日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
20 巻, 2 号
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  • 松本 美佐子, 田中 笑子, 篠原 亮次, 渡辺 多恵子, 冨崎 悦子, 望月 由妃子, 杉澤 悠圭, 酒井 初恵, 安梅 勅江
    原稿種別: 本文
    2014 年20 巻2 号 p. 3-13
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    目的 本研究は保育園で気がつく3歳時の気になる行動の推移、および2年後の社会能力を予測する行動の抽出を目的とした。方法 対象は全国32か所の認可保育園に在籍する幼児である。すでに障害の診断がついている児を除外した2007年、2008年の3歳児(485人、509人)を2年間追跡し主要な項目に欠損のない276人、243人をパネル化した519人を分析対象とした。調査内容は「気になる行動チェックリスト」と「就学前児用社会的スキル尺度」の記入を担当保育士に依頼した。対象者の内訳は男児274名(52.8%)、女児245名(47.2%)、きょうだいは無200名(38.8%)、有315名(61.2%)不明4名であった。5歳時の社会性を目的変数、3歳時の気になる行動を説明変数、性別ときょうだいの有無を調整変数としてロジスティック回帰分析を実施した。結果 5歳の社会能力の低さは3歳時の気になる行動で「音に対する反応の異常」が見られる場合Odds比38.86(95%信頼区間4.21-358.85)(以下同様)、「光に対する反応の異常」が見られる場合14.21(2.69-75.10)、「不自然な関係性」がみられる場合14.10(3.99-49.78)、「無関心」がみられる場合4.06(1.64-10.03)、「こだわり」がみられる場合5.53(2.33-13.12)、「激しいかんしゃく」がみられる場合2.44(1.10-5.40)、「多動」がみられる場合3.46(1.75-6.86)、「けんかが多い」がみられる場合2.47(1.02-5.98)「反抗がひどい」がみられる場合6.00(2.13-16.95)、「言葉に関する問題」がみられる場合6.34(2.97-13.53)、「ルール逸脱行動」がみられる場合9.10(3.73-22.22)、「年齢相応の生活習慣の遅れ」がみられる場合4.93(2.11-11.51)と有意に高くなる傾向が示された。結論 3歳時に音や光に関する反応の異常、不自然な関係性、無関心、こだわり、激しいかんしゃく、多動、けんかが多い、反抗がひどい、言葉に関する問題、ルールの逸脱行動、年齢相応の生活習慣の遅れなどの行動がみられた際は、後の社会能力の獲得に困難を示す可能性があり、幼児期早期から社会能力を育むための支援が求められる。
  • 佐々木 典子
    原稿種別: 本文
    2014 年20 巻2 号 p. 15-22
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    目的 臨床工学技士国家試験で用いられている多肢選択問題を知識レベルに基づく能力評価(タクソノミー)に分類し、試験の繰り返し(回数)との関係性について検証した。方法 臨床実習事前指導期間に試験を5回繰り返し行った。分析には被験者内因子を試験回数、被験者間因子をタクソノミーとする分散分析を行った。結果 試験回数である主効果、および試験回数とタクソノミーによる交互作用が確認できた。また、多重比較についても有意差が認められた。特にタクソノミーIIでは、解釈や判断能力が不足していることが確認された。考察 全てのタクソノミーにおいて、繰り返し行う学習が有効であることが確認できた。また、高次の知的活動能力については、繰り返し行うことによる効果が大きいことが示された。
  • 神崎 匠世, 木村 裕美
    原稿種別: 本文
    2014 年20 巻2 号 p. 23-29
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本研究では、男性労働者を対象に生活習慣と職場ストレスの緩衝要因である職場サポートについて調査を行い、肥満と関連のある要因について検討した。年齢、生活習慣、職場サポートに関する自記式質問紙調査票を用いて調査し、定期健康診断を受けた男性労働者202名を分析対象とした。対象者の平均年齢は49.6(SD9.4)歳であり、body mass index(BMI)≧25.0の肥満者の割合は37.6%であった。χ^2検定結果では、年代別における肥満の有無に有意差は認められなかった。生活習慣について、間食「有」のうち肥満者の割合は47.6%であり、間食「無」(30.5%)と有意差が認められた(p=0.013)。職場サポート尺度において、「高群」での肥満者の割合は29.9%、「低群」の肥満者の割合は46.3%であり、有意に「低群」での肥満率が高かった(p=0.016)。肥満に寄与する因子についてロジスティック回帰分析にて多変量解析をおこなった結果、間食(p=0.007、OR=2.30)、職場サポート(p=0.008、OR=0.45)が独立して有意に関与していた。これらのことより、男性労働者の肥満を予防または改善する上で、間食の内容に留意した実現可能な目標設定が必要であると考えられた。また、職場におけるサポート不足が肥満につながる可能性が示された。
  • 川名 はつ子, 吉宇田 和泉
    原稿種別: 本文
    2014 年20 巻2 号 p. 31-39
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    目的 本研究では、成人知的障害者の肥満の現状を把握し、課題を検討することを目的とした。方法 首都圏の知的障害者入所5施設の利用者217名(男性143名、女性74名)と、都内の通所5施設の167名(男性100名、女性67名)計384名を対象とした。2007年8月に運営主体が様々で所在地も分散しているこれら10か所の施設を巡回し、身長・体重・体脂肪率(タニタ社製TBF-310)・ウエスト周囲径・血圧の測定を行なった。一部の施設では障害の程度・内容も調査し、SPSS(Ver.17.0)を用いて統計処理した。結果 1.平均年齢は男性38.1±11.1歳(入所41.1±10.3歳、通所33.8±10.8歳)、女性39.5±11.9歳(入所43.1±11.0歳、通所35.6±11.7歳)で男女別の差はなかったが、入所群が通所群より有意に高かった(p<0.001)。2.男性では、体重、体脂肪率、ウエスト周囲径、BMIのすべてにおいて、通所群のほうが高かったが、女性では差は認められなかった。3.血圧は、男女とも通所群のほうが高かった。4.入所群・通所群をそれぞれ障害の程度(療育手帳=障害者手帳の度数)別にさらに重度と中・軽度の2群に分けて比較してみたが、全体と同様の結果であった。結論 知的障害をもつ人は健常者より肥満しやすく、なかでも自宅から作業所などに通っている者は入所者と比較して、肥満がより深刻であることが明らかとなった。この違いは、主として入所者は3食給食で栄養管理が行き届いていることが考えられる。全体的に運動・食事の改善を図ることはもちろんだが、特に通所の男性は食行動や食事内容の改善を図ることで減量の効果が期待できると考えられた。一方、女性では入所者でも肥満が多いことから、入所女性ではさらに活動量を増やす必要が示唆された。
  • 吉宇田 和泉, 川名 はつ子
    原稿種別: 本文
    2014 年20 巻2 号 p. 41-48
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    目的 人口の高齢化に伴い骨粗鬆症予防の重要性が認識されているが、知的障害者は加齢による骨量低下が健常者より著しいことが懸念されるにも拘らず骨評価を受ける機会は少ない。そこで施設利用者の踵骨の音響的骨評価値(OSI)を測定し、性別、入所・通所施設別の現状と課題を探った。方法 都内の知的障害者入所5施設の利用者217名(男性143名、女性74名)と、通所5施設の167名(男性100名、女性67名)計384名を対象とした。2007年8月に各施設を巡回し、身長・体重・体脂肪率・ウエスト周囲径・血圧のほか踵骨の骨強度を測定するため超音波骨評価装置(ALOKA社製AOS-100NW)を用いて踵骨の音響的骨評価値(osteo sono-assessment index:OSI)を算出した。一部の施設では障害の程度・内容も調査し、SPSS(Ver.17.0)を用いて統計処理した。結果 踵骨OSIの男女別平均値は、男性2.834±0.503、女性2.766±0.609で有意差はなかった。一方、入所・通所別では男女とも差があり、左踵骨OSI平均値は通所(男2.916±0,571、女2.891±0.609)の方が入所(男2.776±0.442、女2.653±0.592)よりも有意に高かった(p<0.01)。右踵骨OSIも、有意差はないが、男女とも通所(男2.835±0.563、女2.825±0.591)の方が入所(男2.723±0.486、女2.675±0.563)より高い傾向があった。骨強度に体重が影響を及ぼすことや、居住形態の違いも関連していることが示唆された。結論 高齢化が進む知的障害者において、健常者同様、骨粗鬆症予防のためには早い時期から減量を図り、運動量を増やして、一般に20歳代後半にピークに達すると報告されている骨強度の低下を出来る限り抑制することの重要性が改めて浮き彫りになった
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