プロのクラシックバレエダンサー163名(男性40名,女性123名)を対象に,腰痛についてのアンケート調査を施行し,男女の比較を中心に検討した.バレエ開始年齢は男性平均11.5歳,女性5.3歳,バレエ歴はそれぞれ16.0年,21.8年と女性が有意に長かった.また,週の平均練習時間は男性10.5時間,女性11.1時間と差を認めなかったが,年間の公演回数はそれぞれ33.6回,11.9回と男性が有意に多かった.男性の87.9%,女性の91.7%に腰痛の経験があり,そのうち男性の55.2%,女性の37.7%がバレエに支障のある腰痛であった.腰痛による休職率は男性24.1%,女性11.7%であったが,医療機関への受診率はそれぞれ11.3%,8.3%と,ともに低率であった.腰痛を誘発する動作は,男性ではリフトやジャンプの着地時が多く,女性では腰椎伸展時が最も多かった.今回の調査では約90%のバレエダンサーに腰痛を認めた.腰痛の程度は男性がより重度で,運動量や運動強度の違いが関係していると考えられた.
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