千葉県立保健医療大学紀要
Online ISSN : 2433-5533
Print ISSN : 1884-9326
6 巻, 1 号
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原著
  • 石井 邦子, 川村 紀子, 佐藤 まゆみ, 吉田 千文, 大内 美穂子, 田口 智恵美, 塩原 由美子
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1_3-1_10
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     研究目的は千葉県内に居住する子育て中の潜在看護師の再就業に関する意向を明らかにすることであった.子育て中の潜在看護師を対象に,再就業に対する気持ち,再就業できそうな時期,再就業の際の希望,再就業に関する心配,再就業に必要な条件,活用できる制度について無記名自記式質問紙法を実施した.
     分析対象242名のうち,再就業未定者は196名であった.再就業の時期は末子の小学校入学前後かそれよりも早い時期を考えている者が多かった.再就業の希望は,診療所または外来勤務,パートタイム勤務,平日日勤が多かった.再就業に関する心配および必要な条件は,家庭と仕事の両立や仕事のブランクに関連することが多かった.
     本研究の対象者は再就業の意向をもつ者が多く,再就業に関する具体的な心配や必要な条件が明らかになった.復職前の研修の充実に加え,より進んだ短時間勤務制度や休暇制度の導入が,子育て中の潜在看護師の再就業を促進するワークライフバランス支援であると考えられる.
  • 川城 由紀子, 北川 良子, 石井 邦子
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1_11-1_16
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究は,妊婦の魚介類摂取に関する保健指導の現状を明らかにすることを目的とした.WAM-NETから1,000施設を無作為抽出し,本調査参加の同意が得られた134施設において妊婦のケアにあたっている看護職者1,688名を対象に,郵送法による自記式質問紙調査を行った.各質問項目の記述統計量の算出と自由記載の質的分析を行った.回収率は58.4%,有効回答率は98.3%(n=968)であった.妊婦から魚介類の摂取について過去1年間に質問を受けた看護職者は131名(13.5%)であり,その質問内容は,【摂取してよい魚介類の種類】,【摂取してよい魚介類の量】,【魚介類摂取の是非】などであった.魚介類摂取については,看護職者から妊婦に積極的に説明している者は少なかった.看護職者から魚介類摂取は胎児の成長発達に必要であることと併せて妊婦に水銀による胎児への影響と具体的な摂取方法の情報提供を行い,安全に安心して魚介類を摂取できるように促す必要がある.
  • 豊島 裕子
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1_17-1_23
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     【目的】ビタミンK除去納豆精製物NKCPは血液凝固抑制効果,線溶系亢進効果などを有する.今回は,抗血小板効果について検討した.【方法】対象は,年長健常男性6人(45.0±2.8歳),若年健常男性12人(22.3±2.1歳).レーザー散乱光粒子計測法(PA200;Kowa社製)で,自然凝集(SPA),エピネフリン0.1M惹起凝集(E凝集),NKCP 1,3,10㎎ /㎖添加凝集を,小・総凝集塊量を指標に検討した.【結果】(1)低濃度NKCP添加はSPAを亢進させ,10㎎ /㎖ NKCP添加はSPAを抑制することが示唆された.この反応は,年代間で有意差を認めた.(2) E凝集に対しNKCPは有意な効果を示さなかった.【考察】10㎎ /㎖ NKCPは安静時の血小板凝集能を抑制することが示唆されたが,ストレス負荷時の急性血小板凝集能亢進に対する抑制効果はないと考えられた.
短報
  • 大内 美穂子, 佐藤 まゆみ
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1_25-1_30
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究の目的は,“情報通信技術を用いた遠隔看護”(以下,テレナーシング)の適用に向けて,内視鏡治療を受ける消化管がん患者のテレナーシングへのニーズを明らかにすることである.内視鏡治療後の消化管がん患者を対象に質問紙調査を実施し,30名の回答を統計的・質的に分析した.その結果,56.7%の患者がテレナーシングを「かなり必要」「まあ必要」と回答した.テレナーシングの必要性を感じる理由は,療養生活で生じた疑問や不安を外来受診に行かずに解決したい,自宅に居ながら相談できれば冷静に受け止められるであった.希望する相談手段は電話,電子メールの順に多く,手軽さや利便性がその理由であったが,相談内容や患者の情報リテラシー等に応じて多様な手段が選択されるべきという理由で2つ以上の手段を挙げた者もいた.テレナーシング利用時の心配は,情報漏えいや自分の気持ちを正確に伝えることへの懸念であった.
資料
  • 須釜 真由美, 榎本 麻里, 大谷 眞千子, 今井 宏美, 三谷 智香子
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1_31-1_35
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究は,11大学11名の看護教員に半構成的な面接調査を行い,「採血」の演習方法と技術教育で教員が重視していることについて検討した.シミュレータで実施する場合は,段階的な学習や,技術の原理の理解や確認ができるという教育効果があり,現実に近い場面を設定した演習や,演習可能なシミュレータの準備の必要性がみられた.学生同士で実施する場合は,主体的な学習,患者の立場の理解,実際の体験からの学びという教育効果があり,実施に向けた学生の準備,安全対策・事故対策,演習時間の確保の必要性がみられた.教員が重視していることは,根拠を踏まえた安全な技術,患者に配慮した技術,看護師としての責任・役割,考え方を身につける,自分の動きを分析させる,リアリティを持たせるがあり,「採血」の演習方法に影響していると考察された.
  • 桝本 輝樹, 鈴鹿 祐子, 今井 宏美, 亀井 縁, 浅井 美千代
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1_37-1_42
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー
     保健医療系大学在学生に対して,大規模災害時の安否確認についての意向や行動を調査し,あわせて災害時の対応マニュアル作成のための基礎資料とすることを目的として,千葉県立保健医療大学在学生と教職員を対象に,東日本大震災時の安否確認行動についてのアンケート調査を実施した.
     アンケートは600名に配布し,有効回答率は38.8%(232通)であった.調査の結果,在宅かどうかを問わず,連絡(安否確認)をとりたいと思った対象は母親を中心とした家族が最も多く,使用しようとした連絡手段は携帯電話およびショートメールであった.
     SNSは輻輳がなく,クラウドや海外にサーバを置くものも多いため利用できなかった割合が低く,有効性が裏付けられたものの,活用の度合いは低かった.
     緊急時の連絡手段などについての話し合いが行われているかどうかについては,家族と話し合いをしている割合が55%,大学関係者とは35%,実習先との連絡方法を検討している割合は17%に留まった.
     本研究により,学生,教職員のいずれも家族を中心とした親族の安否を確認,かつ自らの安全を伝達することを望んでいることが明らかとなった.また,大学では安否確認の枠組みは設けられているものの,具体的なマニュアルや安否確認システムの整備の余地があり,防災教育の点では改善の余地が大きいことも明らかとなった.
その他
  • ─参加者の研修ニーズと今後の課題:2014年度の報告─
    鳥田 美紀代, 杉本 知子, 須釜 真由美, 松谷 正一, 上野 佳代, 三谷 智香子
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1_43-1_48
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2023/06/21
    研究報告書・技術報告書 フリー

     千葉県内の特別養護老人ホームに勤務する看護職者を対象にフィジカルアセスメント研修を実施した.3年目となる本研修について,実績をふまえて見直しを行い,課題を整理した.研修プログラムは1)フィジカルアセスメントに必要な医学的基礎知識,2)フィジカルアセスメントに関する一般的な知識及び,呼吸器・循環器・消化器のフィジカルアセスメント,3)事例に基づくフィジカルアセスメントの実践,4)実践的課題や対策の共有のための参加者交流で構成され,28施設28名の看護職者が参加した.参加者交流の討議から,研修内容や事例に基づく演習方法の導入等,概ね参加者の研修ニーズに合っていたことが示された.一方で,参加者には,より個別的な症状におけるフィジカルアセスメントの方法と対処方法,あるいは,介護職との知識・技術・判断の共有と協働に関する研修ニーズがあり,これらに対応できる研修を企画・実施することは今後の課題である.

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