日本糖尿病教育・看護学会誌
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原著
  • 日本糖尿病教育・看護学会 研究推進委員会(第11・12期2020年9月~2022年9月), 髙橋 慧, 住吉 和子, 山本 裕子, 餘目 千 ...
    2023 年 27 巻 2 号 p. 1-9
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/11/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,COVID-19感染拡大下での入院中の糖尿病患者への教育・看護の実態を明らかにすることを目的とした.入院病床がある医療機関に所属する慢性疾患看護専門看護師および糖尿病看護認定看護師を対象にWeb調査を実施し,記述統計と質的帰納的手法により分析した.

    有効回答数は184名で,感染拡大により糖尿病患者の入院を制限した時期があった施設は57.6%,糖尿病教室の件数が減少した施設は63.0%であった.病棟における教育・指導の変更に伴う問題は【面会制限による家族指導の困難さに伴う療養継続の困難】【糖尿病患者の教育・療養環境の悪化】【COVID-19対策に伴う教育の質の低下】などが,対応策・工夫点は【面会制限下での指導機会や方法,場所の変更を伴う家族への指導の工夫】【対面指導に代わる教育資材の工夫】【COVID-19感染に関する教育内容の追加】【病棟と外来の接触の回避による感染機会の最小化】などがあった.

    COVID-19感染拡大下においても,糖尿病看護の質を保証する体制づくりの必要性が示唆された.

  • 山岸 直子, 勝野 とわ子
    2023 年 27 巻 2 号 p. 11-24
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/11/15
    ジャーナル フリー

    目的:独居高齢糖尿病患者の運動療法の自己管理の取り組みおよび関連する要因を明らかにし,看護への示唆を得ることとした.

    方法:70歳以上で外来通院中の独居糖尿病患者16名を対象に,半構成的面接法でデータ収集し質的に分析した.

    結果:独居高齢糖尿病患者の運動療法の自己管理の取り組み程度は,少ない,中程度,多いの3段階に分類された.自己管理と関連する要因として,ソーシャルサポート,孤独感,生活の楽しみ,身体機能低下,自己管理の必要性の認識,生活への組み込み,負担感,取り組みの成果の8要因が抽出され,これらは関連し合っていた.なかでも生活の楽しみは,運動自体が生活の楽しみにつながる側面と,生活の楽しみが自己管理の取り組みに影響する側面があり,主要な要因であった.

    結論:独居高齢糖尿病患者の運動療法の自己管理に関連する要因を考慮し,生活の楽しみが維持できるよう楽しみながら運動に取り組めるような支援,人との交流を促進し孤独感を軽減できるような支援が重要である.

委員会報告
  • 山﨑 優介, 東 めぐみ, 清水 安子, 餘目 千史, 岡 佳子, 佐藤 栄子, 住吉 和子, 髙橋 慧, 藤原 優子, 村角 直子, 森 ...
    2023 年 27 巻 2 号 p. 25-32
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,看護師が捉えた新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19と略す)感染拡大による地域連携への影響を明らかにすることである.慢性疾患看護専門看護師および糖尿病看護認定看護師を対象に1施設1回答とし,無記名式質問紙によるWeb調査を実施した.全53項目ある質問紙のうち,本研究では,地域連携体制に関する2つの質問に対する自由記載内容を質的帰納的に分析した.質問紙への回答数は193名(有効回答率97.5%)であり,うち上記自由回答へ記載したものは47名であった.自由記載の内容から,【既存の連携活動が制限されることによる顔が見える機会の減少】,【COVID-19感染拡大により生じた取り組みの制限による連携上の問題】,【新たな連携方法の導入と既存の連携方法の強化】の3つのカテゴリに分類できた.COVID-19感染拡大により,地域連携に多くの制限がかけられた中でも,改めて地域連携のあり方を見直し,新たな連携方法が生み出されていた実態が明らかとなった.

  • 日本糖尿病教育・看護学会 特別委員会(第10期,第11期 2017年9月~2020年8月), 原田 和子, 桃坂 真由美, 梶野 美保, 高 ...
    2023 年 27 巻 2 号 p. 33-37
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/04/23
    ジャーナル フリー

    日本糖尿病教育・看護学会 特別委員会(第10期,第11期)では,「JADEN5か年計画・重点目標」の1つである「超高齢社会に向けた基盤整備」に取り組んだ.医療機関及び関連施設で高齢糖尿病患者に携わる看護師への調査や,日本糖尿病教育・養護学会学術集会において交流集会とアンケート調査を実施し,11の高齢糖尿病患者の療養上の課題の抽出と,これらの課題に対する看護師の重要度の確認と実行度について分析した.さらに抽出した11の「高齢糖尿病患者の課題」の妥当性について文献に基づき検討し,問題の背景や解決策を整理した.高齢糖尿病患者は今後も増加することが推計されており,加齢に伴い病状や治療が複雑になることや,生活の場で高齢糖尿病患者に関わる介護職や福祉職等の多職種との連携が重要になると考えられることから,関連施設間での連携,ネットワークの強化が必須となることが予想される.今後特別委員会では,「高齢糖尿病患者の課題」に対する要因・問題解決策(早期発見ポイント・看護)について,高齢糖尿病患者に携わる看護師や多職種に普及させると共に関連機関との連携等に取り組む予定である.

資料
  • 平谷 優子, 伊瀨 薫, 石本 晶子, 川村 智行
    2023 年 27 巻 2 号 p. 39-46
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,1型糖尿病をもつ女性の妊娠に対する思いを明らかにすることを目的とした.文献検索には医中誌Webを用い,検索対象年は限定せず,論文の種類は「原著論文」と「症例検討会」に設定した.検索語は「1型糖尿病AND妊娠AND(体験OR思い)」とし,文献検索した.分析対象文献13本を検討した結果,妊娠前の思いとして【妊娠・出産に不安を抱く】などの4カテゴリーが,妊娠中の思いとして【妊娠継続にネガティブになる】などの7カテゴリーが,出産後の思いとして【妊娠・出産を肯定的にとらえる】などの2カテゴリーが抽出された.1型糖尿病をもつ女性は妊娠に対し,前向きな思いと後ろ向きの思いの両方を併せもっていることや妊娠前から不安を抱えていることが明らかになった.看護師は,妊娠・出産を希望する女性が妊娠・出産に前向きに向き合えるような支援を妊娠前から継続して行うとともに,1型糖尿病をもつ女性が安心して妊娠を継続でき,出産に臨める環境を整える必要性が示唆された.

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