日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集
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19 巻
選択された号の論文の36件中1~36を表示しています
  • -QGIS を用いた空間分析から-
    稲原 凌, 近藤 民代
    2021 年 19 巻 p. 1-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、斜面地の住みよさの実態を明らかにし、立地適正化計画との関係を分析することによって同計画の 評価を行った。データは主に国土数値情報や e-Stat のものを用いて、立地適正化計画で定められている居住誘導区 域と斜面地が重なる部分に関して、人口カバー率の観点から QGIS を利用して現状の分析を行った。斜面地では人口 が減少している町が多く、斜面地でない地域では人口が増加している町が多かった。このことから、傾斜と人口の 増減には関係があることがわかる。カバー率の分析結果から、空間分析指標によってカバー率は大きく変わる都市 も存在するため、市は地域をより横断的に分析し、詳細な施策を施す必要があるだろう。
  • -京都府舞鶴市を対象として-
    吉田 隼斗, 岡井 有佳
    2021 年 19 巻 p. 5-8
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、京都府舞鶴市における逆線引きの運用のプロセスとその課題を明らかにしている。市は、土地利用状 況や人口動向などの独自に定めた逆線引きの基準により、逆線引き候補地を選定している。合意形成においては、 住民説明会に加えて、区域区分に関する権限を持つ京都府との調整に時間を要した。日本全国で人口減少が進む中 で、逆線引きの必要性が高まることが予想されるため、逆線引きに関する基準を国が示すことが求められる。また、 舞鶴市のように、一都市で一都市計画区分を持つ自治体については、区域区分運用権限を市町へ委譲することが、 行政の負担軽減につながり、逆線引きの積極的な活用につながるであろう。
  • 藤川 知也, 吉野 和泰, 山口 敬太, 川﨑 雅史
    2021 年 19 巻 p. 9-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年,公共的空間の一つとして地下道を新設・再整備し賑わいの創出を図るケースが増えているが,空間の活用 にあたっては,財源の捻出や柔軟な空間デザインの実現などに課題がある. 本研究では,国内の地下道空間の先進的な活用事例を対象に,活用主体にヒアリング調査を行い,利活用における 具体的な課題とその解決方策を抽出・整理した.研究の成果として,空間活用のための協働のスキーム,財源の仕 組み,空間デザインの観点で地下道特有の課題と解決手法があり,それぞれが相補的に機能し合うことで,多様か つ持続的な空間の利活用に結びついていることを明らかにした
  • -京都市の関連側道を対象として-
    毛藤 洸大, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 13-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では京都市が整備した関連側道を事例に、関連側道に対する議論とその変化を明らかにし、関連側道の整備 にどのような影響を与えたか考察した。京都市で整備された関連側道はコミュニティ道路化や自転車歩行者専用道 路といった点が、他の近畿圏の関連側道にない特徴となっている。特に、関連側道の中ではあまり例のない自転車 歩行者専用道路で周辺住民と意見交換する場を設け、整備方針を議論してきた経緯を持つのが阪急西側道である。初期 7 年間は騒音や景観に関する議論、後期 1 年間は高架下に商業施設が整備されることから周辺住民の利便性を 確保しつつ、日常生活に支障をきたさないようどう配慮していくかが大きな論点となっていた。
  • 和泉 汐里, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 17-20
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2002 年から EU で実施されてきた都市政策プログラムである URBACT は、都市再生の知識を、より多くの都市に提 供するために、複数の都市で政策ネットワークを形成し、情報交換や経験共有を行うプラットフォームとしての役 割を持つ。本研究では、EU の都市政策ネットワーク・URBACT に着目し、その活動内容ならびに政策ネットワークの形成プロ セスと意義について考察した。研究の結果、①URBACT の活動は、「政策ネットワークの形成」と「LAP の策定」の 2 つに分類できる。②政策ネットワークの形成方法について、都市間で能動的にネットワーク化を促す仕組みに転じ ている。③URBACTⅢは、1)政策ネットワークで得られた複数の都市に共通する課題レベルと 2)各地域の実情にあわ せた LAP の策定という 2 つの異なるスケールでの都市再生が実施できていると考えられる。
  • 上野 美咲
    2021 年 19 巻 p. 21-24
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    地域活動の一つであるエリアマネジメントは公益的性質が存在するものの、あくまでも民間活動である。そのよ うな中で、財源や人材の確保に関する課題が存在する。一方で、エリアマネジメントの実施にあたっては、日本版 BID 制度(2018 年 6 月制定)及びふるさと納税のハイブリッド形式の財源が現実的な手法として和歌山県湯浅町等 で検討されてきた。そこで、本論文では、ソーシャル・キャピタル(地域活動にとって重要な要素)の構成要素で ある互酬性の意識がふるさと納税の要因となっていることを鑑み、地域活動(エリアマネジメント等)に参加する ことが、ふるさと納税等の寄付行為にどの程度影響するのか等について順序ロジットモデル等を使用して実証分析 する。
  • 田中 優大, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 25-28
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年の都市縮小等を背景に、都市機能集積の誘導、市街化のコントロールにかかる制度の重要性は増しており、 過去の類似する制度の知見が求められる。本研究では、戦災復興期に運用された緑地制度の指定等の運用について、京都市を対象に、東京、地方都市等の 指定と比較し制度運用の実態を明らかにすることを目的とした。本研究から、緑地制度の運用において、指定の目的や指定の基準は柔軟に運用されていたこと、緑地地域の改廃 に大都市、地方都市において共通する点があったこと、制度の形骸化の実態などが明らかとなった。
  • -事業の継続・終了プロセスに着目して-
    田中 智朗, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 29-32
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、コミュニティ型暫定利用を対象に、空地活用の実態を把握した。 以上から、①事業の目的、用途、面積、期間は、運営形態によって傾向が異なること、②暫定利用終了後は対象地 や運営主体の変更が生じるなど新たな展開の契機となる可能性があること③暫定利用を通して場を共有することに よって形成されたコミュニティが、利用終了後も継続的なまちづくり活動として展開されている可能性があること、 が明らかとなった。コミュニティ型暫定利用は終了を前提とした事業であり、いずれ人々の拠点としての場は消滅するが、地域のコ ミュニティ形成に及ぼした影響には持続性を持つ可能性があると考えられる。
  • 荻原 実花, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2021 年 19 巻 p. 33-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    古道は人や物の移動の場として地域間の交流を支えてきた貴重な歴史資源である。一方、現代では車での移動が 主流になっており、歩くことで感じられる景観の魅力が失われてきている。歴史古道「業平道」は、平安時代の歌 人である在原業平が河内姫のもとに通ったとされる道で、現在の天理市から八尾市に位置しており、ウォーキング ルートとして親しまれている。本研究では、業平道のシークエンス景観の空間構造を記号化することで誘引効果を 解明した。記号化について、Lynch が提唱する高速道路におけるシークエンス景観の記号化手法を歩行空間に応用 し、「空間と動作の感覚」とノード、ランドマーク、ディストリクト、エッジからなる「注視対象物の位置と見え方」 を特定して分析し、誘引効果を探った。
  • -兵庫県生野町と山東省棗荘市を中心に-
    宋 謙
    2021 年 19 巻 p. 37-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本論文は、日本と中国の鉱山地域の景観形成を考察するものである。兵庫県生野町と山東省棗庄市の代表的な景 観スポットを抽出し、その活用方法を検討した上で、マトリクス図を用いて景観づくりの方向性を考察した。本研 究の成果は、日中の鉱山地域における景観整備の方向性の違いを明らかにするだけでなく、今後の鉱山地域の町並 み整備施策に向けた知見を深める上でも有用であると考えられる。
  • 溝口 徳昭, 谷川 陸, 山口 敬太, 川崎 雅史
    2021 年 19 巻 p. 41-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,近江八幡旧市街地において古民家を利活用している事業者に着目し,古民家の物件成約・改修,そ して事業に至るプロセスとその成立要件を明らかにした.近江八幡では,家主と新規事業者との信頼関係の構築や 物件の改修を含む初期投資費用と事業との協議が各フェーズを成立・促進させるために重要であることが示された. 各フェーズでの課題は,地元事業者や住民,工務店などの業者とのつながりや伝統的建造物群保存地区の補助金, セルフリノベーションなどによってある程度解決できることが分かった.また,個別の事例が他の事例に波及効果 を及ぼし,地域で形成されつつあるコミュニティが利活用を促していることを明らかになった.
  • 赤坂 尚哉, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2021 年 19 巻 p. 45-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では重要文化的景観選定区域におけるクラウドファンディング(CF という)の活用に着目し、景観保全へ の効果および CF 実施による副次的効果について明らかにすることを目的とした。景観構成要素の修繕・修景や特産 品の加工・販売を目的とした CF 実施 6 主体に対してヒアリング調査を行った。景観整備は寄付金が目標金額に達し ない団体が多いが、別途補助事業等での資金獲得により事業費を確保し予定通り実施される場合もある。 CF 活用 による商品群のデザインコンセプトの統一等によるブランディングにより、認知や販路拡大という効果を確認でき た。情報発信に関しては、来訪者数の向上や地域内外からの認識向上は実感されていないが、一部団体は活動参加 の促進効果を指摘していた。
  • -兵庫県西宮市瓦木地区を対象に-
    小林 礼奈, 柳野 友希, 山口 行一, 岩崎 義一
    2021 年 19 巻 p. 49-52
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    市街地の形成と狭隘街路の形成には密接な関係があるが、建築基準法 42 条 2 項道路が未整備のまま今日に至って いる。本研究では、住環境改善の観点から現時点の狭隘道路問題の把握と対応策を検討するための情報を収集する ことを目的に、住宅需要が高いものの、比較的小規模住宅が多いため、土地区画整理事業などを通じた道路整備が 行いにくい都心部住宅地である兵庫県西宮市瓦木地区を対象に、1990 年から 2020 年にかけて狭隘道路の変化を分 析した。その結果、土地区画整理事業が市街化の進む前に実施された地区と異なり、実施されなかった地区は、2 項 道路の先にミニ開発が行われるなどして、建築基準法 42 条 1 項 5 号の位置指定道路が増えていることがわかった。
  • 笹尾 俊博, 岡田 昌彰
    2021 年 19 巻 p. 53-56
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,近畿圏を中心とした日本各地の酒造業の仕込み水にまつわる歴史的湧水のうち特に神格化されたも のに着目し、それぞれの管理主体や信仰の由来などを精査することでそれぞれの地域的特徴を明確化した。
  • 筈谷 友紀子, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 57-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、悲劇の記憶を象徴する空間の保存プロセスを明らかにし、空間の残存と悲劇の記憶の継承メカニズ ムの関係性について考察を行った。悲劇の記憶を象徴する空間は、一般的な歴史的建造物とは異なり、悲劇性及びそこから得られる教訓が保存価値と なる。それゆえに、保存にあたっては関係主体間で教訓を共有し、悲劇を乗り越えるプロセスが不可欠となる。 以上のプロセスを経て空間が残存した事例においては、ダークツーリズムとも言える観光・学習プログラムを展開 している。関係主体や地域社会という枠を超えた記憶の継承が可能になるという点で、空間が残される事の意義が 示唆される。
  • -公営住宅の立地の変容に着目して-
    内海 ありさ, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 61-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿では、京都市の市営住宅の縮小再編について立地の変容に着目して考察した。立地の変容に関しては、①戸 数にあまり変化が見られない区、②総住戸数の半数が減少する区、③総戸数が 3/4 となるが市内に 1 団地しか立地 しておらず、今後住戸数が増加する可能性のある区という 3 つの特徴に分類できる。これを踏まえ、京都市におけ る市営住宅の縮小再編によって、①郊外部と都心部で市営住宅の立地の二極化が起こること、②主に都心部では、 団地数の減少により、区内での住宅確保要配慮者の集住を促す可能性があることが明らかとなった。市営住宅の縮 小再編により、今後、更に住宅確保要配慮者の住宅の選択肢がより一層限定され、集住が加速し、住み分けが発生 する可能性がある。
  • 舟瀬 優月, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2021 年 19 巻 p. 65-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    少子化に伴い、全国で学校の統廃合が進んでいる。地域の実情やニーズを踏まえて廃校施設を有効に活用することが求められており、用途や運営形態の検討プロセスにおける地域参画が重要である。本研究では廃校活用の優良事例を対象に、まず全国の優良事例 76 校から地域参画の特性を把握し、次に兵庫県の優良事例 4 校から廃校活用の 検討から運営に至る詳細なプロセスを明らかにすることで、今後の廃校活用における地域参画の要点を探った。全 国の優良事例では約半数で地域参画がみられ、検討のプロセスでは、地域が組織を作り自治体と協働で検討を行う ことや、会議による合意形成を基本にワークショップや社会実験といった検討手法を用いること、専門家や若者ら の参加によって柔軟な発想で検討することが有効である。
  • 高 峰, 山根 周, 角野 幸博
    2021 年 19 巻 p. 69-72
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近代中国では、主要都市の多くが租借地や租界の歴史を経験した。その中で、西洋文化の受容によって多くの華 洋折衷的な建築スタイルが生み出された。ドイツの租借地であった青島では、中国人の居住地区において、「里院 Liyuan」と呼ばれる独特な住宅建築が形成された。本稿では、中国、青島市に形成された里院建築地区である大鮑 島地区に焦点を当て、その街区空間構成の変容について、ドイツ占領期以降、第一次日本占領時代、北洋政府時代、 第二次日本占領時代、中華民国時代、そして現在という時代区分における変容のプロセスを、青島市城市建設档案 館で収集した地図資料および現地調査データに基づき明らかにした。大鮑島地区の街区形態は、ドイツ占領時代の 計画によってほぼ決定されたが、街区内の敷地分割形態は各時代によってさまざまな変更があった。その要因は、 各時代の開発や人口移動などによるものと考えられる。
  • - 大規模ターミナル駅周辺を対象として -
    中井 智仁, 吉田 長裕
    2021 年 19 巻 p. 73-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、超高齢社会の到来や環境負荷に対する懸念といった観点から、多くの都市で自動車中心の道路空間から歩行者中心の回遊性が高い道路空間の創出が求められている。しかし、街路構成が複雑な大規模ターミナル駅周辺では歩行者の回遊に街路構成のどのような要因がどの程度影響を及ぼすのかが定かでない現状である。そこで本研究では、歩行者回遊に資する空間創出を行う際の一助となることを目的とし、大規模ターミナル駅を有する天王寺・難波・梅田の3 エリアを対象として、モバイル位置情報データを用いた歩行者回遊密度の特徴分析と街路構成を表す指標の一つであるスペースシンタックス理論を用いてそれらの関連分析を行い、街路構成が歩行者の回遊密度に与える影響を考察した。
  • - 米国ニューヨーク市のCiti Bike を対象にして -
    岡田 有生, 木村 優介
    2021 年 19 巻 p. 77-80
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,自転車シェアリングサービス利用者の個人属性に着目して,その利用傾向を明らかにするとともに,都市内の地区における活動の特徴を明らかにすることを目的とする.米国ニューヨーク市のシェアサイクルサービスであるCiti Bike のオープンデータを用いて,年齢・契約形態・性別などの個人属性を変数としてクラスター分析を行った.12 のクラスターの利用状況を時間帯別に整理して特徴を把握したところ,日常的な利用や余暇的な利用を示すと考えられるクラスターが明らかになった.さらに,クラスターに分類される利用の多いエリアを確認することで,各地区において日常・余暇・移動のいずれかの目的でシェアサイクルが利用されていることが示唆された.
  • 江端 哲矢, 木村 優介
    2021 年 19 巻 p. 81-84
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    観光者の広域的な分散を目的とした観光スポット推薦のシステム構築を目指して,ジオタグ付き写真から観光者の選好を把握するため,本研究では写真に与えられたラベルを用いた写真の分類方法について検証する.収集した写真に対してラベルを付与した上で,1) 主成分分析と非階層型クラスター分析,2) R パッケージのClustOfVar と階層型クラスター分析,3) 潜在的ディリクレ配分法に基づくトピックモデル,の3 つの分類に対して妥当性を検証した.文書中に用いられる単語の重要度を評価するtf-idf や、写真の空間的な分布に注目して評価したところ,ClustOfVar による分析がラベルに適した分類を行うことができた一方,トピック分析は他の手法とは異なる結果が出ており,分類方法に改良の余地が見られた.
  • 久保田 圭悟, 北詰 恵一, 郭 敏娜
    2021 年 19 巻 p. 85-88
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    リビングラボのステークホルダーとしてどのような組織がプレイヤーとして参加しているのかを既存文献を用いて整理した.その結果,主な組織としてユーザー・市民,大学・研究機関,行政・自治体などの公的組織,企業の4 分類だと分かった.また,Nystrom et al.(2014)が明らかにしているリビングラボネットワークにおけるアクターの役割17種を,4 プレイヤーに当てはめると,ユーザー・市民に対する役割が顕著に少ないと分かった.この事実から,ユーザー・市民の役割を明確にし,ワークショップのファシリテーターが効果的なファシリテーションを行うことができるようにする必要があると分かった.
  • 内島 啓太, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 89-92
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    位置指定道路は、その多くがミニ開発に伴うものであるため、否定的な眼差しで見られることが多い。そこで本研究では京都市の歴史都心である下京区を対象に、位置指定道路の形態的特徴を類型化した上で、それに基づいた空間特性の把握と利用実態について明らかにするとともに、位置指定道路の再評価を試みることを目的とする。本研究から、①1990 年代以降の位置指定道路はその形態が単純化している、②複雑な形態の位置指定道路であふれ出しが生じやすい傾向にある、③位置指定道路ではあふれ出しより、表出が多く生じる、④近年の位置指定道路では道路空間への介入がなされにくい、⑤あふれ出し、表出は比較的狭い幅員で生じやすいことが明らかとなった。
  • 芦田 凌, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2021 年 19 巻 p. 93-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では靭公園東園を事例に滞留利用実態調査を行うことで、目的に応じた空間の使い分けの特性を明らかにすることを目的とした。滞留者の傾向を時間帯別および平日・休日別に、その後空間別(園路型・エリア型)、行為・行動を支える要素の有無別に捉えた。その結果、園路型・エリア型それぞれの空間で目的に応じた使い分けが確認でき、特に芝生広場や樹林地では「居場所づくり」にみられるような能動的な空間への働きかけがみられた。今後は「使う」という人間の行動から捉えた居心地の良い空間を計画していくことが求められることが分かった。
  • - 平成30 年7 月豪雨の被災地倉敷市真備町を対象として -
    藤井 諒平, 近藤 民代
    2021 年 19 巻 p. 97-100
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    多発している水害の被害軽減には、行政の行う堤防工事だけでなく、個人でのリスクの低い土地への転居や住宅の耐水化などの対策が有効であり、この実施有無は被災者のリスク認知が影響していると考えられる。そこで、倉敷市真備町で被災して元地で住宅再建を行った世帯に対し、帰還要因・住宅の耐水化工事・再被災リスクに対する認知についての調査を行った。元地への帰還には様々な要因が関わっており、それは年代によって異なっていることがわかった。住宅の耐水化対策を行う住民は、被災前に比べて増えていたものの、金銭的理由や早期避難・水害補償を優先したことで過半数の世帯が行っていなかった。再被災リスク認知と住宅耐水化の間で強い関係性は見られなかった。
  • - マルチエージェントシミュレーションを用いて -
    本井 響貴, 白井 泰斗, 山口 行一
    2021 年 19 巻 p. 101-104
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    地下街においては、発災時に土地勘のない来街者が円滑に避難できるように効果的な避難誘導が必要である。このため、本研究では、マルチエージェントシステムを用いた群衆避難のシミュレーションモデルを構築し、効果的な避難誘導方法を検討することを目的とする。本稿で検討した避難誘導方策は、地下街に誘導員を配置し、来街者を最寄りの階段から地上に避難させる。分析の結果、配置する誘導員を増やすと避難完了時間を短縮できる効果が見られた。しかし、一定の誘導員数以上になると、避難完了時間のそれ以上の短縮は期待できないことがわかった。また、避難口で発生する待ち行列の対策が必要であることがわかった。
  • - 近畿地方の自治体への調査結果から -
    七野 司, 土井 海志, 横田 隆司, 飯田 匡, 伊丹 絵美子
    2021 年 19 巻 p. 105-108
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2015 年の国勢調査で人口減少を記録し、限られた財源の中で持続可能な都市運営を行うため、立地適正化計画制度が策定された。この計画は、住民と自治体がその内容について議論を行い合意形成し、実行することが肝要である。また、居住誘導区域から浸水想定区域を可能な限り除こうという動きがあるが、多くの自治体が除外できないというのが現状である。本研究は、近畿地方の立地適正化計画を定める自治体を対象に、計画策定の際に市民からどのような意見が得られ合意形成したか、居住誘導区域に浸水想定区域を含む主な要因と含むうえでの対策を明らかにし、自治体が市民とともに考える水害対策の一助となるような知見を得ることを目的とする。
  • 樋口 駿, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2021 年 19 巻 p. 109-112
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では災害時に一時避難場所等としての農地活用を円滑化する防災協力農地制度に着目した。密集市街地において、防災協力農地が一時避難場所として地域防災にどの程度貢献するのかを明らかにすることを目的に、ロケーション解析により登録農地への避難人数を推計し、またアンケート調査を通じて自治体間の制度推進に向けての取り組みの違いを分析した。その結果、登録農地は集合的に分布しており、避難開始直後での貢献度は低いことが分かった。制度推進に積極的な自治体は今後、農業委員を通じて農家へ登録要請を、積極的ではない自治体の中で制度開始からの年月が浅い自治体は制度の周知、登録農地が一定数確保されている自治体は登録農地を適切に活用するための取り組みを行う意向であることが分かった。
  • 畑 颯太, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2021 年 19 巻 p. 113-116
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、子どもの安全を考慮した防犯環境設計に基づく環境整備を効果的に行うために、不審者事案発生に影響する環境特性を不審者の移動手段の差異から明らかにすることを目的とする。滋賀県内の不審者事案の発生地点とランダムに設定した地点の周辺の道路環境などの環境特性を調査し、発生要因をロジスティック回帰分析を用いて探索した。歩道の幅員やカーブミラー等が不審者事案の発生に影響を与えていることが明らかになった。また、不審者の移動手段が徒歩では子どもの存在しやすさが、自転車では低木の植栽・ガードレールの存在が不審者事案の発生の有無に影響を与えていることなど、不審者の移動手段の違いにより移動領域の拡がりや移動のしやすさが異なることによって、不審者事案の発生に影響する環境特性が異なることが明らかになった。
  • - 大阪駅南地区地下街を事例として -
    横山 広充, 西應 浩司
    2021 年 19 巻 p. 117-120
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究の目的は、実際の地下空間において脳波計を装着した状態で2 種類の地図提示方法による経路探索実験をおこなうことにより、レジビリティの高い地図提示方法ついて認知地図描画と脳波解析から総合的に把握することである。実験は大阪駅南地区の地下街にて16 名の被測定者を用いて実施した。結果、アンケートおよび認知地図の描画結果より、地図提示方法の違いによる差が確認できた。また脳波データの時間周波数解析により読図時と迷い発生時の脳波特性を表記できた。
  • - 大阪府下の私立O大学の学生を対象とした調査より -
    青木 嵩, 中西 翼
    2021 年 19 巻 p. 121-124
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ライフスタイルが多様化する現代において居住者の居住地選択嗜好に適した住宅および住環境整備ができていない状況にある。居住地選択に影響を与える要因として従業地や世帯構成などの外的要因が指摘されるが、彼らが持つ理想のライフスタイル像に対する内的要因には言及されていない。本研究は、理想のライフスタイル像を形成する要因のひとつとして潜在的な内的要因があると仮定し、子供時代の成長過程における経験に基づいて形成されると考える。本稿は、こうした問題意識のもと、今後の研究の発展を見通すために実施した先行調査の結果を報告するものである。成長過程を3 区分に分けて、居住経験別に理想のライフスタイル像を整理した。
  • 前田 充紀, 近藤 民代
    2021 年 19 巻 p. 125-128
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究の目的は、定額住み放題サービスを利用した多拠点生活者の居住動態パターンと要求、その生活がもたらす利点にはどのようなものがあるのかを明らかにすることである。多拠点生活をホーム・定額住み放題サービス利用の有無から4 つに分類した。定額住み放題サービスの主要事業者であるADDress の会員を分析対象とし、住居や仕事場、サービスの利用状況から考察した。定額住み放題サービスを利用し生活する目的は自然の豊かな場所で過ごすことに加えて快適な環境でリモートワークをすることである。さらに、拠点や多拠点生活が魅力に感じるかどうかは家守や他のHS 利用者などの人と出会いどのように関わるかが影響する。
  • 坂本 祐輔, 伊勢 昇, 野中 大暉, 湊 絵美
    2021 年 19 巻 p. 129-132
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、地域の状況に即した「道の駅」における生活拠点機能の強化が求められており、その定量的な議論を可能にするための知見の蓄積がなされてきた。しかしながら、生活利便施設を備えた「道の駅」の需要や当該「道の駅」の整備による周辺地域住民の日常生活満足度の変化等を小地域レベルできめ細やかに推計できる手法の確立には至っていないのが現状である。そこで、本研究では、上記の課題の解決の一助とすべく、和歌山県九度山町の「柿の郷くどやま」をケーススタディとして、生活利便施設を備えた「道の駅」の整備による日常生活満足度の変化について、小地域レベルで推計可能な統計モデルの構築並びに推計を行う。
  • 中村 太郎, 田中 椋, 山口 敬太, 川崎 雅史
    2021 年 19 巻 p. 133-136
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究の目的は、住民による地域資源の体験価値の評価手法を提案することである。京都府長岡京市の住民ら13名を対象に、散歩道における景観体験に着目して、体験が行われた場所、体験を通して得たその場所に対する価値認識,価値認識の対象となる要素の3 つの評価項目を設け、体験価値の分析を行った。その結果、地域性、快適性、変化性、想像性という4つの指標を用いることで、地域資源の体験価値を評価し、今後地域資源の整備を行う際の,場所特性を生かした空間整備の提案につなげられることを明らかにした。
  • 劉 坤, 佐久間 康富
    2021 年 19 巻 p. 137-140
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年外国人観光客の増加とともに、民泊事業も進展している。在日外国人が空き家を入手し、民泊を経営することが散見される。本研究はこれらの外国人が経営する民泊に着目し、大阪府内の外国人民泊の立地傾向と形成過程を明らかにした。結果として、大阪府内の外国人民泊の立地は大阪市が一番多く、次いで泉佐野市と大阪市に隣接する市町村が多い傾向があった。また、外国人が日本で民泊を開業するには、不動産、許可の取得上、特に支障がないことがわかった。外国人民泊が空き家の発生予防に一定の役割を果たしたと考えられ、地域経済への効果や異文化交流による新たな価値創造につながる役割が期待される。
  • - 京都市における簡易宿所を事例として -
    川井 千敬, 阿部 大輔
    2021 年 19 巻 p. 141-144
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/24
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、インバウンド隆盛時に急増した簡易宿所の廃業とその後の用途について明らかにした。①簡易宿所の廃業は加速度的に増加していること、②商業地域においても廃業件数が多いこと、③廃業の増加速度には行政区ごとにずれがあり、現在は下京区で廃業が急増している。以上をふまえ、下京区における廃業簡易宿所のその後の用途を調べると、④開業時から賃貸マンションへの転用を見据えた事業者が一定程度いたと推察された。インバウンド隆盛時にはこうした投機的な事業戦略があったことが認められる。⑤一方で一戸建ての細街路に立地していた簡易宿所は買い手・借り手がつかず廃業後に空き家化するケースが多いことが明らかになった。
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