土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
ISSN-L : 2185-4661
77 巻, 2 号
選択された号の論文の55件中51~55を表示しています
応用力学論文集Vol.24(特集)
  • 森近 翔伍, 関屋 英彦, 葉山 瑞樹, Yanjie ZHU , 永井 政伸
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_525-I_533
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

    鋼橋に生じる疲労損傷を早期に発見するため,センサ技術を活用した疲労損傷の検知に関する研究が取り組まれている.その手法の 1 つとして,疲労損傷の発生および進展に伴う溶接部近傍のひずみ応答の変化から疲労損傷を検知する手法が考えられる.しかし,ランダムな活荷重が作用する供用中の実橋梁では,外力が一定では無いため,ひずみ応答の計測のみでは,疲労損傷の検知はできない.

    そこで,本研究ではセンサ部に電力を必要としない圧電素子センサと,省電力かつ小型な MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)加速度センサを組み合わせた,供用中の実橋梁においても適用できる簡易な損傷検知システムを検討した.実橋梁における計測結果より,MEMS 加速度センサを用いて得られた外力情報に基づき,圧電素子センサにて計測した応答から疲労損傷を検知できる可能性を示した.

  • 竹森 司, 佐伯 昌之
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_535-I_542
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

    大地震が発生した際,迅速に被災状況を把握する必要がある.そのため,著者等は構造部材の破壊音に着目した損傷判定手法の開発を試みている.本研究では,まず音響特徴量として MFCC を用い,これをニ ューラルネットワーク(NN)に入力して,判定精度を評価した.それによると,木材破壊音のみの場合は精度は良いものの,環境音と混合させた場合には精度が大きく悪化することが分かった.そのため,環境音と混合した場合でも判定精度が良いとされる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を試みた.その結果,メルスペクトログラムを入力とする CNN を用いた方が,混合音の判定精度が高いことが示された.

  • 小林 実央, 田附 英幸, 中井 健太郎, 野田 利弘
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_543-I_550
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

    高度な安全性が要求される球形ガスホルダーは,大規模地震により基礎に不等沈下が生じた場合であっても余震時に供給機能を保持できることが望ましく,地震後の使用可否判断に資する,最大余震を想定した傾斜ガスホルダーの耐震性評価手法が必要である.その評価では支持構造部の材料・幾何学的非線形性や非線形ダンパーを考慮しなければならず,3 次元解析による詳細な評価は地震発生後短期間で実施することは現実的でない.このため本論文では Pushover 解析から非線形ばね特性を反映した 1 質点ばねモデル計算を用いた簡易な評価手法を提案した.本手法は,実機を対象にした 3 次元骨組モデルの動的応答との比較から最大応答値までは良い一致を示し,それ以降は安全側に応答値を算出するため,ホルダーの余震耐震性を評価できることを明らかにした.

  • 成田 顕次 , 徳永 宗正, 池田 学
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_551-I_562
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

    本論文では,連続桁式橋りょうを橋軸直角方向に支承を免震化した場合の鉄道車両の地震時走行安全性を明らかにすることを目的とし,車両/構造物の動的相互作用解析を実施した.連続橋りょう上の走行車両の脱線限界入力加速度は,橋脚の固有振動数が 2Hz の場合は連続桁の中央スパンにおいて低下することに対して,橋脚の固有振動数が 0.5Hz の場合,および免震化により軌道面の卓越振動数が低下するような場合には,退出側の橋りょう境界部の角折れの発生により低下する傾向にある.支承の降伏震度を 0.4,かつ軌道面の卓越振動数が 0.5Hz 以下となる免震支承を設定することで,L2 地震動級に対しても脱線が発生させないことができる.本条件を満足する免震支承を導入した場合,軌道面の水平変位は顕著に増加せず,橋脚天端の水平変位を 50%に低減することが可能である.

  • 石井 秀尭, 浅井 光輝, 大谷 英之, 飯山 かほり, 盛川 仁, 磯部 大吾郎
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_563-I_573
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

    2011 年東北地方太平洋沖地震・津波,および 2016 年熊本地震では多数の木造家屋が倒壊した.倒壊家屋による大量の瓦礫は,道路を閉塞することで即時避難の妨げとなるだけでなく,撤去作業等に時間・コストがかかり復旧復興に遅れを生じさせるなどの要因となった.たとえば,東海・東南海地方において,同規模以上の地震・津波被害が生じる危険性が高いことが危惧されており,巨大地震時に発生しうる瓦礫の総量と拡散状況を事前評価し,災害後の非常事態に備えた復旧計画を予め立てておくことなどの災害リスクマネジメントが重要である.以上の背景から,瓦礫の主因となる木造家屋の形状を建物情報を含む GIS データから自動変換することで都市全域のモデル化を行い,骨組み構造の進行性崩壊解析が可能なはりの有限要素法のひとつである ASI-Gauss 法により地震による家屋損傷と倒壊までを予測する一連のツールを確立した.提案技術の妥当性を示すため,2011 年東北地方太平洋沖地震時の大崎市・古川地区の被災の再現を試み,被害報告との比較検討を行うことで提案手法の有効性を確認した.

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