金利スワップ取引の信用リスクはかなり小さいと考えられるので,スワップレートと国債利回りのスプレッドは,信用リスクではなく,LIBORと国債利回りの差であるTEDスプレッドを反映したものであると思われる.本論文では,円金利スワップ・スプレッドは,TEDスプレッドと,市場参加者の裁定取引やヘッジ取引の影響を強く受けているという仮説を検討した.
TEDスプレッドと市場要因を説明変数として円スワップ・スプレッドの回帰分析を行ったところ,スワップ・スプレッドは,長期のものほどTEDスプレッドの影響が小さいことが判明した.これは,TEDスプレッドが均衡水準に収束する傾向があるためと考えられる.また,利付金融債の利回り,金利,スワップ取引高などの市場要因がスプレッドに有意に影響を与えている.市場要囚の影響はスワップの年限毎に異なっており,市場参加者の取引ニーズが年限ごとに偏っていることを示している.
抄録全体を表示