NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
65 巻
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  • 被雇用者世帯の所得と負担率の国際比較分析
    翁 百合
    2023 年 65 巻 p. 1-10
    発行日: 2023/05/16
    公開日: 2023/06/19
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    少子化対策や女性活躍を後押しするためには、若者の所得を増やして将来不安を軽減することや、社会保険制度を働き方に中立的になるように設計することが重要である。こうした課題への政府の対応はまだ不十分であり、特に世帯単位でみた場合に税や社会保険料の負担や手当などの給付が公正なのかについては、本格的な検討や議論も行われていない。本稿は、税と社会保険制度の負担、児童手当などの給付の望ましい在り方を検討するため、OECDのモデルを用いて、被雇用者世帯の税や社会保険料の負担および給付を、国際比較を含むさまざまな角度から分析した。分析の結果、日本は所得水準に応じた世帯の負担率に段差が存在し家計の行動に中立的になっていないこと、諸外国と比較して子どものいない世帯に比べて子どもがいる世帯への支援が薄いこと、そして、低所得層における負担率が他の所得層と比較して相対的に高いことが明らかになった。安心して子育てのできる環境を実現するには、負担と給付の公正性を確保する必要がある。そのためには、まずは低所得の子どもがいる世帯への支援を強化することが急務である。また、応能負担を強化するとともに、税や社会保険料の負担や手当などの給付を所得の一定水準で増減、廃止する手法も見直す必要がある。
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