医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6793
Print ISSN : 1345-6903
ISSN-L : 1345-6903
4 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 特にDPC対応型クリティカルパスについて
    武藤 正樹
    2003 年4 巻2 号 p. 275-284
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    世界における包括支払い制度を概観し、その中でのクリティカルパスの役割について述べた。また、わが国におけるDPCの導入とその対応としてのクリティカルパスについて解説を試みた。対応のポイントは以下である。(1) DPC分類別のクリティカルパス、(2) 入院日数の設定、(3) 包括部分の原価管理。今後、DPCが急性期病院に拡大することは必至である。DPC対応型のクリティカルパスの準備がいまから必要とされる。
  • オールインワンパスの併用パス
    勝尾 信一, 吹矢 三恵子, 角谷 文恵, 吉江 由加里, 酒井 さおり, 片山 昌隆
    2003 年4 巻2 号 p. 285-291
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    当院では2000年のクリティカルパス (以下パス) 導入時より全科統一フォーマットのオールインワンパスを採用してきた。当初の入院から退院までの一連のパスの中には検査の日も含まれていた。そしてパス以外に検査が行われるときには抜粋して使用していた。その内容を見直して標準化し重複項目を削除し検査併用パスを作成した。さらにそのサイズを通常カルテの半分のA5版にしプチパスが完成した。定義は「入院している原疾患や合併症に対して行われる、ある種の検査または治療に用いられるA5サイズのオールインワンパス」である。プチパスはこれまでに検査8種類と手術1種類が作成された。実際の使用では通常カルテの右ページ下半分に綴られる。その結果左ページの医師記録と右ページ上半分の三測表・食事摂取量・血圧といった患者情報は見えている。プチパスにしたことによってケア内容が標準化され、記載漏れ・記録漏れが大幅に減少しケアの充実が図れた。また対象となった行為にあわせたアウトカム設定をしヴァリアンスの収集・分析が可能となり、更なるケアの向上が行えるようになった。今後もどんどん作成使用していきたい。
  • 小堀 祥三, 高橋 毅, 東 輝一朗, 蛯原 賢司, 宮村 信博, 山田 和範, 後藤 嘉樹, 吉成 元孝, 平松 真祐, 東堂 龍平, 宮 ...
    2003 年4 巻2 号 p. 292-296
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    糖尿病教育・血糖コントロールクリティカルパス (以下パス) を作成し、糖尿病へのパスの応用を検討した。平成12年4月から13年3月まで糖尿病教育・血糖コントロールを目的として入院した2型糖尿病患者556名 (年齢35歳から79歳) を無作為にパス使用群と非使用群の2群に分割し、パス使用群255名 (男136名、女119名) と非使用群253名 (男148名、女105名) を比較した。在院日数予定はパス使用群を14日、非使用群は過去2年のパス導入前の平均在院日数26日と設定した。在院日数、在院日数予定達成率、さらに、退院半年後、1年後の血糖コントロール状態を比較検討した。両群の年齢に有意の差なく、在院日数は17.1±5.5日と26.6±6.4日でパス使用群が有意に短縮した (p<0.001) 。しかし、在院日数予定達成率は36.5±48.1%と56.5±49.7%とパス非使用群が有意に達成された (p<0.001) 。在院日数予定達成のバリアンスは延合計308件で患者要因265件、職員要因33件、施設要因8件、社会要因2件であった。両群間の退院半年後、1年後のHbAlcにも有意の差なく、治療効果がみられた。パスの使用は在院日数短縮に対して極あて有効であり、退院基準達成でも両群間に有意の差はなく、少なくとも医療の質については同等であると考えられた。さらに、退院後の中期成績にも差はなかった。パス使用への患者アンケート調査でも患者満足度は高く、極めて有効な手段であると考えられた。今後の課題としてパス使用群における在院日数予定達成率の増加が残されている。
  • 奥村 知香, 古橋 恵美, 大貫 よし子
    2003 年4 巻2 号 p. 297-303
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    服薬指導における問題点を把握するため、クリティカルパスの概念に基づいて、アウトカムとバリアンスコードを設定し、4,605名の患者を対象にバリアンスを集計・分析した。その結果、バリアンス発生数は723名 (15.7%) であった。診療科別では、精神科が51.8%と最も多く、次いでリハビリテーション科34.1%、呼吸器外科28.7%で、最も低いのは眼科3.6%であった。バリアンス解決率は59.4%、診療科別では、最も高いのは消化器内科で80.4%、低いのは循環器科で48.3%であった。処方薬の種類が多い診療科では内服コンプライアンスが悪い傾向が、また、手術の多い診療科では術後の不眠、疼痛、便秘などの訴えが多い傾向がみられた。入院期間、処方薬、患者の理解度や年齢などを考慮して服薬指導を行うことにより、バリアンスの解決率が高くなることがわかった。今後、バリアンスをコード化する際の基準を明確にして、解決策を具体化し、チーム医療に携わっていきたいと思う。
  • 山内 豊明, 近藤 由布子, 藤内 美保
    2003 年4 巻2 号 p. 304-310
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    介護のなかで感じる喜びが介護者の介護継続意志を促進させるのではないかと考え、誰から・どの程度・どのような機会に介護者が喜びを感じることがあるかについて明らかにすることを目的とした。
    在宅要介護者の家族介護者28人を対象とした半構成的面接により、喜びを感じる対象・程度・場面について調査した。
    サービス提供者から喜びを感じることがあるという人が27人中26人おり、その程度は、「大きい」・「とても大きい」のいずれかであった。28人中24人が要介護者から、14人中11人が同居家族から、27人中21人が親戚知人等から、28人中14人は自分自身から喜びがあるの回答であった。
    以上のことから、訪問看護師はサービス提供者として介護者が喜びを感じて介護をする上で重要な役割を担っていること、自分自身から喜びを感じている人が少ないため、介護者自身が喜びを自覚できるように働きかけることが有意義であることが明らかになった。
  • 山内 豊明, 高木 美智子, 藤内 美保
    2003 年4 巻2 号 p. 311-318
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    肥満などとの関連から、『早食い』は改善すべき食習慣の1つとされており、日常的に使用されていながら、その明確な定義はない。
    今回食べ方についてのイメージを聞き取り調査した。『早食い』については、48%が「全体の食事時間が短い」としその具体的な食事時間を2~20分と、44%が「一口あたりの咀嚼回数が少ない」としその具体的な咀嚼回数を2~30回、と回答していた。また『ゆっくりよく噛んで食べる』については、34%が「全体の食事時間が長い」としその具体的な食事時間を15分~1時間と、64%が「一口あたりの咀嚼回数が多い」としその具体的な咀嚼回数を10~100回、と回答していた。一方で具体的に咀嚼回数や時間を聞いても「思いっかない」と回答した者もいた。
    この結果、単に食事時間や一口あたりの咀嚼回数だけをイメージするとは限らないことが明らかになり、食べ方の指導時には対象者の認識のアセスメントが不可欠であると考えられた。
  • 木津 純子
    2003 年4 巻2 号 p. 319-323
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    感染対策においては、消毒薬及び抗菌薬という薬が大きな役割を果たしており、両者の適正使用推進が必須である。病院薬剤師の業務は感染対策と深く関わっており、消毒薬の適正な調製、エビデンスに基づく最新情報の提供、エビデンスのある感染対策の実施、患者個別の抗菌薬使用のモニタリング、抗菌薬適正使用における独自のエビデンスの作成など、種々の関与が可能である。EBM時代といわれる現在、わが国の感染対策を推進するには、薬の専門家である薬剤師が感染対策においても専門知識を発揮する必要があると考える。今後、感染対策専門薬剤師、すなわちInfection Control Pharmacistが育成されInfection Control Teamの一翼を担うことにより、エビデンスに基づいた感染対策を推進していくことが望ましいと考える。
  • インフォームド・コンセント、クリティカルパス、Customer MIX概念を通して
    斎藤 実, 真野 俊樹
    2003 年4 巻2 号 p. 324-328
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    近年、クリティカルパスやインフォームドコンセントの重要性が唱えられている。医療の質の向上や治癒率への影響など医学的見地からの効用は説明されているが、本研究では社会科学的見地からの説明を試みようとしたものである。本稿では、米国では一般的になったサービスマーケティング理論を通して、医療をサービス財として捉え、インフォームドコンセントやクリティカルパスがいかに医療を効率的・効果的なものとしているかをサービスマーケティング理論としてのCustomer Mix概念などを駆使し、簡易な実験的調査を通して検証を試みた。
  • 情報の非対称が大きい財での考察
    真野 俊樹, 小林 慎, 井田 浩正, 山内 一信
    2003 年4 巻2 号 p. 329-334
    発行日: 2003/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    医療改革についての方向性のひとつは医療機関からの情報公開である。患者と医師間における情報の非対称性の問題は、一般に患者側に発生し、その大きさによって患者が不利益を被る可能性があるが故に問題とされる。一方医療という財においては、例えば年代別、職業別などに、罹患しやすい病気を統計的に知りえても、各個人がいっ、どのような病気にかかるかは予測できないという不確実性がある。
    平成11年の受療行動調査によると、消費者は入院や外来など医療機関受診の際に「家庭・友人・知人」からの情報を重視しているという。われわれが健常人に行った調査では「友人」による情報を信頼している。
    ブランドは情報の非対称下でのシグナリング機能を果たし、評判によって無駄な探索を止め、取引費用を削減する効果がある。またブランドは、非排他性、非競合性をもち、外部性も持っために公共財であるという考え方もある。この視点から、医療機関が消費者の選択基準になりえるブランド形成の努力をおこなうことも重要ではないか。
feedback
Top