形態・機能
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原著論文
  • 宇野 智咲, 松田 友美, 石田 陽子
    2024 年 22 巻 2 号 p. 58-66
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/20
    ジャーナル フリー

    筋線維芽細胞は張力の影響を受け増殖し、肥厚性瘢痕やケロイドの発生に関与する。張力により筋線維芽細胞が増殖することは明らかなものの、上皮化が完了した創において張力が筋線維芽細胞の動態に与える影響については不明な点が多い。本研究では、上皮化完了後の創部に加わる張力の加減が筋線維芽細胞の動態に与える影響を組織形態学的に明らかにすることを目的に実験的検討を行った。7週齢雄性ICRマウスの背部皮膚に切開創を作製し、創の上皮化完了後、対照群にはガーゼを当て介入群にはハイドロコロイドドレッシング材を貼付した。創作製3、7、14、28日目に組織標本を作製後、ヘマトキシリン・エオジン染色および抗αSMA抗体による免疫組織化学染色を施した。介入群は対照群と比較して、創幅や肉芽組織の面積の縮小の程度が大きく、線維成分が規則的に配列し、筋線維芽細胞が早期に退縮する傾向にあった。対照群では、軟らかい素材で被覆することにより上皮化後の創部に外的張力が加わる状態にあり、筋線維芽細胞は張力から創部を保護するために創部に残存したと考えられる。一方介入群は、ドレッシング材の貼付により上皮化後の創部に加わる外的張力が緩和されたため、筋線維芽細胞が円滑に退縮したと考えられる。これらの結果は、上皮化後、真皮の修復が完了するまでの創の安静が、肥厚性瘢痕の予防として推奨されることを裏づけるものであると考える。

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