アジア経済
Online ISSN : 2434-0537
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論文
  • 中川 雅彦
    2022 年 63 巻 1 号 p. 2-20
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/03/28
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    本稿は,朝鮮民主主義人民共和国の党営企業グループの形成過程,そして党営企業グループの傘下企業の構成,さらに党営企業グループと国家の計画経済に基づく一般経済との関係について分析し,党営企業グループの活動の特徴を明らかにするものである。党営企業グループの形成過程に関しては,1960年代に党直営の貿易会社である大聖貿易会社が設立されたこと,また,一般経済部門の生産機関から党の直営に移管されて輸出専門工場になった沙里院タオル工場の例が示された。そして,1970年代に党財政経理部39号室,平壌市党委員会や党軽工業部などで大聖,金剛,綾羅島,烽火などの企業グループが形成されて活動資金を蓄積するようになったことが示された。党企業グループの傘下企業に関する分析から,金のインゴットやマツタケ,ベニズワイガニに関して,党営企業グループの独占状態があることなどが確認された。その一方で,船興食料工場が党軽工業部の企業グループから一般経済部門へ移管された例や党行政部の活動資金が一般経済部門の養鶏工場に投資された例,39号室の資金で建設された平壌樹脂鉛筆工場,祥原セメント連合企業所など,党営企業グループあるいは党営企業グループの資金が一般経済に生産的な貢献をしている例により,党営企業グループが一般経済部門から一方的に資源を吸い上げているという従来の見解が正確ではないことが示された。

研究ノート
  • 藤田 渡
    2022 年 63 巻 1 号 p. 21-44
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/03/28
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    2019年2月に,コミュニティ林法が成立し,関連する一連の法改正が行われた。これまで,人びとが日常的に生活に用いる森林資源を自ら管理することが法律上,許されず,国立公園などの保護林では,人びとが居住し耕作すること自体が違法とされてきた。今回の法改正によりこうした事態が一応,解決された。本稿では,コミュニティ林法を中心に,森林関連の法改正を,条文の規定やこれまでの経緯,審議過程も参照し,人びとの権利を承認するという立場を重視する「権利論」と,持続的な森林管理の手段として人びとの参加を認める「政策論」という観点から検証を行った。その結果,政府による統制が強く人びとを森林保護に動員するような「政策論」の極ともいえる内容であり,軍などによる強力な法執行を背景にしたものであることがわかった。政治情勢により,この法律が文言どおり執行されるかは不明だが,今後の経過を注意深く観察する必要がある。

研究レビュー
  • 黄 璋
    2022 年 63 巻 1 号 p. 45-71
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/03/28
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    本稿の目的は先行研究レビューを通して高齢者福祉政策を取り巻く制度的背景と研究状況を把握し,今後研究を更に進めるべき課題を明らかにすることである。具体的には,先行研究を制度的背景としての社会保障制度,福祉レジーム論と中国の位置づけ,中国の高齢者福祉政策という3つの研究群に分けて論じる。まず,先行研究レビューを通して現代中国の社会保障制度の変遷,内容,特徴などを明らかにする。次に,こうした社会保障制度は,エスピン-アンデルセン[Esping-Andersen 1990]の福祉レジーム論においてどのような位置づけにあるのかについて先行文献を活用しながら検討する。さらに,中国政府は高齢者介護問題に対してどのような政策で対応しているのかについて先行研究を整理し高齢者福祉政策の現状と課題などを明らかにする。最後に,こうした先行研究レビューと,先行研究に対する評価をふまえた今後の研究課題を提示する。

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