日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集
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14 巻
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  • 奈良公園を対象に
    竹村 唯, 吉川 眞, 田中 一成
    2016 年 14 巻 p. 1-4
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    古来より、わが国には豊かな自然が存在し、美しい景観を形成してきた。古くから美しい景観を形成してきた緑は、現代においても重要な景観資源・観光資源となっている。さらに近年、情報技術の発展にともない、スマートデバイスの市場が拡大したことにより、ソーシャルメディアの利用者が急速に増加し、ビッグデータと呼ばれる膨大な空間データ群が創出されるようになった。本研究では、観光地の緑に着目し、研究を展開している。ソーシャルメディアのひとつである写真コミュニティサイトと、オブリーク航空カメラにより取得した空間データを時活用することで総合的に、観光客の眺める緑景観の分析・把握を試みている。
  • 山田 真実, 木村 優介
    2016 年 14 巻 p. 5-8
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    米国テキサス州ダラス市では,歩行者専用道を繋ぐトレイル網計画が進められている.本研究では,トレイルの役割の変化に着目し,計画策定の経緯と意図を明らかにすること,さらにトレイル網計画が実際の空間整備にどのように反映されているかを考察するため,トレイル網整備の進捗状況を明らかにすることを目的とする. その結果,市街化が進んだ地域においてトレイルを整備することによって,オープンスペース内の一施設としてのトレイルの概念を交通路の考えに結び付け,都市全体にトレイル網を整備する計画の策定が可能となったことを明らかにした.特にダラスの場合は鉄道会社や電力会社の通行権を利用することで計画の実行を図っていた.
  • -人口減少・企業流出に対する“攻め”の市街化調整区域の方向性
    山添 光訓
    2016 年 14 巻 p. 9-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府は三大都市圏の中で人口減少が先行し、企業流出が進んだ要因は、主要産業拠点における産業用地の不足や大阪府の市街化区域の拡大が全国レベルと比べ、抑制基調であり、十分な宅地供給がなかったことによる可能性がある。今後の土地利用政策の手段として市街化区域の拡大や市街化調整区域における都市的土地利用による宅地供給という手法を選択し得るのかについて検討するため、都市計画マスタープラン等における市街化調整区域の位置づけを整理・分析した。  その結果、市街化調整区域の幹線道路沿道や鉄道駅周辺の交通インフラを利用できる地区では、都市計画において市街化区域への編入や都市的土地利用の位置づけを積極的に行い、経済活性化につなげる「攻め」の方向性が明らかとなった。
  • -エンクレイブ化する東京中心業務地区
    榎戸 敬介
    2016 年 14 巻 p. 13-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大規模再開発が現在進行中である大手町・丸の内・有楽町地区の変容を特徴づけるのは、文化的消費空間の展開である。本研究は、同地区での文化的消費と空間変容の関係を把握するためにHannigan(1998)の‘ファンタジー都市’の成立条件である美観と消費という概念を使い、ヘリテージ化と歩行空間化による2つのエンクレイブ(囲い込み空間)を同地区において特定し、その変容について検討する。前者では、文化的消費が地区固有の歴史性の演出と結びついて展開されており、後者ではそれが世界的に均一なコスモポリタン空間において展開されている。両者についてのより深い理解にあたっては、そこに介在するアクターや政治経済的な要因の把握がさらに必要である。
  • 吉田 智美, 阿部 大輔
    2016 年 14 巻 p. 17-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    都市には空間を物理的に分断するものが多く存在する。それは都市空間(もしくは都市空間を構成する要素)が隣接する周辺の地域と、ある存在によって切り離されることであると解釈できる。その中には貧困や差別などといった社会的課題と連動し、地域の人々にとって負の存在になるものもある。本研究ではその一例として大阪市住吉区浅香町1丁目・2丁目を取り上げる。浅香町は地下鉄車庫によって周辺地域と分断されていたが、住民の反対運動によって撤去されたという経緯がある。本稿では浅香町の分断に対する政策的アプローチと空間構造の変化を読み解き、分断の発生・解消・接続のプロセスを明確にし、浅香町の事例を都市空間の分断の一事例としてどう位置づけることができるかについて考察する。
  • -6次産業の取組事例の分析を通して
    浦田 康平, 松田 健吾, 吉川 尚貴, 岩崎 義一, 山口 行一
    2016 年 14 巻 p. 21-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    我が国では、1次産業・2次産業・3次産業を掛け合わせた農林漁業生産と加工・販売の一体化や、地域資源を活用した新たな産業である6次産業を推進している地域がみられる。その背景の1つとして農林省において、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等に関する施策及び地域の農林水産物の利用の促進に関する施策を総合的に推進する。本研究では、我が国の第6次産業の取組状況を調査する。その上で6次産業の内容を掘り下げ係る課題や地域活性化への関わりを明らかにする。現地調査を行い、先の集計結果の補完として整理した。その上で6次産業の全部門と14部門を決定し、将来生産額を試算した。
  • 寺田 佳樹, 松尾 和哉, 岩崎 義一, 山口 行一
    2016 年 14 巻 p. 25-28
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    国際化の進展や産業構造の変化に伴い既成市街地内の土地利用の変化が起こっている。一方、高齢化の進展とともに、都市内の社会構造の変化も起こっている。このような環境変化に対して今後の土地利用の整序化を図り、活力ある都市社会の再構築が求められていると考える。こうした状況下にあるにも関わらず土地利用変化に伴う今後の対応に関する研究はあまりみられない。 本研究では、大阪市内陸部における工業系用地を中心とする土地利用の変化の著しい地区を抽出し、係る地区の住民生活に直結する地域施設の分布の変化並びに街に対する印象の変化について明らかにすることにより、今後の市街地活性化に向けた計画的課題を明らかにすることを目的とする。
  • -3件の建替え成功事例を中心に
    前迫 研吾, 市村 崚, 山口 行一, 岩崎 義一
    2016 年 14 巻 p. 29-32
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、マンション建替えを円滑に進めるための取り組みに資するため、建替えに対する住民の意向やマンション住民にとって合意形成上困難であった点や工夫した点を明らかにした。分析手法は、一般のマンション住民に対するアンケート調査を行った後、建替えに成功したマンションの理事に対するヒアリング調査を行い、実践のプロファイリングを作成し、分析を行った。その結果、住民が建替えを検討するにあたり、建替え検討の体制づくり、理事の心構え、コミュニケーションがとりにくい組合員の例、検討の進め方、情報提供・意見集約、組合員との関係づくりについて工夫・留意点を抽出できた。
  • -兵庫県豊岡市T地区を事例に
    小田垣 聡, 井原 友建, 山室 敦嗣
    2016 年 14 巻 p. 33-36
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    わが国の農村地域においては、少子高齢化や住民の価値観の多様化など様々な社会的要因から地域コミュニティの再編が喫緊の課題となっている。また、この社会的要因は集落の生活環境上、様々な影響をもたらしている。このことから本稿では地域コミュニティの再編について、農村集落の分析と集落連携による生活環境保全の事例研究から考察を行った。事例集落では、保全対象施設において所有と利用の分離が見られ、さらに互いの集落を越え管理が行われていた。また、集落連携により①集落に関わる境界意識の薄れ、②保全活動におけるコミュニケーションの変化、③活動余力が生まれる、という効果がうかがえた。
  • -三重県御浜町尾呂志学園学校区の事例を通して
    久我 みさと, サコ ウスビ
    2016 年 14 巻 p. 37-40
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、少子高齢化が進む地域の住民を対象に、学校と地域住民の関わりの実態を探ることを目的としている。また、コミュニティ・スクールの利用状況を把握し、課題を抽出している。コミュニティを意識した空間構成の校舎になっても、その利用に対して消極的な住民が多いことがわかった。地域住民は学校とは教育をする場であり、地域行事以外の日常的な利用はすべきでないと考え、敷居の高い場所であると認識している。自ら積極的に運営や教育活動、支援に参画することに対して受動的な姿勢が伺える。
  • -泉北ニュータウンのみどりのつどいを事例として
    松岡 弘樹, 武田 重昭, 加我 宏之, 増田 昇
    2016 年 14 巻 p. 41-44
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、泉北ニュータウンの多数の地域団体が参加する「みどりのつどい」を対象として、地域イベントを通じた団体間の交流メカニズムを探った。調査では、「みどりのつどい」を通じて、他団体と何らかの交流が発生している団体に対するヒアリング調査を通じて、16団体の間で発生している31件の交流の交流内容と効果を特定した。結果、「福祉・介護」や「環境」といった特定の活動に関する提案や依頼をきっかけとして交流が発生していること、地域で行われる祭りなどの情報を認知することをきっかけとして交流が発生していることを明らかにした。交流の継続には、団体にとっての利益的効果が認められる交流であることを明らかにした。
  • -奈良市「きたまち」を事例として
    南 愛, 石原 凌河, 白石 将生, 谷内 久美子, 新美 真穂, 室崎 千恵
    2016 年 14 巻 p. 45-48
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    多くの地方都市で中心市街地衰退が課題となる中、個店経営者は、商品やサービス、イベント、町家等の活用と保存など、様々な活動を通しまちなかの魅力創出に寄与する。そうした活動従来商店街組合等が中心であったが、近年は経営者個人のパーソナルネットワーク(PN)が影響する場合も多い。本研究では「奈良町」を対象に、地方都市の中心市街地における個店経営者らの活動やPNの実態把握を目的にヒアリング調査を行った。結果から、個店経営者のPNが物件情報等をもたらし新規出店に繋がりうること、地縁組織を介さないイベントや宣伝活動を通して来街者の中心市街地の楽しみ方や店舗との出会いの機会を広げていることが確認された。また、対象地の個店経営者のつながりを紹介する小冊子を作成した。
  • 石塚 昇路, 嶽山 洋志, 美濃 伸之
    2016 年 14 巻 p. 49-52
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    南あわじ市沼島には多くの岩石資源が存在する。しかしながら、岩石資源に関する歴史・文化的価値に関する文献は確認できない。失われつつある沼島に住む人々の暮らしと岩石資源との関係について調査を行った。結果として、岩石資源は集落内に広く分散的に分布していることが明らかとなった。加えて、地質と岩石分布ならびに沼島集落の景観が深く関係していることが伺えた。また、インタビュー調査により、沼島特有の人々の岩石資源利用についてより深い情報を得ることができた。しかしながら、人の暮らしと岩石との関わりは急激に衰退しており、今後は新たな価値を見いだすことも重要であると考える。
  • 伊藤 茜, 塩澤 宏司, 橋本 修
    2016 年 14 巻 p. 53-56
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    現在、夜間街路空間において、実際の法律の基準を満たしているにもかかわらず歩行者にとって暗いと感じる空間が多く見られる。路面が集中的に照らされた街路は歩行者から見ると路面は明るく感じるが、相対的に周囲のファサードを暗く感じる。そのために空間全体では暗く感じる。また、今後の無電柱化の促進に伴い、街灯設置個所の減少が見込まれるため、ファサード面は街の印象を左右する可能性がある。本研究は、夜間街路の問題点は空間のコントラストにあると仮説立てた。路面の輝度に対するファサード面の輝度の影響度と空間の光のばらつきを示す物理量を考察し、漏れ光の有効性について検討を行った。
  • 杉本 真莉, 下村 泰彦
    2016 年 14 巻 p. 56-60
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、主要ターミナル周辺の景観特性を比較することにより「大阪らしさ」について探り、今後の個性豊かな景観まちづくりに関する知見を得ることを目的とした。梅田、難波、天王寺の3ターミナル周辺地区を調査対象地区に設定し、地区ごとに物的環境特性は建物更新年・建物主用途・建物高さから捉えた。景観特性は、各地区の代表的な8景観を抽出して、景観構成要素の画面占有率から捉え、さらに地域イメージに関する意識調査から捉えた。その結果、各地区の景観には共通して、近年の開発事業による刷新がもたらす都市的快適性が見られ、地域特性としては梅田が立体感、難波が快活性、天王寺が生活感となっていることが明らかになった。
  • 大﨑 雄治, 吉川 眞, 田中 一成
    2016 年 14 巻 p. 61-64
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    歴史的空間を形成するには、地域固有な歴史や文化を知り、現代都市空間における価値を再評価することが重要である。それにくわえ、近年、発展した空間情報から得られるデータ群を活用し、都市をデザインすることが可能になりつつある。本研究では、境内だけでなく境外の空間、すなわち、都市空間において都市から寺社へ至る空間を参道空間と定義している。そのため、参道空間は、寺社などの歴史的空間と都市側の現代空間との間で、うまく対立と調和を図る必要がある。このことから、現代の都市空間における参道空間を対象に、寺社へ至るネットワークに着目した空間の構成を明らかにすることを目的としている。
  • 伊藤 遼佑
    2016 年 14 巻 p. 65-68
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    戦後において,焼け野原となった場所に不法占拠という形で闇市が発生した.いくつかの商店街はその時の雰囲気や建物を残している.ただ,近年は再開発も進み,そのような商店街は消滅しつつある.本研究は,JR天王寺駅の北口を出てすぐのところにある阪和商店街を研究対象とし,戦後からの変遷について研究したものである.阪和商店街は闇市を起源としており,昭和の雰囲気を現代にまで残している数少ない商店街の一つである.そのような商店街がなぜ大阪の第三のターミナル駅ともいわれる天王寺駅のすぐ近くに残っているのか.その疑問を商店街の成り立ちや平面配置の計画,また,都市計画の方面から考察している.
  • 後藤 侑亮, 原田 健司, 岩崎 義一, 山口 行一
    2016 年 14 巻 p. 69-72
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    すでに始まっている高齢社会にあって、特養ホームでは地域ボランティアの協力を得て施設の人材不足の解消と地域高齢者とのコミュニティ形成を進め、安心して老いを迎えられる社会づくりに取り組む例もみられる。このような取り組みを広げ、財政負担を抑制し活力ある高齢社会を築くためには健常高齢者などが主体的に取り組めるまちづくり活動を実施することが重要であり、これに必要な施設や体制など各種機能の条件等を明らかにすることが課題となっている。本研究は、係る課題に応えるべく、高齢者の日常生活における地域社会との関わりや加齢に対する意識構造の面から実態や条件を明らかにすると共に、超高齢社会に至るまでの残された短い期間における、高齢者の健康で活力ある地域社会への参画の条件や課題を事例研究から明らかにすることを目的とする。
  • -大阪市旭区をケーススタディとして
    原田 健司, 後藤 侑亮, 岩崎 義一, 山口 行一
    2016 年 14 巻 p. 73-76
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    高齢者の社会的な参加の機能を確保すべく、この研究は地域コミュニティ・センターの役割をはっきりさせることを目指す。この研究の結果は、以下の通りである。 将来増加するであろうマンション居住者は同じマンション内でコミュニケーションをとりたい希望があり、そして、文化関連のコミュニティ・ビジネスへの取り組み意向は60才の層の居住者で高い。 集会施設は芸術文化等(例えば音楽とダンス)により用いられる傾向がある、そして、集会施設の必要性意識は高い。 さらにまた、コミュニティ・ビジネスの意向があるマンション居住者には、この施設の強い必要性意識がある。 高齢者が潜在的に有する人間関係意識と社会的関係意識が相互に関連があること。 したがって、集会施設は、これの媒介機能あるいは触媒機能を担い、C・B等主体性・自立性のあるまちづくり活動を支援し、健常高齢者の増加にも寄与していくことが期待されること。
  • 湊 絵美, 伊勢 昇, 櫻井 祥之
    2016 年 14 巻 p. 77-80
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    移動販売や宅配といった買い物支援サービスの導入は、人々の買い物支援ニーズを充足する一方で、都市中心部への外出頻度の低下や買い物における外出頻度の増加・減少等といった正負の副次的影響をもたらすことが想定される。そこで、本研究では、買い物支援サービス導入によって生じ得る副次的影響の1つとして考えられる「買い物における外出頻度(以降、外出頻度)の変化」に着目し、1)買い物支援サービス導入状況別の外出頻度モデルの構築、2)各種買い物支援サービス導入による外出頻度変化量の推計、を行うことで買い物支援ニーズ以外の観点も考慮した買い物支援サービス導入検討の必要性について言及する。
  • -大阪市梅田地区を対象として
    向井 雅人, 嘉名 光市, 佐久間 康富
    2016 年 14 巻 p. 81-84
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    地下空間は以前より単独主体の開発行為により様々な空間が繋ぎ合わされ、複雑である部分が多い。特に地下と地下がつながる接続空間は多数の物理的要素が入り混じり、迷いが生まれやすい場所でもある。本研究は地下空間の中でも、開発・管理主体の変化する接続空間に対象を絞り、それらを写真で撮影し、被験者に評価してもらう。この際に接続空間に存在する物理的要素(「色」「材質」「模様」「サイン・広告類」「照明」「高さ」「幅員」)に着目し、地下を使いやすくする要素として取り上げられている「再認性」と「通行快適性」の2面から評価を行ってもらうものとする。またここから地下空間にはどのような物理的要素の寄与度が高いのかを、2種類の手法を用いて考察する。
  • 岡田 瑞記, 小谷 通泰, 寺山 一輝
    2016 年 14 巻 p. 85-88
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    神戸市都心部では、コンパクトにまとまった市街地に、個性豊かな地区が複数存在しており、それらが都心の魅力を構成している。しかし、来街者の訪問先は、鉄道駅周辺のごく限られた範囲内に留まっており、回遊性に乏しいことが従来から問題となっている。そこで本研究では、神戸市の都心商業地域における来街者への調査結果をもとに、歩行者による回遊行動の特性を分析することを目的としている。具体的には、来街者による地域内での回遊時間・回遊距離・訪問店舗数・消費金額を算出して回遊行動の実態を把握するとともに、それらの指標に影響を及ぼす要因を数量化Ⅰ類分析によって明らかにしている。
  • -京都府・大阪府・兵庫県を対象として
    辻野 雅博, 木村 優介
    2016 年 14 巻 p. 89-92
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    都市計画法に基づく歩行者専用道路である特殊街路は,周辺の都市施設や土地利用規制と一体的に計画・整備される.制度設立から40年を経て,歩行者空間に求められる機能が変化していることから,特殊街路が果たすべき役割を検証する必要がある.そこで本研究では,京都府・大阪府・兵庫県の特殊街路を対象として空間的特徴と制度的課題に着目し,その整備・運用実態を明らかにすることを目的とする.その結果,空間的特徴から既存の特殊街路を駅前商業地,住宅地内,帯状緑地,駅自由通路の4つに分類できた.さらに,自治体へのヒアリングから,特殊街路は機能の面では一般の歩行者専用道路との差異はないものの,事業費の確保や歩行者空間整備の計画の遂行において有利である点を示した.
  • 服部 誠一朗, 小塚 みすず
    2016 年 14 巻 p. 93-96
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    同じ交通弱者であるにも関わらず近年研究対象として除外されてきた年少者を研究対象とすることは意義がある.そこで,本研究では,アンケート調査を通じて,データの整理・分析を行うことにより,年少者の交通実態の把握,年少者の公共交通機関利用の満足度の関連性の確認を目的とする.その結果,公共交通機関の利用満足度について各利用者に共通して「運賃」に不満を持っている.クラマーのV係数を用いて評価した結果,バス利用者は「乗車時間」や「乗換回数」電車利用者は「待合所」や「路線・ルート」の満足度を高めることが総合満足度につながる可能性があることが明らかとなった.
  • -運営と参加者意識、車道におけるアピール走行、走行リーダーの育成
    藤江 徹, 吉田 長裕, 鎗山 善理子
    2016 年 14 巻 p. 97-100
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪市は自転車分担率は高いが、放置自転車問題など自転車へのマイナスイメージが強い。そこで、自転車に関心のある市民有志が集まり、利用者目線で自転車を使ったみちやまちづくりをポジティブに提案するために、参加型イベント「御堂筋サイクルピクニック」を2011年から10回開催している。「ちゃんと走ろう!」と「もっと自転車レーンを!」をアピールしながら、大阪のメインストリート・御堂筋を自転車走行するイベントである。ママチャリやロードバイク、タンデム自転車など様々な車種、約300人が10人ずつのグループに分かれ、一列になって車道を走る。本発表では、参加者アンケートの結果や車道におけるアピール走行の実践、提案づくりの内容を報告する。
  • 鎗山 善理子, 吉田 長裕, 藤江 徹
    2016 年 14 巻 p. 101-104
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    移動困難者のモビリティ確保の一つの手段として、2人乗りの自転車である「タンデム自転車」がある。後ろに乗る人はハンドルを操作する必要がなく、一人で自転車に乗ることができない障がい者等も乗ることができる。本稿では移動困難者にとってのタンデム自転車の日常利用へのニーズや課題を整理し、タンデム自転車を使いやすくするための知見を得ることを目的とする。 実施したアンケート調査からは、同行援護での徒歩やバス移動の代替手段として、障がい者の行動範囲を広げる可能性や、日常利用へのニーズ、一般道路を走行する上での課題等が明らかになった。
  • 高田 知紀, 桑子 敏雄
    2016 年 14 巻 p. 105-108
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,「ある土地において信仰上の重要な役割をもつ神社は,自然災害発生時においても安全性を担保しうる立地特性を有している」という仮説にもとづいて,和歌山県下の398社の神社を対象に,その自然災害リスクのポテンシャルを検証することを目的としている.GISを用いて,津波,河川氾濫,土砂災害のそれぞれのリスクと神社との立地の関係を分析した結果,和歌山の土地に深いルーツを持つイソタケル系神社,熊野系神社,王子系神社の多くは,自然災害に対してのリスク回避性が高い立地であることを明らかにした.
  • 西田 拓矢, 小川 宏樹
    2016 年 14 巻 p. 109-112
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    地震により住宅の倒壊や火災等の都市型災害に対するリスクに市民の関心が寄せられる一方、実際に対策が進んでいない。このため、地域が抱える災害リスクを地域全体で考え、地域の防災力向上のために住民参加のまちづくり活動への支援が求められる。本研究では、詳細式を改良した初学者でも活用できる簡易な式の精度を高めることを目標に、調査地区の木防建ぺい率の違いに着目し、詳細式と簡易式の判定結果の誤差の要因を明らかにする。そして、判定を行った結果、木防建ぺい率の高い地域である湊西地区ではどの項目の値も大きくなったが詳細式との誤差が小さかった。木防建ぺい率の低い地域である今福地区ではどの項目の値も小さくなったが詳細式との誤差が大きくなってしまった。これは、空地が大きく影響していた。
  • -此花区、港区、大正区を事例に
    小野 明寿香, 岡 絵理子
    2016 年 14 巻 p. 113-116
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近い将来、大阪ベイエリアは南海トラフ地震による津波で被害を受けるとされており、地域住民を巻き込んだ防災コミュニティの構築や津波避難施設の確保が必要である。 しかし、産業構造の変化により、大阪ベイエリアに立地するからこそ成り立つ生業に就きその職場の近くで住まう人々が減少し、「水防団」に入団する等して、自ら街を守るという意識を持った住民は少なくなったと考えられる。 そこで本研究は、現在ベイエリアに住む人々の防災意識を確認し、大阪ベイエリアで生活する住民の職住環境が変化する中で、そこで暮らす住民の生活と付随するべき防災意識との結びつき方を調査し、今後の地域防災のあり方を提案することを目的とする。
  • 竹之内 耀大, 山口 行一, 岩崎 義一
    2016 年 14 巻 p. 117-120
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、住民の性格を分類し、住民の性格が避難意識に与える影響を明らかにした。具体には、実際の水害時の情報をもとにシナリオを作成し、アンケート調査により分析を行った。性格分析により、回答者を「慎重・能動型」、「受動型」、「軽率・能動型」の3つの性格グループに分類し、シナリオをもとに避難行動について尋ねたところ、避難率が「慎重・能動型」、「受動型」、「軽率・能動型」の順に高くなり、情報の受け止め方もグループで異なっていることがわかった。
  • 大塚 和徳, 越山 健治
    2016 年 14 巻 p. 121-124
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    災害救助法による避難所は原則的に公的施設を用い、それらは無償とされている。しかし、阪神・淡路大震災や東日本大震災では多くの民間施設を含めて避難所として利用され、今後予想される首都直下地震や南海トラフ大地震のような広域災害では帰宅困難者問題も懸念されており、避難者の収容には民間施設の利用も不可欠とされている。民間施設の利用を拡大するためには現状の費用の掛からない避難所という概念では対応ができない。民間施設の所有者にとっては、施設の提供は社会からその社会貢献としての認識が十分になされることが必要な条件であると考え、阪神・淡路大震災を例に神戸市内で利用された避難所のコスト算定を試みた。
  • -宮城県気仙沼市唐桑町只越地区・鮪立地区防災集団移転事業を事例として
    熊澤 祐樹, 加賀 有津子, 石塚 裕子
    2016 年 14 巻 p. 125-128
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、復興事業におけるまちづくり専門家の役割や過去の復興支援で得た経験の活用方法や意義を明らかにし、復興まちづくりにおけるまちづくり専門家の派遣制度を提案する。これらの研究目的を達成するために、宮城県気仙沼市唐桑町只越地区・鮪立地区における防災集団移転促進事業を調査した。結果として、まちづくり専門家は、専門家としての技術的な助言を行なえること、復興まちづくりのタイムキーパーを担うこと、住民の精神的なケアを行なえること等多数の役割を担っていることが明らかになった。更に、まちづくり専門家にとって過去の復興経験を活用することは、非常に効果的であり、意義があることが明らかになり、既存の派遣制度を活用することで十分な支援を行なえることが明らかになった。
  • -都市構造の特性を踏まえた中心市街地活性化施策のあり方 その1
    小川 宏樹, 櫻井 祥之, 伊勢 昇
    2016 年 14 巻 p. 129-132
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    地方都市では中心市街地活性化のため、各地で中心市街地活性化基本計画が策定され,活性化に向けた施策が実施されている。しかし、中心市街地における人口減少等の傾向は続いており、中心市街地を取り巻く環境はますます厳しくなっている。中心市街地活性化には、それぞれの都市によって効果的な施策には違いがあり、具体的には、都市構造と中心市街地活性化を推進していく区域の設定により異なると考えられる。そこで本研究では、地方17都市を対象に、中心市街地活性化を目指すための知見を得ることを目的とする。まず本稿では、定量的な都市構造の分析・評価とそれに基づく都市構造の類型化を実施した。
  • -都市構造の特性を踏まえた中心市街地活性化施策のあり方 その2
    櫻井 祥之, 小川 宏樹, 伊勢 昇
    2016 年 14 巻 p. 133-136
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    地方都市では中心市街地活性化のため、各地で中心市街地活性化基本計画が策定され、活性化に向けた施策が実施されている.。しかし、中心市街地における人口減少等の傾向は続いており、中心市街地を取り巻く環境はますます厳しくなっている。中心市街地活性化には、それぞれの都市によって効果的な施策には違いがあり、具体的には、都市構造と中心市街地活性化を推進していく区域の設定により異なると考えられる。そこで本研究では、地方17都市を対象に、中心市街地活性化を目指すための知見を得ることを目的とする。本稿では、前稿の都市構造の類型化に基づき、1)都市構造類型別にみた基本計画区域設定の関連分析、2)都市構造類型別にみた各種中心市街地活性化施策の成果の関連分析を実施した。
  • -西脇市における事例より
    竹内 直矢, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2016 年 14 巻 p. 137-140
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、一部の大型商業施設に撤退が見られる。大型商業施設は販売機能だけではなく、飲食の提供機能や長時間の滞留が可能という機能を有しており、その撤退は地域に大きな影響を与え、地方都市ではさらに影響が大きいと推測できる。本研究は地方都市において、住民の買い物困難度の変化やその内容、また困難になりやすい人の属性などが明らかになっておらず対策がとれないことに着目し、それらを明らかにすることを目的とし、住民にアンケート調査を実施した。その結果、特に単身の高齢者の30.2%、撤退した施設に徒歩や自転車で行っていた人の内、世帯で車を所有していない人の23.1%が買い物に行くことができなくなり、影響が大きいことを明らかになった。
  • -ウラなんば地域を事例として
    能登 俊平, 小川 宏樹
    2016 年 14 巻 p. 141-144
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、都心部では駅直結の商業施設の開発や、駅周辺の複合施設の開発が盛んになっている。そのため、駅周辺にあった小規模な店舗の集まりなどが減少するケースが多くみられる。一方で、そのような都心の商業地に隣接しながらも、小規模店舗が集まり新たな盛り場として人気のエリアになる事例も見られる。 本研究は、ターミナル駅に隣接しながらも、近年店舗が増加し賑わいを見せている、南海難波駅東側を対象に都市計画的な観点から分析を行った。その結果、南海難波駅東側は、土地区画整理事業や都市計画道路などの都市計画の影響を受け特徴的な地域が形成されたエリアであることが分かった。
  • -神戸市 三ノ宮・元町・ハーバーランド地区を対象として
    平尾 彰啓, 池永 知樹, 山口 行一
    2016 年 14 巻 p. 145-148
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、まちの賑わい創出を目的に、現況の歩行者分布、施設の立地状況などを把握し、街の空間構成の指標化を行い、それらの関係性を分析することで街の課題を考察した。具体には、神戸市を対象に、細街路を含めた歩行者交通量とSpace Syntax 理論による空間構成指標のデータを用いて分析を行った。細街路を含めた歩行者量や空間構成を定量的な指標として扱ったことで、客観的かつ詳細な情報として扱うことができ、まちの課題についての検討が精緻に行えるなどのメリットがあることを確認した。
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