土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
ISSN-L : 2185-4661
76 巻 , 2 号
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和文論文
  • 松岡 弘大 , 徳永 宗正, 貝戸 清之
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_3-I_14
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    高速鉄道用 PRC 桁のひび割れは桁剛性と関連する重要な評価項目であるが,列車通過時以外はプレストレスにより閉口する傾向にある.このため振動など,目視に依らない評価が求められるが,瞬間的に変動する固有振動数の評価や列車荷重の分離などに課題があった.本研究では,外力特性を考慮した時変システム同定法である Bayesian TV-ARX 法を,高速鉄道用 PRC 桁の列車通過時の測定変位波形に適用することによって,連続 Wavelet 変換では推定できない振幅に依存した固有振動数の瞬間的な低下が生じていることを実証的に示した.さらに,その主要因は下側振幅時のひび割れ開口であり,対象橋梁では列車通過中の桁の曲げ剛性が瞬間的に,微小振幅時から 30%程度低下する場合があることを明らかにした.

  • 田代 匡彦, 斎藤 隆泰, 木本 和志
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_15-I_24
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    本研究では, トポロジー感度を欠陥検出指標に用いた 2 次元動弾性時間反転解析を行うことで, 固体中の欠陥の個数, 位置等を正しく決定する方法について検討する. 時間反転法とは, 欠陥からの散乱波を時間反転し, 試験体内部に再入射させた時の, 時間反転波の収束位置から欠陥の位置等を推定する方法である. 一般的に, 時間反転波の収束位置の定量的な評価は難しい. そのため, 時間反転波の収束位置を定量的に決定する方法をスカラー波動問題に対して行って来た. しかしながら, 固体中の波動は, 弾性波動の性質を示すため, スカラー波動問題に対する定式化では, 弾性波動問題へ適用できない. そこで, 本研究では, スカラー波動問題に対する前論文を 2 次元動弾性問題へ拡張し, トポロジー感度を用いた 2 次元動弾性時間反転解析によって, 固体中の欠陥の個数や位置を決定することを試みる. 解析では, リニアアレイ探触子を用いた超音波非破壊検査を想定し, 時間反転波等の計算には, 2 次元動弾性問題に対する演算子積分時間領域境界要素法 (CQBEM: Convolution Quadrature Boundary Element Method) を用いた. 数値解析例として, いくつかの欠陥決定解析結果を示し, 提案手法の有効性について検討する.

  • 庄司 大河, 大竹 雄, 茂野 恭平, 肥後 陽介, 村松 正吾
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_25-I_33
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    災害時における施設のレジリエンス性を高めるためには,対象施設の状況を即時に把握し,状況に適した合理的な対策を行うことが重要である.本研究では,数値解析で得られた時空間データに基づいて,限られた観測から対象全体の挙動を推測するモデルを提案すると共に,このモデルを効果的に機能させる観測点最適化手法を提案した.モデルは特異値分解によるデータの学習によって構築し,観測点の最適化には列ピボット選択を伴う QR 分解を利用している.ここでは例題として,地震時の液状化による盛土の沈下過程の数値解析結果に対して適用した.ランダムな観測点からの推定精度と比較することにより,提案手法の有効性を示し,また最適化された観測点が数値解析の力学的特徴を反映していることを示した.

  • 遠藤 尚希, 大竹 雄, 肥後 陽介, 村松 正吾
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_35-I_44
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    マイクロ X 線 CT 撮影技術は,土のミクロ形態を可視化するための有用な手段のひとつとして,地盤工学分野で有効活用されている.一方で,土のミクロ形態に関する情報からマクロな力学挙動の構成則を構築する方法のひとつに,マイクロメカニックスモデルがある.本研究は,土のミクロ形態の統計的性質を考慮した実用的なマイクロメカニックスモデルを導くために,超解像技術により,X 線 CT 撮影解像度の限界を超えて,土のミクロ形態の情報を広域に取得することを目指している.ここでは,3 つの超解像手法を概説した上で,それらの精度を数値実験により比較し,有効性について考察している.

  • 倉澤 智樹, 鈴木 麻里子, 井上 一哉
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_45-I_56
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    地下水中の溶質輸送解析にあたり,実際の透水係数分布を完全にモデル化できる場合は少なく,一般に解像度の低下したアップスケールモデルが利用される.本研究では成層地盤のアップスケールに着目し,透水係数の空間分布特性の変化を評価するとともに,溶質分散性の変化を数値解析と実験を連携して評価した.透水係数のばらつきを表す不均質度はアップスケールするごとに低下する一方,空間相関性を表す相関長は本研究対象のモデルにおいて大きく変動しなかった.また,流れ方向の分散性を表すマクロ縦分散長はアップスケールによる不均質度の低下に関連して過小推定され,流れと直交方向のマクロ横分散長は変化しなかった.縦分散性はアップスケールによる不均質度や相関長の変化のみならず,層厚増加による溶質の層間移動性の変化にも影響された.

  • 阿部 和久, 中山 智晴 , 紅露 一寛
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_57-I_66
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    一定速度で走行する 2 車輪と,離散支持された無限長レールとの連成系を対象に,パラメータ共振に関する不安定振動特性について調べた.そのために,準定常連成解を解析的に定式化し,系の安定性を表すパラメータに関する非線形固有値問題を導出した.解析例では,2 車輪間距離 (軸距) とレール支持間隔との比が固有値の分布特性や不安定速度域などに及ぼす影響について調べた.また,軌道パッドの減衰導入による連成系の安定化効果についても確認した.

  • 田﨑 陽介, 吉田 郁政
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_67-I_75
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    これまで,調査計画の多くは経験的に立案されてきた.不確定性の大きさに注目した最適配置の研究はいくつか見られるが,限界状態を超過した場合の影響度の大きさまでを考慮した研究は少ない.著者らは,情報の価値(Value of Information,VoI)の考え方に基づく最適な調査計画の方法について研究を進めてきた .これにより,不確定性だけではなく観測値と限界状態超過のリスクも考慮した最適調査点配置を検討することができる.本研究では,土壌汚染調査を例として提案手法により調査地点を決め,ガウス過程回帰(Gaussian Process Regression)を用いて 2 次元の汚染領域を検出することを試みる.さらに,人の判断による調査地点配置に基づく汚染領域の推定と,提案手法による配置に基づく推定の比較を行い,人の判断よりも良好な結果が得られたことを示した.

  • 長谷川 聡一朗, 金 哲佑, 藤士 尚也, 張 凱淳
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_77-I_88
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    本研究の目的は,走行車両の加速度応答を用いた路面形状同定手法の精度向上である.本研究では,状態方程式の導出方法および逆解析の同定対象パラメータに着目し精度の高い手法の検討を行う.シミュレ ーションおよび実車両走行実験によって得た車両加速度応答を使用し同定精度について検討する.同定精度は路面形状やパワースペクトル密度の二乗平均平方根誤差を用いて考察する.検討結果により,既存研究に見られる車両外力を同定してから路面形状を推定する手法と比べ,路面形状を直接同定する手法の方が安定して精度の高い同定結果が得られることが確認された.また路面形状を直接同定する手法において, L カーブの最大曲率に着目した正則化パラメータの決定法より,L カーブの原点からの距離が最小となる点に着目する方が高精度の同定結果になった.

  • 水谷 壮志, 石川 敏之
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_89-I_96
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    現在,腐食などで劣化した鋼構造物の CFRP 接着補修に関する研究が多数報告されている.軸力を受ける CFRP 接着補修鋼板では,欠損部の鋼板と CFRP との合成断面を仮定した構造計算による応力が FEM 解析やせん断遅れ理論と一致しないことが確認されている.一方,曲げモーメントを受ける CFRP 接着補修鋼板においてせん断遅れ理論による検討は行われていない.本研究では,等曲げモーメントを受ける断面欠損鋼板を CFRP で補修したモデルを対象に,せん断遅れ理論を用いて鋼板および CFRP に生じる断面力,接着剤に生じるせん断応力および垂直応力の分布特性を明らかにした.また,理論解析の結果から,断面欠損量や CFRP の補修量によっては,CFRP の接着長さを十分に確保した場合においても,合成断面を仮定した構造計算と理論解析が一致しないことを示した.

  • 木本 和志, 岡野 蒼, 斎藤 隆泰, 佐藤 忠信, 松井 裕哉
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_97-I_108
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    本研究は,ランダム不均質媒体における表面波の伝播挙動を,超音波計測と波形解析によって調べたものである.超音波計測実験には,粗粒結晶質岩である花崗岩をランダム不均質媒体として用い,線集束型の圧電探触子で励起した表面波をレーザードップラー振動計で計測する.計測波形の解析は周波数領域で行い,フェルマーの原理に基づいて各波形観測点での到達時間を求める.この方法で得られた到達時間のアンサンブルから,到達時間が従う確率分布を伝播距離の関数として評価する.次に,確率分布の標準偏差を到達時間の不確実性 (ゆらぎ) の指標として用い,伝播距離に応じたゆらぎの伝播挙動を調べる.以上の波形解析結果から,本研究に用いた花崗岩試料における到達時間のゆらぎは,概ね伝播距離の −1/2 乗と平均到達時間の積に比例することを明らかにする.このことは,ランダム不均質媒体における統計的波動伝播モデリ ングにおいて有用な知見となる .

  • 永野 浩大, 鳥生 大祐, 牛島 省
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_109-I_117
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    本研究では,水を吸収すると膨張する吸水性粒子の間隙に浸入する自由液面流れを有限体積法により計算する手法を提案する.吸水性粒子の膨張により,水に接する粒子の固体領域が広がり,その影響を粒子表面の流速と圧力の境界条件として考慮する.この計算手法を用いて非吸水性粒子間隙の lock-exchange 問題や単一の吸水性粒子の膨張問題を計算し,高密度流体側のフロント位置や水の体積保存性について基本的な検証を行った.さらに,複数の吸水性粒子間隙に浸入する dam-break 流れに対する数値実験を行った.その結果,粒子間隙におけるフローパターンは粒子の膨張に大きく影響を受けること,また粒子の吸水速度が大きくなりすぎると粒子間隙へのフロントの進行が阻害され,領域全体の粒子吸水量が低減する可能性があることを示した.

  • 塩入 一希, 三目 直登, 浅井 光輝
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_119-I_129
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    衝突を解析する手法である個別要素法は幅広い分野で適用されている.従来の個別要素法は衝突をバネの反発でモデル化するため大きなバネ定数を用いた場合には時間刻み幅の制約が厳しく,計算コストの観点から非効率であるという問題を抱えていた.それに加え,バネ定数の制約を緩和しつつ対象物の物性を反映するようにバネ定数などのパラメータを決めることも困難であった.本研究では,硬い球形粒子が動き回るボールミルなどの産業機械の解析を目的に,剛体衝突モデルを用いる時間解像度が可変な力積型個別要素法を開発した.提案モデルは従来モデルに比べて計算に必要なパラメータが少なく,時間刻み幅を大きくすることが可能である.提案モデルにおける定性的な精度を検証するため,ボールミル実験を用いて実験および従来モデルの計算結果と比較した.

  • 九鬼 愛夢, 鳥生 大祐, 牛島 省
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_131-I_141
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    ニュートン流体である高粘性液体を鉛直下方に流入させて,上面に開口部を有する 2 次元矩形容器内に充填する数値計算を行った.周囲の低粘性気体を同時に計算するため,密度と粘性の異なる 2 つの非圧縮性流体に対する相平均モデルを利用し,これをコロケート格子有限体積法で離散化した.特に,計算セル境界における粘性係数,密度および流速の平均化手法に考察を加え,ダムブレイク問題を通じてその有効性を確認した.提案された計算手法を用いて,高さ H の矩形容器に幅 d の上部流入口から高粘性液体を充填する問題を計算した結果,高粘性液体のレイノルズ数 Re H/d の条件により発生する,steady filling, spreading, splashing, buckling という異なるフローパターンが既往研究と同様に再現されることを示した.

  • 森田 花清, 毛利 雅志, アヤン ブリハン , フィンカト リカルド , 堤 成一郎
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_143-I_152
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    疲労損傷事例は数多く報告されており,高精度な疲労寿命予測に対するニーズは高い.一般に疲労寿命は疲労き裂発生寿命と疲労き裂伝播寿命に分けて議論され,疲労き裂伝播寿命については破壊力学に基づく Paris 則を用いた手法が広く採用される.一方,著者らは近年巨視的弾性状態を含む弾塑性応答を高精度に再現可能な材料モデル(疲労 SS モデル) を採用した繰返し弾塑性 FEM 解析を活用して,局所的繰返し弾塑性応答に基づいた疲労き裂発生寿命評価手法と疲労き裂発生の連続挙動として疲労き裂伝播特性を評価手法を提案している.本研究では SM490A CT 試験片を対象として疲労き裂伝播試験を模擬した繰返し弾塑性解析を行い,局所的繰返し弾塑性応答を用いて疲労き裂伝播速度評価を行った.続いて,得られた疲労き裂伝播速度を同材料の非荷重伝達型溶接十字継手に適用し,疲労き裂発生および疲労き裂伝播寿命評価を行った.実験結果と比較したところ,疲労き裂伝播速度評価結果は誤差 11%以内の予測精度が得られ,疲労寿命評価結果についても比較的良好な予測精度を得た.

  • 竹本 純平, 小野 泰介, 平野 廣和, 佐藤 尚次
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_153-I_162
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    近年,数多くのステンレス製パネルタンクが設置されている.このタンクが東北地方太平洋沖地震や熊本地震等で,数多くの損傷被害を生じたことが報告されるに至っている.そこで,本論では 3,000×3,000 ×3,000mm のステンレス製パネルタンクを対象とし,流体と構造を連成したタンクの時刻歴応答解析を行うものである.ここでの解析は,汎用有限要素解析ソフトウェアである ADINA を用いる.時刻歴応答解析を行うに際し,まず固有振動数解析を行い,対象のタンクの固有振動数を推定する.その後,水を入れた状態における静的解析を実施する.さらに時刻歴応答解析を実施し,SUS タンクの固有振動数解析より算出した振動数での正弦波加速度での加振を行う.最後に,熊本地震(前震)益城 NS 波を入力加速度として加振する.これにより変位及びミーゼス応力を算出し,地震波がタンクに与える影響を考察する.その結果タンクの隅角部に降伏点を超える応力集中が生じ,下部隅角部が耐震上の弱点になっている可能性が高いことがわかった.さらに今後の耐震設計条件の設定で必要となる事項を検討するものである.

  • 佐々木 浩武, 加藤 匠, 車谷 麻緒
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_163-I_171
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    本論文では,コンクリートのメゾスケールにおいて,粗骨材と破壊挙動の関係を統計的に検討することを目的として,粗骨材の粒径や分布性状を変化させたモンテカルロシミュレーションを実施した.破壊挙動のモデル化と数値解析には,異種材料による非均質性を反映可能な損傷モデルを適用し,メッシュ生成に要するコストを削減するとともに,試行回数を多くすることで,モンテカルロシミュレーションの高精度化を行った.本研究で用いる損傷モデルの定式化を示し,それを用いた有限要素解析によるコンクリートの破壊挙動の再現性を検証した後,粗骨材の粒径や分布性状を変化させたモンテカルロシミュレーションの結果を示す.得られたヒストグラムから基本統計量を算出し,粗骨材と破壊挙動の関係について考察する.

  • 丸山 泰蔵
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_173-I_181
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    本研究では,調和バランス-境界要素法(HB-BEM)への H 行列法の適用を行う.HB-BEM は閉口き裂による非線形散乱問題の定常解析を行う手法であり,複数の周波数に対する境界積分方程式を非線形境界条件によって連立させて解くため計算コストが大きい.連立非線形方程式を解くプロセスで Newton 法を用いるため,その際に Jacobi 行列の逆を求める計算量が支配的となる.この逆行列演算に対する反復法の収束性が悪いため,H 行列法を適用することで直接法である LU 分解を用いた高速化を図る.数値解析を通して,行列の配置方法による H 行列法の LU 分解の性能,未知数に対する計算コストの変化を調べる.

  • 星屋 美優, 斉木 功, 山本 剛大
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_183-I_191
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    構造解析において,対象構造や部材の形状により連続体要素と梁要素の両方を用いることにより計算効率を向上することができる場合がある.しかし,薄肉断面や複合断面のような断面変形が無視できない部材においては,平面保持を仮定した梁要素を連続体要素に接続すると,両要素間の接続部での変位場の不整合から,接続部での応力や変形の解析精度が低下することが知られている.この問題の原因である変位場の不整合を解決するために,均質化法を梁に適用することで,せん断遅れや横せん断変形などの断面変形の考慮を可能とした梁要素を連続体要素と接続することを提案する.提案手法により異種要素を接続したモデルの解を連続体要素のみを用いたモデルの解と比較することで,提案手法の妥当性と精度を確認した.

  • 井口 拓哉, 佐藤 大貴, 羅 家驊, 山川 優樹
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_193-I_204
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    金属材料に一定のひずみ振幅で繰返し負荷を行うと,載荷サイクルごとに硬化が進行し,やがて定常なヒステリシスループに近づく.Ohno(1982) はこの挙動を繰返し負荷における等方硬化の停滞によるものと考え,これを弾塑性構成則で再現することを目的として非硬化ひずみ領域を提案した.非硬化ひずみ領域の適用例は多数報告されているが,大きなひずみ増分による計算でも精度の低下を抑えることができる陰的アルゴリズムによる計算法は開発されていない.そこで本論文では,非硬化ひずみ領域を導入した弾塑性構成則の完全陰的応力計算法を提案する.さらに本論文では,繰返し塑性挙動を精緻に表現するため拡張下負荷面モデルを導入した弾塑性構成則を用いる.本論文で提案する完全陰的応力計算法では,従来の手続きに加えて,非硬化ひずみ領域による硬化・非硬化の判定と諸量の更新をリターンマッピングの内部で反復的に行うという新たな手続きを導入する.数値計算例により,非硬化ひずみ領域の導入によりヒステリシスループの安定化を適切に表現できることを確認した.また,解の収束性を確認し,提案した応力計算法の妥当性が示された.

  • Keita ABE, Kohei MUROTANI, Kenji WATANABE
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_205-I_216
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    In the 2011 earthquake off the Pacific coast of Tohoku, tsunami-induced overflow had resulted in the scouring of embankments. A material point method–moving particle simulation coupling method was de veloped to predict the extent of such scouring. The effectiveness of the developed method was verified through reproduction analyses of the scouring of embankment caused by tsunami-induced overflow. Consequently, the developed coupling method could simulate the process and extent of scouring.

  • 山下 大輝, 後藤 浩之, 澤田 純男
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_217-I_224
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    震源断層の破壊プロセスは入力地震動を設定する際の重要な要素の1つである.分岐部を持つような断層(分岐断層)では,分岐部に向かって破壊が進展するという考え方が一般的であったが,平成 28 年熊本地震本震では,分岐部より破壊が進展するという従来の考え方と異なる現象がみられた.そこで分岐断層における破壊メカニズムを明らかにするため,拡張有限要素法(XFEM)を用いた数値解析によって分岐断層における破壊の進展方向について考察した.本研究では,tip 要素の重ね合わせで不連続面の分岐や屈曲を一般的に表せる方法を提案し,分岐部のモデルに取り入れている.様々な断層強度,応力状態について数値解析を行ったところ,10.7%のケースにおいて分岐部からの破壊進展が確認され, 数は少ないながらも起こりうることが示された.

  • 山栗 祐樹, 小林 俊一, 西藤 潤
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_225-I_236
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    古典的な浅い基礎の支持力理論では金属塑性論に基づく解析解を利用するが,地盤材料と金属材料では,引張り領域でのせん断強度特性が異なる.本論文では地盤材料の引張り領域でのせん断強度特性を反映するため,応力テンソルの第 1 不変量に引張りが生じない制約条件 I1 0 を破壊規準として追加し,剛塑性有限要素法による浅い基礎の支持力解析で影響を調査した.その結果,c(> 0), ϕ= 0 地盤上の滑らかな基礎の場合は,I1 制約の有無で得られる破壊モードが変化するが,その他の場合は大きな影響は見られず,応力場への影響も地盤浅部に限定される.一方,従来の混合型剛塑性有限要素法でc(> 0), ϕ= 0 地盤を解析する場合,数値的安定性に課題があったが,I1 制約の導入によって数値解の解析精度が向上し,数値的な不安定性も解消されることが分かった.

  • 羽場 一基
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_237-I_246
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    地盤には物性パラメータ間の相関が存在するため,地盤のリスク評価ではそれらの効率的な取り扱いが重要である.本論文では,スペクトル展開を用いた確率弾塑性モデルにおいて,物性パラメータ間の相関を考慮する方法を提案する.提案手法では,互いに相関する物性パラメータに主軸変換を適用し,物性パラメータをスペクトル展開する.物性パラメータ間の相関と空間的相関の両方を考慮する場合,計算自由度の増大が実務的な課題となる.その回避策として,強い相関を持つ物性パラメータの第一主成分のみに空間的相関を考慮する方法を提案し,その理論的根拠を示す.また,弾性係数と強度に相関がある弾塑性体の確率的応力歪関係を評価し,その影響を整理する.その結果,物性パラメータ間の相関を考慮した確率的応力歪関係は複雑な挙動を示すが,本手法を用いることで,応答値の期待値と分散を効率よく評価できることがわかった.複雑な確率的降伏過程において,数値解析することなく,物性パラメータの不確実性から応答値の不確実性を予測することは難しい.そのため,地盤を対象とするリスクの定量化には,物性パラメータ間の相関を考慮した評価が重要である.

  • 藤井 孟大, 浅井 光輝, 井元 佑介
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_247-I_257
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    安定化 ISPH 法は,非圧縮性流れに対する粒子法の一種であり,圧力ポアソン方程式に粒子配置を平滑化するための安定化項を付加した粒子法である.固液混相流解析においては,固液の境界付近で生じる粒子密度の誤差を補正するため,安定化項の影響を大きくする必要がある.一方で,安定化項は物理変数に非物理的な影響を与えるため,激しい流れを伴う固液混相流解析では物理変数の誤差が影響して計算が不安定化する.そこで本研究では,物理変数の更新に用いる流速(物理速度)と粒子の位置更新に用いる流速(輸送速度)を区別し,輸送速度にのみ安定化項の影響を与える選択型デュアル流速 ISPH 法を提案する.提案手法の精度検証としてダム崩壊混相流れの再現解析を行い,実験および従来手法と比較することで提案手法の妥当性と有効性を確認した.

  • 山田 貴博
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_259-I_267
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    数値解析手法およびそのコードの検証を行う際には,厳密解を有する問題を用い,数値解と比較することが理想である.しかしながら,弾性体の振動固有値解析に対しては,厳密解を有する問題は単純な直方体領域に対して示されているのみである.そこで本研究では,弾性波動における P 波の定在波として表される固有モードに制約することで円筒領域における厳密な固有モードと対応する固有値が陽に表された問題を構成する.また,この厳密解を有する固有値問題により有限要素法に基づく数値計算手法の検証を行う手順を示すとともに基本的な数値特性の評価を行う.

  • 桐山 貴俊, 大竹 浩太, 赤木 寛一
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_269-I_278
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    拡底杭の引抜き時における低拘束圧地盤の変形挙動を把握する目的で計測・観察実験を実施した.アルミ棒積層体を模型地盤とした 2 次元実験装置を用いた拡底杭の引抜き実験を実施し,杭頭における荷重~変位を計測した.同時に,各引抜き変位において実験装置側方より写真撮影し PIV 処理により地盤変位・ひずみを観察した.実験より低拘束圧地盤は杭周辺に円錐台型の抵抗領域を形成し引抜き外力に抵抗していることが明らかとなった.観察された円錐台型の抵抗領域は地盤のダイレイタンシー特性に起因するものと考えられることから,大変形まで追跡可能な再現解析を行い,ダイレイタンシー特性と引抜き抵抗の関係を調べた.ダイレイタンシー特性を考慮した解析結果は,杭引抜き時の荷重~変位関係の上・下限値を示し,引抜き抵抗が,ダイレイタンシー特性の観点から説明可能であること,低拘束圧下において正のダイレイタンシー特性が,円錐台型の地盤変状を誘引すること,引抜き支持力を増加させること,が明らかとなった.

  • 中谷 一貴, 森河 由紀弘, 中井 健太郎, 前田 健一, 野田 利弘
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_279-I_288
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    近年,多発している大規模な地震に伴う液状化によって多くの戸建住宅で深刻な被害が発生している.ここで,液状化被害の中でも構造物が傾斜する場合には構造物自体にも重大な損傷が発生するため,構造物が沈下する場合より被害はさらに深刻になる.そこで,本稿では接地圧が偏心し,傾斜被害が発生しやすい模型構造物を対象にした重力場での二次元模型実験や水~土骨格連成有限変形解析から浮き型格子状地盤改良による液状化被害の抑制効果について検討した.検討の結果,側方流動を抑制することを目的とした浮き型格子状地盤改良により,偏心荷重が作用した構造物においても液状化時における沈下被害を大きく抑制可能であることが分かった.一方で,浮き型格子状地盤改良で得られる傾斜被害抑制効果は沈下被害抑制効果ほど大きくないことが確認された.

  • 國領 ひろし, 堀口 俊行, 別府 万寿博, 園田 佳巨, 石川 信隆
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_289-I_300
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    本研究は,鋼製透過型砂防堰堤で使用されているフランジ継手付き鋼管はりについて,礫の衝突位置の違いによる耐荷性能を解析的に検討したものである.まず,先行実験の再現解析を行い,本解析手法の妥当性を検証した.次に,フランジ継手付き両端固定鋼管はりを対象に,礫の衝突位置の違いが耐荷性能に及ぼす影響を,静的および動的(礫衝突)弾塑性解析を行い検討した.その結果,継手に礫が直撃する場合では礫の衝突エネルギーを変形で吸収できないため,継手下部のボルトが多数破断することによってエネルギーが消散された.一方,継手間の鋼管に礫が衝突する場合では鋼管のへこみ変形によって衝突エネルギーが吸収されるため,引張側となる継手上端のボルトに僅かな損傷が生じた.よって,継手に礫が直撃する場合のほうがより危険側であることがわかった.

  • 安江 絵翔, 前田 健一, 松田 達也, 鈴木 悠真
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_301-I_312
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    洪水等で生じる洗掘は,大きな地形変化をもたらし,深刻な被害に繋がる.洗掘機構は,従来から掃流力を用いて精力的に評価されてきたが,近年では,流体力は地盤内の応力を変動させ,洗掘現象を助長する影響についても議論されている.本研究では,高速流下の地盤内で生じる浸透及び水圧変動が洗掘に及ぼす影響を定量化するため,移動床実験及び既往の解釈と比較した理論的考察を行った.結果,洗掘現象中に生じる浸透挙動は,洗掘を許さない多孔質固定床で生じ得る理論解とは大きく特性が異なった.特に地盤外へ排水する浸透や液状化等が生じることで,土の安定性を大きく変動させている事を明らかにした.また,粒径や移動床層厚で異なる表層の浸透特性を整理することで,洗掘解析の予測精度を向上させ,効率的・効果的な維持管理に繋がる事を示した.

  • 安井 俊平, 岩井 裕正, 木村 真郷, 張 鋒
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_313-I_323
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    海底地すべりは海底ケーブルの破断や地震動を伴わない津波を引き起こす危険性が指摘されている.海底地すべりによって励起される津波の規模は,地すべり土塊の移動速度に影響を受けるとされている.本研究では,海底地すべりの発生原因である過剰間隙水圧の上昇に着目した地すべり模型実験を実施し,地すべりの変位および速度の計測を行った.その結果,海底地すべりの挙動はその速度の経時変化の特徴から 3 種類に大別されることを明らかにした.大規模なすべりに進展したケースにおいては,すべり初期の速度は小さいが,速度一定の定常状態を経た後に急激にすべりが進展するクリープ破壊的な挙動を示した.さらに陸上地すべりと同様に,二次クリープ状態における速度と斜面崩壊に至るまでの時間の関係が両対数グラフで直線近似できることが示された.

  • 堀口 俊行, 合田 明弘, 嶋川 理, 山田 正
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_325-I_336
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    近年,流木混じり土石流の災害事例が多く報告されている.その防災対策として,透過部を有する鋼製砂防堰堤が設置されている.そのため,流木との混合状態における土石流荷重を推定する手法が望まれる.さらに,分級現象によって土石流の先頭部に流木が集中することで,土石流荷重が流木の緩衝効果によって低減されると言われており,そのメカニズムについて解析的な検討が求められている.そこで本研究は,個別要素法を用いて流木混じり土石流の再現解析を行い,その荷重推定法について検討したものである.その結果,流木が流下とともに土石流の先頭部に集中することや,接触力分布図や速度ベクトル図を用いることで土石流内部や堰堤周りの接触力の伝達メカニズムについて可視化し,流木の効果によって荷重が低減していることを示した.

  • 麓 隆行, 裏 泰樹, Stephen A. Hall
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_337-I_346
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    資源の有効利用の観点から,コンクリートに多様な材料の適切な使用が求められる.そのために,使用材料がコンクリートの性状に影響を及ぼす要因やメカニズムの把握が必要である.それを知る手段にコンクリート内部の変形分布の可視化がある.著者は開発した X CT 装置から得た 3 次元画像を用いた 3 次元画像相関法による可視化を検討してきた.本研究では,その確立のため,現時点での手法でコンクリート内部の変形計測への適用範囲を確認し,その改良方法を検討することを目的とする.実験の結果,異なる粗骨材を使用したコンクリート内部のモルタルが破壊に至る違いを計測できた.一方,モルタルの挙動を計測するにあたり,細骨材の粒子の存在により,トレーサーが存在できる範囲が限定されるため,局所的な計測を行うにあたり,細骨材の一部をトレーサーに置換するなどが重要だと考えられた.

  • 清田 翔吾, 別府 万寿博, 市野 宏嘉, 佐藤 和幸
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_347-I_358
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    近年,気候変動や地殻変動などの影響を受けて竜巻や火山噴火が増加する傾向にある.このような災害では,竜巻飛来物や火山噴石が人命や構造物に被害を与えるため,耐衝撃設計法の確立が求められている.本研究は,アラミド繊維シート補強による RC 版の裏面剥離抑制効果について解析的な検討を行ったものである.過去に行った衝突実験の再現解析を行い,アラミド繊維シート補強による RC 版の裏面剥離抑制効果についてある程度再現可能であることを確認した.特に,破壊性状の比較では,RC 版断面のひび割れの角度,繊維シート補強による裏面剥離の抑制効果を再現し,解析結果に基づいてアラミド繊維シートの補強効果を考察した.

  • 上田 恭平, 井合 進
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_359-I_367
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    ひずみ空間多重せん断モデルは,任意方向の仮想単純せん断機構の重ね合せに基づいて,粒状体の力学的挙動を表現する.本稿では,粒状体が有する初期構造異方性を考慮できるよう拡張されたひずみ空間多重せん断モデルを用いて,粒状体の巨視的な応力ひずみの変化により発生する誘導異方性構造の形成過程に及ぼす初期構造異方性の影響について考察した.個別要素法(DEM)を用いた既往の二軸せん断シミュレーション結果との比較から,初期構造異方性を考慮することにより,DEM シミュレーションにより得られた粒状体の誘導ファブリック,すなわち接触力の法線成分および接線成分の進展を同モデルにより適切に表現できることが明らかとなった.

  • 森口 周二, 奥山 大輝, 寺田 賢二郎, 大竹 雄, 青木 尊之
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_369-I_377
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    離散要素法による粒状体の流動解析を対象として,入力パラメータが流動挙動に与える影響を定量化することを目的とした.複数の入力パラメータセットによる複数ケースの解析を実施し,堆積状況や到達距離に関する指標を定義して,それらの値を解析結果から評価した.また,入力パラメータと評価指標の関係からカーネル法を用いて数値解析の代理モデルを作成し,それを用いたモンテカルロシミュレーションの結果から各パラメータの寄与率を定量化した.その結果,流動挙動を評価する上で,底面摩擦角が重要なパラメータであり,先端部分の挙動には反発係数も高い寄与率を有していることが明らかとなった.また,バネ定数と要素間摩擦角は結果に大きな影響を及ぼさないことも確認された.

  • 濵田 匠李, 別府 万寿博, 堤 成一郎, 市野 宏嘉
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_379-I_387
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    鋼材の静的力学特性の特徴として,多軸応力状態において破断ひずみが小さくなることが実験的に知られている.一方で,鋼材の動的力学特性については,降伏応力および引張強度のひずみ速度効果を調べた研究例はあるが,応力三軸度の影響を調べた例は非常に少ないのが現状である.本研究は,切欠きを有する SS400 平板試験体の動的引張試験を行い,動的力学特性に及ぼす応力三軸度の影響を調べた.実験の結果,全てのケースでひずみ速度の増加とともに降伏応力および引張強度の増加が認められ,応力三軸度の影響は小さいことがわかった.また,ひずみ速度の増加に伴って破断ひずみの低下に与える応力三軸度の影響が大きくなることがわかった.

  • 堤 成一郎, 大門 岳, Riccardo FINCATO
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_389-I_397
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    同一の溶接継手形式でも板厚の増加や板厚の組み合わせによって疲労強度が低下する現象は,板厚効果として知られている.板厚効果の要因に関しては,疲労き裂発生位置の応力集中や応力勾配などが影響すると考えられており,これまで実験および解析的な検討が進められている.しかし,溶接継手を対象とする場合,それら影響因子を明確に区別することは容易ではなく,板厚効果に関して十分な理解が進んでいるとは言い難いのが現状である.本研究では FE 解析によって疲労試験を模擬したシミュレーションを実施するとともに,実験結果との比較を通じて,板厚効果に関して考察を行った.その結果,実験で観測された板厚効果を解析的検討により再現できることを確認した.また,本研究で対象とした疲労き裂深さ 1mm に到達するまでの寿 命として評価される板厚効果は,主にき裂発生寿命の変化が大きな影響要因となっていることを確認した.

  • 堤 成一郎, 長濱 啓和, 清川 裕樹, Riccardo FINCATO
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_399-I_410
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    疲労損傷過程は一般に,亀裂発生とその後の伝播段階に分けて議論され,疲労亀裂進展の駆動力としては応力拡大係数や J 積分が採用される.著者らは近年,材料の局所的な弾塑性応答に基づいた疲労亀裂伝播寿命評価手法を提案している.本手法では,まず繰返し弾塑性 FE 解析と Δε-Nc 基準を用いて疲労亀裂 発生寿命を評価し,新たに唯一導入した疲労亀裂進展速度を規定するパラメータ Δa により疲労亀裂進展 速度 da/dN = Δa/Nc を算出する.これまで 2 次元問題ではその適用性の高さが示されているものの,亀裂伝播速度および下限界応答に対する平均応力影響や表面亀裂問題などに対する検討は行われていなかった.そこで本研究では,応力集中場に存在する表面亀裂に対して亀裂先端における弾塑性応答を基に表面疲労亀裂進展寿命の評価を行った.算出結果と参照する実験結果との比較により,表面亀裂の深さ方向と幅方向における疲労亀裂進展寿命を精度よく評価できることを明らかにした.

  • 楊 宏選, 福元 豊, 細山田 得三, 大塚 悟
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_411-I_422
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    浸透流と跳水を含む河川流を同時に計算する数値モデルの基礎方程式に基づいて,浸透流を含む河川の水理模型実験の相似性について調べた.理論的誘導と計算結果が,フルード相似を適用する河川の模型実験において河床壁面条件,河床粒径と河床材透水係数の相似に注意を払うべきと示した.1)河川流のフル ード相似を満たすのに長さ縮尺 1/N に従った河床の壁面相似が必要,2)掃流砂のシールズ相似を満たすのに縮尺 1/N に従った河床粒径が必要,3)浸透流の相似を満たすのに縮尺 1/1 または 1/√N に従った透水係数の相似が必要である.但し,縮尺が小さすぎると 1)の壁面相似と 2)の掃流相似が失われ,3)の縮尺 1/1 に従った透水係数は,透水係数が大きい模型実験の場合に浸透流の相対的な増大により河川流が影響される事態を招く.

  • 安田 陽一, 石川 眞, 斎野 秀幸
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_423-I_430
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    ここでは,雨水幹線に接続する急勾配の雨水管とマンホールに流入する雨水管の排水能力の向上に向けた実験的な検討からマンホール内に形成される局所流によって排水能力が影響することを見出した.導水路から管路を経てマンホールに接続し,その下流側で約 1/5 勾配の管路に接続する状態で接続角度が 120 度となる場合(Model II)を対象とし,マンホールへの流入管と流出管に管径の半分の落差を設け,マンホール内に制御板を設置することによって(Model II-2 制御板有),排水能力が改善され,流入管と流出管に落差がない状態に比べて,流量係数が提案前と比べて最大 18 %向上できることを示した.また,流入,流出する接続角度を 180 度とし,流入管と流出管に管径の半分の落差を設け場合(Model III),流量係数が接続角度 120 度の提案前と比べて最大 25 %向上することを示した.

  • Nguyen Trong HIEP, Hitoshi TANAKA, Nguyen Trung VIET, Nguyen Xuan TINH ...
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_431-I_438
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    Analytical solutions of the governing equations of shoreline development are well-known and capable of solving many coastal problems regarding either natural morphology change or structure involvement. This study presents a new analytical solution of one-line model for a widely occurred phenomenon where the river mouth is gradually migrated to a new location after a dramatic change caused by overwhelmed disasters. This solution is in conjunction with the Heaviside function to overcome the challenge of time varying conditions. The application of this solution is proved by applying on an existent study site, Da Rang River mouth, Vietnam. The solution reveals the severe erosion triggered due to the graduall migration of the opening after a highly extensive flood. The decay process on the old river mouth position proves the erosion caused by the migration of the opening. The opening kept shifting to the left side of the river mouth until stabilizing after 6 years from the flood event.

  • 石川 秀平, 横嶋 哲, 久末 信幸, 早瀬川 拓馬
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_439-I_449
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    レベルセット法と VOF 法は共に気液混相流の数値解析によく利用される.しかし両者を客観的に比較した例はほとんど存在しない.本研究ではレベルセット法系統の ACLS 法と VOF 法系統の CICSAM 法を同一問題に適用し,両者の特徴理解を試みた.検証の結果,同一条件下では ACLS 法が高い精度を示した.CICSAM 法はCFL 数の制約が厳しいものの,低 CFL 数条件下では ACLS 法に匹敵する結果を得た.VOF 法は界面法線や曲率の算出精度に難があり,表面張力が重要な問題では曲率評価の精緻化が必要となる.ACLS 法は 2 種類の界面識別関数の保持,および VOF 法では不要な再初期化が必要であり,CICSAM 法よりも実装の難易度と計算負荷は高い.界面捕獲法の選択においては,これらの要素を総合的に判断することが必要となる.

  • Hao ZHANG, Kenji KAWAIKE, Shoji OKADA, Taku FUJIWARA
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_451-I_460
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    Manholes connecting sewer pipes are important elements in an urban drainage system. The manholes exert impacts not only on the local flows in their vicinities but also on the sewer flows in the whole pipeline system. For an appropriate assessment of the capacity and efficiency of a drainage system, and to improve the accuracy of numerical models for urban flood simulation, it is crucial to understand the hydraulic properties of manholes. In this study, a series of laboratory experiments have been conducted with a scaled physical sewer system model to clarify the local energy losses and local flow structure in a junction manhole. In particular, the influences of the lateral flow discharge ratio, the lateral pipe alignment angle and the outlet pipe submergence condition on the local energy losses have been analyzed. In addition, the local three-dimensional velocity structure in the manhole has been characterized.

  • 猿渡 亜由未, 小林 正法, 高須賀 啓孝, 小山 裕文, 高橋 幹夫, 山下 孝行, 樋口 益盛, 渡部 靖憲
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_461-I_468
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    蛇篭護岸はこれまで高波等により砂浜に形成された浜崖の更なる後退を抑止するための対策工として用いられてきた.透過性構造物である蛇籠は砂の輸送を完全に抑止するものではないものの,波による更なる浜崖の侵食を防ぎながら砂浜の自然な回復を促す.中でも円筒形の蛇籠であるだるまカゴは矩形蛇籠よりも中詰め材の片寄りが生じにくいため長期的に高い耐久性が期待できると共に,護岸を形成する際の配置の自由度が高い.本研究では室内実験を通してだるまカゴ護岸の耐波安定性並びに護岸背後の浜崖地形変化の特徴を評価する.だるまカゴ護岸は通常水位のときは高い耐波安定性を有し,高水位となった場合もカゴの配置によって安定性を強化できることが明らかになる.まただるまカゴはそのまま使用してもある程度の浜崖後退抑止効果を有するが,防砂シートで側面を覆いカゴ同士の接合部からの砂の吸出しを低減させることにより,浜崖対策工としての機能を更に強化できることが明らかになる.

  • 石原 道秀, 安田 浩保
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_469-I_480
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    交互砂州はその幾何学的特徴や伝播特性から波動現象と見做されている.既往の研究により交互砂州の発生条件や発達などの様々なことが解明されてきたが,波動現象の重要な性質である伝播については未解明なことが多い.特に,交互砂州の伝播速度は空間分布を持つのか,その時間的な変化はどのようなものかは未解明である.本研究では,交互砂州の伝播速度の空間分布とその時間的な変化の把握のために,まず模型実験による交互砂州の発生・発達過程における水面形状と底面形状を計測した.次に計測値と推定式を組み合わせることで交互砂州の伝播速度の空間分布とその時間的な変化を定量化した.その結果,交互砂州の伝播速度は発生から発達にかけて空間分布を持ち,時間経過と共にその空間分布が拡大することを明らかにした.

  • 服部 康男, 石原 修二, 須藤 仁, 中尾 圭佑, 長谷部 憂麿, 平口 博丸
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_481-I_488
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    建物や道路からなる都市キャノピーを模擬した加熱粗面上に発達した対流境界層における乱流輸送過程を,ラージエディシミュレーション(LES)により数値的に検討した.粗面なしの理想的な場合との比較を通じて,粗面により温度場と速度場との乱流輸送過程の非相似性が顕著となることを明らかにした.温度場の乱流フラックスは速度場のものと定性的にも一致せず,特に,建物直上において値が急増した.一方,粗面が速度場に与える影響は小さかった.このような乱流フラックスの相違に呼応して,都市キャノピーを含む境界層内に形成される組織構造についても,主流方向に伸長する筋状構造の強度など温度場は速度場と異なる特性を有した.

  • 小関 博司, 安田 浩保
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_489-I_498
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    一般に,河床波の種別は砂州,砂堆,砂漣の 3 つに大別され,これらの支配物理量は個別に検討されてきた.また,河床波上の流れは,十分な実証や理論的な根拠がないまま,砂州上は浅水流,砂堆上および砂漣上は非浅水流と考えられている.さらに,河床波に対応した水面形の有無が既往の研究により報告されている.しかし,これまでに,河床波の種別や支配物理量,河床波上の流れの種別,また河床波に対応した水面形の有無に関する流体力学的な観点からの検討はない上,統一的な区分法は未確立である.本研究は,河床勾配と微小振幅波理論から得た水深波長比の 2 つの独立変数を用いて実河川や模型水路における河床波の測定結果を比較し,河床波自体とそこでの流れの種別,さらに河床波に対応した水面形の有無について統一的に区分できることを示した.

  • 久保 栞, 吉田 秀典, 市村 強, M.L.L.Wijerathne , 堀 宗朗
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_499-I_510
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり

    近年,台風や豪雨などにより,日本各地は多大な浸水被害を受けている.そのため,各自治体においてハザードマップ等が整備されているが,適切に活用されているとは言い難い場合もあるため,ハザードマ ップ等による浸水状況の事前認知が避難時において有用であることを示す必要がある.そこで,本研究では,避難者が高潮浸水解析によって得られた浸水エリア等を,水災害が発生する前に把握していると想定して避難行動シミュレーションを実施した.その結果,エージェントが浸水箇所を事前に把握することで,浸水に巻き込まれることなく,短時間で避難を終えることが可能となり,避難完了率は浸水箇所を事前に把握していない場合と比較すると,大幅に上昇した.

  • 佐伯 昌之, 加藤 駿
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_511-I_519
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    近年の技術発展により,MEMS 加速度センサが大量生産され,多くの構造物に設置されるようになってきた.その様な MEMS 加速度センサが計測する加速度データをデータベース化することで,超高密度地震観測網を構築する計画が進められている.ただし,構造物に設置された加速度計と地盤に設置された地震計を同等に扱うことには問題がある.そこで本研究では,1 質点系完全弾性体モデルを用いた数値シミュレーションにより,地盤で計測された地震動から推定される既存 SI 値を,構造物の加速度応答から推定する手法を検討した.伝達関数を用いて構造物の加速度応答から地盤の加速度を推定し SI 値を算出したところ,1 質点系完全弾性体としてモデル化できる構造物であれば,既存 SI 値とほぼ同値で算出できることを確認した.

  • 吉田 郁政, 小野 達也
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_521-I_529
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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    新潟県中越地震 (2004) により生じた 4,321 か所の斜面崩壊のデータベースをもとに地表面最大加速度や計測震度に対する斜面崩壊の損傷度曲線の算定を行った.自然斜面については斜面の数を的確に定義することは容易ではないため,勾配別の斜面総面積と崩壊した面積の比である崩壊面積比率と地震動強度の関係を整理して損傷度曲線を求めた.地震動強度については気象庁と防災科学技術研究所から 131 地点の地表面最大加速度と計測震度の情報を入手して,クリギングにより空間内挿して推定した.これらの情報に基づき,崩壊面積比率を目的変数,斜面勾配と地震動強度を説明変数とした重回帰分析を行い,損傷度曲線を算定した.この損傷曲線により任意の斜面勾配及び地震動強度に対して斜面崩壊の面積比率を算定することができ,例えば,勾配 35 度の斜面において最大加速度 1350gal あるいは計測震度6.3の地震動強度に対する崩壊面積比率は 0.1 程度であった.

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