきれいに保ちたい」という意識は若年世代で高く、年末の大掃除まで汚れをためず、数か月ごとに普段のやり方とは別の掃除をしている世帯も多かった。
      自身や家族のスケジュール、季節性などを加味して大掃除の時期をずらしたり何度かに分けて行う、あるいは大掃除を待たずして汚れをリセットするなど今どきの掃除への取り組み方が見られた。
口頭発表 5月28日 食物
  • 及川 大地, 野口 華奈美, 横田 望来, 鈴木 真由子, 平田 千佳
    セッションID: 3H-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 長崎県の五島列島はツバキ油の生産地であり、塗布および食用として利用されてきた。ツバキ油はオリーブ油と同様、オレイン酸の含有率が高い油脂である。しかし、食用として世界的に使われているオリーブ油に比べて、ツバキ油は認知が乏しい。 そこで本研究では、調理科学への基礎的知見を想定し、加熱したツバキ油またはオリーブ油の摂取が肝臓を中心とした脂質代謝機能にどのような影響を及ぼすのか検証することを目的とした。  方法 4週齢のICR雄マウス24匹を個別ケージにて馴化後、4群(n=6)に分け、4週間飼育した。設定した群は、AIN93Gの油脂源を7%ツバキ油に代替した"ツバキ油群"、加熱した7%ツバキ油に代替した"加熱ツバキ油群"、7%オリーブ油に代替した"オリーブ油群"、加熱した7%オリーブ油に代替した"加熱オリーブ油群"である。加熱ツバキ油およびオリーブ油は、180℃のアルミブロックヒーターで各油を1時間加熱して作製した。飼育終了後、解剖により採取した精巣上体脂肪、腎臓周辺脂肪および肝臓の重量を測定し、さらに肝臓はトリアシルグリセロール(TG)、総コレステロール(T-Chol)を測定した。血漿はTG、T-Chol、遊離脂肪酸(NEFA)の測定およびGlutamic oxaloacetic transaminase (GOT)活性、Glutamic pyruvic transaminase (GPT)活性の測定を行った。統計解析は二元配置の分散分析の後、p≤0.05の時Tukey-Kramer法を用いて検定した。  結果 摂食量は全群で差がみられなかった。しかしながら体重増加量および精巣上体脂肪重量は、加熱することで非加熱油の摂取より重くなった。血漿分析において、加熱群のT-Chol濃度は非加熱群より高くなった。肝臓の脂質分析では、ツバキ油群のT-Chol量がオリーブ油群より有意に増加した。また、ツバキ油群は加熱ツバキ油およびオリーブ油群よりも高い傾向にあった。
  • Nong Quynh Nga, 萱島 知子, 畑中 悠花, 柴田 紗知, 上野 純弥, 永尾 晃治, 松原 主典
    セッションID: 3H-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 神経細胞保護作用と脳機能改善作用を示すローズマリー成分カルノシン酸(CA)について、抗ストレス効果を検証するために、拘束ストレス負荷マウスの腸内細菌叢や炎症性サイトカインに対する影響を第68回大会にて報告した。本研究では、さらに詳細な影響を明らかにするために、拘束ストレス負荷マウスの腸内環境、血清・肝臓因子に対するCA摂取の影響を検討した。
    方法 Balb/c雄マウス(5週齢)をノーマル群、拘束ストレスを負荷したストレス群、CAを摂取させ拘束ストレスを負荷したCA群の3群に分け、30日間飼育した。CA群には50 μM CAを飲水として自由摂取させた。7日間1日5時間の拘束ストレスを与えた後、解剖し、血液・肝臓成分の分析、腸内細菌叢の解析、小腸・大腸の組織化学的評価及び遺伝子発現の分析を行った。
    結果 ストレスホルモンの一種である血清コルチコステロン濃度について、ノーマル群と比較し、ストレス群での有意な上昇が確認され、CA群ではこの上昇が抑制された。また、小腸でのHSP70の遺伝子発現について、ストレス群での有意な上昇がCA群では抑えられた。これより、CA摂取が拘束ストレス負荷マウスに対して、好ましい影響を与える可能性が示唆された。一方、肝臓トリグリセリド含量について、ストレス群での低下が確認されたが、これに対するCA摂取での改善効果はみられなかった。
  • 上島 恭子, 水上 友里, 狩野 紅子, 南 麻由子, 森本 恵子
    セッションID: 3H-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉 女性では閉経期である50歳台を境として肥満罹患率が増加する。女性ホルモンのエストロゲンは摂食抑制作用、抗肥満作用を示すと言われているが、女性ホルモンが脂質摂取量に与える影響については不明な点が多い。そこで本研究では閉経前後の中高年女性を対象にして、閉経が口腔内脂肪酸感受性を変化させ、脂質摂取量に影響を与える可能性について検討を加えた。

    〈方法〉 健康な45歳~55歳の中高年女性(閉経前女性:9名、閉経後女性:11名)を対象に実験を行った。閉経前女性では月経期の1日、閉経後女性では任意の1日を実験日とした。口腔内脂肪酸感受性は、全口腔法による3肢強制選択法を用いたオレイン酸の検知閾値を測定することで評価した。さらに植物油の濃度を4段階に変化させたスープを用いて脂肪嗜好性の評価実験を行った。続いて、軽食による自由摂食実験を実施した。加えて各実験日前後2日間の食事調査と活動量調査を行った。

    〈結果〉 閉経前女性(平均47歳)に比べ閉経後女性(平均53歳)では口腔内オレイン酸閾値の増加が認められた。しかし、自由摂食実験および食事調査により測定した脂質摂取量には閉経の影響は見られなかった。ただし、閉経後女性は閉経前女性に比べ、n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量が増加する傾向にあった。以上より、中高年女性では口腔内脂肪酸感受性は閉経により低下することが判明したが、脂質摂取量の変化は見られなかった。
  • 山崎 圭世子, 藤井 佐紀, 坂番 和, 木下 友理子, 米浪 直子
    セッションID: 3H-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】朝食摂取の有無は味覚に影響を与えることが報告されている。しかし、月経周期を考慮した朝食摂取と味覚との関連は明らかになっていない。そこで本研究では、朝食摂取状況と月経周期が味覚に及ぼす影響について検討した。
    【方法】健常な女子大学生を対象とし、朝食を毎日摂取している者(摂食群)28名、欠食習慣がある者(欠食群)70名について味覚検査および月経周期に関する調査を実施した。味覚感受性・嗜好性検査は、起床時、9:00、12:00、15:00、18:00、就寝前の計6回実施した。甘味1%および5%、塩味0.1%および0.5%、酸味0.01%および0.05%の検査液を用い、ビジュアルアナログスケールにより評価した。味覚閾値検査は、12:00および15:00の2回実施した。甘味0.3~1.2%、塩味0.3×10-1~0.75×10-1%、酸味0.2×10-3~0.2×10-2%の各10段階の濃度の検査液を用い、検知閾値および認知閾値を測定した。
    【結果】甘味5%溶液を用いた味覚感受性検査において、摂食群では12:00の感受性は就寝時よりも有意に高く、12:00をピークに就寝時にかけて低下する日内変動がみられた。低温期では2群間で甘味感受性および閾値に有意差はみられなかったが、高温期においては、欠食群は摂食群に比べて甘味感受性の低下がみられ、また12:00の甘味検知閾値が有意に高かった。これらのことから、朝食欠食と月経周期の両条件が甘味感受性に影響する可能性が示唆された。
  • 和井田 結佳子, 由田 克士
    セッションID: 3H-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的
    川上小は1970年代の「地域に根ざした教育」実践で知られる。当時の給食は教育の一部に位置づき地域と連動したものであり、食文化教育の観点から高く評価されているだけでなく、今日における第三次食育推進基本計画の基本的な取組方針全7項目と包括的に合致する食育実践であった。しかし、これまでどのような経緯で包括的食育実践(以下、本実践)に至ったかは明らかでない。そこで本実践の根拠がどう確立し共有されたかを検討した。

    方法
    2016年10月24日、1970年代当時教頭・教諭・用務員兼調理員計3名の方にインタビュー調査を行った。また、教育実践の一次資料、郷土資料等の文献調査を行った。

    結果
    1970年代末までの給食は3つの実践期①1939年頃~戦前戦後補食給食期、②1960年~弁当米飯給食期、③1976年~自校炊飯米飯給食期に分けられた。本実践は③自校炊飯米飯給食期以降に始まりその期間は10年ほどであった。本実践に決定的な影響を与えた出来事は2つあり、1つは1970年に実施された川上地域実態調査運動である。この調査運動で地域と学校が実践の根拠となる共通の課題を見出し解決に向けて連携を深めていた。もう1つは「給食調理員は職員会議に参加し提案を行うこと」が1975年教育方針に明記されたことである。これにより給食の存在が具体的に学校教育の一部とされ、継続的に課題共有が図られたことで本実践に至ったと考えられる。
  • 木下 友理子, 河本 真由美, 城野 由加里, 山崎 圭世子, 坂番 和, 松本 楓子, 竹村 理子, 米浪 直子
    セッションID: 3H-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:近年、女性においてBMI18.5未満のやせの割合が増加しており、特に20歳代は生活時間の乱れや朝食欠食の割合も多く、次世代を育む若年女性のやせの問題は深刻である。本研究では、女子大学生を対象に食習慣および生活習慣の意識についての調査を行い、体格との関連について検討した。方法:大阪市および京都市内の大学に在籍する女子大生421名を対象とし、2015年10月~12月に質問紙調査を実施した。有効回答数は379名(回収率90%)であった。結果:50項目の回答について因子分析を行った結果、「外食・中食の自己抑制の意識」「食事摂取の意識」「食品の安全性の意識」「運動の意識」「食事のマナー・時間の意識」「食品の選択の意識」「体重管理の意識」の7因子が抽出され、全ての因子間に有意な相関が認められた。BMI18.5未満群と18.5以上群を比較すると「体重管理の意識」の得点において、18.5未満群で有意に低値を示した。重回帰分析の結果から、BMI18.5未満群の「体重管理の意識」因子には、「外食・中食の自己抑制の意識」と「食品の選択の意識」の2因子が関連し、18.5以上群では「運動の意識」因子を入れた3因子が関連していた。以上のことから、女子大学生のBMI18.5未満群では、「外食・中食の自己抑制の意識」、「食品の選択の意識」を向上させて「体重管理の意識」を高める必要があることが示唆された。
  • 朝原 頌子, 今川 真治
    セッションID: 3H-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 小鴨ら(2015)は,幼稚園児と母親への食育の一環として,親が普段調理しない共通の献立を弁当に入れることを指示した。その結果,子どもたちが同じ献立を楽しんで食べ,家庭での親子の会話が増えたことにより,調理に対する親の意識も変化した。弁当の作り手である親の意識は子どもの食経験や心身の発達において重要である。本研究では,日ごろの弁当作りに対する親の意識を明らかにし,弁当作りを通した今後の食育について考察することを目的とする。  
    方法 F幼稚園に在籍する3~5歳児86名の親を対象に,日常の弁当作りや子どもへの食指導に関するアンケート調査を実施した。回答者は全て母親であり,78名から回答を得た(回収率90.7%)。また,全園児を対象に,昼食時に弁当の写真撮影を行った。  
    結果 3,4歳児では,弁当作りに対し肯定的または否定的な感情を持つ親が約半数ずつ見られたが,5歳児では否定的に捉える親はいなかった。これは,弁当作りを長く経験するほど親に慣れや安心感が生まれるためであると考えられる。また,3,4歳児では子どもの苦手なものよりも好きなものを弁当に入れる親が多かったが,5歳児では苦手なものを入れる親の方が多かったことから,子どもの成長とともに親が食育において重視する内容が変化していることが分かった。さらに親の意識と弁当内容との関係について,実際の弁当の写真から考察する。
  • 湯浅 正洋, 赤尾 好彦, 川邊田 晃司, 安部 春香, 冨永 美穂子
    セッションID: 3H-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 地域食品をブランド化することで、地域活性化を図る取り組みが日本各地で推進されている。長崎県南島原市では、新タマネギとして「スーパーアップ(SU)」および「加津佐13号(K13)」が生産されており、これらのブランド化は長崎県の活性化の一助となることが期待されている。一方、新タマネギの葉は傷みやすいため利用されず処分されている。本研究では、南島原産新タマネギのブランド化のために、球および葉の抗酸化性を明らかにした。 方法 南島原産新タマネギは2~3月に収集した。全てミルサーでホモジナイズし、DPPHラジカル消去活性およびビタミンC含量を測定した。比較には長崎市内のスーパーで販売されている上記以外の品種の新タマネギ(コントロール)を用いた。葉についても上述の分析を行い、球部分の結果と比較した。 結果・考察 K13のDPPHラジカル消去活性は、他の2種と比べ約1.5倍高値を示した。ビタミンC含量については、コントロールと比べて他の2種で約1.5倍高値を示した。以上より、南島原産の新タマネギであるスーパーアップと加津佐13号は、他の品種に劣らない抗酸化性を有することが明らかとなった。一方、SU・K13の葉において、球よりもDPPHラジカル消去活性が約3~5倍、ビタミンC含量が約2倍高値を示した。このように、葉は球よりも高い抗酸化性を有することが明らかとなり、利用価値が高いことが示唆された。
  • 高山 侑樹, デュアー 貴子
    セッションID: 3H-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 メープルシロップは,カエデ科のサトウカエデ(Acer saccharum)の樹液を煮詰めて造られる甘味料であり,カナダのケベック州やオンタリオ州,アメリカのバーモンド州といった北米で主に生産されている.
    また,収穫時期により色調や風味が変化するためグレード基準が設けられており,他の甘味料にはみられない特徴を持つ.さらに近年では,機能性に関する研究報告もされていることから,メープルシロップの利用価値は高まると想定される.そこで本研究では,アメリカ(バーモンド州)産およびカナダ(オンタリオ州)産のメープルシロップを用い,産地別による特性差と嗜好差について検討した.
    方法 官能評価は,管理栄養士養成校に在籍する大学生40名(男性13名,女性27名)を対象とした.統計解析には汎用統計ソフトSPSSにて分析した.
    結果 ①三点識別試験において,有意に識別できたことからアメリカ産とカナダ産の味や香りに特徴があることが示唆された.
    ②三点嗜好試験では,アメリカ産よりカナダ産を好む傾向が有意にみられた.カナダ産では「香り」と「甘味」が強いと回答した者が多く,アメリカ産では「青臭い香り」や「苦味のある甘味」と回答した者が多くみられた.
    ③順位法でグレード別の好みについて評価したところ,ライト>ミディアム>アンバーの順に好ましいと回答し,ライトに特徴的な薄い色調とほどよい甘味や風味が好まれる傾向がみられた.
  • 吉松 詩織, 野口 綾花, 楠橋 庸子, 岡本 威明
    セッションID: 3H-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食中毒菌を選択的に培養できるフードスタンプを用いた培養実験において,食中毒菌の採取に適切な時期や食品などは明らかになっていない.そこでフードスタンプを用いた食中毒菌培養実験を構築し,その実験を取り入れた実践授業を実施することで,教育効果や食中毒菌培養実験の有用性を検討することを目的とした.
    方法 食中毒菌を採取する食品を6種類選定し,8~12月の間に毎月,フードスタンプを用いて採取・培養実験を行うことで,培養実験に適する採取時期や食品群を検討した.得られた結果をもとに,実践授業を構築し,愛媛県立M高校理数科36名を対象に実施し,授業前後のアンケートによって教育効果や有用性を検討した.  
    結果 食中毒菌培養実験には,気温が20℃以上ある1学期後半から2学期前半が良いと考えた.また,モヤシから大腸菌・大腸菌群,鶏ミンチからサルモネラ,アサリから腸炎ビブリオが一定量採取できることを確認した.さらに,食中毒予防法における加熱の重要性を示す実験において,加熱時間よりも,加熱温度を変化させる方が,コロニー数の減少を観察しやすいことが分かった.以上の実験結果を用いた実験授業を実践すると,食中毒菌や食中毒予防の三原則の認知度が向上し,食中毒予防法の実践意欲も高まった.授業後に実施したアンケートでは,フードスタンプに対して生徒全員から「面白かった」「分かりやすかった」と回答され,フードスタンプに対して高評価であることが確認された.
  • 石塚 隆雅, 栗田 萌々子, 須山 琴美, 髙木 小羊子, 田中 悠貴, 野村 太郎, 松本 紗季, 渡辺 薫, 石川 章代, 千原 正子, ...
    セッションID: 3H-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:食育基本法制定以後,学校教育において生徒の学習や生活の基盤としての食育が推進され,健全な食生活を実践する人間を育てることが求められている.食に関する指導の手引で文科省は,学校における食育を学校教育のあらゆる場面で展開することを求めている.本発表では,幼稚園から大学部までのどの発達段階の子どもにもそれぞれの畑があり,中高生は毎日日替わり当番制で300人分の自分たちの昼食を調理・片付する自由学園における「食」教育の実践をまとめる.
    方法:文献・資料調査,現・元教職員へのインタビュー調査,在校生・卒業生への質問紙調査ほか.
    結果:創立当時の校舎(フランク・ロイド・ライト設計,重要文化財)も含めてすべての校舎が食堂を中心に設計されており,一世紀に亘る「食」教育を物語る.自然豊かなキャンパスには学校農場があり,生徒はそこで種を蒔き,労して食べ物を育てる.自然の恵みである食べ物を加工調理し,毎日の昼食をともに食卓を囲み,感謝のうちに味わう.食べた後の始末を行い,再び土に還すプロセスのすべてを毎日の実践とともに学ぶ.この「育てる(生産・加工)」「整える(調理)」「味わう(食事)」「始末する(廃棄・再利用)」という循環を学ぶことを通して,子どもたちは人間のいのちが動植物のいのちによって生かされていることに気づく.そして,いのちを育み,いのちをいただくことで,食の大切さを知り,自律した食生活を営む力を身につける.
  • 佐藤 真実, 井場木 桃奈, 山本 真生
    セッションID: 3H-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 エコ意識についてかなり意識している項目は、「買い物袋を持参する」(66.7%)、「食べ残さないようにしている」(60.2%)があげられ、ゴミ削減につながる「食材の廃棄を少なくする」(21.6%)は低い (2016佐藤ら)。本研究は、大学生とその保護者を対象にエコ・クッキングに関する知識や実態を明らかにし、野菜の皮等の有効利用の可能性について検討した。 方法 平成28年10月、学科が異なる大学1年生270名を対象に自記式質問紙法によるアンケート調査を行った。調査項目は、環境問題への意識、エコ・クッキングの知識について、野菜の皮等の利用についてである。単純集計とともに学科間のクロス集計を行った。 結果 環境問題については、学科間に有意差がみられず「少し関心あり」(44%)の割合が高く、「少し取り組んでいる」(55%)の割合が高かった。健康栄養学科では、有意に食品ロスの認知が高く(75.8%)、エコ・クッキングの認知も高い(35.5%)、さらにエコ・クッキングの実施も高かった(40.3%)。エコ・クッキングの実施は、調理頻度に1%危険率で有意差がみられた。野菜の皮等の利用については、「野菜の皮の利用がエコにつながると知っている」割合は71.1%と高いが、実際の利用としては「ごぼうをこそげるだけ」(34.1%)、「セロリのすじを取るだけ」(22.5%)であった。今後の利用可能性について、セロリは「レシピを知ったら調理する」(52.6%)、にんじんは「体に良いことを知ったら調理する」(47.8%)などがあげられた。
  • 束原 史華, 影山 志保, 太田 実, 諸岡 信久
    セッションID: 3H-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー


    目的 甘酒はアミノ酸などが豊富に含まれ、飲む点滴という異名を持つ日本特有の甘味飲料である。現代の日本では冬に温かくして飲まれることが多いが、江戸時代には夏バテ防止に飲む冷やし甘酒が多かった。しかし甘酒には独特の風味があり甘酒が苦手という人も多くいる。そこで甘酒が苦手な人でも飲めるように甘酒と様々な三次機能を持つ牛乳を混合し飲みやすくした飲料を検討した。この飲料は夏の暑い時期、栄養補給ができるバランスの良い栄養飲料として位置付けることをねらった。 

     

    方法 福島県の太田酢店の甘酒と酪王乳業の普通牛乳を使用し、糖度計(ASONE APAL-1)、pH測定器(HORIBA SENSOR)、K⁺測定器(HORIBA B-731)、Na⁺測定器(HORIBA B-722)、Ca⁺²測定器(HORIBA B-751)、塩分測定器(HORIBA C-121)を用いた成分検査と官能検査の結果から配合を検討した。また、配合が定まった飲料の添加物についての検討を行った。

     

    結果 甘酒と牛乳の混合比率に関する官能検査では甘酒40%、牛乳60%の比率が最も高評価であった。次にこの比率をもとに試料を水で希釈した所、甘酒20%、牛乳30%、水50%の試料が官能検査では最も高評価であった。この試料の成分分析結果は、Brix 13.8%、pH6.3、Na⁺150 mg/kg、K⁺570 mg/kg、Ca⁺²110 mg/kg、NaCl 0.02 g/mlだった。次にこの試料にNaClを添加したが、味がくどくなったためCaCl₂に変更し、試料に添加した。その結果CaCl₂添加の試料はNaCl添加の試料よりも後味がさわやかになった。CaCl₂添加試料の成分分析の結果はBrix 11.1%、pH5.5、Na⁺210 mg/kg、K⁺750 mg/kg、Ca⁺²350 mg/kg、NaClとして0.02 mg/100mlであった。
  • 安田 みどり, 田端 正明
    セッションID: 3H-14
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】クロロフィルの緑色は、野菜や緑茶の新鮮さや美味しさの重要な要素となっている。しかし、食品中のクロロフィルは光に弱く、すぐに退色することが知られている。本研究では、クロロフィルの光退色抑制を目的とし、界面活性剤を用いてクロロフィルの凝集状態を調べ、光に対する効果を調べた。
    【方法】クロロフィルとしてクロロフィル-aを用い、0.1 %界面活性剤水溶液(Triton X)に溶解した。クロロフィルの凝集状態については、吸収スペクトル、蛍光スペクトル、円偏光二色性(CD)スペクトルにより調べた。さらに、クロロフィルに紫外線(366 nm)を照射し、その後の色差を測定した。
    【結果】クロロフィル溶液の吸収スペクトルを測定した結果、Triton Xの濃度が高いほど743 nmの吸光度が低くなり、669 nmの吸光度が高くなることがわかった。このことから、Triton Xの濃度が低いとクロロフィルの凝集体が形成され、逆に濃度が高いとモノマー(単分子)となることが明らかになった。蛍光スペクトルやCDスペクトルの実験からも、同様の結果が確認された。さらに、クロロフィルに光照射をした結果、低濃度のTriton Xを用いた場合、つまり、クロロフィルが凝集体を形成することで光退色を抑制することが明らかとなった。
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