高齢女性を対象とし,塩味の認知閾値と血圧や食・生活習慣との関連を調査した.塩味の認知閾値の測定には,食塩含浸濾紙「ソルセイブ®」を用いた.塩味の認知閾値が0.2mg/cm2の者(18名)を低閾値群,0.4mg/cm2以上の者(25名)を標準~高閾値群とし,年齢,Body mass index(BMI),血圧,罹患歴,エネルギーおよび栄養素摂取量,食事および運動習慣について比較した.年齢,BMI,血圧,エネルギーおよび栄養素摂取量については,いずれも両群間の有意な差はなかった.また,高血圧者の割合や,食習慣に関する質問に対する回答の割合も,両群間で有意な差はなかった.一方,運動習慣に関する質問に対して,体を動かす仕事や運動をよくする,体を動かすことが好きと答えた者の割合は,標準~高閾値群と比較して低閾値群で有意に高かった.以上のことから,塩味の認知閾値が低い者では,好んで体を動かす習慣がある可能性が示唆された.