日本糖尿病教育・看護学会誌
Online ISSN : 2432-3713
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23 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
実践報告
  • 両田 美智代, 宮本 千津子
    2019 年 23 巻 2 号 p. 135-144
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2019/10/30
    ジャーナル フリー

    糖尿病患者のフットケアに携わる糖尿病看護認定看護師(以下認定看護師と略す)が,フットケア外来を立ち上げるに至った意図,フットケア外来立ち上げのために実施した行動,行動の成果を明らかにすることを目的に,フットケア外来を行っている認定看護師7名を対象に半構造化面接調査を実施し質的記述的研究を行った.

    結果,フットケア外来を立ち上げるに至った意図は,27のコード,9のサブカテゴリー,3のカテゴリーが抽出された.フットケア外来立ち上げのために実施した行動は189のコードが抽出され,このコードを働きかけた相手ごとに分けたところ,48のサブカテゴリー,14のカテゴリーが抽出された.行動の成果は,82のコード,25のサブカテゴリー,5のカテゴリーが抽出された.さらに5のカテゴリーは,他者に働きかけた行動と認定看護師としての自己啓発に対する行動に共通した成果として抽出された.

    以上より,組織に働きかけ,メンバーを集め質の高い継続可能なチームの構築を図り,自らがリーダーとして,相手のニーズを測り実績を示しながら段階的に働きかけていくことが示唆された.

資料
  • ―介護支援専門員への調査から―
    渡辺 忍, 鶴岡 浩樹
    2019 年 23 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2019/10/30
    ジャーナル フリー

    関東圏A県内に在籍する介護支援専門員に対するアンケート調査を行い,インスリン療法を行う要介護者支援に関する医療者と情報共有するうえでの困難に関する66名の自由記載の記述から,在宅生活の実態と医療者からの支援を必要としている課題を明らかにした.その結果,介護支援専門員がとらえる要介護者の在宅生活の実態では【正しくインスリン療法を管理できない】等の6カテゴリーが抽出された.インスリン療法に関与するケアマネジメントの現状では【介護サービス内でのインスリン療法の管理】等の4カテゴリー,インスリン療法に関わる介護支援専門員の在宅生活支援上の課題では【支援,サービス提供の調整が困難】,【緊急時の対応が困難】等の9カテゴリーが抽出された.これらの結果から,看護師は介護支援専門員と共に,インスリン療法を行う要介護者の在宅生活の状況について情報を共有し連携して支援していく必要があると示唆された.

研究報告
  • 中川 さとの, 稲垣 美智子, 多崎 恵子
    2019 年 23 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2020/01/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,頭頸部がんとなった2型糖尿病患者におけるがん治療の経験から変化する身体や心理状態を明らかにすることを目的とした.2型糖尿病を持ちながら頭頸部がん治療を受けた頭頸部外科病棟に入院中の患者8名に参加観察及び半構造的面接を実施し,分析はエスノグラフィーの手法を用いた質的記述的研究を行った.

    その結果,8つのテーマが抽出された.それらを統括して大テーマ【患者はがん治療中も糖尿病患者であり続けた】が導き出された.

    以上の結果より,頭頸部がん治療中は糖尿病に影響が出ることに不安を感じていた.しかし入院前の自己管理できた経験から戻らない身体を受け入れ,今の自分にできる糖尿病治療が経口摂取を行うことと捉え,がん治療に取り組んでいた.

資料
  • 原 千晴, 佐藤 三穂
    2019 年 23 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2020/01/25
    ジャーナル フリー

    本研究では,糖尿病患者の療養支援における外来看護師の他施設・多職種との連携の実態を明らかにすることを目的とした.糖尿病専門医または糖尿病療養指導士が在籍する病院または診療所の看護師を対象に質問紙調査を行い52名から回答を得た.他施設との連携頻度は「よくある」が12.0%,「時々ある」が78.0%であり,連携している職種では訪問看護師,ケアマネージャー,ソーシャルワーカーが多かった.連携する上での困難としては,「連携をするための時間が取れない」が,連携が必要と感じる状況については,「ひとりではセルフケアが難しいと判断されるとき」が最も多かった.連携頻度が高い看護師は,療養支援において「心理的適応に向けて関わる」,「社会資源を紹介・導入する」を多く実施していた.今後,高齢化が進み,かつ医療機関における機能分化と医療機関相互の連携の重要性が高まる中,療養支援において効果的な連携方法を確立していくかが課題である.

実践報告
  • 米田 昭子, 松井 美貴, 宅井 さやか, 山根 晴香, 桐生 史江
    2019 年 23 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2020/01/25
    ジャーナル フリー

    日本糖尿病教育・看護学会 第5期,第6期研修推進委員会で作成した『糖尿病看護の事例検討を広めよう深めようガイド』を用いて行った事例検討会研修会の2事例について,検討の実際を述べ,臨床における事例検討の重要性と,『糖尿病看護の事例検討を広めよう深めようガイド』の効果について考察した.

    事例検討は,看護を実践する仲間に自分の実践を伝える勇気を持って臨み,その仲間から認められ,その先へと看護を進めていく力となるものであるとともに,事象を一旦,一歩引いた視点から捉える時間,仲間を得る場となり,患者とその家族への関わりを考える上で有意義であると考えられた.

    事例検討に臨む態度やファシリテーターの役割,問いかけの具体的な表現などが記載されている『糖尿病看護の事例検討を広めよう深めようガイド』は,事例検討を進める軸となるもの,拠り所となるものであり,事例検討の手引きとしての役割を担う効果が期待できると考えられた.

  • ~慢性疾患看護専門看護師の実践~
    永渕 美樹, 井川 幸子, 横堀 裕美
    2019 年 23 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2020/01/25
    ジャーナル フリー

    軽度認知機能障害(MCI)とともに生活を送る高齢者糖尿病患者に対して,慢性疾患看護専門看護師(慢性CNS)が実践している看護介入を4名の慢性CNSへのインタビューより明らかにした.その結果,MCIとともに生活を送る高齢者糖尿病患者への看護介入として,「生活者として患者を尊重する」「患者のもてる力をとらえる」「患者の力を引き出す環境を整える」の3つのカテゴリーと9つのサブカテゴリーが抽出された.またMCIとともに生活を送る高齢者糖尿病患者をサポートする人々との調整として,「安全な血糖コントロール目標を設定し,共有する」「家族との新たな関係をつくる手助けをする」「地域で生活するための体制を整える」の3つのカテゴリーと7つのサブカテゴリーが抽出された.結果より,慢性CNSは,患者に残っている力を引き出す支援を通してセルフケアを高めつつ,周囲のサポートする人とMCIとともに生活を送る高齢者糖尿病患者が住み慣れた地域で生活するための体制を整えていた.

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