Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
6 巻, 1 号
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研究・調査報告
  • 平尾 和子, 五十嵐 喜治, 高橋 節子
    1998 年6 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     英国風ブラマンジェはとうもろこし澱粉に牛乳,砂糖を加えて加熱糊化させる代表的な澱粉ゲルの一つである.前報により,ブラマンジェを調製する際に牛乳の代わりに分離大豆タンパク質や粉末豆乳を用いてブラマンジェを調製したところ,澱粉の種類だけではなくタンパク質や油脂の含量によっても性状および物性値が異なる結果が得られた.そこで本実験では,Schefféの単純格子計画法に従って澱粉・分離大豆タンパク質・大豆油の3成分の水準として10格子点の材料配合比を求め,アミログラフ,レオロメーターを用いて客観測定を行った.測定結果から粘度上昇開始温度,最高粘度,最終粘度,硬さおよび付着性の各特性値を求め,保型性と共に材料配合比との関係を検討した.その結果,各特性値と材料配合比の水準の関係は2次の推定式で表された.この2次推定式は実測値と推定値を検定することにより適合性が認められ,各特性値の推定曲線が得られた.とうもろこし,およびサゴ澱粉を用いたゲルは澱粉の水準が高いものほど最高粘度,硬さ,保型性の特性値は高く示され,逆に大豆油の水準が高い場合は糊化開始温度が高く,最高粘度,最終粘度,硬さ,付着性,保型性は低く示された.また分離大豆タンパク質の水準は,いずれの澱粉の特性値にもあまり大きな影響を与えないと考えられた.推定曲線を用いることにより,任意の配合比の特性値を推定することができるだけではなく,同じ特性値を持つ異なった種類の澱粉ゲルを調製することが可能と考えられた.すなわち,ブラマンジェに従来使用されているとうもろこし澱粉の代わりにサゴ澱粉を利用して,同じ物性値を持つブラマンジェを調製することができ,サゴ澱粉の利用がさらに拡大されると考えられた.
  • —パプアニューギニア,東セピック州カラワリ川上流域の「サゴ適応」
    紙村 徹
    1998 年6 巻1 号 p. 10-23
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     インドネシア,モルッカ諸島セーラム島のウェマーレ族に伝わるハイヌヴェレ神話は,Ad. イェンゼンの説によれば,根茎類などの栽培植物の起源神話として代表的であるだけでなく,根栽農耕文化に固有な世界像を表象する典型例であるとして有名である.本論では,セピック川の支流のカラワリ川上流域地方に分布するアラフンデイ族とカニンガラ族の説話のうち,ことにサゴ・デンプン採集と料理にかかわるものを選び,それらを構造分析することによって,以下の結論を得た.かれらには,今のところ根茎類の起源を説明するハイヌヴェレ型の神話は見出されてはいない.その代わりに,かれらの主食であるサゴ・デンプンの採集と料理に関わる諸説話には,あきらかにハイヌヴェレ神話と同一構造が変換されたものが見出された.このサゴヤシという植物自体の起源神話が存在しない理由は,おそらくサゴヤシという植物がニューギニア人自身によっても栽培植物とは認識されていなかったことと関連するのであろう.それでもなおかつ,そこには明らかに,貧困化されてはいるとはいえ,ハイヌヴェレ型の神話構造が見出されるのは,アラフンデイ族やカニンガラ族が本来はサゴ・デンプンを主食とはしない地域の出身者であり,低地湿原に移住しサゴ・デンプン依存の生活に適応しなければならなくなった歴史的事情を反映しているのであろう.そのために本来はイモの起源神話であったものを,サゴ・デンプン採取と料理の起源説話として変換させたのである.これを「サゴ適応」と呼びたい.しかしその適応に当たっては,本来のハイヌヴェレ型神話からの構造の貧困化と構造因子の逆転がみられる.さらには,オーストラリア白人の起源を語る説話では,構造の捻れさえ見出された.
短報
情報
  • 江原 宏, 山本 由徳, 安藤 豊, 新田 洋司, スサント スラマット
    1998 年6 巻1 号 p. 28-33
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     インドネシアのスマトラ東岸地域におけるサゴ生産と利用の状況を調査した.リアウ州ベンカリス県とインドゥラギリヒリール県には有刺サゴヤシと無刺サゴヤシが生育しており,南スマトラ州バンカ県のバンカ島では有剌サゴヤシと無刺サゴヤシが同一地域に混在していた.デンプン収穫(未乾燥)と乾燥デンプン価格は,ベンカリス県ではそれぞれ約250kg/本(サゴヤシ樹1本当たり),Rp 350~500/kg,インドゥラギリヒリール県では150~300kg/本,Rp 350~500/kgとみられた.バンカ県における収量は不明であったが,乾燥デンプン価格はRp 400~500/kgであった.サゴヤシデンプンの利用形態としては,リアウ州では麺(sohun, sago mie)と菓子(hunke, sago rendang, kerupuk sagu)が,南スマトラ州では菓子(kretek, getas)あるいは練製品(pempek)が中心であった.
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