アジア経済
Online ISSN : 2434-0537
Print ISSN : 0002-2942
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論文
  • 徳永 佳晃
    原稿種別: 論文
    2025 年 66 巻 1 号 p. 2-28
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2025/03/31
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    本稿は,パフラヴィー朝成立に伴う第1次憲法改正について,国民議会および第1次憲法会議における法的な議論,ならびにその政治的背景に着目しつつ分析する。この憲法改正は,単にイラン史上初であっただけではなく,イラン国憲法典に規定がなかった憲法改正にかかる慣行を打ち立てた点でも重要であった。上記の分析を通じて本稿では,レザー・ハーンおよび側近らが新王朝を建設するにあたり,少なくとも形の上ではイラン国憲法典を尊重する姿勢を示し,立憲革命の先例をふまえて憲法改正を行ったことを示す。この戦略のもとレザー・ハーンらは,憲法典の護持を旗印に結束するモダッレスら反対派の論拠を弱め,彼らの抵抗を抑えて新王朝を建設することに成功した。しかしながら,その過程で形作られた煩雑な改正手続は,後の憲法改正を抑制する方向に作用し,憲法典が規定する国王権限と実際にレザー・ハーンが有する権力との間に深刻な不一致を生じさせる一因となった。

研究ノート
  • 林 載桓
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年 66 巻 1 号 p. 29-51
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2025/03/31
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    権威主義体制のなかでリーダー個人に権力が集中する事例が増加している。このような個人化の進展は,社会への抑圧強化や国家間紛争につながりやすいとされ,権威主義国家の国内だけでなく,国際的にも懸念の声が高まっている。しかし,個人化の様相は非常に多様であり,その実態をどのように捉え,説明するかについては,さまざまな議論が行われている。本論文では,比較政治学における近年の研究を取り上げ,権力の個人化の概念と測り方,そして権力の個人化が生じる条件とメカニズムについてどのような知見が蓄積されてきたかを考察する。さらに,本論文は,これらの知見の妥当性と適用可能性について,リーダーへの急速な権力集中が注目を集めている中国の習近平政権を事例として検証する。本論文を通じて,①個人独裁の傾向を権威主義政治に共通する一つの特徴と見做し,その動態を定量的に測ろうとする試みがなされていること,②権力の個人化は,エリート間の権力分有の構造と性質を決める特定の制度や状況のもとで発生しやすくなること,③習近平政権における個人独裁の強化は,制度的,構造的,状況的要因が複合的に作用した結果である,という点を明らかにしたい。

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