脳血管内治療
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4 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
症例報告
  • 藍原 正憲, 清水 立矢, 齋藤 貴寛, 長岐 智仁, 山口 玲, 相島 薫, 好本 裕平
    2019 年 4 巻 4 号 p. 161-167
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/20
    [早期公開] 公開日: 2019/05/22
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】Low-profile visualized intraluminal support(LVIS)ステントを経由し機械的血栓回収療法を施行した症例を報告する.【症例】50 歳女性.右破裂内頸動脈血豆状動脈瘤に対しLVIS ステント併用コイル塞栓術を施行した.治療10 カ月後,心原性右中大脳動脈塞栓を発症.LVISを経由した吸引型血栓回収デバイス(Penumbra)での再開通を試みるもLVIS とPenumbra が干渉し断念した.次に閉塞部にステント型血栓回収デバイス(Solitaire)を展開し,それを軸にPenumbra を閉塞部に誘導し,その中にSolitaire を回収し再開通を得た.【結論】頭蓋内内頸動脈に留置されたステントを経由した機械的血栓回収療法は,注意を要するが可能である.

  • 竹下 朝規, 石原 興平, 長嶺 知明
    2019 年 4 巻 4 号 p. 168-172
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/20
    [早期公開] 公開日: 2019/06/07
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頸椎横突起孔内の骨化病変により椎骨動脈解離から小脳梗塞を生じた稀な症例を報告する.【症例】37 歳男性,繰り返す頸部の運動の後に右側の感覚障害と視野異常を自覚しMRI で左小脳梗塞をみとめた.頭頸部3D-CTA では第6 頸椎の左横突起孔内に骨化病変をみとめ,血管造影では同部位に左椎骨動脈解離があり,頭位左回旋時に閉塞することが判明した.保存的治療を行ったが,症状再発をみとめたため左椎骨動脈の母血管閉塞を行った.術後に合併症はなく,順調に経過している.【結論】原因不明の後方循環の脳塞栓症や椎骨動脈閉塞は本疾患の可能性があり,診断確定のためには血管のみではなく,頸椎の精査も必要である.

  • 小池 和成, 片山 正輝, 井上 賢, 菅 貞郎
    2019 年 4 巻 4 号 p. 173-177
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/20
    [早期公開] 公開日: 2019/07/03
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】脳内血腫を伴う破裂中大脳動脈瘤においてコイル塞栓術後に開頭血腫除去術を行った1 例を報告する.【症例】59 歳男性,左前頭葉脳内血腫を伴うくも膜下出血で入院した.CT アンギオグラフィーで左中大脳動脈のM1 近位部に12 × 8 × 8 mm の破裂動脈瘤をみとめた.動脈瘤周囲に血腫と穿通枝が存在し開頭術による動脈瘤処置は難易度が高いと判断した.コイル塞栓術を施行し,引き続き開頭血腫除去を行うことで手術を安全に行うことができた.患者はDay40 mRS4 で回復期リハビリテーション病院に転院した.【結論】脳内血腫を伴う破裂動脈瘤に対してコイル塞栓術後に血腫除去を行った.直達手術とともに新たな治療の選択肢となりうる.

テクニカルノート
原著
  • 桑山 直也, 榎本 由貴子, 宮地 茂, 間瀬 光人, 太田 圭祐, 浅井 琢美, 小山 淳一, 当麻 直樹, 平松 久弥, 内山 尚之, ...
    2019 年 4 巻 4 号 p. 185-199
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/20
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】2016 年に日本脳神経外科学会学術総会で発表された急性期血栓回収療法(MT)における「神戸宣言」を受けて行われた全国調査によってわが国の実態が明らかとなった.今回,同調査における中部地方の2016 年の現状を解析し,その結果に基づいて始まった中部地方における各地の取り組みについて報告する.【方法】本全国調査は脳梗塞に対する血管内治療を普及させるためのプロジェクト(Recovery by Endovascular Salvage for Cerebral Ultra-acute Embolism-Japan Project: RESCUE-Japan Project)の一環として行われた全国調査の中で,中部地方8県(愛知県,石川県,岐阜県,静岡県,富山県,長野県,福井県,三重県)のデータを抽出し,各県の治療件数,日本脳神経血管内治療学会専門医数などについて解析を行った.またRESCUEJapan後の取り組みについて各地からの報告をまとめた.【結果】中部地方8 県を総合すると,人口10 万人当たりのMT の実施数は4.99 件であり,全国平均の6.06 件と比較して,少ないことが明らかとなった.また,日本脳神経血管内治療学会専門医数についても,人口10 万人当たり0.53 名と,全国平均の0.85 名を下回っていた.中部8 県の中では三重県が人口10 万人当たりの治療数が8.41 件と最も多く,次に福井県が6.39 件であり,全国平均を上回っていた.一方,他6 県はいずれも全国平均を下回っていた.また二次医療圏別に人口10 万人当たりのMT 数を解析したところ,各県内においても二次医療圏ごとに治療数に大きな格差があることが示された.【結論】2016 年の中部地方においては,全国平均に比べて人口当たりの治療件数がやや少なく,専門医数も少なかった.これを受け,中部地方においては本法実施医の養成によるMT の普及が喫緊の課題であるととらえた結果,2017 年から各地においてさまざまな取り組みが着手され,現在,相応の成果が挙げられている.

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