わが国でもそうであるように, この分野における出版物 (単行本) は欧米の先進国でも非常に少なく, 特に発展途上国では皆無に等しい (あるいはそれぞれの国には多少あっても, その情報が世界に流れないのかも知れないが)。
従来, 地図学書といえば, RaizeのGeneral Cartography (1948) 及びPrinciples of Cartography (1962), RobinsonのElements of Cartography (1953) などが代表的なもので, いずれも地図学の本質・原理・要素などを論じたものであったが, 最近ではそういう類のものは殆んどなく, コンピューターやランドサットの発達に伴い衛星写真やコンピューターによる即実用的なものが多くなって来た。この事が良いか悪いかは別にして, これから地図学を学ぼうとする人のための入門井, 基本図書というものが少ないということは残念である。
その半面, 古地図研究に関する書は従来通り年に4-5冊は出るようである。そういう意味で, 出版物によって最近の地図学の傾向がある程度わかるのではないだろうか。
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