千葉県立保健医療大学紀要
Online ISSN : 2433-5533
Print ISSN : 1884-9326
9 巻, 1 号
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原著
  • 石井 邦子, 川城 由紀子, 大滝 千智, 川村 紀子, 鳥田 美紀代
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_3-1_10
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     千葉県内で働く40~60歳未満のキャリア後期看護職におけるセカンドキャリア(年齢を理由とした退職後に再び看護職として働くこと)の意向と関連要因を明らかにすることを目的に、質問紙法にてセカンドキャリア意向、対象特性、看護実務経験を調査した。
     有効回答1,562名のうち、セカンドキャリア希望あり群は1,194名(76.4%)であった。セカンドキャリア希望の理由では「経済的余裕がほしい」、「経験を活かしたい」、「働いている方が元気でいられる」、「看護の魅力ややりがい」が多かった。セカンドキャリア希望有群は、55歳以上、診療所勤務、パートタイム雇用、健康状態良好、就業状況に満足、高齢者施設スタッフ経験者に多かった。キャリア後期看護職のセカンドキャリアを促進するには、キャリア後期において、心身の健康を維持しながら満足できる仕事ができること、セカンドキャリアへの移行を念頭においた働き方や職場の選択ができる環境を整備することが必要である。
  • 川城 由紀子, 石井 邦子, 鳥田 美紀代, 竹内 久美子, 大滝 千智, 川村 紀子
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_11-1_16
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     介護保険施設と訪問看護ステーションにおけるセカンドキャリア看護職(以下、SCNと略す)の雇用の実態や雇用者側のニーズを明らかにし、SCN雇用の推進について検討することを目的とした。郵送法による質問紙調査を行い、調査対象施設は千葉県内の介護老人保健施設、介護老人福祉施設、訪問看護ステーション、合計640施設とした。149施設から返送があり、有効回答は147部であった。SCNを雇用している施設は68.7%であり、SCN雇用は人員不足の解消だけでなく看護の質向上や雰囲気づくりにも貢献していた。SCN雇用の意向を示す施設は88.4%であり、SCNに同じ施設での看護経験に加えその施設の特性に合わせた看護経験を求めていた。また、施設のSCN活用への期待は高く、SCN雇用の受け入れ体制が整えられていた。今後はSCNの能力やキャリアの見極めやキャリアを報酬に反映させることが課題であり、一方でSCNを希望する者には、施設が求めるキャリアを積み上げていくことが望まれる。
  • 河部 房子, 今井 宏美, 椿 祥子, 植村 由美子, 石田 陽子, 鈴木 惠子, 小髙 亜由美
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_17-1_25
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究の目的は、看護系大学においてフィジカルアセスメント(以下PA)教育を受けて卒業し現在病院に勤務している看護師を対象に、就職後どのようにPA技術を修得してきたのか、その経験を明らかにすることである。看護系大学を卒業後1年以上5年以内の看護師7名に対して半構成的面接調査を実施し、結果を質的統合法(KJ法)にて分析した。
     分析の結果、PA技術修得につながった経験として、A【看護実践の中にPAが位置づくことによるPAの目的や重要性に対する理解の深まり】、B【教材活用と現実の患者にPAを適用する体験の蓄積による五感の先鋭化】、C【PA所見に対する他者との判断過程のつきあわせによる、看護判断能力の向上】等、7つのシンボルマークが抽出された。
     看護基礎教育においては、PAの意義や重要性を実感できるような教育内容を検討し、学生時代から現実の患者に対してPAを実施する体験を重ねる必要があると考えられた。さらに今後、PA技術を構造化し、卒後の技術修得過程を視野に入れた教育内容を検討する必要性が示唆された。
報告
  • 佐藤 まゆみ, 佐藤 禮子, 小澤 桂子, 森 文子, 高山 京子, 遠藤 久美
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_27-1_36
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     研究目的は、開発した10項目からなる貧血アセスメントツールを活用した症状記録が、がん化学療法患者のセルフケアに有用であるかを明らかにすることである。外来又は短期入院で化学療法をうける患者61名が、ツールに基づき作成した記録用紙を使って毎日症状を記録し、それを外来受診時に持参し看護師からセルフケア指導をうけた。約4週間後に行った面接のデータを質的に分析した結果、以下の知見が得られた。対象者の65.6%が記録することによって症状に早く気づいたり生活に注意したりした。記録することにより生じた変化は、症状が貧血によるものであると気づけた、等10項目にまとめられた。対象者の68.9%が記録は症状を医療者等に伝えるのに有用と回答した。有用さの理由は7つにまとめられた。対象者の63.9%は記録することの負担感は少ないと回答した。以上より、がん化学療法患者のセルフケアにおいて開発した貧血アセスメントツールを活用した症状記録の有用性は高いと考えられた。
  • ~副師長会を中心とした,現場の実践力の向上を目指した取り組み~
    鳥田 美紀代, 斉藤 理代, 大嶋 淳子, 石橋 祐子, 久保木 修子, 石橋 晴美, 菅原 みち子, 成毛 美由起, 小林 英子, 杉本 ...
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_37-1_41
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本稿は千葉県立佐原病院の看護局及び副師長会と千葉県立保健医療大学の高齢者看護学領域の教員で取り組んだユニフィケーションの報告である.看護局主導のもと「高齢者看護を倫理的な側面から検討する」「各部署の副看護師長を高齢者看護のリンクナースとして,現場の実践力を高めることを目指す」という方向性を持ってスタートした.
     約1年間で,副師長対象の集合研修5回,全看護職員対象の集合研修2回,副師長の所属部署での実践研修1回を行った.各研修では,高齢者ケアの倫理やファシリテーション技術に関する講義や事例検討がワールドカフェ,ロールプレイ等の方法で実施された.取り組みの中で,大学教員は看護倫理に関する講義の講師や事例検討のスーパーバイズや高齢者ケアの倫理に関連する話題提供等を行った.取り組みを通して副師長会メンバーの倫理的課題に対する理解が深まり,ファシリテーション技術の獲得がみられた.
  • 田口 智恵美, 佐藤 まゆみ, 三枝 香代子, 浅井 美千代, 塩原 由美子, 大内 美穂子, 小安 麻子, 比田井 理恵, 菅沢 直美
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_43-1_48
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
    目的:IABP装着中の患者への看護実践に関する研修を実施し、受講者の満足度、学習度、実践の変化を明らかにすることであった。
    方法:経験の浅いICU看護師を対象に、シミュレーション教育方法を用いたIABP装着患者への看護実践に関する研修を実施し、アンケート調査と半構成的面接を実施した。
    結果:対象は6名で、研修後の満足度、その要因として事前学習資料、デブリーフィング、2度目のシミュレーション、フィードバックについては、6名全員が「満足である」「まあ満足である」と回答した。学習度については、6名がIABPアラームの「原因を探索する知識」「対応のための知識」が深まり、「対応スキル」が向上し、「状態理解」「呼吸・循環観察の知識」が深まり、「体位変換スキル」が向上した。研修3か月後、ほぼ全員のIABP装着患者対応への困難感が減り、思考・行動レベルでの良い変化が認められた。
    考察:対象者の満足度・学習度は高く、事前学習、ファシリテーターの関わり、行動の変化の3つが重要であったと考える。
資料
  • 安部 能成
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_49-1_53
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     21世紀を迎えた我が国における、がん患者に対する医学的リハビリテーションにおいて、作業療法の治療効果に対する評価を調査対象の適格基準として文献レビューを実施した。4種類の日本語データベースにおいて「がん、リハビリテーション、評価、作業療法」の4語をキーワードとして2005年から2016年までの12年分の文献検索を施行したところ、総数では723論文がヒットした。しかし、原著論文かつ上記の適格条件を満たすものは55論文であった。これについて検討したところ、対象期間において次第に論文数が増加する傾向がみられ、研究方法として症例が多く、対象となった癌腫では乳癌・脳腫瘍が多いながら癌腫に拡大傾向がみられる、などが明らかとなった。
  • 椿 祥子, 河部 房子, 今井 宏美, 石田 陽子
    2018 年 9 巻 1 号 p. 1_55-1_61
    発行日: 2018/03/26
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     効果的なフィジカルアセスメント教育に向けた基礎資料を得ることを目的とし、看護系大学を卒業し、病院に勤務中の看護師を対象に、学生時代に感じていた各項目に対する技術修得の必要性と実践現場での技術活用の頻度について質問紙調査を行なった。卒業後1年以上から5年以内の212名に質問紙を配布し、55名から回答を得た。
     調査の結果、学生時代に<必ず必要>と感じていた割合が多いのは『バイタルサイン』「呼吸音の聴診」などであった。現在の活用状況で<よく活用している>が多いのは『バイタルサイン』「意識レベルの評価」「呼吸音の聴診」「腸蠕動音の聴診」などであった。また、フィジカルイグザミネーション間で活用の有無に差があることがあることが分かった。
     これらから、活用頻度の高い「バイタルサイン」「意識レベルの評価」「呼吸音聴診」「腸蠕動音聴診」などは、フィジカルアセスメント教育として最低限身につける必要があることが示唆された。
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