日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集
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15 巻
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  • 高林 萌, 伊藤 裕久
    2017 年 15 巻 p. 1-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、都市における水辺の公共空間の価値に注目が集まっている。日本の代表的な水辺の公共空間の一つに江戸期の河岸地があり、河岸地について考察することは今日の公共空間の設計や運営に重要な知見を与えるものであると考える。江戸中心部の河岸地の利用実態と方法や空間構成については多くの先行研究があるが、江戸外縁部の河岸地の所有と利用について詳しく考察したものは少ない。そのため、近世における芝・金杉地域に存在した河岸地の利用実態・方法や空間構成と江戸外縁部の河岸地の公共性を明らかにした。当地域の特殊性として利用形態にはそれぞれの町の生業に応じ多様性が認められ、一方既存の町屋敷の町並みとは独立した町並が河岸地に形成されたいえる。
  • 辨野 真理, 下村 泰彦
    2017 年 15 巻 p. 5-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    天神祭存続のために今後必要な取り組みを考察するため、祭の領域とコミュニティを調査した。大阪天満宮が影響を及ぼす領域を「祭の領域」と定義し、氏地の領域、祭会場、可視領域、認識領域の4要素から捉えた。各領域の重なる主要な祭の領域は、大阪天満宮南部と大川の間等であり、影響が薄いのは大阪天満宮北部、堂島、千代崎であった。コミュニティは「講」という組織に着目し、その一つである鳳講の実態を調査した。結果、影響の薄い祭の領域からの祭参画等による支援組織の強化、天神祭予算の確保、ボランティア受け入れの拡充、新規講員の獲得と講の運営に携わる講員の育成、コミュニティ基盤である旧町名の引継ぎ等が必要と考えられる。
  • 熊本県阿蘇地域を事例として
    鎮西 諒地, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2017 年 15 巻 p. 9-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    人為による働きかけにより維持されてきた草地を保全する新たな方策の一つとして、保全管理作業へのボランティア参加の取り組みが全国に広まりつつある。この活動を展開・活性化していく上では、草地の保全管理の現状と作業の特性を考慮して活動の貢献点・課題点を考察することが求められている。阿蘇地域で行ったアンケート・ヒアリング調査により、経験を持つ後継者の不足や高齢化が進んだ地域ほど、経験の有無を問わずボランティア参加が求められていることが明らかになった。ボランティア派遣団体が各地域の後継者や可能作業範囲の現状を行政との連携などにより積極的に把握し、それぞれの地域に人数・能力の観点でマッチしたボランティア派遣を行うことが活動の活性化に有効であると考えられる。
  • 観光地を対象として
    大﨑 雄治, 吉川 眞, 田中 一成
    2017 年 15 巻 p. 13-16
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、成熟社会により、景観に対する国民の意識が高まりつつあり、地域固有の景観資源を意識した政策が行われている。一方、スマートデバイスの発達とソーシャルメディアの利用拡大により、位置情報をともなうデータが飛躍的に増大している。地域に新たな魅力と価値を創造するため、こうしたビッグデータを活用したまちづくりへの期待が高まっている。本研究では、ソーシャルメディアに投稿されたテキストと写真画像を総合的に分析することにより、観光行動の観点から観光地における景観の分析と評価を試みている。
  • 寺田 佳樹, 青戸 雅之, 梅村 浩平, 岩崎 義一
    2017 年 15 巻 p. 17-20
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪市内陸部の工業系用地の土地利用変化は、住宅系や商業、業務施設への変化が大きく、特に工業集積の高い上位の生野区、平野区、東成区の3区ではその傾向が強く見られた。 こうした変化は、地域に残り操業を続けようとする事業所のほか、移転廃業に伴う跡地に工場としての再利用が見られるものの、住宅系の利用が著しかった。このことより、土地利用変化の混在が進展し、整序ある土地利用が都市計画上の課題となっている。 本研究では生野区、東成区、平野区の3区を対象とし、操業をつづけている工場や工場跡地の利用が、用途地域や区画整理事業実施の有無、河川や道路のインフラ整備とどのような関係にあるのかについて分析した。
  • 神戸ハーバーランド地区を対象として
    神吉 晃大, 小塚 みすず
    2017 年 15 巻 p. 21-24
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    現在のウォーターフロント地区は,複合的都市機能を有している.ウォーターフロント地区が持つ恵まれた環境,独特の開発ポテンシャルを活かしたウォーターフロント開発は将来にわたって都市計画の上でも非常に重要といえる.本研究では、神戸ハーバーランド地区を対象に地区の形成過程と集積性の変化を整理し,ウォーターフロント開発による地区の変化を明らかにすることを目的とする.対象地区は,開発に伴い都市機能の整備が進み,地区全体が活性化していき,開発直後は賑わいを見せていたが,その後は施設の入れ替わりも激しくなり低迷していることを確認した.また,施設の入れ替わりと地区の形成に寄与する指標の変化を明らかにし,地区集積性の変化のイメージを描くことができた.
  • 神戸市・都賀川流域を対象として
    石田 優樹, 高田 知紀
    2017 年 15 巻 p. 25-28
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,屋上緑化がもたらす雨水流出抑制効果を流域単位で定量的に評価することを目的とし,屋上緑化の普及に寄与し都市型水害リスクの低減に新たな方向性を示す.研究の結果,都賀川流域において屋上緑化可能なエリアが抽出でき,都賀川流域全体と屋上緑化可能なエリアにおける貯留効果を算出することができた.流域全体で約12万立米,屋上緑化可能なエリアで約4万立米貯留できることが分かり,それぞれ布引貯水池の1/5,1/15の貯水能力があることが分かった.今後は,他の緑化対策でも雨水流出抑制効果が期待できるか証明する必要があり,こういった効果を証明し普及していくことが都市型水害リスクの低減に役立つと考えられる.
  • 仙台市のみなし仮設住宅居住者を対象とした調査結果より
    馬場 美智子, 石川 永子
    2017 年 15 巻 p. 29-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    被災者が何を重要視して住宅再建における判断を下すのかを理解することが、より効果的な住宅再建計画や支援策が策定につながる。本研究では、東日本大震災後の住宅再建における意向と要因分析を行い、自力再建か、公営住宅かの選択に影響があると考えらえる要因を明らかにした。また、被災者の属性によって要因に対する重要度がどのように異なるかを分析し、被災者によって求められる要因を把握することとした。東日本大震災から約3年後、住宅再建の方針を決定する時期に仙台市内のみなし仮設住宅居住者に対して実施した調査結果から分析を行った。その結果から、利便性に対する重要度が高く、災害前のコミュニティに対する重要度は低い傾向が見られた。
  • 新たな都市計画制度検討業務
    野瀬 和仁, 宮脇 和能, 糸井 恒夫
    2017 年 15 巻 p. 33-36
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    これまで我が国の多くの地方自治体では、人口増加を前提としたまちづくりを実施してきた。しかし人口減少・少子高齢化・財政悪化といった社会情勢のなか、人口増加を前提としたまちづくりは、見直しがもとめられている。こうしたなかで、近年のまちづくり方針では、持続可能なまちづくりを実現する施策として、市街地の拡大をコントロールし、まちを都市機能集約型都市(コンパクトシティ)へ転換する施策が掲げられている。ここでは、将来人口フレームの予測に基づき、市域全体に対し「抜本的用途地域見直し」という施策を検討し、コンパクトシティを目指した京都府舞鶴市の事例を報告する。
  • 中国山東省棗荘市を事例として
    宋 謙
    2017 年 15 巻 p. 37-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では中国資源枯渇型都市におけるBRT活用による都市再生策を考察したものである。中国資源枯渇型都市の実態を把握した上で、資源枯渇型転型試験市である棗荘市を事例考察することである。考察結果に基づき、都市再生をさせる具体的知見を、今後さまざまな資源枯渇型都市における再生方策を図る際に参考資料として提示する。
  • 井本 雅史, 岩崎 義一, 山口 行一
    2017 年 15 巻 p. 41-44
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿では、地方鉄道の利用者数減少とそれに伴う地域衰退を背景に、鉄道会社が実施している路線活性化策に着目し、利用者の増加に効果的な要因を明らかにすることを研究目的とする。調査対象路線は特定地方交通線転換鉄道20社とし、利用者数等の統計データの収集と三角グラフ・回帰分析・数量化分析一類を用いて分析した。これらの分析から、利用者の増加には、定期外利用者に視点を置いた、地元食材や地酒を提供するイベント列車の運行が効果的であることが明らかになった。今後の課題として、地元食材の旬・調理方法・組み合わせ等の工夫や多様な情報発信を沿線地域と連携して行っていくことが、継続的な利用や地域の活性化にもつながると考える。
  • 谷口 航太郎, 小谷 通泰, 松元 政唯
    2017 年 15 巻 p. 45-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、神戸市都心部で導入されたコミュニティサイクルを対象として、観測された利用者による休日の走行履歴データをもとに、利用者による回遊行動を分析することを目的としている。具体的には、走行履歴データより得られた利用者の位置データ(3分ごとに記録)を停止中と移動中に区分し、都心部での利用者が走行した道路区間と停止した場所(継続して10分以上、停止した場所)を特定化し、それらの地域内での空間分布特性を明らかにする。さらに、利用者ごとの走行履歴からトリップチェインを抽出し、その形態による総走行距離、総利用時間の違いを示す。
  • 渡邉 健斗, 木村 優介
    2017 年 15 巻 p. 49-52
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    各都市の歴史性を損なうことなく歴史まちづくりを推進するためには,歴史まちづくり計画と同様の区域を対象とする他の計画との連携が重要となる.本研究では,歴史的風致維持向上計画と中心市街地活性化基本計画の関連に着目し,両計画を策定している都市に関して,計画に位置付けられた事業に対する歴史性の担保という観点から,両計画の関連と運用状況を考察することを目的とする.具体的には,両計画を策定した19都市について,計画書の計画区域と事業内容に着目した指標化を行い,散布図をもとに各都市の計画運用に関する事項について考察を行うとともに,自治体へのアンケート調査により計画策定・推進・評価段階の調整の具体的内容,計画全般の効果や課題について考察を行った.
  • 川端 将貴, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2017 年 15 巻 p. 53-56
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では都市部の重要文化的景観を対象に、文献調査や現地調査およびヒアリング調査から、文化的景観保護制度で保全対象となっている歴史的建造物を体系的に整理することと重要文化的景観への選定前後での歴史的建造物の件数変化の把握を目的とする。本研究で対象とした地区のうち宇治市と別府市および岐阜市では、既存制度の保全対象ではない歴史的建造物が文化的景観保護制度で保全対象となっていた。また、宇治市への現地調査およびヒアリング調査から、重要文化的景観選定後に保全対象の歴史的建造物の一部が滅失しており、その課題として、建造物の現状変更について届出制であること、また建物修理・修景に関する所有者の費用負担にあることが分かった。
  • 多木 秀太郎, 武田 重昭, 加我 宏之, 増田 昇
    2017 年 15 巻 p. 57-60
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    第1章では、研究の背景及び目的を明らかにするとともに、対象地域として山から海に至る流域を形成する芦屋川からの眺望に特に配慮すべき地区として指定された芦屋川特別景観地区と設定し、研究方法を述べた。第2章では、アンケート調査から山や海への眺望点を特定し、位置や場所、お気に入りの理由などからの分析から山や海への眺望点の特性を明らかにした。第3章では、山や海への眺望点から景観写真の撮影を行い、その写真の分析から眺望景観における視対象の特性を明らかにした。第4章では、山と海とをつなぐ景観保全軸である芦屋川河川軸から捉えた山や海への眺望景観の特性を把握し、その保全のあり方について考察した。
  • 水都大阪・堂島川を対象として
    畠田 恵, 嘉名 光市, 佐久間 康富, 阿久井 康平
    2017 年 15 巻 p. 61-64
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では視対象の多い都心部河川の船上景の変化や人々の注視を明らかにし、注視の動態を把握するために、船で移動中の被験者に装着したウェアラブルカメラによって撮影したVTRや船に固定したカメラによって撮影したVTRを用いて注視行動特性を分析し、以下のことを示した。(1)被験者は注視活発タイプと注視不活発タイプに分けられ、注視は注視対象の位置によって沿川注視と流軸注視に分けられた(2)沿川注視と流軸注視ともに、注視を行う距離と仰角、水平見込角にはそれぞれ単純相関が見られた (3)沿川注視と流軸注視という特性がある中でも、それらが混在する区間では流軸注視が短時間になるという特性から、沿川注視と流軸注視の連続的な関係が見られた
  • 2017 年 15 巻 p. e1-
    発行日: 2018/05/03
    公開日: 2018/05/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集15巻(2017)p.65-68 「地上設置型太陽光パネルの設置に関わる条例の立地規制および景観保全への有効性」について、著者からの申し出により、内容を訂正します。
  • 小嶋 一樹, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2017 年 15 巻 p. 65-68
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、環境や景観問題を解決・抑制するため、条例に地上設置型太陽光パネルの設置行為を明文化し立地や意匠形態の適正化を図る自治体が増えている。本研究では全国の条例から116の当該条例を収集・整理するとともに、立地規制および景観保全への有効性を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施した。その結果、地上設置型太陽光パネルの設置に対して、眺望景観への影響と立地場所を課題として認識する自治体が多くなったが、条例の立地規制への効果を実感している自治体は回答自治体全体の25%前後にとどまった。一方、景観保全への効果では、設備規模が小さいほど修景は実施され難いが、実施された場合は効果を実感する自治体が多くなる傾向がみられた。
  • 田中 康
    2017 年 15 巻 p. 69-72
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    阪神電鉄の高架事業の伴う道路計画に対して、深江地区まちづくり協議会は、住民による事例調査や勉強会、アンケート調査、説明会等を繰り返し開催し、住民主体の計画提案と合意形成に取り組んできた。 まちづくり協議会のメンバーは、自治会、ふれあいのまちづくり協議会、小学校PTA、婦人会、民生児童委員、子ども会など、地域の主な住民活動団体から構成されている。 本稿では都市計画道路の形態に関する住民提案を神戸市に提出した一連の活動について整理するとともに、包括的な住民組織としての性格を有するまちづくり協議会の果たす役割や展望について述べるものである。
  • キムリエン集合住宅区を事例に
    吉田 智美, 阿部 大輔
    2017 年 15 巻 p. 73-76
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ハノイ市の郊外には、Khu Tap The(通称KTT)と呼ばれる集合住宅区が多く存在する。1960年代から主に社会主義国の援助によって建設された。建設時からみて社会的背景は大きく変化しているが、今もなお活き活きとした居住空間として存在している。しかし、老朽化の問題や立地条件の良さから、近年は建て替えが進められている。ハノイの都市計画の痕跡として、また居住モデルの一つとして、完全に建て替わってしまう前に、その価値を見出しておくことが必要である。  本研究では、規範性の強い空間である集合住宅区におけるコミュニティの自律性をその価値の一つとして位置づけている。キムリエン集合住宅区を対象に、空間実態調査とインタビュー調査を行い、集合住宅区を住民がどのように使いこなしているのかを明らかにする。
  • 大阪市旭区・北区をケーススタディとして
    原田 健司, 今西 玄大, 船引 一希, 岩崎 義一
    2017 年 15 巻 p. 77-80
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、地域施設のうち小売店舗に着目しその利用・活用と高齢者のふれあい機能の実態を調査することにより安心なまちづくりに対する役割を明らかにすることを目的とした。 スーパーは高齢者の潜在意識の中でコンビニと個人商店の中間に位置するものであり、コンビニよりも利便性を求めている人でもふれあい拠点としての役割を期待していることわかった。各種店舗の利用頻度の増加、日常生活でのふれあいに休憩スペースが大きく関わっていると考える。高齢者のふれあいが希薄になっている今、日常生活で利用する店舗利用の面からふれあいを自然に発生させる手段として、「店舗での休憩等対流空間の設置」が有効であることがわかった。
  • 松浦 夏広, 高田 知紀
    2017 年 15 巻 p. 81-84
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究の目的は、住民主導による景観保全活動を展開している神戸市・塩屋地区の取り組みを分析し,景観保全の実践構造概念モデルを提案することである. 平成16年に公布された景観法により,地域独特の景観や風土の保存を目指したまちづくりの動きが推進されていった.その中で住民主導による景観保全の機能や役割に関する研究はされてきたが,いずれも実際に活動が行われている1つの地域を対象としてそのプロセスを解明したものではない. 本研究はそれらのことをふまえながら,2006年より住民主導型の景観保全活動が行われてきた塩屋地区を対象地とし,その手法を明らかにすることによって住民主導による景観保全活動の新たな知見を得ようとするものである.
  • 京都市姉小路界隈まちづくり協議会を事例として
    坂上 嘉隆, 岡井 有佳
    2017 年 15 巻 p. 85-88
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2011年、京都市は地域住民が想いや方向性を共有し、さらに新たにその地域で建築等をしようとする事業者等と一緒になって地域の景観づくりを進めていくことを目的として「地域景観づくり協議会制度」を制定した。本研究では、2016年12月現在、「地域景観づくり協議会」に認定されている全8つの地区の中でも、認定される以前からまちづくり活動が活発に行われ、加えて任意の事前協議も行われてきた「姉小路界隈まちづくり協議会」に着目する。本研究の目的は、「姉小路界隈まちづくり協議会」での意見交換会の効果を明らかにし、住民主体の事前協議制度の実効性について考察することである。
  • 鳴田 佳穂里, 武田 重昭, 加我 宏之, 増田 昇
    2017 年 15 巻 p. 89-92
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では居住者と来訪者が捉える高野街道らしさの解明を通じて、今後の高野街道らしさを表出した整備のあり方を探った。調査は写真投影法を用い、街道沿いの居住者と街道をはじめて訪れる学生に高野街道らしい景観及び高野街道らしくない景観の写真撮影を依頼した。その結果、高野街道らしい景観として居住者、学生ともに木造住宅や酒蔵、烏帽子形八幡神社といった歴史的建築物を多く撮影しており、さらに居住者は新設された杉玉や灯ろうといったファニチャー類、地蔵・地蔵堂も多く撮影した。このことから、高野街道らしさを表出した整備には歴史資源の保全による統一感のある街並み形成、杉玉等のファニチャーの挿入が効果的と考えられる。
  • 土井 亜香里, 瀧澤 重志
    2017 年 15 巻 p. 93-96
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪環状線は大阪市営地下鉄御堂筋線に比べ,乗車人員も少なく,人々から親しまれていない懸念がある.本研究では大阪環状線19駅の駅名と位置に関する認知度をアンケート調査から分析し,駅それぞれの特徴と環状線の課題点を考察する.また,各駅の認知度を2重の円の大きさとして可視化する手法も提案する.
  • 塩川 大哉, 小塚 みすず
    2017 年 15 巻 p. 97-100
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    交通結節機能を有する鉄道駅においては人の集散が著しい.周囲の人の動きが速い空間では,そこに居る人に時の流れを早く感じさせるとともに疲労感を与える.このような空間にはゆっくりと休憩できる場所が必要であり,それらのスペース,「サードプレイス」の創出は今後の鉄道駅の課題であると言える. 本研究では,今後駅ナカにおけるサードプレイスが注目されると考えられる事から,人や施設が集積する鉄道結節駅を対象にサードプレイスの現状を把握することを目的としている. 調査により,サードプレイス店舗数の把握を行い,乗降客数との間に関係性が見られることを確認した.また,利用用途や混雑する時間帯が店舗種別に違いが見られることを確認した.
  • 清水 誠司, 中井 誉, 原田 健司, 山村 和也, 岩崎 義一
    2017 年 15 巻 p. 101-104
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、高齢者の孤立感は地域社会との関わりの強弱となって表れるかについて研究した。地域社会に関わるための意志が強い人ほど、孤立感が弱いと考える。高齢者の地域社会との関わりと孤立感の相互関係を明らかにすることを目的に実施する。世間との付き合いの程度と孤立感に着目して高齢者の地域との関わりと孤立感の相互関係を確かめた。各個人属性ごとに傾向を見つけ出し、高齢者の地域社会との関わりと孤立感にどのように関係してくるかを調査した。 高齢者の孤立感は地域社会との関わりの強弱となって表れるか研究してきた結果、孤立感を緩和させるためにはやはり世間とのつながりや絆を大切にすることが重要だといえた。
  • 湊 絵美, 伊勢 昇, 櫻井 祥之
    2017 年 15 巻 p. 105-108
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    現在、我が国では、「道の駅」による地方創生拠点の形成が進められつつあり、様々な機能が期待されている。しかしながら、それらの機能の必要性を定量的に評価する方法や考え方が確立されておらず、地域に合った「道の駅」の導入・改善を検討するための十分な知見が蓄積されているとは言い難い。また、それらの機能の中の地域福祉機能に着目した研究はあまり見られない。そこで、本研究では、地域福祉機能を有する「道の駅」の導入による周辺地域住民の地域のつながりの変化に関する要因分析を中心に行うことで、「道の駅」の地域福祉機能の必要性に関する定量的評価手法の確立に向けた基礎的知見を得ることを主たる目的とする。
  • 小暮 哲理, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2017 年 15 巻 p. 109-112
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、市街地再開発事業によって建設されたビル(再開発ビル)の空き床解消に向けた施策である公共施設の導入の改善を目的としている。市街地再開発事業が完了した地区において、竣工後に公共施設が導入された再開発ビルを対象とした。自治体や管理会社へのヒアリング調査結果から、公共施設導入によって施設利用者の満足度の向上やビル来館者の増加などの効果が得られたことが分かった。一方で、公共施設が導入されたことによって他の空き床に新しいテナントが入居するなどの波及的な効果が得られた事例は少なく、それらの事例では自治体・管理会社・ビル内民間店舗等の協力があることが分かった。
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