一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
選択された号の論文の326件中1~50を表示しています
ポスター発表 5月27・28日 食物
  • 畦 五月, 秋山 純一, 野中 絋士, 森 秀治, 豊村 隆男, 渡邊 政博, 中田 理恵子
    セッションID: P-001
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 レクチンは動植物界に広く分布しているタンパク質で、小腸から吸収され全身を巡回した時のネガティブな影響と、ポジティブな影響が明らかになりつつある。。本研究では、生及び加熱したキントキマメ試料から精製したレクチンの糖阻害、酵素耐性、さらには、生体に与える影響をマウスB16メラノーマ細胞を指標に検討した。本研究は加熱した試料に含有されるレクチンの生体への影響を検討することを目的とする。方法 生キントキマメ及びボイルした状態の試料からカラムクロマトグラフィーによりマウス赤血球凝集活性を指標にしてレクチンを精製した。阻害糖は8種類を、プロテアーゼは3種を使用し、マウス脾細胞とB16細胞の増殖はMTTを用いて比色法により測定した。結果 加熱試料から得られたレクチン(加熱レクチン)は、画分ごとに異なった阻害糖を示し、この糖は生試料から精製されたレクチン(生レクチン)とは異種であった。生レクチンの耐酵素性は認められたが、加熱試料のクロマトグラフィーの画分ごとの耐性は異なった。レクチンは特定の糖鎖を認識することから、ガン細胞への特異性も示す。生レクチンはB16細胞に対し成長阻害を示したが、同濃度で細胞に添加した加熱レクチンはむしろ増殖作用を示した。この結果は、画分ごとの糖への特異性がB16細胞への反応に関与するためと推察された。本研究はJSPS KAKENHI 15K00805の補助を得て行った。
  • -簡易型自記式食事歴法質問票によるケーススタディ-
    加藤 佐千子, 長田 久雄
    セッションID: P-002
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】 わが国の高齢化率は26.7%、そのうち75歳以上は12.9%を占め、今後も上昇する。このような中で、高齢者がフレイルを回避し生活機能を維持できるよう支援していくことが課題といえる。しかし、日常生活に支障のある者は80歳を境に男女とも増加し、女性でその割合は高い。また、独居者においては孤食が食事の質を低下させることが報告され、フレイル予防として食生活支援(低栄養予防)や食に関わる心の支援の果たす役割は大きいといえよう。本研究は『後期高齢者の「低栄養」を予防するための「食と心理的支援」の研究』の一環として行ったもので、本報告では、80歳以上独居女性高齢者の食習慣や意識について得られた知見を報告する。 【方法】 協力者は健常な独居女性11名(80歳~90歳)。調査期間は2016年8月~12月。調査方法は自記式質問紙、身体測定、半構造化面接。調査内容は、握力、下腿周、IADL、抑うつ状態、1日当たりの歩数、食習慣など。研究実施にあたり、京都ノートルダム女子大学研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号16-013 承認日2016年7月20日)。 【結果】 11名全員が自立し、自分で食事の準備や調達をしていた。BMIが17.0の人(80歳)は、自身で体重減少しないようにしていると語っていた。食習慣はBDHQによって測定し、摂取エネルギー量1000kcal未満が2名、2600kcal以上が4名であった。BMI値、握力値、下腿周径の低い人では、エネルギー摂取量も低かった。本研究は、JSPS科研費 JP16K00768の助成を受けて行われた。
  • 須田 有実子, 原 知世, 村上 舞花, 小林 三智子
    セッションID: P-003
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】カカオ含量の異なる3種類のチョコレートを摂取することにより脳波及び自律神経活動がどのように変化するかを解析することを目的とした。

    【方法】カカオ含量の異なるチョコレート3種類(33%、56%、70%)を試料とした。実験協力者は、パネル選別試験に合格した20~21歳の女性15名であった。脳波の測定にはミューズブレインシステム(株式会社デジタルメディック)を用い、チョコレート摂取前(安静時)、摂取中、摂取後の3時点において、各20秒間3種のチョコレートで繰り返し測定を行った。脳波が正しく検出されるように、測定間でリセットとして暗算を行った。自律神経の測定には加速度脈波測定システム アルテット(株式会社ユメディカ)を用い、安静時及び各チョコレート摂取後に各2分間測定を行った。測定間には、実験協力者にストレスを与えないように5分間の休憩を交えた。脳波と自律神経の測定時にはパソコンに映し出される車窓の映像を眺める状態とし、測定条件を一定にした。

    【結果】脳波は、測定不能者1名を除いた14名のデータを解析したところ、チョコレート摂取後にα波が安静時に比べて摂取後に増加した人がカカオ含量33%で5人、56%で5人、70%で4人であった。自律神経活動での測定では、15名中8名がチョコレート摂取により、LF/HF-MEMは副交感神経が優位となり、くつろいで落ち着いている状態であった。
  • 岩森 三千代
    セッションID: P-004
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 短期大学生を対象に「ヘルシー」の言葉のもつイメージ調査を行い、ヘルシーイメージを構成する要因について検討を行うことにより、若い世代の健康感を探り、今後の食生活教育の一助とすることを目的とした。
    方法 対象者は新潟青陵短期大学幼児教育学科2年生の学生123名とし、2016年9月に実施した。予備調査で得られた頻出単語を用いて、30項目の設問を作成し、SD法を用いて質問項目を設定した。評価は5点評点尺度とした。統計解析ソフトは、SPSS Statistics 24を用いt検定、因子分析を行った。
    結果及び考察 ヘルシーの言葉のもつイメージの評価項目の平均点の上位3項目は「低脂肪」をイメージする回答の平均が4.62、「低カロリー」のイメージが4.61、「さっぱり感」のイメージが4.58、と高い値になっており、ダイエットや生活習慣病予防のイメージが強いことが示唆された。さらに「ヘルシー」のイメージを構成している要素についてより明らかにするため因子分析を行った結果、第1因子は「生活習慣病予防因子」、第2因子は「食生活情報重視型因子」、第3因子は「薄味調理に関する因子」、第4因子は「美味しさに関する因子」という4因子が抽出された。「ヘルシー」は健康を形容する表現であると捕らえられてきたが、そのイメージは生活習慣病予防や健康情報を重視するものであることが示唆された。
  • 久保田 のぞみ
    セッションID: P-005
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 近年における栄養士養成施設卒業者は毎年約1万9千人、就職者の7割近くが栄養士職に就いている(全国栄養士養成施設協会調べ)。その一方で栄養士職の離職率が高く、3年目在職率が低いとも言われている。本研究は、管理栄養士養成施設卒業生の就業動向から、栄養士職の転職要因及び転職後の状況を明らかにすることを目的とする。
    方法 2010年3月から2015年3月までのN大学栄養学科卒業生236名を対象に、2015年8・9月に郵送により自記式質問紙調査を行った。おもな調査項目は、卒業時及びそれ以降の就業状況、仕事をする上で重視することなどとした。
    結果・考察 回収数は54であった。新卒時の就職者50名(栄養士職41名、栄養士職以外9名)、初職継続者28名、転職者は19名、退職者3名であった。初職継続者のうち8名は新卒者であった。転職を経験した者は退職者2名を含め21名であり、転職1回18名の状況は栄養士職間14名、他職種から栄養士職3名、他職種間1名、転職2回3名はいずれも栄養士職間であった。前職の退職理由は、希望する仕事・職種や地域があったためとの回答が多く、平均在職期間は初職より転職後のほうが長かった。仕事をする上で重視するのは「職場の雰囲気がよい」「自分のやりたい仕事」「長期安定して働ける」ことであった。栄養士職の転職率は高かったが希望する職場環境や職域への転職であり、雇用の安定に繋がっていることが伺えた。
  • 竹山 恵美子, 新海 シズ, 渡辺 睦行, 福島 正子
    セッションID: P-006
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 グリーンナッツオイル(GNO)はα-リノレン酸と,抗酸化力の強いγ-トコフェロール(以下toc)を豊富に含んでおり,認知症予防効果が期待される。そこで,老化促進モデルマウス(SAM)のうち,学習・記憶障害を発現するSAMP8と対照のSAMR1を用い検討した。

    方法 実験には,SAMP8(P群)と,SAMR1(R群)の4週齢および16週齢の雄マウスを用いた。1週間の予備飼育後,各マウスをGNO(GNO群)・カノーラオイル(CAO群)・コーンオイル投与群(CO群)に分け,AIN-93G(大豆油抜き)に各オイルを7%添加した飼料を与え,各々82日間飼育した。また,本飼育開始時と解剖前にY字迷路試験を行った。屠殺したマウスの脳,肝臓,心臓,腎臓,筋肉,白色脂肪,褐色脂肪からtocを抽出後HPLCで分析した。また,同様に,脳と肝臓から脂肪酸を抽出し,ガスクロマトグラフにより分析した。

    結果 Y字迷路試験における交替行動率から,4~16週齢の間はGNO群ではP,R群ともにわずかに高い値を示し,CO群は,R群でほぼ変化がなく,P群では値の低下が見られた。CAO群はP,R群ともに週齢が進むにつれて大きく低下した。16週齢のマウスでは30週齢に向けてP,R群ともに,いずれも値は低下し、認知能力の低下が示唆された。一方,GNO摂取により生体内のγ-toc量は増加した。各器官におけるDHA量は,CO群よりもGNO群の方が高値であり,アラキドン酸量はCO群の方が高い値を示した。以上のことから,GNOは認知機能低下の抑制等に有効である可能性が認められた。
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    セッションID: P-007
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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  • 森下 美香, 稲垣 幸美, 梅谷 靖子, 伊與田 哲也
    セッションID: P-008
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 官能評価は,漬物の商品開発,賞味期間設定および工場検査に必須である.我々は,外観,香り,味,食感の4項目について,1—5点で5段階評価する方法を採用している.香り,味および食感については,分析型パネルの訓練やテクスチャーメーターによる評価精度の向上を検討しているが,外観に関しては,客観的な評価が難しく,パネルが変わると再現性が取れないという課題があった.そこで,漬物の外観評価にカラーチャート法が有効か検討した.
    方法 サンプルは,みぶ菜の浅漬および白色と黄色の2種類が入った2色沢庵を用い,10ºC,2000—3000ルクスの冷蔵ショーケースで耐光試験を実施した.製造直後から,外観の商品価値がなくなるまでの約1ヶ月間,数日おきにパネル4名で外観を評価した.また,色見本を用いて色を確認し,商品価値がなくなる部位を特定した.さらに,原料の季節差をみるため,同様の試験を3回繰り返し,再現性を確認した.
    結果 みぶ菜の浅漬は,「茎」と「葉」で色の変化が異なり,商品価値を決めるのは「葉」の色であった.2色沢庵の商品価値を決めるのは,「白色」でなく「黄色」であった.みぶ菜の浅漬は色見本を用いた評価が可能であったが,2色沢庵は色見本にない色が多く,新たに専用のカラーチャートを作成することで,評価が可能であった.みぶ菜の浅漬,2色沢庵ともに,カラーチャート法による外観評価が有効である可能性が示唆された.
  • 金松 澄雄, 白渡 瞳
    セッションID: P-009
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 鉄は微量栄養素として生体に不可欠の成分であるが、過剰に存在すると活性酸素を生成して細胞障害(鉄毒)をもたらす。この鉄毒の作用分子種は、2価鉄の酸化で生成する過酸化水素と2価鉄とのフェントン反応によるヒドロキシルラジカルであると考えられている。我々は先に、納豆の粘質成分であるポリ–γ–グルタミン酸(PGA)が2価鉄に配位して自動酸化を促進し、その結果生じるヒドロキシルラジカルはPGA自身と反応することによって消去されることを見出し、PGAの新規な機能として、2価鉄の活性酸素を遊離しない安全な酸化による除去機能を提唱した。ここでは大腸菌等をもちいて鉄毒に対するPGAの保護効果をin vivoで検討した。   
    方法 PGAは和光純薬のPGA150 (平均分子量150-250万) およびPGA20 (平均分子量20万-50万)を使用した。大腸菌XL1-Blueを2 mlのLB液体培地で、37℃、170rpmで一晩培養し、定常期に達した菌体を生理食塩水で105~106倍に希釈し、二価鉄(硫酸第一鉄)を加えて10分間鉄処理し、菌体100μLをLB培地に塗布し、37℃で一晩培養後、出現したコロニー数を計測した。
    結果 大腸菌を用いて2価鉄の殺菌作用に対するPGAの保護効果を検討した。大腸菌を0.5 mM Fe2+で10分間処理すると、16時間培養後の存在率は約30%であったが、1 mM PGA150をFe2+処理前に添加すると70%に回復した。PGA20で同様な保護効果がみられた。一方、単量体のグルタミン酸は効果がないことから、PGAの保護効果にはポリマー構造が重要であることが示された。これらの結果から、PGAは鉄毒を軽減する機能を持つことが示唆された。
  • 矢部 えん, 薗田 勝
    セッションID: P-010
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】食後高血糖は食後の一過性酸化ストレスとして考えられている。この食後高血糖を起因とする酸化ストレスの断続的な、しかし継続的な負荷が糖尿病や心血管疾患等のリスクファクターの一つと目されてから久しい。そこで我々は、井上・薗田らの赤血球をバイオマーカーとした生体酸化ストレス度評価法を用いてほうれん草を始めとする高硝酸イオン含有食品による食後一過性酸化ストレスの影響を検討した。
    【方法】20歳代健常女性を被験者とし、高硝酸イオン含有試料(ほうれん草、ビート)または、試料に含まれる食物繊維の影響を調べるため対象試料として高食物繊維含有試料(ゴボウ)を精白米めしの摂取前、または同時に摂取した。絶食時及び摂取後120分まで30分毎に血糖値を測定した。また、生体酸化ストレス度は被験指頭血に規定量の酸化ストレスを追負荷し、経時的に追負荷に対する酸化抵抗性を溶血率から算出し評価した。
    【結果・考察】生体酸化ストレス度評価法において若年健常者では、食後一過性の酸化ストレスが検出される群と検出されない群に分かれた。検出群において高硝酸イオン含有試料を精白米めし摂取前に摂取した場合、血糖値の上昇抑制、生体酸化ストレス軽減がみられた。一方、高食物繊維含有試料においては食後高血糖を抑制する結果を得たが、酸化ストレス軽減効果は見られなかった。以上より、食物繊維より硝酸イオンの方が酸化ストレスに関与していることが示唆された。
  • 食品残渣の有効活用について
    﨡原 絹子, 白井 枝里子, 谷口(山田) 亜樹子, 佐藤 祐子, 吉田 真史
    セッションID: P-011
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 ヒュウガナツ(Citrus tamurana)は他の柑橘類に比べ内果皮(アルベド)が厚く、食べることが出来る。しかし、ヒュウガナツを飲料に加工する場合、果汁のみが利用され、果皮や搾汁滓が大量に発生する。その残渣は利用がされないまま廃棄されことが多い。しかし、果皮や搾汁滓には多くの有用な成分が含まれている。一方、超臨界二酸化炭素抽出は香料や生理活性物質などの抽出に優れ、溶媒の残留がなく、安全であることが知られている。本実験では、ヒュウガナツの果皮および搾汁滓の新たな利用法のひとつとして精油に着目し、ヒュウガナツの部位ごとの成分の違いを検討する。
    方法 ヒュウガナツを外果皮、内果皮、じょうのう、種子に分け、乾燥した後、超臨界二酸化炭素抽出を行い、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)によって成分分析を行った。
    結果 外果皮から超臨界二酸化炭素抽出(40℃、100atm)により、リモネン、γ-テルピネン、リナロール、α―テルピネン、シメンなどの成分を抽出することが出来た。これらの成分は内果皮にも含まれていたが、その成分比には大きな差異が認められた。これらの結果より、果皮から精油成分を超臨界二酸化炭素により効率よく抽出できた。また、部位を分けることで異なる成分を抽出することが出来きることがわかった。これより、残渣を分別することで、食品添加物や芳香剤など目的応じた有効利用の可能性が示唆された。
  • 日高 絢子, 上西 信, 水野 礼, 阿部 忠博, 池田 三知男
    セッションID: P-012
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 これまでプロセスチーズ類の風味にチーズの熟成味を付与する方法として、配合する原料チーズに熟成チーズを多く使用したり、あるいはうま味調味料や香料を添加したりすることが行われてきた。しかし熟成チーズを多用すると、出来上がりのプロセスチーズ類の組織の安定性に影響を引き起こすことがある。またうま味調味料や香料を使用したチーズ類は、風味が人工的である印象を受けることもある。そこで、天然の果汁を原材料とした際のプロセスチーズ類の風味への影響について検討した。
    方法 原料チーズとしてチェダーチーズを使用した。かんきつ類等の濃縮果汁に、pH値調整のため炭酸ナトリウムを水に溶解させて混合した。これを粉砕したチーズと共にケトル型乳化機に投入し加熱溶融を行い、プロセスチーズ類を作製した。作製したサンプルと、乳化剤(リン酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム)を使用した既知の配合のプロセスチーズとを比較するため、官能評価を行った。
    結果 濃縮果汁を配合したプロセスチーズ類は、既知の配合のプロセスチーズと比較して、異なる風味特性を示すことが明らかとなった。また濃縮果汁の種類を選択することで風味の多様化が確認され、風味レベルの調整も可能であることが示唆された。
  • 岡本 威明, 松本 琴音, 熊澤 遥奈, 河原林 桃子, 田中 守
    セッションID: P-013
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 沖縄県の特産柑橘であるシークヮーサーは主にジュース加工に用いられているが,搾汁効率は50%程度であり,ポリメトキシフラボン類であるノビレチン等を多く含有する搾汁残渣「葉」および「果皮」の用途開発が課題である. 昨年,我々は,in vitroでシークヮーサー葉・果皮抽出物に脱顆粒抑制効果を見出してきた. 本研究では,in vitroにおける葉・果皮抽出物による脱顆粒抑制効果の熱安定性および作用機序を検討するとともに,マウスを用いたin vivoで抗アレルギー効果を明らかにすることで,葉や果皮などの未利用部位に新たな機能性を付与することを目的とした.
    方法 in vitroでの抗アレルギー作用は,抗DNP-IgE抗体で感作させたラット好塩基球様細胞株RBL-2H3細胞からのDNP-HSA抗原刺激により惹起される脱顆粒現象をβ-hexosaminidase放出活性および細胞内Ca2+濃度により評価した. また,in vivoでの抗アレルギー作用は,各抽出物をBALB/c雌マウスに経口投与後,受動皮膚アナフィラキシー(PCA)反応により評価した.
    結果 シークヮーサー葉・果皮抽出物は,60分の煮沸処理下でも脱顆粒抑制効果を保持したことから,活性成分は強い熱安定性を有し,細胞内へのCa2+流入を抑制することで脱顆粒抑制効果を発現することが明らかになった. また,葉および果皮抽出物投与群は,コントロール群と比較すると有意にPCA反応を抑制したことから,マウスにおいても抗アレルギー効果を示すことが確認された. さらに,葉・果皮抽出物によるPCA反応の抑制レベルは,in vitroでの結果と異なったため,ノビレチン以外の抗アレルギー活性成分の存在が示唆された. 
  • 山本 奈美, 今西 康晴, 三谷 隆彦, 味村 妃紗, 有田 幹雄
    セッションID: P-014
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】高血圧症の予防・治療では減塩が重要となるが、食事のおいしさへの影響が大きいことからその達成は容易ではない。一方で、おいしさを損なうことなく食事の塩分量を減らす調理上の工夫として、香辛料を活用することが経験的に知られている。本研究では日本の代表的な香辛料である山椒(Zanthoxylum piperitum)粉末を含む錠剤を口腔内で溶解させることにより、通常より塩分を控えた食品に対する評価が変化するかを調べた。
    【方法】大学生(18~24歳,男女)42名を対象として、官能評価を行った。試料は、減塩みそ汁(塩分濃度0.6%で調製)及び1食分の食事を想定した市販の減塩食(ニチレイフーズ,1食あたりの食塩相当量1.6g)とした。それぞれを試食し、「全体的な味付け」「塩加減」「味付けの満足度」について5段階で評価させた。山椒粉末1mgを含む錠剤を口腔内で溶解させた後にも同様の評価を行い、その変化について検討した。
    【結果】山椒錠剤の溶解後は試料の味を濃く感じており、試料に対する味付けの満足度が高まる傾向にあった。特にみそ汁においてその効果が顕著であった。普段の食事に対する好みなどパネルによってその効果は異なるものの、山椒粉末により減塩食の塩味が増強し味付けに満足することが示唆され、減塩食普及の一助となる可能性が考えられる。
  • 片山 佳子, 若尾 弥美
    セッションID: P-015
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 マキベリー(Aristoteliachilensis)は、チリのパタゴニアと呼ばれる寒冷地帯が原産地であり、ポルトノキ科の植物でブルーベリーによく似ている。果実は、直径約6mmの球形でつやのある黒紫色、収穫時期は1~3月である。マキベリーが最も注目されているのは、ポリフェノールと抗酸化力で、その他にもビタミンC、鉄、カリウムなどの含有量も高いと言われている。そこで本研究では、ビタミンC、鉄分およびポリフェノールの定量を行うとともに抗酸化活性について測定することを目的とした。

    方法 ビタミンCの測定は、インドフェノール・キシレン法により、鉄分の測定は、1,10-フェナントロリン法により行った。ポリフェノール含有量測定は、Folin-Ciocalteu法を用いて測定し、没食子酸相当量として算出した。抗酸化活性測定は、ラジカル消去能をDPPH法により行い、またDPPHラジカル消去活性はTrolox相当量として算出した。

    結果 ビタミンCそして鉄分量はブルーベリーより高く、ポリフェノール量はアサイーやアセロラよりも高い結果となった。抗酸化活性は、アサイーやココアパウダーと比較すると高い抗酸化活性を示した。また、ポリフェノール量と抗酸化活性がともに高い値を示したことからマキベリーの抗酸化活性の主体はポリフェノールであることが考えられた。このことから、マキベリーはビタミンCと鉄分はブルーベリーより高く、ポリフェノールを多く含有し、高い抗酸化活性が期待できる食品であることが明らかとなった。
  • 岡田 瑞恵, 岡田 悦政
    セッションID: P-016
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的:Petasites japonicas 花蕾抽出成分(PjE)による時計遺伝子のBmal1, Per1そして、それらの制御遺伝子であるSirt1のmRNA発現に対する影響についてすでに報告した(家政学会 2016)。時計遺伝子はSirt1ばかりでなく、Sirt6の制御も示されている。また、Gdf ファミリーは、幾つかの生殖細胞において細胞の概日周期の調節に関与する。Bmal1とClockはヘテロダイマーを形成し、DNA上のE-Boxに結合することで、PerとCry発現を調節する。一方、グルココルチコイドはレセプターに結合すると、E-Boxが活性化することが知られる。よって、Sirt6, Gdf11, グルココルチコイドレセプター(GR)αがPjEによる時計遺伝子のmRNA発現量に関与するか否かを検討した。
    方法:サンプルはメタノール浸漬後濾過し、dry-up後DMSO溶解し滅菌フィルターを通し使用した。線維芽細胞(若齢細胞:PDL20、老齢細胞:PDL60)は調整培養後に同調培養し、サンプル(1, 1/10, 1/100)をヒト肺由来線維芽細胞に投与し4時間培養した。Sirt6, Gdf11のmRNA量はqPCRによって定量された。また、GRαは、ELISA法により定量された。Bmal1及びPer1のmRNA発現量に変化の見られたレスベラトロール(Res)、スルファラファン(Sulf) においても同様に行った。
    結果:Sirt 6は若齢において最も高い発現量であったPjE原液が、コントロールの4.92倍を示したものの、老齢においては0.34倍と発現が低かった。Gdf11は、若齢において100µM Sulfが最も高い発現量を示し、老齢においては1µM Resが最も高かった。若齢及び老齢細胞におけるPjE、Res、SulfともにGRα量に変化は見られなかった。
  • 岡田 悦政, 岡田 瑞恵
    セッションID: P-017
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 哺乳類において、24時間周期システムは、視床下部中の視交差上部の核や、周辺組織(例えば肺組織)に存在する。 一方、若齢、老齢ヒト線維芽細胞に対する熱水とエタノ-ル抽出両サンプルの時計遺伝子(Per1とBmal1)の活性化を昨年の本学会において報告した。Bmal、PerのmRNA発現制御は、長寿遺伝子(Sirt1)の活性化あるいは、グルココルチコイド受容体 (Glucocorticoid Receptor; GR) が、リガンド依存的に核内移行して転写因子として活性化されるかのいずれかである。それ故、時計遺伝子の活性化の機構を探るため本研究では、GRに対する効果を検討し、Sirt1と比較分析した。
    方法 乾燥種子に水を加えホモジネートし、湯煎にて加熱(95-100℃、10分)後、60分間攪拌した。その後、ろ過して熱水抽出サンプルとした。また、エタノール抽出は、種子に2~5倍量の70%エタノールを加え、撹拌後24時間ホモジェネートし、ろ過してサンプルとした。ヒト肺由来線維芽細胞TIG-1-60(PDL60)TIG-1-20(PDL20)は調製培養後、サンプルを加え37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。培養後、その上清についてGR活性化への影響を測定した。
    結果 若齢細胞に対するGR量(ng/mL)への影響は、チンゲンサイ0.526,ホウレンソウ0.290、コマツナ1.92、ニガウリ0.845、レタス0.230であった。一方、老齢細胞に対するGR量(ng/mL)への影響は、コマツナ1.20、コーン0.261であった。また、これらの値は、Sirt1の発現量との関連性が推察された。
  • 岡崎 貴世
    セッションID: P-018
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】給食施設において調理器具等の衛生管理対策は必須項目である。塩素系消毒剤である次亜塩素酸ナトリウム(Na)は高い消毒作用を有することから器具等の殺菌に汎用されているが、有機物の存在で効果が低下する欠点がある。そこで調理器具の中でも特に細菌汚染を受けやすいふきんを用いて、同じ塩素系消毒剤である亜塩素酸水の消毒効果を比較検討した。【方法】亜塩素酸水(ケア・フォーNo.15、本部三慶株式会社)と次亜塩素酸Na溶液(ピューラックス)はイオン交換水で希釈後pH 5に調整した。ふきんに大腸菌液10ml(約1×108)を接種し10分後、消毒液100mlに浸漬し1分間揉み洗いをした。5分後1mlを0.5%チオ硫酸ナトリウム液1mlと混合してコロニー数の測定を行った。比較として水道水、熱湯および煮沸による消毒・洗浄を行った。【結果および考察】熱湯90℃、5分浸漬では十分な殺菌効果は得られなかったが、煮沸と200ppm次亜塩素酸Na浸漬は高い効果が得られた。亜塩素酸水を用いた場合、50ppm以上で対数減少値(消毒前後の菌数比)は2.67を超えた。また亜塩素酸水の作用速度を測定したところ、25ppm、30秒浸漬で対数減少値は2を超え、2分浸漬で4を超えて最大となり、その後一定となった。このことから亜塩素酸水の殺菌作用は速く、調理作業等で時間に追われる調理現場では使用しやすい消毒剤であると考えられた。
  • 江口 恵加, 湯浅 正洋, 冨永 美穂子
    セッションID: P-019
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】我々は長崎県産物由来植物性乳酸菌を使用し発酵豆乳の開発を行ってきている。発酵豆乳の酸味や大豆香が嗜好性に影響し、改善が必要と考えられた。一方、多くの植物性乳酸菌は、消化液耐性などの特徴を持つことが報告されているが、使用乳酸菌については十分に検討されていない。そこで本研究では、使用乳酸菌の機能性に関わる特徴を明らかにし、開発した発酵豆乳の嗜好性の改善について検討を試みた。〈BR〉【方法】MRS培地で本培養した5種の乳酸菌培養液を豆乳100 mLに約0.04%接種し、37℃で20時間保温し発酵豆乳を調製した。機能性に関わる項目として、人工消化液耐性(ペプシン処理:pH 3.0、3時間および胆汁・パンクレアチン処理:pH 8.0、3時間)およびDPPHラジカル消去活性を測定した。発酵豆乳の味覚応答について味認識装置を用いて分析し、乳酸菌の違いや甘味料・香料添加による嗜好性を21~25歳の女性をパネルに評価した。〈BR〉【結果】使用した植物性乳酸菌5種はいずれも人工消化液耐性を示し、生きて腸まで届く可能性が示唆された。DPPHラジカル消去活性は、乳酸発酵前後および発酵豆乳間でほとんど差は見られなかった。味覚応答は、酸度の高い発酵豆乳ほど酸味および渋味刺激が高値、塩味および旨味が低値を示した。発酵豆乳の嗜好性には「酸味の強さ」が最も影響し、酸生成度の低い乳酸菌を用いた発酵豆乳が好まれ、甘味添加で評価が更に高値を示した。
  • 海老塚 広子, 藤本 智子, 齊藤 麻衣, 高橋 真理菜, 井岡 さくら, 棚澤 千恵
    セッションID: P-020
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】牛肉のおいしさの要因としては、遊離アミノ酸・核酸関連物質・脂肪などの成分、テクスチャー、におい成分があげられる。本研究では、近江牛肉とドライエイジング法による熟成牛肉の成分を比較し、呈味成分およびにおいに与える熟成の影響について検討した。

    【方法】普通牛肉、熟成牛肉を試料として、水分含量、粗脂肪含量、遠心保水率、色差計による色の測定などを行った。また、SDS-PAGEによるたんぱく質の分析、遊離アミノ酸および核酸関連物質をHPLC法により定量した。においについては、におい識別装置(FF-2A:(株)島津製作所)を用いて分析し、統計処理はSPSSを用いて多変量解析、Asmell2を用いて類似度解析を行った。

    【結果および考察】普通牛肉と比較して、熟成牛肉ではグルタミン以外の全ての遊離アミノ酸含量が増加した。一方、核酸関連物質のイノシン酸含量には有意な差異は認められなかった。熟成牛肉では、多汁性の増加、水分含量の減少、粗脂肪含量の増加が認められた。また、においに関しては、普通牛肉とドライエイジング法による熟成牛肉において、異なる傾向のにおいであることが判明した。それは生の場合および焼いた場合において、共に大きな差異が認められた。熟成牛肉のおいしさに影響を与える要因が明らかとなった。
  • 高山 侑樹, デュアー 貴子
    セッションID: P-021
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 メープルシロップは,カエデ科のサトウカエデ(Acer saccharum)の樹液を煮詰めて造られる甘味料であり,カナダのケベック州やオンタリオ州,アメリカのバーモンド州といった北米で主に生産されている.
    また,収穫時期により色調や風味が変化するためグレード基準が設けられており,他の甘味料にはみられない特徴を持つ.さらに近年では,機能性に関する研究報告もされていることから,メープルシロップの利用価値は高まると想定される.そこで本研究では,アメリカ(バーモンド州)産およびカナダ(オンタリオ州)産のメープルシロップを用い,産地別による特性差と嗜好差について検討した.
    方法 官能評価は,管理栄養士養成校に在籍する大学生40名(男性13名,女性27名)を対象とした.統計解析には汎用統計ソフトSPSSにて分析した.
    結果 ①三点識別試験において,有意に識別できたことからアメリカ産とカナダ産の味や香りに特徴があることが示唆された.
    ②三点嗜好試験では,アメリカ産よりカナダ産を好む傾向が有意にみられた.カナダ産では「香り」と「甘味」が強いと回答した者が多く,アメリカ産では「青臭い香り」や「苦味のある甘味」と回答した者が多くみられた.
    ③順位法でグレード別の好みについて評価したところ,ライト>ミディアム>アンバーの順に好ましいと回答し,ライトに特徴的な薄い色調とほどよい甘味や風味が好まれる傾向がみられた.
  • 湯浅 正洋, 赤尾 好彦, 川邊田 晃司, 安部 春香, 冨永 美穂子
    セッションID: P-022
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 地域食品をブランド化することで、地域活性化を図る取り組みが日本各地で推進されている。長崎県南島原市では、新タマネギとして「スーパーアップ(SU)」および「加津佐13号(K13)」が生産されており、これらのブランド化は長崎県の活性化の一助となることが期待されている。一方、新タマネギの葉は傷みやすいため利用されず処分されている。本研究では、南島原産新タマネギのブランド化のために、球および葉の抗酸化性を明らかにした。 方法 南島原産新タマネギは2~3月に収集した。全てミルサーでホモジナイズし、DPPHラジカル消去活性およびビタミンC含量を測定した。比較には長崎市内のスーパーで販売されている上記以外の品種の新タマネギ(コントロール)を用いた。葉についても上述の分析を行い、球部分の結果と比較した。 結果・考察 K13のDPPHラジカル消去活性は、他の2種と比べ約1.5倍高値を示した。ビタミンC含量については、コントロールと比べて他の2種で約1.5倍高値を示した。以上より、南島原産の新タマネギであるスーパーアップと加津佐13号は、他の品種に劣らない抗酸化性を有することが明らかとなった。一方、SU・K13の葉において、球よりもDPPHラジカル消去活性が約3~5倍、ビタミンC含量が約2倍高値を示した。このように、葉は球よりも高い抗酸化性を有することが明らかとなり、利用価値が高いことが示唆された。
  • 吉松 詩織, 野口 綾花, 楠橋 庸子, 岡本 威明
    セッションID: P-023
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 食中毒菌を選択的に培養できるフードスタンプを用いた培養実験において,食中毒菌の採取に適切な時期や食品などは明らかになっていない.そこでフードスタンプを用いた食中毒菌培養実験を構築し,その実験を取り入れた実践授業を実施することで,教育効果や食中毒菌培養実験の有用性を検討することを目的とした.
    方法 食中毒菌を採取する食品を6種類選定し,8~12月の間に毎月,フードスタンプを用いて採取・培養実験を行うことで,培養実験に適する採取時期や食品群を検討した.得られた結果をもとに,実践授業を構築し,愛媛県立M高校理数科36名を対象に実施し,授業前後のアンケートによって教育効果や有用性を検討した.  
    結果 食中毒菌培養実験には,気温が20℃以上ある1学期後半から2学期前半が良いと考えた.また,モヤシから大腸菌・大腸菌群,鶏ミンチからサルモネラ,アサリから腸炎ビブリオが一定量採取できることを確認した.さらに,食中毒予防法における加熱の重要性を示す実験において,加熱時間よりも,加熱温度を変化させる方が,コロニー数の減少を観察しやすいことが分かった.以上の実験結果を用いた実験授業を実践すると,食中毒菌や食中毒予防の三原則の認知度が向上し,食中毒予防法の実践意欲も高まった.授業後に実施したアンケートでは,フードスタンプに対して生徒全員から「面白かった」「分かりやすかった」と回答され,フードスタンプに対して高評価であることが確認された.
  • 小出 あつみ, 間宮 貴代子, 阪野 朋子, 松本 貴志子
    セッションID: P-024
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    目的 愛知県特産の豆味噌の歴史は長いが,摂取する地域は主に愛知県とその周辺県の一部に留まる.本研究では,魚介および海藻類を主材料とした豆味噌料理10品の提案をおこない,栄養価と嗜好性について検討した.

    方法 使用した味噌はイチビキ㈱製で,愛知県産大豆「フクユタカ」と天日塩を使用したものであった.レシピは一般の料理本を参考にして試作を行い決定した.栄養価は栄養計算ソフト(フーズサポ―ター)を使用して算出した.官能評価は食物系の教職員12名を対象に8項目について「豆味噌の特性を活かしているか」を5点尺度の採点法で,同じ項目について嗜好性を順位法で評価した.統計処理はTukey法による多重比較検定とNewell&MacFarlane法を使用し,統計的有意水準を5%未満で示した.

    結果 各料理の栄養価では総体的に炭水化物と食塩量が多かった.官能評価の採点法(総合)と順位法の上位5位以内に共通して薬膳エビ味噌スティック,ちくわの天ぷら味噌味,海鮮味噌胡麻豆腐,味噌風味のイカ飯の4品が入ったので,これらの料理は豆味噌の特性を活かした好まれる料理であると推察された.さらに,この4品の特徴を分析した結果,豆味噌を使った魚介と海藻類料理では,揚げ加熱,種実類の使用,魚介と海藻の色を活かした調理法,魚介,海藻および豆味噌の複合的なうま味を食材に浸透させる調理法が豆味噌の特徴を活かした好まれる料理に有効であると考えられた.
  • 小泉 昌子, 小関 陽子, 徳田 愛華, 島村 綾, 佐藤 吉朗, 峯木 眞知子
    セッションID: P-025
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    (目的)コーヒーに牛乳を入れる層は増えてきている。本研究では、コーヒーにいれる牛乳の温度がコーヒーのおいしさに関与するかどうかを時系列評価によるTDS法を用い、味の面より検討した。
    (方法)コーヒーは、インスタントコーヒー(株式会社ネスレ)を用い、表示されている熱湯140mlに対し、コーヒー2gを用いて、試料を調製した。コーヒーの温度が86±2℃あるいは80℃になったのを確認後、コーヒーに普通牛乳(株式会社明治)30mlを入れ、その後55℃~60℃に保ち、試料とした。TDS法は、メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルは女子大学生11名、感覚属性は8属性(苦味、酸味、甘味、渋味、焦げた味、油っぽい、牛乳味、無味)を用いた。
    (結果)コーヒーでは、初めに苦味を感じ、酸味と苦味が続き、焦げた味、渋味が感じられる。それに対し、コーヒー液80℃に牛乳をいれた試料では、開始直後から苦味が立ち上がり、苦味を感じ、甘味、牛乳味、渋味の順に感じられる。90℃でいれた試料より、複雑な味を感じていた。採点法による官能評価では、90℃で牛乳を加えた試料では、香りの強さ、苦味の強さ、後味の強さが強く、甘みの強さ、なめらかさ、牛乳感が弱いと識別された。嗜好型官能評価では、80℃で加えた試料が有意に好まれた。牛乳はコーヒーがあまり熱いうちに加えない方がよいことがわかった。
  • 島村 綾, 小関 陽子, 小泉 昌子, 原 未来, 折戸 美月, 重村 泰毅, 峯木 眞知子
    セッションID: P-026
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)コーヒーの焙煎法の違いには、直火型、半熱風型、熱風型の焙煎機があり、この風味の違いは明らかではない。そこで、直火焙煎、熱風焙煎による短時間加熱、長時間加熱で調製したコーヒー液を用い、その風味を時系列評価によるTDS法を用い、味の面より検討した。
    (方法)同じコーヒー豆による焙煎方法の異なるコーヒー液を株式会社ドトールに依頼した。試料の濃度はbrix×1.5を用い、温度による違いを避けるために室温で用いた。メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルはコーヒーを好む本学女子学生10名で、測定時間は60秒とした。味の感覚属性は6属性(甘味、酸味、苦味、うま味、ナッツの味、渋味)を用いた。採点法による嗜好型官能評価も行った。コーヒー試料のアミノ酸分析も行った。
    (結果) 直火焙煎短時間加熱試料の味の評価は、初めに苦味、その後酸味を感じる。長時間加熱試料では先に苦味を感じ、その後に酸味、苦味、うま味、そして後味にうま味を有意に感じている。熱風焙煎の短時間と長時間を比べると、短時間では、苦味を先に感じ、ナッツの味もわずかに感じ、渋み、甘味、うま味、苦味を感じ、後味にはナッツの味、酸味を有意に感じている。直火焙煎と熱風焙煎を比べると、直火焙煎のほうが好まれることがわかる。採点法による総合評価において、焙煎方法に関係なく、短時間加熱試料が長時間加熱試料よりも有意に好まれた。
  • 島村 綾, 徳田 愛華, 小関 陽子, 小泉 昌子, 峯木 眞知子, 佐藤 吉朗
    セッションID: P-027
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)コーヒーの焙煎法の違いには、直火型、半熱風型、熱風型の焙煎機があり、この風味の違いは明らかではない。そこで、直火焙煎、熱風焙煎による短時間加熱、長時間加熱で調製したコーヒー液を用い、そのにおいを時系列評価によるTDS法を用いて検討した。
    (方法)同じコーヒー豆による焙煎方法の異なるコーヒー液を株式会社ドトールに依頼した。試料の濃度はbrix×1.5を用い、温度による違いを避けるために室温で用いた。メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルは本学女子学生10-11名で、試料15mLを用い、60秒間測定した。においの感覚属性は5属性を用いた。採点法による嗜好型官能評価も行った。コーヒーのにおいは、GC-MSを用いて計測した。
    (結果) 直火焙煎試料のにおいでは、短時間加熱試料は飲む前よりアーモンド・ナッツの香りを有意に感じ、その後酸っぱい香り、焦げた匂い、カラメル、甘い香りの順に感じた。長時間試料では、始めに甘い香りを有意に感じ、その後にアーモンド・ナッツの香り、焦げた匂いを感じている。熱風長時間加熱試料では、始めに酸っぱい香りが有意に感じられ、後味に焦げたにおいを感じている。どの焙煎においても、酸っぱいにおいは有意に感じられていた。GC-MS分析の結果、熱風焙煎・短時間加熱試料は熱風焙煎・長時間加熱試料に比べチョコレート様の香りである2-メチルフランが多く検出された。
  • 石井 和美, 小野澤 紗英, 船山 潮音, 古橋 若奈, 小林 三智子
    セッションID: P-028
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:小麦アレルギー患者に対応できるパンを作製するために、アレルゲンであるグルテンを含まない小麦の代替としてホワイトソルガムを利用したパンを調製した。増粘多糖類を段階的に添加し、最も製パン性に優れた種類と添加量を比較、検討することを目的とした。
    方法:材料としてホワイトソルガム、蒸留水、無塩バター、グラニュー糖、食塩、イーストを使用した。増粘多糖類(MCE4000、SFE4000、SE50のうち各1種)をホワイトソルガムの重量に対し1.00 %・1.25 %・1.50 %・1.75 %添加した。家庭用ホームベーカリーを用いて、早焼きコースで1斤を焼成した。焼成後30分常温で放置後、さらに密閉状態で30分放置した。パンの高さ・重量・体積・クラムのテクスチャー特性・破断特性・水分含量の測定を行った。
    結果:ホワイトソルガムにMCE4000、SFE4000、SE50の増粘多糖類を添加したところ、いずれも製パン性は向上した。中でもMCE4000を添加したパンは比容積、テクスチャー特性が最も良い状態となった。MCE4000は添加量が増すにつれ柔らかくなった。SFE4000、SE50はホワイトソルガムの重量に対して1.25 %添加時に最も柔らかくなった。また、いずれの増粘多糖類を添加した場合にも凝集性は増した。
  • 濱口 郁枝, 吉田 有里, 森 由紀, 大森 敏江, 中野 加都子, 松村 俊和, 山本 存, 藤堂 俊宏, 宮田 倫好, 上島 一泰
    セッションID: P-029
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 女子大生のコーヒーの嗜好について調査し、好まれるコーヒーを検討した。
    方法 兵庫県内の一大学の女子学生を対象とし、コーヒーを飲む頻度や嗜好に関する質問紙調査と、2回の官能評価を実施した。1回目は、普段コーヒーを飲まない24名に円卓法で検討した。試料は、H:数種のブレンド・焙煎標準、J:ミャンマー産をブレンドに追加・焙煎軽め、P:オリジンごとに分けて焙煎、の3種とし、ブラックとミルクや砂糖を入れて評価した。2回目は64名に、1回目の結果をもとに改良したものと、エチオピア産のシングルオリジンをブラックで味わい、2点嗜好試験法で比較した。
    結果 ドリップコーヒーを飲む者は23%と少なく、カフェラテなど甘めのコーヒーを飲む者が70%と多かった。官能評価1回目の結果、Hは、香ばしくて美味しく飲みやすいが酸味がある、Jは、ブラックでも飲みやすくミルクと砂糖を入れると一番美味しい、Pは、酸味が強く美味しさは他より劣る、との評価が得られた。そこで、評価の高いJの焙煎度を上げてコクを出し、ミャンマー産の豆をインドネシア産マンデリンG-1にかえて改良した。2回目の結果、酸味、総合評価ともにJの改良が好まれた(各p<0.01)。Jの改良を飲んだ後は、コーヒーの好みの程度が上昇した(p<0.01)。したがって、穏やかな酸味とバランスのとれた味わいのブレンドコーヒーは、ブラックでも女子大生に好まれることが示唆された。
  • -青色以外の単色絵付け焼成皿との比較-
    川嶋 比野, 海老原 誠治, 数野 千恵子
    セッションID: P-030
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的
    演者らは前回(本学会第68回大会)、画像処理により作成した染付皿と青色以外の単色絵柄皿とを比較し、食欲増進の効果及び料理との相性を調査した結果、青色の染付皿は、どの料理とも相性が良く、相性の悪い料理は特になかったことを報告した。今回、実際に強化磁器の小皿を焼成し、漬物を用いて色の相性を検証したのでその結果を報告する。
    方法 
    これまでに報告してきた「食欲を増進させる染付皿の条件」を満たした絵柄をデザインし、青、赤、緑色の総柄皿と絵柄のない白色の強化磁器小皿を焼成した。各皿に緑色の野沢菜、白色の大根、赤色のしば漬け、さらにそれら3種を盛り合わせた3点盛りの漬物を盛り付けた。それらを見比べ、それぞれどの程度食欲を増したか、7点評点法及び順位法を用い、大学生および中高年180名を対象としてアンケート調査を行った。
    結果
    全体の傾向としては、青皿と白皿の評価が高かった。また、皿と食材の組み合わせが同系色(大根と白皿、しば漬けと赤皿、野沢菜と緑皿)、または皿と食材の組み合わせが補色関係(しば漬けと緑皿、野沢菜と赤皿)であると評点が低くなる傾向がみられた。青色と同系色の漬物を用いなかった影響も考えられるが、今回の調査では青皿と相性の悪かった漬物はなかったことから、青色の絵柄皿は他の色の絵柄皿及び絵柄のない白色の皿と比較しても、多くの料理と相性が良く、食欲を増進させる皿であることが改めてわかった。
  • 橋爪 杏奈, 佐藤 瑶子, 香西 みどり
    セッションID: P-031
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 米粉生地に対する温度保持処理に着目し、粒度、損傷デンプン量の異なる種々の米粉を用い、一定温度保持した生地の物性や成分および加熱後の最終製品への影響を明らかにすることを目的とした。
    方法 同一原料米で、製粉方法の異なる4種の米粉の水分含量、タンパク質量、粒度、損傷デンプン量、吸水性を測定した。加水量は90, 110%として、米粉生地を調製した。20~55℃、6または24hr保持した生地について、成分抽出液を調製し、全糖量、還元糖量、遊離糖量、遊離アミノ酸量及び物性を測定した。生地に米粉重量の5%のベーキングパウダーを添加、焼成(180℃、20min)したモデルケーキを調製し、色、比容積及び物性を測定した。
    結果 米粉の粒度は32~217μm、損傷デンプン量は1.71~7.30%だった。米粉生地の全糖量、還元糖量およびグルコース量は55℃、マルトース量は40℃、総遊離アミノ酸量は40~45℃で最も増加した。糖の増加には米粉の粒度分布よりも、デンプンの損傷度の影響が大きかった。生地の物性は温度が高いほど硬さ、粘り、付着性が増加し、流動性が低下した。モデルケーキは20、40℃の温度保持により比容積が増加し、焼成直後と放置後(20℃、24hr)の硬さが減少した。一方、45~55℃では硬さが増加傾向にあった。米粉製品の性状には生地の温度保持による内在性酵素の作用とデンプン糊化が影響することが示唆された。
  • 亀井 文, 高橋 遥
    セッションID: P-032
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:レジスタントスターチ(RS)は胃や小腸で消化されず大腸に達するでんぷんであり、大腸の健康に重要な役割を果たしている。しかし、でんぷん性食品の加熱調理条件や保存条件によるRS生成の違いを調べている研究、特にさつまいもについての研究は少ない。そこで本研究はさつまいもを試料とし、茹で、蒸し、焼きの調理方法の違いと調理後直ぐ(直後)、24時間冷蔵保存(冷蔵)、冷蔵保存後電子レンジ再加熱(再加熱)のRS量の変化について調べた。
    方法:試料は徳島県産なると金時(平成24年11月)で、皮なし直径約4㎝で2㎝厚さのものを用いた。茹では沸騰15分間、蒸しは20分間、焼きはオーブン予熱無しでアルミホイルに包み160℃20分間加熱した。水分量とRS量は各調理方法の、直後、冷蔵、再加熱の3条件を測定した。RS量測定は脱水操作後、Megazyme社のRS測定キットを使用した。
    結果:茹でのRS量は直後6.17%、冷蔵7.32%、再加熱7.16%、蒸しのRS量は直後5.45%、冷蔵6.27%、再加熱5.78%、焼きのRS量は直後3.06%、冷蔵3.51%、再加熱3.06%であった。茹でのRS量は、直後、冷蔵、再加熱後の3条件とも一番高く、次いで蒸し、焼きの順であった。また、茹でについては、直後より冷蔵および再加熱後のRS量が有意に高く、蒸しでは直後より冷蔵後のRS量が有意に高い値となった。
  • 真部 真里子, 長谷川 渚, 服部 由実, 笹原 由雅, 青木 仁史
    セッションID: P-033
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 これまで、和食以外にも広く減塩食のおいしさを向上させることを目指して、チキン・ブイヨン(CB)の減塩効果について検討した結果、CBに塩味増強効果を認めたが、「鶏・鶏がらのみ」または「野菜・香辛料のみ」で調製したブイヨンには効果が無く、また、調製中に起こる鶏・鶏がらと野菜・香辛料由来成分間相互作用によって塩味増強効果が生じることも否定された。そこで、どの食材が鶏肉と共存すると塩味増強効果が生じるかを検討するために、基本の食材からニンジン、セロリまたはユリ科の食材(タマネギ、リーキ、ニンニク)を抜いたブイヨンとCBの塩味増強効果を官能評価にて検討した。
    方法 各ブイヨンのうま味強度を0.15%、塩分濃度を0.62%~1.00%の5段階に調製した試料を、0.80%NaCl溶液とそれぞれ組にして60℃で提供し、被験者に、各組より塩味が強いもの、塩味の強さが好ましいものを回答してもらった。
    結果 プロビット解析の結果、すべてのブイヨンに塩味増強効果が認められ、食材の相異による有意な差は認められなかった。しかし、ユリ科の食材を抜くと効果が低い傾向にあり、ユリ科の食材が塩味増強効果に寄与している可能性が期待された。また、セロリには塩味を緩和させる作用があることが示唆された。さらに、被験者がノーズクリップを着用した条件で検討したところ、CBの塩味増強効果には香りではなく味が関与していることが明らかとなった。
  • 藤田 沙南, 村上 陽子
    セッションID: P-034
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 赤米は、古来より我が国で栽培されてきた古代米の一種である。近年の健康志向の高まりにより、ポリフェノールやビタミン類を多く含む赤米は3次機能の点から注目を集めている。一方、赤米の炊飯米は食味が悪く、赤米の混合割合の増加に伴い食味が低下することが報告されている。栄養性と機能性を有する赤米について、その活用と利用拡大のために調理方法の開発が求められている。そこで本研究では、赤米の炊飯米を米飯パンに用い、赤米の搗精度が製パン性に及ぼす影響について検討した。
    方法
    米飯パン用の米は、赤米(うるち種)「純系日本赤」(平成24年、岐阜県産)を用いた。食パンは中種法にて調整した。小麦粉を米飯で置換したものを米飯パンとし、小麦粉パンの乾物重量として10~50%を置換した。加水量は、炊飯米の吸水量と合わせて180gとした。製パン性(比容積、物理特性、色彩構成)に関して得られたデータは、分散分析法(Tukey法)により有意差を検討した。米の成分分析は常法を用いた。玄米の炊飯米を用いたパンを玄米パン、精白米を用いたパンを精白米パンとした。
    結果 玄米パンと精白米パンを比較した場合、前者はいずれの配合割合においても後者よりも比容積が高く、特に30~50%パンにおいて顕著だった。硬さは、玄米パンの方が精白米パンより硬くなった。凝集性や付着性については、米の搗精の有無はあまり影響しなかった。
  • 三宅 紀子, 木下 彩嘉
    セッションID: P-035
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 ビタミン、ミネラル、食物繊維などを豊富に含む野菜や果物は、健康維持や生活習慣病の予防に摂取することが重要であるが、十分に摂取できていないのが現状である。本研究では、野菜や果物を多く摂取するための一つの方法としてスムージーに注目し、野菜や果物に含まれる栄養素の中でも調理等により壊れやすいビタミンCに着目した。
    方法 スムージーのレシピ調査をもとに、使用頻度の高い食材であるコマツナ、ミカン、バナナを用いて、ミキサーを使用してスムージーモデル系を調製し、HPLC-UV法により還元型ビタミンC(AsA)量および酸化型ビタミンC(DAsA)量の両者を定量した。コマツナのゆで加熱の有無、コマツナおよびミカンの冷凍保存の影響についても検討した。
    結果 材料のコマツナの加熱の有無は、スムージーのAsA量に影響しなかったが、DAsA量は加熱により減少した。スムージーはあらかじめ冷凍した材料を用いることもあるので、コマツナおよびミカンを用いて冷凍の影響を調べたところ、冷凍していないもの、冷凍3日後、冷凍7日後といずれもAsA量、DAsA量はほとんど変化しなかった。バナナを加えた条件では、コマツナやミカンに含まれるAsAもすべてDAsAに変化した。これは、バナナに含まれるアスコルビン酸酸化酵素によるものと推察された。以上の結果から、スムージーの活用は簡便に野菜や果物を摂取するのに有効な方法のひとつであると考えられた。
  • 早川 文代, 風見 由香利, 阪下 利久, 上平 安紘, 池羽田 晶文
    セッションID: P-036
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】モモの品質には果肉部の軟らかさや特有の風味が重要である。しかし、部位差、剥皮時の果肉損傷および剥皮後の褐変が著しいため、官能評価が難しく、その報告例は少ない。本研究では、モモの分析型官能評価法を設計し、品種および追熟条件の異なる種々の試料の官能特性の数値化を試みた。
    【方法】官能評価設計には、2014年、2015年産のモモ9品種(日川白鳳、浅間白桃、一宮白桃、川中島白桃、なつっこ、さくら、幸茜、甲斐黄桃、黄金桃)を用い、官能評価パネルの討議および篤農家への面接調査を行った。本評価では、2016年産の6品種について、出荷翌日の果実を、追熟なし、5℃あるいは20℃で4日間追熟させ、その後24時間20℃に置いて試料とした。パネルは選抜、訓練された9人とし、赤色照明下のブースで評価を実施した。各パネリストに試料1果を提示し、においかぎによる香りの評価後、自身で試料片を調製させ、風味およびテクスチャーを評価させた。あわせて、硬度および可溶性固形分を測定した。
    【結果】「花様の香り」「ココナッツの香り」等、18特性について、各試料の官能評価データを得た。追熟によって、テクスチャーの軟化と香りの増加がみられ、その変化は20℃で顕著であった。においかぎによる香りの評価は、試料片の口中香の評価よりも、品種間差および追熟条件間差の検出力が高く、皮の香気の影響および味やテクスチャーとの相互作用の影響が推察された。
  • 吉村 眸, 竜門 奈央, 後藤 昌弘, 山根 千弘, 橋本 和弘, 岩田 惠美子, 畑 欣宏, 吉川 政敏, 浅見 孝志
    セッションID: P-037
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 セルロース複合麺と市販低カロリー麺類を用いて,麺の性状や調理法が食味評価におよぼす影響を官能検査や物性測定によって比較し,セルロース複合麺の特性を明らかにすることを目的とした。
    方法 配合割合が異なるセルロース複合麺の加熱前と後の破断強度をレオロメーター(山電RE2-3305B)によりに測定した。また,セルロース麺と市販の豆腐麺およびコンニャク麺を用い,セルロース麺を基準試料として,評点法による識別検査(硬さ,歯切れ,弾力,のどごし,総合評価)と嗜好検査(色,硬さ,滑らかさ,後味,のどごし,総合)を行った。さらに,両者に市販の和風及び洋風調味料で味付けし,順位法により,色,光沢,硬さ,滑らかさ,味,総合評価の嗜好性について比較をした。
    結果 調味前のセルロース麺と市販低カロリー麺を比較した嗜好検査では,コンニャク麺が硬さ,滑らかさ,のどごしで好まれた。豆腐麺との比較ではセルロース麺が硬さ,滑らかさ,後味で好まれた。その他の項目には差がなかった。和風,洋風調味料で味付けした麺の官能検査では,総合評価でセルロース麺は,豆腐麺と有意差はなく,コンニャク麺よりも好まれた。セルロース麺は無味無臭のため,調味前の官能検査では市販麺と比較して後味が好まれた。また,調味前も調味後も嗜好性で低い評価はなく,市販の低カロリー麺に劣らなかった。官能検査の結果から,調味することでより好まれる可能性があると考えられた。
  • 岩田 惠美子, 後藤 昌弘
    セッションID: P-038
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】
     バイ(Babylonia japonica)はエゾバイ科バイ属に分類される巻貝で、北海道や日本海沿岸各地で獲られている。石川県では貝殻の表面にある褐色の斑点がアズキのように見えることからアズキ貝と呼ばれており、日本海側でよく食べられているシロバイに比べると身が硬いといわれている。シロバイはエッチュウバイ(Buccinum striatissimum)などエゾバイ属の総称で小さいものはコバイとよばれている。貝類(バイ)の調理性についての研究が少ないため、本研究ではアズキ貝を食べやすい硬さに調理するための加熱条件を検討することを目的とし、アズキ貝とシロバイ(コバイ)を用いて調査した。
    【方法】
    アズキ貝とシロバイは金沢市内鮮魚店より殻の大きさを指定して購入し、使用するまで冷蔵庫で保存した。まず殻を取り除き、ゆで加熱は沸騰水を用いて0分、3分、5分間行った。重量の測定は加熱の前後で行い、各時間加熱した試料の厚みと硬さをレオメーター(山電、RE2-3305B)で測定した。
    【結果】
     加熱前のアズキ貝とシロバイを比べると、アズキ貝の身はシロバイより薄く、細かったが、硬さ(最大荷重)はアズキ貝の方が約3倍高かった。ゆで加熱によりアズキ貝、シロバイともに重量が減少した。硬さは、ゆで加熱前と比較してシロバイはやや軟らかくなる程度であったが、アズキ貝は加熱3分で硬さが約半分になり、加熱5分でさらに低下した。
  • 武智 多与理, 志和 睦, 高村 仁知, 畠中 芳郎
    セッションID: P-039
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 コールドプレスジュースはスロージューサーで製造したジュースで、製造時のジュース残渣には様々な機能性成分が含まれているため、食品としての利用価値が高いと考えられる。本研究では、コールドプレスジュース製造残渣を増粘安定剤として利用したグルテンフリー米粉パンの開発を目的とした。
    方法 まず、未乾燥のジュース残渣はパン生地の水分量に影響するため、乾燥方法を検討した。次に、グルテンフリー米粉パン製造に適した発酵時間・発酵温度の検討を行い、グルテンフリー米粉パンの製造方法を確立した。その後、ネーブルオレンジから得られたジュース残渣を乾燥して得られた粉末をグルテンフリー米粉パン製造の際に添加した。ジュース残渣を添加したパンを調製し、物性値(生地の膨化度、生地の粘度、焼成パンの比容積、焼成パン切断面の観察、テクスチャー解析)の測定、および官能評価を行い、ジュース残渣の最適添加量を検討した。
    結果 ジュース残渣の乾燥は電子レンジを用い、乾燥後、ミルで粉砕しふるいにかけることを繰り返すことで、ジュース残渣粉末を調製することができた。ジュース残渣粉末を添加した米粉パンは未添加の米粉パンと比べ、生地の膨化度、生地の粘度、焼成パンの比容積の測定において高い値を示し、官能評価において高い評価を得た。これらの結果から、ジュース残渣は、グルテンフリー米粉パンの製パン性を高めることが示唆された。
  • 荒木 裕子, 山本 直子, 岩崎 智裕, 坂本 聖人, 丸井 正樹
    セッションID: P-040
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
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    【目的】ネームとはタイの発酵ソーセージである。ネームは乳酸発酵により、微生物の繁殖を抑制しており、生食できるのが大きな特徴である。演者らは、これまでネームの安全性や調製方法による細菌の変動等の検討を行ってきた。本研究では、ネームの嗜好性を検討することを目的に物性、乳酸量、pHの経時的変化を観察した。また、細菌検査も行い、安全性の検討も行った。

    【方法】試験試料は、調製材料のみの自然発酵区と材料にネームパウダー、無水グルコン酸、プレーンヨーグルトを添加した4種類を調製した。35℃で4日間発酵させ、物性、乳酸量およびpHを経時的に測定し、乳酸菌数と大腸菌群による安全性の検討を行った。

    【結果】乳酸量とpHは発酵が進むにつれ乳酸量が増加し、pHの減少が見られた。中でもグルコン酸添加区、ネームパウダー添加区は発酵0日で乳酸量の増加が著しくpH5を下回った。物性測定では調製方法により「かたさ」「凝集性」に差が出たが、3日発酵の完成時にはほぼ同じ値になった。完成したネームの細菌検査では、グルコン酸添加区、ネームパウダー添加区では大腸菌群は十分に抑制されていたが、自然発酵区、ヨーグルト添加区では大腸菌の抑制は十分ではなかった。自然発酵区とヨーグルト発酵区では乳酸菌数の大きな増殖が見られ、これらの適度な酸味が嗜好性に貢献していることが考えられた。4種の調製方法では、ヨーグルト添加区が調製が簡便であり完成したネームの性状も優れていた。
  • 松本 美鈴
    セッションID: P-041
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】精製度が低い穀類は,現代人に不足しがちな食物繊維やミネラルなどを補う.数種雑穀の物性を比較した結果,1.6倍の加水量で炊き上げたモロコシの物性が加熱挽肉のそれに似ていることを一昨年度本大会で報告した.そこで本研究では,挽肉の代替としてモロコシを添加したハンバーグの物性および食味特性を検討することを目的とした.
    【方法】<ハンバーグ材料配合> 牛挽肉200g,玉ねぎ,生パン粉,牛乳,卵各20g,塩2gなどを基本配合とした.挽肉の25%,50%および75%を炊いたモロコシで代替してモロコシ添加ハンバーグとした.
    <ハンバーグ調製方法> 挽肉に塩を加えて混捏後,炒め玉ねぎ,牛乳に浸したパン粉,卵などを加えてから円盤状に成形し,230℃のオーブンで加熱して測定試料とした.モロコシは,玉ねぎ添加時に加えた.
    <測定項目> 加熱後の重量保持率,形状変化率,色の測定(測色色差計),クリープメーター(山電)による破断試験,官能評価(評点法および9段階嗜好意欲尺度)を行った.
    【結果】モロコシ添加にともないハンバーグの形状変化率は小さくなり,ハンバーグの収縮が抑えられた.色調は,モロコシ添加によりL*値が低値になった.破断試験の結果,モロコシ添加に伴い破断歪率が低くなりハンバーグが崩れやすくなることが分かった.官能評価の結果,25%モロコシ添加試料の嗜好意欲尺度は肉100%と同程度であることが明らかとなった.
  • 山口 智子, 小暮 智子, 坂井 淳一
    セッションID: P-042
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】新潟県の中山間地に位置する阿賀町では、獣害を受けないエゴマの生産を推奨している。エゴマは主にエゴマ油として利用され、豊富に含まれるα-リノレン酸はアレルギー疾患やガン、動脈硬化に効果があることが知られている。本研究では、通常、搾油後に廃棄される搾油滓に着目し、その抗酸化性を評価するとともに、クッキーへの利用を検討した。
    【方法】阿賀町産エゴマ種子とその搾油滓を試料とし、搾油滓は粒・粉末・粒と粉末の混合物の3種の形状および焙煎したものを用いた。抗酸化性の評価として、DPPHラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量の測定を行った。クッキーには搾油滓を5%または10%添加し、抗酸化性と物性の測定および官能評価を行った。
    【結果】DPPHラジカル捕捉活性および総ポリフェノール量は、種子よりも搾油滓の方が高く、搾油滓では粒状より粉末状の方が高い値であった。また、焙煎したものはDPPHラジカル捕捉活性および総ポリフェノール量が低下しており、エゴマに含まれる抗酸化成分は熱に弱いことが分かった。エゴマ搾油滓を添加したクッキーでは、添加量が増えると抗酸化性も高くなる傾向にあったが、官能評価では搾油滓を粒状で5%添加したクッキーが最も好まれた。物性評価より搾油滓を添加したクッキーは割れやすく、また、もろくくずれやすくなることが分かった。エゴマ搾油滓の有効利用により、健康機能を有する地域の特産品としての可能性が示された。
  • 谷口 明日香, 丸山 里菜, 京極 奈美, 渡辺 裕子, 飯村(久松) 裕子, 長尾 慶子, 小林 理恵
    セッションID: P-043
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、雑穀粉の健康機能性に注目が集まっているが、これらはグルテンを形成しないため、調理への利用用途は限定的である。しかし、小麦粉のグルテン形成を抑制しながら揚げ加熱する天ぷら衣には利用の可能性が高い。そこで、小麦粉以外に天ぷら衣として利用例がみられる主穀のうるち米粉・もち米粉と共に、雑穀の大麦粉・ソバ粉・ハトムギ粉を用いた天ぷら衣の力学特性並びに外観及び吸油量とから客観的に嗜好性を評価した。
    【方法】各穀物粉15 gに、小麦粉の粘度と同程度となるよう加水し、バッターを調製した。これを直径30㎜×高さ10㎜のシリコンカップに2.0mLずつ分注し180±5℃に熱したキャノーラ油600 mLにカップごと投入して140秒間揚げ加熱した。各揚げ衣は1分放冷後、重量、表面色(L*, a*, b*値)、破断強度を測定した。また、各揚げ衣5 gに付着した油を石油エーテルで抽出後、40℃で蒸留して吸油量を測定比較した。
    【結果】揚げ衣の圧縮初期の応力及び微分値を比較すると、その硬さはうるち米粉・ハトムギ粉>大麦粉>ソバ粉となり、うるち米粉、ハトムギ粉、ソバ粉は小麦粉に比べて吸油量が少なかった。雑穀粉の揚げ衣の色は、主穀粉に比べて暗褐色であったが、特にソバ粉では濃い灰褐色を呈していた。天ぷら衣は淡黄色でもろく軽い仕上がりが望ましいことから、雑穀の大麦粉及びハトムギ粉は天ぷらの衣として小麦粉と代替えできる可能性が高い。
  • 佐藤 典子, 村松 星, 杉山 薫
    セッションID: P-044
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】平成22年農林水産省「バイオマス活用推進基本計画」によると、わが国の未利用間伐材等は約2000000m3発生していると推計されている。これらは木質バイオマスに利用する事が検討されているものの、そのほとんどが有効に利用されていない。そこで、報告者らは、粉末化した木材(木材粉末)を現代人の食生活に不足している食物繊維とみなし、木材粉末を食物繊維不足解消に有効利用する方法を追求している。今回、木材粉末添加パウンドケーキを試作して官能評価を実施した。【方法】パウンドケーキは、薄力粉90g、木材粉末と紅茶の葉を合わせて10g、ベーキングパウダー2g、砂糖100g、鶏卵2個、マーガリン50gを混合して生地を作成し、パウンドケーキ型(18☓8☓6cmの大きさ1個分)に入れ、オーブンで160℃、12分間焼成した。木材粉末の割合は、0%、3%、5%、10% とした。これらについて、平成28年7月12日または14日に、奈良教育大学の学生30名(男性2名、女性28名)を対象に、順位法による官能評価を実施した。【結果】美味しさが、3%, 0% > 5% >> 10% の順になり(3%, 0% と 10% との間に有意差あり)、3%の添加であれば無添加と同様に好まれる事が判明した。
  • 奥西 智哉, 矢口 貴代, 高野 正義
    セッションID: P-045
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー


    【目的】南部鉄器は鉄の鋳物であり、アルミ鍋に比べて蓄熱性が高く、保温性も高いと言われている。うどん釜と言われる平型の鉄鍋は米全体に均等に熱が伝わり熱効率がよいことが期待される。この平型の鉄鍋を用いた炊飯米の特性について評価を行ったので報告する。

    【方法】精白米を1時間浸漬した後、うどん釜(釜浅商店、直径30cm)を用い、卓上ガスコンロ(リンナイKG-556G、都市ガス13A)にて炊飯を行った。強火で沸騰させた後、強火2分継続させた後、弱火で所定時間炊飯を行い、炊飯終了直前に強火10秒で余分な水分を飛ばしたのち、5分むらしを行い、炊飯米を作成した。炊飯した米飯サンプルをディスク容器に10g詰め、2.5cm2のパンクチャープローブで貫入試験を行い、硬さ、こし、粘りおよび付着性を得た。同様の米飯を用い、総合評価、外観、香り、味、粘り、硬さの6項目を7段階で食味官能評価を行った。米飯50%エタノール抽出物のイオンクロマトグラフ分析から糖含量を求めた。
    【結果】炊飯時間が長くなるにつれ、なべ底のいわゆるおこげの部分が形成され、色も濃くなった。加水量が多くなるにつれ米飯硬さ(H5)は小さくなったが、家庭用IH炊飯器で調整したものより大きな数値を示した。一方、付着性(-A1)は加水量によらず炊飯器炊飯米より大きな値を示し、表層のつやを表す食味度は小さくあるいは電子顕微鏡観察のおねば層が薄かった。
  • 水分挙動から
    小林 由実, 上田 善博, 加藤 邦人, 石田 康行, 小川 宣子
    セッションID: P-046
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 天ぷらの調理過程における経時的な水分蒸発量の変化が油表面に発生する気泡に伴う油のゆらぎ(以下、油の表面情報)と関係があることを報告し、これが天ぷらの衣または素材由来かを、衣の水分を重水に置き換え推定した。衣から素材への水分移動も同様の方法で推定し、水分移動は素材の硬さや糊化度に影響することを予想した1)。本研究では実験を繰り返すことで予想した水分挙動と素材への影響を確認し、油の表面情報が天ぷらのおいしさに及ぼす影響を検討した。
    方法 天ぷらはさつまいも(10×10×8㎜:水分66%)に水分62%に調製した衣(薄力粉1g、重水1.6g)をつけ、160℃、180℃、200℃の油で3分間揚げて作成した。加熱開始13秒後と3分後の衣とさつまいもの水(H216O)と重水(H218O)をGCMSの測定から水分挙動を、常圧乾燥法から水分量、グルコアミラーゼ法と走査型電子顕微鏡像から糊化度を調べた。
    結果
    揚げ温度160℃において加熱13秒後では、他の温度に比べ衣からさつまいもへの水分移動は少なく、糊化度や細胞破壊も小さかったが、さつまいもの水分は66%と多かった。加熱3分後は衣からの水分移動が見られ、さつまいもの水分は62%と多く、糊化度も高く、細胞破壊が見られた。さつまいもの出来上がりは衣からの水分移動が影響していると推定した。
    [文献]1)小林他:日本調理科学会平成28年度大会要旨集、p90(2016)
  • 小寺 真実, 喜多村 佳代, 豆村 楽九, 森 太郎, 久保 加織
    セッションID: P-047
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、安全志向の高まりや環境に対する配慮から地産地消が推奨され、在来野菜も見直されている。滋賀県に伝わる在来カブには様々な色や形、味の特徴がある。本研究では、滋賀県在来カブの中で特に辛味が強い山カブと知名度の高い日野菜に含まれるイソチオシアネート(ITC)類の調理加工中の変化を調べた。
    【方法】滋賀大学教育学部農場で露地栽培したカブの根部を試料とした。厚さ2mmのいちょう切りにし、4%食塩とともに即席漬物器中で1時間室温放置し、これを絞って塩漬けカブとした。さらに塩漬けカブを甘酢とともに即席漬物器中で一定時間室温放置し、甘酢漬けカブとした。各カブの搾汁液からクロロホルムによってITC類を抽出し、オクタデカンを内部標準としてGCにより定量した。ピークの同定にはGCMSを用いた。
    【結果と考察】生の山カブと日野菜からは、3-ブテニルITC(B-ITC)と2-フェニルエチルITC(P-ITC)が検出された。いずれのITC含量とも個体差が大きかったが、破砕後は減少した。塩漬けにより、いずれのITC類含量とも減少した。甘酢漬けカブ中のP-ITC含量は、甘酢漬け時間が長くなるほど減少し、3日目以降は微量以下になった。B-ITC含量は甘酢漬け1日後まで増加した後、徐々に減少した。これらの変化は、辛味などの嗜好に影響すると考えられる。
  • 檀上 沙梨, 吉田 充史, 村川 秀樹, 杉山 寿美
    セッションID: P-048
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 広島風お好み焼きには多くのキャベツが使用され,加熱時にお好み焼きは鉄板上で2度返されるため,鉄板から近くなったり遠くなったりするキャベツと,常に中ほどに位置するキャベツが存在する。本研究は,お好み焼きキャベツおよび加熱温度の異なる茹で,蒸しキャベツの糖,テクスチャー分析と官能評価から,広島風お好み焼きの嗜好性を検討した。
    方法 鉄板からの位置により上,中,下層としたお好み焼きのキャベツと茹で,蒸しキャベツ(65℃,80℃,95℃)を試料とした。全糖量と搾汁中糖量はフェノール硫酸法で,テクスチャーはキャベツ6枚に対する剪断強度を測定した。官能評価は,加熱温度の異なる蒸しキャベツ3試料とこれらの混合キャベツの計4種類の甘味とテクスチャーとした。
    結果 お好み焼きキャベツや茹で,蒸しキャベツの搾汁中糖量は生キャベツよりも高く,また,お好み焼きキャベツでは中層で高く,蒸しキャベツでは加熱温度による差は認めらなかった。テクスチャー測定ではお好み焼きキャベツの上層,下層および加熱温度が高い茹で,蒸しキャベツで剪断ピークが少なかった。官能評価では加熱温度が高いキャベツは強い甘味を早く感じる一方,軟らかいテクスチャーが好まれず,混合キャベツは持続的な甘味と好ましいテクスチャーとされた。以上より,広島風お好み焼きでは,不均一な加熱のキャベツが有する甘味とテクスチャーが嗜好性へ影響していることが示された。
  • 土岐田 佳子, 藤井 恵子
    セッションID: P-049
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 豆類は日本人の伝統的な食文化において欠かすことのできない食材であるが、その中でも黒豆は仕上がりに調理技術が影響する。そこで真空調理の応用可能性を検討することを目的とし、従来の鍋調理と真空調理で調製した黒豆の物性および嗜好性について検討した。
    方法 黒豆30gを浸漬後、真空調理試料は、黒豆重量の2倍量の調味液を加え真空包装し、97℃の湯煎で2.5時間加熱した。コントロールとして真空包装用フィルムに黒豆と調味料を入れシールのみをした試料について同時に調製した。鍋調理試料は黒豆30gを浸漬後、1500gの調味液とともに鍋に入れ沸騰水中で2.5時間加熱し調製した。調製した黒豆について色度、破断特性、還元糖量等を測定し、さらに官能評価を行い食味特性について評価した。
    結果 コントロールと真空調理試料は鍋調理試料と比べ、L*値が高値、b*値が低値を示し黒豆色素が残存していることが示された。破断特性は、コントロールと真空調理試料が鍋調理試料よりもみかけの破断ひずみ、みかけの破断応力、みかけの破断エネルギーが有意に低値を示し、初期弾性率は高値を示した。還元糖量は、加熱調理後の調味液で、コンロールと真空調理試料は鍋調理試料と比べ有意に低値を示し、調味液への還元糖の溶出を低減できる調理法であることが示された。官能評価の結果は、真空調理試料は鍋調理試料と比べ、ふっくら感、色の濃さ、つやの3項目で有意に高値を示した。
  • 工藤 美奈子, 宮田 美里, 峯木 真知子
    セッションID: P-050
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 コンビニ弁当の利用が多いことはよく知られている。弁当の内容および栄養成分表示に関する報告を行った結果,食事摂取基準(2015年版)にあっていないものが多かった.そこで,大学生における昼食の摂取状況,弁当の利用と嗜好に関する調査を行い,大学生における市販弁当のあり方を検討した.
    方法 都内2ヶ所の管理栄養士・栄養士養成課程に在籍する学生2,3年生に趣旨を説明し,無記名によるアンケート調査を行った.調査時期は平成26年7月.統計処理はSPSS21.0を用い,クロス集計を行い,X2による検定を行った.有意水準は5%とした.
    結果 昼食の摂取状況は「必ず食べる」81.6%で,「大体食べる」15.6%,「食べない」は0.2%であった.「弁当持参」は58.0%,「コンビニの利用」は25.0%であった.昼食の予算は500円以下が45.6%,400円以下が25.8%で多かった.栄養成分表示は「必ず参考にする」63.1%,「参考にする」20.3%で80%以上が活用していた.健康的だと思われる弁当の第1位は「野菜量が多い」,第2位が「塩分が控えめ」であった.大学生が好む主菜は,「鶏のから揚げ」で43%であった。コンビニ弁当では野菜量の多い弁当は少なく,塩分は食事摂取基準より多いものが多い.コンビニ弁当の栄養価および内容はさらに改善する必要がある.
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