脳血管内治療
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4 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 藤井 亮輔, 松本 一真, 萩原 芳明, 菊池 圭祐, 飯塚 崇文, 光家 千恵美, 岸田 浩美, 琴浦 規子, 吉村 紳一, 白川 学, ...
    2019 年 4 巻 2 号 p. 55-62
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    [早期公開] 公開日: 2018/11/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】脳動脈瘤塞栓用ステントは透視下で視認性が低いため,希釈造影剤を使用したcone-beamCT(CBCT)を撮影し,ステントと動脈瘤および母血管の位置関係を評価する.CBCT 画像は造影剤の希釈倍率によっては評価困難な画像となるため,適正な希釈倍率の決定は重要である.本研究ではCBCT 画像のディジタル値を用いて,従来行われている視覚的な評価に代わる,定量的に希釈倍率を評価する手法を考案し有用性について検討を行った.【方法】自作ファントムを作成し,各希釈倍率でステント,希釈造影剤,バックグラウンドのディジタル値を算出して適正な希釈倍率の検討を行った.また,2017 年6 月〜2018 年3 月にNeuroform Atlas(Stryker,Kalamazoo, MI, USA)を使用した脳血管内治療を施行し,かつCBCT を撮影した症例を対象とし,視覚的な評価と今回考案した定量的な評価を比較した.【結果】希釈倍率が高くなるほどステントと希釈造影剤のコントラストが高くなり,希釈造影剤とバックグラウンドのコントラストが低くなった.臨床画像の視覚評価と定量的な評価は1 症例を除いたすべての症例で同様の傾向を示した.【結論】ディジタル値を用いた定量的評価は,適正な造影剤の希釈倍率を決定する因子になることが示唆された.

症例報告
  • 山崎 貴明, 佐々木 雄彦, 森脇 寛, 嶋崎 光哲, 西谷 幹雄
    2019 年 4 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    [早期公開] 公開日: 2018/10/23
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】内頚動脈の下壁から発生し内側に突出する紡錘状,wide neck 動脈瘤の治療は容易ではない.破裂内頚動脈C1 部腹内側突出型動脈瘤に対し,急性期血管内治療をした2 例の経験について報告する.【症例】症例1:55 才女性,破裂右腹内側突出型動脈瘤に対しダブルカテーテルにて破裂部位を中心とした塞栓術を施行し,modified Rankin Scale(mRS)0 で退院した.フォローアップで動脈瘤ネック付近のcompaction を認めたため,今後,追加治療を検討している.症例2:75 才男性,破裂左腹内側突出型動脈瘤に対しダブルカテーテルにて塞栓を企図したがコイルが安定せず,ステント併用コイル塞栓術に切り替えたが,ステント内血栓が発生しmRS 3 の転帰となった.【結論】内頚動脈C1 部腹内側突出型動脈瘤の破裂急性期は,破裂部位を中心とした塞栓を行い,慢性期に必要に応じてステントを併用した追加治療を行う戦略が適切と考えられる.

  • 菅 一成, 石橋 敏寛, 荏原 正幸, 結城 一郎, 村山 雄一
    2019 年 4 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    [早期公開] 公開日: 2018/11/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】再発を繰り返す大型, 巨大動脈瘤の治療選択肢は一定の見解はえられていない.Neuroform ステント併用コイル塞栓術後に,再発を繰り返す大型脳底動脈瘤に対して,Low-profile Visualized Intraluminal Support (LVIS)ステントを複数枚重ね治療した症例を報告する.【症例】47 歳男性.脳底動脈本幹部大型動脈瘤に対して,ステント併用のコイル塞栓術を施行.その後3 回の瘤内塞栓術を追加した.54 歳時,症候を有する再増大を認めた.整流効果による動脈瘤増大抑制を期待し,瘤内塞栓後,既存のステント内にLVIS ステントを3 枚留置し合併症なく終了した.【結論】脳底動脈本幹部大型動脈瘤の再発例に対して,LVIS ステント複数枚留置による治療は治療選択肢と期待される.

  • 加藤 貴之, 秋 達樹, 今井 直哉, 松原 博文, 白紙 伸一, 今井 秀
    2019 年 4 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    [早期公開] 公開日: 2018/11/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】右大動脈弓は広く知られるが,日常診療で遭遇することは稀である.今回,貴重な1 例を経験したので報告する.【症例】80 歳男性,左大脳の脳梗塞の既往があり,右大動脈弓を有する症候性左内頚動脈狭窄症と診断され内科治療を継続していたが,構音障害と右半身麻痺を認め救急搬送された.左内頚動脈狭窄は進行しており,左散在性脳梗塞の再発と診断し血行再建を行うこととした.左総頚動脈は大動脈弓頂点よりかなり低位置で分岐し,Kommerell 憩室と大動脈粥腫もあるため,下肢からのアプローチは合併症の危険が高いと判断し,右上腕経由で頚動脈ステント留置術を施行した.【結論】十分にアプローチルートを検討することで安全に治療することができた.

  • 山口 玲, 藍原 正憲, 清水 立矢, 佐藤 晃之, 藤巻 広也, 朝倉 健, 好本 裕平
    2019 年 4 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    [早期公開] 公開日: 2018/11/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】多発硬膜動静脈瘻(DAVFs)は稀で,皮質静脈逆流を呈する割合が多く神経症状を伴いやすい.今回われわれは,代謝性障害を基礎疾患とし,4 カ所の多発性シャントをもつ DAVFs を経験した.【症例】眼症状と歩行障害を認めた 65 歳男性.入院後神経症状が急速に悪化した.上矢状静脈洞に 3 カ所,横静脈洞に 1 カ所のシャントがあり,著明な静脈還流障害を認めた.複数回の経動脈的塞栓と開頭術を行い,シャント減少と静脈還流障害の改善を得た.進行性かつ重度の神経症状を伴う DAVFs であり,原因検索を行うと高ホモシステイン血症(HHCY)を認めた.【結論】HHCY は DAVFs の経過と発生に関連している可能性がある.

  • 清水 信行, 末永 潤, 矢澤 理, 篠原 直樹, 磯崎 潤, 宮崎 良平, 立石 健祐, 村田 英俊, 山本 哲哉
    2019 年 4 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    [早期公開] 公開日: 2018/11/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】脳底動脈閉塞を呈した急性期脳梗塞に対して,左橈骨動脈穿刺で機械的血栓回収療法を行い良好な結果を得たため,文献的考察を加えて報告する.【症例】73 歳男性.意識障害で発見され,救急搬送.National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS) 25 点.頭部CT で脳底動脈先端部にhyper dense sign を認め,機械的血栓回収術を施行.右椎骨動脈は閉塞し,左椎骨動脈は起始部に高度狭窄を認めた.左椎骨動脈は起始部で屈曲しており,左橈骨動脈穿刺に変更し,まず狭窄部に対して経皮的血管形成術を施行した後に,脳底動脈閉塞部の血栓回収し,完全再開通を得た.【結語】脳底動脈閉塞に対する機械的血栓回収療法において、完全再開通までの時間はできるだけ短くすべきである。左橈骨動脈穿刺に変更したことで、狭窄の通過が容易となった.

  • 石川 友美, 佐藤 慎祐, 新見 康成, 望月 達城, 望月 悠一, 井上 龍也, 桑本 健太郎, 岡田 芳和, 川俣 貴一
    2019 年 4 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    [早期公開] 公開日: 2019/01/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】テント部に発生する硬膜動静脈瘻では,静脈瘤形成,ガレン大静脈へ流出をきたすものは出血の危険因子として考えられ,本症例のようにシャント部位から特異な静脈流出路をとることは少なく,詳細な構造把握が求められるため,文献的考察を含めて報告する. 【症例】73 歳,女性.脳室内出血を伴った脳内出血で発症,脳血管撮影にてfalcotentorial junction 硬膜動静脈瘻と診断された.シャントがstraight sinus のGalen の近傍であり,テント上の静脈に逆流し,左右の静脈流出路の内,右側はlongitudinal hippocampal vein を経由して基底核に埋没する静脈瘤に繋がっていた.Feeder である左中硬膜動脈と右後頭動脈から血管内塞栓術を施行し,シャントの完全閉塞が得られた.【結語】falcotentorial junction 硬膜動静脈瘻の静脈流出路をテント上に認め,右側はlongitudinal hippocampal vein を経由した稀な症例であり,本症例の出血原因と治療戦略を考えるために静脈流出路やシャントの構造全体の詳細な把握が重要であった.

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