NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
63 巻
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  • 国際比較の視点から見えてくるもの
    翁 百合
    2022 年 63 巻 p. 1-8
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/10/13
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    コロナ禍によって、世界各国で債務が拡大している。欧米でインフレが進み、金融政策が金融引き締めへ転ずる中、債務が大きくなった民間企業や政府には利払い負担の増加、また、金融機関等には保有する債券の価格下落の影響が、今後広範に生じることが懸念される。本稿では、国際比較の観点から、コロナ禍で債務がどの程度拡大したかを確認、分析し、今後の政策課題を検討する。国際的にみると、日本や多くの欧米先進国では、コロナ禍で政府の債務が急激に拡大し、企業の債務も拡大傾向にある。こうした現状を踏まえ、日本も含めた各国において、今後の欧米の金融引き締め局面で、金利上昇が実体経済やグローバルな金融システムに与える影響を考慮することが重要になる。とりわけ日本は、国際的にも政府の債務残高が突出して大きく、将来的に金利上昇が財政支出の余力を低下させる可能性もあり、留意が必要である。また、特に非製造業では債務の増加が目立つ一方、現金・預金も厚くなっている。過剰債務に陥りかねない企業には、早期の事業再生を可能にする環境整備が緊急の課題である。
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