NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
26 巻
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  • 翁 百合
    2016 年 26 巻 p. 1-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/06/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ブロックチェーンは「帳簿(台帳)のイノベーション」といわれる。この技術を使うことで、モノやカネの取引記録を確実に保管し、信頼のおける取引を効率的かつ迅速に、国境を越えて実現することが可能となる。また、政府もデータベースにある国民の個人情報を、より安全に守ることができる。ブロックチェーンは仮想通貨の基礎技術にとどまらず、これまでのビジネスの仕組みや公共サービスを飛躍的に改善する、まさに新たな社会インフラとなり得るものである。他方、ブロックチェーンは、未成熟な技術であり、解決しなければならない課題も多い。こうした技術を社会基盤に組み込んでいくには、利用者に信頼される技術であることが大前提となる。そのため、官民は次の4点を実践していくべきと考える。第1に、政府はデジタル社会の明確なビジョンを示し、官民がチームとなって課題を共有しながら研究開発を進めていくことである。第2に、政府は自らがブロックチェーン導入検討の実践者となり、小さい事業でトライアルを重ね、大きく育てていくアプローチをとっていくことである。第3に、政府は民間企業の技術開発の芽をつまないよう配慮し、イノベーションを進めやすい環境を整備することである。そして第4に、民間企業の側も、こうした技術で実現できる情報のシェアという特徴を生かした新たなビジネスを構築する際に、システムのオープン化・標準化を推進することである。企業経営者は、ビジネスモデルの見直しや技術とビジネスの双方を理解できる人材の育成など、自社の経営戦略を今一度真剣に検討する必要があろう。
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