現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
11 巻
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論文
  • 國方 明
    2002 年 11 巻 p. 3-29
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文は,フロンティア費用関数という手法を利用して,わが国の銀行業の非効率性を推計している.先行研究と比べて本論文はTFAとDFAという比較的新しい推計方法を採用して,推計結果を比較しているという特徴をもつ.分析対象は1989~1996年度の都銀・地銀•第二地銀である.本論文の結論は以下のように要約される.

    ①TFAとDFAの非効率性の水準はほぼ等しく,順位にも正の相関関係が観察された.ただし,外部指標や計量経済学の理論との整合性を検討すると,TFAの方が優れていると考えられる.

    ②先行研究と同様に,規模の経済性が観察されたが,Scale Inefficiencyは期待された符号を取らなかった.

    ③範囲の経済性について考察すると,フィー・ビジネスでは観察されず,その一方でフロー・ビジネスについては観察期間の前半で範囲の不経済性が,観察期間の後半では範囲の経済性が観察された.

  • 井坂 直人
    2002 年 11 巻 p. 31-41
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,1988年の大阪証券取引所における日経平均株価先物取引導人が日経平均構成銘柄の市場流動性に及ばした影響を検証するものである.銘柄ごとにマーケット・インパクトを推定し,得られたマーケット・インパクト推定値を用いたクロスセクション分析により,日経平均株価先物取引導人後に日経平均構成銘柄の市場流動性が低下したことが検証された.この結果は,米国の既存研究で報告されている株価先物取引導入による現物市場の流動性低下と整合的であり,また,株価レベルが低く,日経平均株価指数に占めるウェイトが小さいと考えられる銘柄において流動性低下の度合いが顕著であることから,個別銘柄市場における情報の非対称性が市場流動性の低下を引き起こすとするSubrahmanyam[1991]の理論モデルとも整合的な結果である.

  • 阿萬 弘行
    2002 年 11 巻 p. 43-59
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿の目的は,ストックオプション制度と株式所有構造の関係について,日本企業を対象として実証的に分析することである.1997年の本格的なストックオプション解禁以来,この制度を採用する企業は捭え続けている.しかし,学術的な分野において,同制度の経済学的研究を行っているものは極めて少ない.特に,ストックオプションが株主利益の実現を主目的とする以上,その株主構成がりえる影響について分析することが主要なテーマである.すべての株主は同一の利害を共有しているわけではなく,実際の株主構成を見ればグループ間の利害の不一致が一般的現象である.とりわけ,本稿が注目するのは,株式を保有しつつも,債権保有によって,一般の株主とは異質な利害関係をもつ金融機関,そして,ストックオプションと類似の機能をもつと予想される役員持ち株である.計量分析によって以下の結論を得た.第一に金融機関持株比率の上昇がストックオプション依存度を低下させる.第二に役員持株比率の上昇はストックオプション依存度を低下させる.

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