近年、国語科における文学的文章の読みにおいて、「語り」に着目することへの関心が高まっている。
また実践研究においては、学習者の教材の読みにとって、「語り」に着目することにどのような意義があるのか提唱されてきている。しかし一方で、どのように「語り」概念を指導することができるのかについては研究が重ねられていない。
そのため本実践研究では、中学校1年生を対象に、虚構の「日記創作」と「ごんぎつね」の語りに着目するという学習活動を通して、「語り」概念を指導することを試み、学習者が概念を習得し、活用できるのか検証を行った。学習者の実践前後の「ごんぎつね」の感想を比較することによって、学習者は「語り」概念を理解した上で、作品の読みに活用できることが分かった。したがって、本実践における「語り」概念の指導方法に有効性を見出すことができた。
ただし、本実践研究は導入として「語り」概念の指導を試みたものであり、今後も実践研究を通して指導方法の検討が重ねられる必要がある。
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