泥炭層の薄い泥炭地に生育するサゴヤシは同一の生長段階にあっても,幹の高さ,周径,重量とも変動がみられる.植栽時点から幹が形成されるまでの約5.5年間は,ロ ゼッタ段階にとどまっており,開花は12.5年で始まり,果実が完全に脱落するまでには14.5年かかる.
澱粉の平均乾燥重量は,開花期まで成熟するにつれて増大する.比較的早い生長段階では澱粉は主として幹の下部に集中するが,このことは澱粉の集積が幹の基部から頂部に移行することを示している.18~20%という最大の澱粉量は,幹の最大生長段階(花序形成の直前)と開花段階のあいだでみられる.その後は澱粉量は急速に減少し,最終段階では4~6%になる.
正常に結実したヤシと対照的に,花序の異常あるいは損傷のためにまったくあるいはごくわずかしか結実しなかったヤシでは,澱粉の大半は幹の中に保持される.このことは,幹の中のほとんどの澱粉は,生長の最終段階である果実の発達のために移送されることを示している.
時間あたりの澱粉生成量が最大になるのも,幹の最大生長段階と開花段階のあいだにある.経済的にみて最大の収量を得ることと,次世代のヤシの生長を促進させるためには,収穫は最大生長段階でなされるべきである.
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