Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
16 巻, 2 号
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研究・調査報告
  • Rembon Fransiscus Suramas, Pasolon Yulius Barra, 山本 由徳
    2008 年16 巻2 号 p. 79-84
    発行日: 2008年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     インドネシア,パプア州ジャヤプラ近郊のスンタニ湖畔のサゴヤシ園に生育するサゴヤシ野生型(folk variety),小型Manno(MK)と大型Manno(MB)について,2005年(Exp. 1)にはヤバソ村でMK,2006年(Exp.2) にはそれぞれヤバソ村とケヒラン村でMBとMKの落下成熟果実を外観をみながら採集した.採集したMKとMBの果実重は,それぞれ7.4-44.6g,31.8-46.2gを示し,平均果実重は28.2gと37.6gであった.MKとMBの種子重〔果実重から外皮(外果皮と内果皮)と肉質種皮を除いた重さ〕は,それぞれ5.8-31.9g,21.7-32.9gを示し,平均種子重は20.4g,28.0gであった.両Manno種の果実重は,報告されている栽培型サゴヤシの果実重に比べて軽かった.MKとMBの種子発芽率は,それぞれ70.1%,77.3%で,MKに比べてMBでやや高かった.これらのManno種の発芽率は,報告されている栽培型サゴヤシ種(40-60%)に比べて高かった.MKの発芽は,播種後6-69日にかけてみられ,発芽最盛期は,同20-34日目にみられ,この期間に約68%の発芽がみられた.これらの結果は,野生型サゴヤシ種Mannoの発芽は,栽培型のサゴヤシ種に比べて早く,また発芽最盛期の発芽割合が高いことを示した.本研究では,落下種子を採集して供試したために,落下後の経過日数や落下した地上部の環境条件が果実重,種子重や種子の発芽歩合,発芽過程に影響を及ぼしたことが推定され,今後,さらに詳細な検討が必要である.
  • Polnaya Febby J., Haryadi , Marseno Djagal W.
    2008 年16 巻2 号 p. 85-94
    発行日: 2008年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     サゴデンプンを酸化プロピレン、ついで無水酢酸を用いて化学的に修飾した。ヒドロキシプロピル化サゴデンプンはアルカリ条件下で24時間、40℃で0-7.5mlの酸化プロピレンを用いて調整した。アセチル化サゴデンプンは中程度のアルカリ条件下で室温、0-9mlの無水酢酸を用いて調整した。この研究の目的は化学修飾を受けたサゴデンプンの諸性質(膨潤力、溶解度、糊液の透明性(%T) )に及ぼす置換の程度の影響を決めることであった。ヒドロキシプロピル化したサゴデンプン(HP-S)のモル数(MS値)は0.021-0.058であり、ヒドロキシプロピルーアセチル化したサゴデンプン(HP-ASS)の置換度(DS値)は無水酢酸6.5mlでは0.029-0.051、9mlでは0.047-0.061となった。一方、アセチル化したサゴデンプン(ASS)のDS値は0.051と0.057であった。HP-ASSのDS値はASSと比較して低く、HP-ASSのMS値は0.021と0.044であった。HPSS、ASS、およびHP-ASSの膨潤力、溶解度、糊液の透明性は修飾前のサゴデンプンと比べて高い値を示した。
  • グスマヤンテイ エヴィ, 町田 武美, 吉田 正夫
    2008 年16 巻2 号 p. 95-101
    発行日: 2008年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は、生育ステージが異なるサゴヤシの葉の形態的な特徴を明らかにすることである。インドネシア西カリマンタンのサゴヤシ農園で、全生育ステージにわたるサゴヤシ11個体を対象とした。各個体の展開葉について、葉長、葉数、小葉数を計測した。その結果、最大葉数は花芽形成期ごろに認められた。葉長、小葉数は幹立ち期後半で比較的多かった。これらの特徴は、葉面積指数(LAI)や比葉面積(SLA)をの推定を容易にし、それをもとに構築する生育シミュレーションモデルに有用であると考えられた。
情報
  • ―スマトラ,西カリマンタン,南スラウェシ,マルク,パプアにおける調査事例―
    齊藤 邦行, Bintoro M. H., 大江 和泉, Jong F. S., Louw J., 杉山 信男
    2008 年16 巻2 号 p. 102-108
    発行日: 2008年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     インドネシアにおけるサゴヤシ林の約95% がインドネシア東部(カリマンタン,スラウェシ,マルク,パプア)に分布しており,この地域で多くの変種が分化したと考えられている.この地域のサゴヤシ林ではインドネシア西部(スマトラ,ジャワ)に比べてデンプン生産性が著しく高いことが知られている.そこで,インドネシアにおけるサゴヤシの分布と遺伝的多様性,デンプン生産性を2001年から2007年にかけて調査した.リャウのトゥビンティインギ島では商業的プランテーション栽培が行われ,水路によって50 haずつに区画された圃場に水上栽培した吸枝が10 m間隔(正方形植)で移植されていた.調査を行ったアチェ州アチェベサールでは,約50 ha,西カリマンタン州のポンティアナでは約5,000 ha,南スラウェシ州のパロポでは約1,000 ha のサゴヤシ自然林が河川沿いに広がっていた。マルク州では各島々の沼沢地沿いに合計約30,000 ha のサゴヤシ林を有していた.パプアのセンタニ(スンタニ)湖周辺には約4,000-5,000 ha の自然林が広がり,州の農業試験場では自然林から60 種類のサゴヤシ近縁種または変種を収集して表現形質や成長速度を比較していた.2種の変種Yepha(トゲなし),Phara(トゲあり)が推奨されていた.各調査地で可能な限り開花期に近い1-2個体(幹立ち後6-10年)を切り倒して調査した幹のデンプン収量はパプア(835kg)で最も高く,次いでマルク(582kg),南スラウェシ(373kg),リャウ(225kg)の順となり,アチェ(135kg)と西カリマンタン(100kg)では低かった.髄部デンプン含量は髄の比重および乾物率と密接な相関関係が認められた.
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