目的:加齢により嚥下機能が低下した超高齢者の摂食・嚥下ケアを担う家族介護者の体験を明らかにすることを目的とした。 方法:誤嚥性肺炎の既往またはそのリスクがある90歳以上の高齢者の家族介護者6名に個別インタビューを行った。インタビュー内容は体験の定義に基づき、摂食・嚥下ケアをどのように実践してきたか、大変だったこと、良かったこと、考えたことなどである。インタビュー内容の逐語録を作成してデータとし、質的記述的に分析した。 結果:家族介護者の体験として21サブカテゴリー、6【カテゴリー】、2《コアカテゴリー》が生成された。家族介護者は《状態に合わせたケアのために医療職を頼りに(する)》しながら、《食への気持ちと状態に合わせたケアを(する)》していた。カテゴリーとして【後悔のないようにケアを模索する】【本人の持つ力を感じ食べる力を引き出す】【リスクを見極めながら食べるという楽しみを続ける】【食べなくてよくなったと感じて苦しまない最期を願う】【医療職を頼りに状態に合わせたケアを考える】【医療職と食べる力の変化を共有し看取り方を考える】が生成された。 結論:超高齢者の摂食・嚥下ケアを担う家族介護者の体験では、後悔のないようにケアを模索することが摂食・嚥下ケアの土台となっていた。そして、家族介護者は医療職を頼りにしながら、超高齢者の食への気持ちと状態に合わせたケアをしていた。医療職が、家族介護者の何を大切にしたいかを考える過程に寄り添い、超高齢者の持つ力、むせない状態の見極め、食べようとする意思、食べる力の変化を家族介護者と共有し、経口摂取の可能性や穏やかな看取り方を家族介護者と共に考えることの重要性が示唆された。
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