NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
61 巻
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  • 熟慮・熟議型調査から考える(2)
    翁 百合
    2022 年 61 巻 p. 1-4
    発行日: 2022/03/03
    公開日: 2022/04/06
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2021年の法律改正において、後期高齢者(75歳以上)医療費の自己負担割合の引き上げが決定した。国民はこの改正を、実のところ、どう受け止めているのだろうか。NIRA総合研究開発機構は、経済・社会のテーマに関する「世論」が、熟慮や熟議を経ることでどのような軌跡をたどるのか、を調査した。その中で、人びとは社会保障の問題に高い関心を示し、過半数の人が後期高齢者の自己負担の引き上げに賛成した。多くの国民にとって、社会保障の問題は、現在または将来の自分事として考えやすく、不安を持っているようだ。ただし、個人の状況によって賛否が分かれる点も留意しなければならない。人びとに受け入れられる医療政策を策定するためには、少数派の意見にも配慮しながら、世代を超えて納得できるやり方を探ることが極めて重要である。手がかりになるのは、人びとの認識に見られた共通点だ。医療制度の持続可能性に対する懸念、医療費の無駄の削減といった効率性への認識、そして最も注目されるのが、医療費の負担割合を「年齢」で区切ることへの不満である。年齢ではなく負担能力で考えるべきだ、という「応能負担」の考え方が大きな支持を集めている。今後、「負担の分配」を考えていかなければならない中で、国民の合意を形成するためのアジェンダを提起する。
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