アジア経済
Online ISSN : 2434-0537
Print ISSN : 0002-2942
61 巻, 4 号
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論文
  • 邢 雪歌
    2020 年 61 巻 4 号 p. 2-31
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2021/01/07
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    本論は,これまでに提案されている中国年金制度改革に新たにもうひとつの選択肢を加えようとするものである。まず,中国の現行年金制度の問題点を分析し,国民の基本生活を十分に保障できないということを指摘した。そして,この問題に対して,統一的な基礎年金を中心とする改革案を提案した。続いて,この改革案が実施される場合に必要な年金負担率を明らかにした。また,改革に関する財政収支の推計を行い,改革の実現可能性を考察した。さらに,各所得階層の年金所得代替率の増減を推計し,給付面から新提案の保障機能を考察した。最後に,残された問題点を論じた。結論として,新提案を実施したとしても,長期的な財政状況は安定的となるので,改革を行えるということである。また,統一的な新基礎年金と新個人口座の組み合わせによって,年金制度の保障機能は明らかに向上する。

資料
  • 竹村 和朗
    2020 年 61 巻 4 号 p. 32-51
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2021/01/07
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    本稿は,エジプトの最高憲法裁判所が2008年に言い渡した,1952年法律第180号の第3条に関する違憲判決を解題し,その全文翻訳を提示するものである。同法は,一般に「家族ワクフ」と呼ばれていた寄進財制度を廃止し,その財産を関係者に分配することを定めた。これは,相続の取り分に関わるため,広汎な社会層に争いを生み出し,そのうちのひとつが最高憲法裁判所にまで至ったのである。同法が制定されてから半世紀以上の時間が経過した後に,なぜこのような展開が生じたのだろうか。判決の影響力はどこまで及ぶのだろうか。本稿の解題部では,判決の資料的側面(第Ⅰ節),判決文から読み取られる家族ワクフをめぐる争いの実相(第Ⅱ節),そして違憲の判断を下した裁判官の論理(第Ⅲ節)を明らかにする。本稿の資料部では,同判決の内容を原形式のまま全訳し,解題部の議論が実際の判決文でどのように表現されているかを確認できるようにした。

書評
『アジア経済』総目次2020年
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