都市図にとって必要な条件は, 市街のひろがりだけでなく, そのひろがりの内容, つまり都市機能の地域的な構成を示すことである。この機能地域構成を図にあらわすさいに考慮ダベきは, 地理学的見地からの地域概念である。したがって, 都市図を地域表現として扱うためには, 地域概念の構成要素たる“構造”と“過程”と“段階”とを無視しえないのはもちろん, これらの評価を含む表現が考慮されなければならない。このことは, 都市機能の地域区分がこれら要素の検討のうえに立った基準で類型されるべきことを示している。しかも, 都市の圏構造は都市全体が都市圏の地域的中核をなすにとどまらす, さらに市街内部においても, 都心核 (あるいはなんらかの理由で人のあつまるところ-機能的中核, 機能核) を中心とする機能地域によって成りたっているから, その地域区分はnodal regionの考え方に準拠すべきは当然てある。都市図はまさにこうしたnodal regionの投影でなければならない。
本稿はこの観点から, 市街地を1中核, II中間 (漸移), III外縁の3帯にわけ, これに対応する機能形態を摘出して図示し, もって都市内部の地域構造を求めることを目的とする都市図の表現に, 思想的基盤を与えようとするものである。
抄録全体を表示