フィリピン・レイテにおいて、通常の尿素肥料および緩効性尿素肥料を50 あるいは100 kg N ha
-1として施用したサゴヤシ実験圃場(管理のために圃場を6列に区分し、1列に5プロットを配した)に発生したミノガの幼虫による食害を2008年および2010年に調査した。本ミノガは、前翅および後翅の脈相、前翅の11本の翅脈と中脈M1の存在、後翅の7本の翅脈および後翅中室が閉ざされているなどの特徴から
Pteroma pendulaあるいはこの近縁種であると同定した。2008年に本種によって何らかの被害を受けたサゴヤシは、試験圃場の植栽グループによって異なるが、サゴヤシの84(E グループ)〜100 %(O グループ)にまで達した。食害を受けたサゴヤシは、全サゴヤシの83%にまで達した。通常および緩効性いずれの尿素肥料の施用も、ミノガの食害を増加させたが、有意な差ではなかった。また、ミノガによる食害は、トゲの大きいサゴヤシの方がトゲの小さいサゴヤシよりもやや大きかった。2010年において、再び、ミノガの食害が認められたが、2008年ほどには広範に食害されず、トゲの大きいサゴヤシ2本にのみ食害が集中し、2本のサゴヤシ生葉の38.5〜40.0%が食害された。現在まで、甚大なミノガによる食害はみられていないが、単一種のプランテーションでは、天敵が少なく、ミノガのように爆発的な個体数の増加がみられる種に対するリスク管理が必要であろう。
抄録全体を表示