現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
40 巻
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論文
  • 本多 俊毅
    2019 年 40 巻 p. 1-24
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/31
    [早期公開] 公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    Markowitz[1952]によって平均分散ポートフォリオ理論が提案されて以来,およそ65年が経過した.平均分散モデルをそのまま実務で利用することは難しいし,最適化問題としても古典的な手法を用いた応用例のひとつに過ぎない.しかし,今日においても依然として重要な考え方であることは間違いない.本稿では,近年のファイナンス研究の展開を平均分散モデルと関連づけながら紹介し,資産市場の分析やポートフォリオ戦略の構築において,このモデルが現在でも非常に有効な方法論を提供していることを示してゆきたい.

  • 磯貝 明文, 川口 宗紀, 小林 寛司
    2019 年 40 巻 p. 25-48
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/31
    [早期公開] 公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    本論文では,企業間の取引ネットワークに基づくクロスモメンタムの株価予測可能性について研究する.具体的には,日本企業における有価証券報告書からサプライヤー・カスタマーのつながり情報を独自に収集し,互いの企業ニュースが株価へ適切に反映されているかを調査する.結果は,カスタマー企業のニュースがサプライヤー企業の株価へ適切に反映されていない,すなわちカスタマー企業のニュースとサプライヤー企業の将来リターンには統計的に正の関係を有することを確認する.また,このクロスモメンタムは将来のセルサイドアナリスト業績予想を予測する結果を示す.これらは,投資家の注意力・情報処理能力の限界が株価予測可能性をもたらすという仮説と整合的である.

  • 根本 直子, 吉野 直行, 大久保 豊, 稲葉 大明, 柳澤 健太郎
    2019 年 40 巻 p. 49-71
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    金融機関にとって中小企業向け融資は中核業務だが,信用力の判定が難しく,効率性も低いといった課題がある.金融機関の用いる内部格付け制度は,財務データの正確性が不十分であるといった限界が指摘されている.

    本稿は,従来の内部格付けには必ずしも十分に織り込まれていなかった入出金などの銀行の口座情報が,中小企業のデフォルト予測の精度に与える影響を検証した.本稿の分析により,従来の財務情報に基づくデフォルト推計モデルに銀行口座情報の指標を追加した場合,デフォルト予測の精度が高まることが実証された.特に,企業規模が小さい場合,改善幅が大きくなる傾向がみられる.また,財務モデルと銀行口座情報に基くモデルの示す信用力には相関関係があること,ケースによっては銀行口座情報のみを使用したモデルでもデフォルト推計の正確性は財務モデルと大きく変わらないことが実証された.

    銀行口座情報の活用が広がれば,銀行は信用コストを抑えるとともに,審査時間やコストを削減でき,中小企業向け融資の円滑化につながりうる.

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