現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
1 巻
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論文
  • 福田 祐一, 斉藤 誠
    1997 年 1 巻 p. 5-18
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文は,外国為替先物レートの不偏予測性(forward exchange rate unbiasedness)の仮説がほとんどすべての通貨の組合せについて統計的に棄却されているという実証的なファインディング,すなわちフォワード・ディスカウント・パズル(forward discount puzzle)が,どの方向に分析フレームワークを拡張することによって理論的に説明されるのかを展望している.特に,危険回避行動を明示的に取り入れていくアプローチと,貨幣市場の流動性効果(liquidity effect)を組み込んでいくアプローチのふたつの拡張を検討している.後者の流動性効果には,名日貨幣成長率の上方シフトが直物レートの期待変化率と直先スプレッドに相反する響を与え,パズルを解明する可能性がある.

  • 村瀬 安紀子
    1997 年 1 巻 p. 19-32
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,日経225インデックス・オプション・ボラティリティーのシステマティック・エラーについて実証分析を行ったものである.同市場において原資産価格が上昇トレンドを持つ期間にのみ2つのシステマティック・エラーが観測されるという事実を指摘し,プット・コール・パリティーから推定される日経225インデックスの値を原資産価格として用いると,推定されるインプライド・ボラティリティーには上記のシステマティック・エラーが消滅することが示される.また,上記のシステマティック・エラーは,日経225インデックス公表値と日経225インデックスのポートフォリオの実際上の売買価格が乖離していることにより生じている可能性があり,オプション価格が原資産市場に関して追加的情報を提供している可能性が示される.

  • 倉澤 資成, 段 憶鳴, 広田 真人
    1997 年 1 巻 p. 33-53
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    さまざまな財務政策が,外部投資家とのコミュニケーション手段となりうる,との認識はいまや一般的であり,資金調達手段の一つである転換社債の発行が市場に何らかの情報を伝達する機能をもつ,との理解は洗練された理論モデルの指摘にとどまらずよリ素朴な議論からも示唆される.本論文は,転換社債が市場に対して情報を提供する機能を果たしているのか,情報を伝達しているとするならは,どのような情報なのか,等をいわゆるevent studyの手法を用いて検討する.その結果,1987年から1990年まで,転換社債発行のアナウンスに対して有意な反応を示していた市場が,1991年以降ほとんど反応しなくなったことが判明した.前者は「バブル」期の例外的現象と見られがちであるが,ただちに,そのように結論することはできない.1990年以前の超過収益率を吟味すると,転換社債発行に対する市場の反応には,これまでの理論的研究と整合的であるという意味で,一定の合理性が認められるからである.

  • 浜野 光恵
    1997 年 1 巻 p. 55-67
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    金利スワップ取引の信用リスクはかなり小さいと考えられるので,スワップレートと国債利回りのスプレッドは,信用リスクではなく,LIBORと国債利回りの差であるTEDスプレッドを反映したものであると思われる.本論文では,円金利スワップ・スプレッドは,TEDスプレッドと,市場参加者の裁定取引やヘッジ取引の影響を強く受けているという仮説を検討した.

    TEDスプレッドと市場要因を説明変数として円スワップ・スプレッドの回帰分析を行ったところ,スワップ・スプレッドは,長期のものほどTEDスプレッドの影響が小さいことが判明した.これは,TEDスプレッドが均衡水準に収束する傾向があるためと考えられる.また,利付金融債の利回り,金利,スワップ取引高などの市場要因がスプレッドに有意に影響を与えている.市場要囚の影響はスワップの年限毎に異なっており,市場参加者の取引ニーズが年限ごとに偏っていることを示している.

  • 岸本 直樹
    1997 年 1 巻 p. 69-77
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    長期国債先物契約等の債券先物が,金利感応的なポートフォリオの運用やリスク管理において極めて重要な役割を演じていることは,衆目の一致する点であろう.本論文では,利付債先物契約のデュレーションについて,いくつかの有用な公式を示す.具体的に言えば,まず,ファイナンス文献の一部に見られる利付債先物契約のデュレーション公式が,実は,最割安銘柄の先物受渡日における経過利子が0であることを前提にしていて,そうでない場合には妥当しないことを示す.また,この公式について,最割安銘柄の先物受渡日における経過利子が0でない場合の正しい公式を示す.次に,最割安銘柄のデュレーションをもとに利付債先物契約のデュレーションを直接計算する公式を示し,その式に直感的な解釈を与える.

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