日本女子体育連盟学術研究
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原著論文
  • ―ドイツ,バイエルン州森の幼稚園の事例を基に―
    髙野 牧子
    2023 年 39 巻 p. 1-8
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,幼児の創造的な身体表現を育むための保育者の役割について明らかにすることであり,ドイツ,バイエルン州の森の幼稚園の事例を基に検証した。研究方法は,州が定める幼児教育計画に関する文献研究,実際の保育現場での参与観察調査,指導者へのインタビュー調査の3 点である。その結果,バイエルン州幼児教育計画(Der Bayerische Bildungs- und Erziehungsplan für Kinder in Tageseinrichtungen bis zur Einschulung. )で,ダンス教育での保育者の役割は「アイデアを引き出すサポート」をし,「子どもたちの多様なアイデアをまとめていく役割」であることが明記され,さらには「動きや流れが決まった踊りは出来れば避けた方がいい」と記され,保育者主導の振付指導を否定し,子どもが主体となり,自由に表現を生み出す方向性を具体的に明示していた。参与観察した園はシュタイナー教育を基本とした森の幼稚園で,音楽で日常の保育を展開していた。インタビューで「保育者が想像力豊かだと,子どもたちもそれに刺激され,さらに自分の動きを想像したり,自分たちで動きを作り出したりできる」と語り,朝の会では応答的保育の中で保育者が率先して子どもの発言を身体表現で即興的に表し,子どもたちは模倣しながら自分なりに表現する活動を行っていた。幼児の創造的な身体表現を育むための保育者の役割は,保育者自らが表現者となり,その存在そのものが子どもたちへの刺激となり,子どものアイデアを引き出し,創造性を育んでいくことであると結論づける。

  • ―中高年女性がバレエレッスンの継続参加において感じる「楽しさ」の質的分析―
    伊藤 麻希
    2023 年 39 巻 p. 9-24
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,健康スポーツとしてバレエを継続的に実施する中高年女性が感じている,バレエレッスンの「楽しさ」について明らかにすることである。バレエレッスンに参加している女性に「バレエレッスンの楽しさは何ですか?」という自由記述アンケートを実施,40歳代以上でレッスン継続歴が1年以上,週に1~2回以上のレッスンの参加者26名の回答を抽出し,質的データ分析方法であるSCATを用いて分析した。

    その結果,【憧れに近づく】【バレエ動作の好ましさ】【動作の体得による集中】【音楽との関わり】【技術向上と自己成長感】【心身の健康管理の実践】【指導の好ましさ】といった概念が導き出され,健康スポーツとしてバレエを継続する上での大きな要因となる「楽しさ」の構成要素が明らかになった。

研究資料
  • 木山 慶子, 國安 花菜子
    2023 年 39 巻 p. 25-34
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/12
    ジャーナル フリー

    小学校では,教員が体育の授業に不安を抱えている,体育の専門性を重視した指導が十分に実施されていない状況がある。したがって小学校教員養成段階でその指導力を身に付けさせる必要がある。本研究では,6領域について,教員養成課程学生の指導への自信・運動観察力および実技力に対する意識を明らかにすることを通して,小学校教員養成課程における体育授業の在り方について考察することを目的とした。その結果,子どもの技能を高める自信,子どもの技能に対する運動観察力や自身の実技力を身に付けているとの意識が十分ではなく,特に,表現運動の領域についてそれらの意識が低いことが明らかとなった。次に,模範演技ができることや技能の良し悪しを判断できることは,技能を高める自信につながると考えられた。さらに,6領域の中でも体つくり運動,陸上運動,表現運動における技能習得に課題があることが明らかとなり,重点的な技能習得学習が必要であると示唆された。

  • ―ダンス学習者の実態把握へ向けて―
    河合 史菜, 寺山 由美
    2023 年 39 巻 p. 35-49
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/12
    ジャーナル フリー

    本研究では,8種類の運動動作に対して,対象者の見た内容を把握することで,身体の動きに対する見方の類型を明らかにする。回答された自由記述を意味内容に基づき分析した結果,「手順・部位」「技術・能力」「思想感情」「自然現象」「生活事象」「わからない」「疑問・違和感」「動作の予感」という合計8つの上位カテゴリが得られた。それらの結果から,動きに対する見方は,5つの見方があると考えられた。すなわち,<不明確な見方><視覚像としての見方><想像的な見方><技術・能力的な見方><違和感としての見方>である。

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