土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号: 土木学会論文集
79 巻, 18 号
特集号(海洋開発)
選択された号の論文の157件中151~157を表示しています
特集号(海洋開発)論文
  • 高橋 研也, 田中 仁, 西畑 剛
    2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18186
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/04
    ジャーナル 認証あり

     砕波帯内から汀線の陸側に至る浅海域に設置される,複数の材料から構成された捨石堤および傾斜堤を対象にした水理模型実験を実施して,作用波数と各構造物の被災度の変化傾向を把握した.汀線の陸側に設置される捨石堤として鉛直に多段積みしたかごマットによる土留め構造を,汀線の海側に設置される捨石堤としてバットレス型消波構造物を,砕波帯内に設置される傾斜堤として消波ブロック1層被覆式傾斜堤を対象とした.造波前後に堤体模型を写真撮影し,SfM解析により被災度を評価した.各々の材料の安定数を算出して被災履歴を考慮したモンテカルロシミュレーションにより現地条件での期待被災度を評価した結果,複数の材料から構成された捨石堤構造では,各々の材料の安定数を算出して最適な維持管理計画を作成する必要があることが示唆された.

  • 犬飼 直之, 安倍 淳, 斎藤 秀俊
    2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18187
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/04
    ジャーナル 認証あり

     2022年4月に知床半島で遊覧船が沈没した海難事故では乗員全員が行方不明となり,翌日から検索が行われたが難航し,現在でも全員発見には至っていない.ここでは事故発生時後の海域の状況を把握するとともに発見が困難となった要因を考察した.気象では事故日には寒冷前線が通過しその後風向が変化して海域の海上風と波浪が急激に増大した.捜索開始直後には知床半島周辺で多くの乗員が発見されたが,この状況を吹送流と潮汐流による仮想着色剤の拡散計算による漂流予測計算で把握した.その後は国後島やサハリンで乗員が発見されたが,漂流計算によると,事故後は海域東側に高気圧が位置する様になった影響で海上風が変化し,知床半島先端部から国後島北部海域を東西に振動しながら徐々に北西方向へ拡散する流況となった.

  • 吉野 日和吏, 下園 武範
    2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18191
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/04
    ジャーナル 認証あり

     モルディブ南部に襲来する遠方からのうねりはリーフ上で長周期波を発達させ,突発的に遡上高を増大させる.先行研究により南極付近からインド洋内を赤道域付近まで伝わるうねりの存在が指摘されている.本研究ではモルディブ南部に遡上高増大をもたらすうねりの発生域特定や発達過程解明,伝播経路推定および予測可能性を検討した.

     ERA5再解析データを使用し,モルディブ南端の対象地点(OS)で設定したうねり到達指標とインド洋内のうねり有義波高の相互相関関数を計算した.OSに遡上高増大をもたらすうねりは,アフリカ南東部からマダガスカル島南東部にかけて発達する傾向にあった.伝播経路上に設定した線分でエネルギーフラックスを計算したところ,相関値の高い相互相関関数を得た.エネルギーフラックスの増大に伴う遡上高増大の予測可能性が示された.

  • 大矢 陽介, 小濱 英司
    2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18192
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/04
    ジャーナル 認証あり

     2011年東北地方太平洋沖地震の際,空港誘導路下の地下構造物周辺の地盤で局所的な沈下が発生した.筆者らはこれまでに砂地盤内に地下構造物模型を設置した1g場模型振動実験より,地盤と地下構造物の動的相互作用によって発生する地盤の累加せん断ひずみと地表面の局所的な沈下との関係を明らかにした.また,地震応答解析より模型振動実験で得られた地下構造物周辺地盤のひずみ履歴を再現できることを確認した.本研究では,地震動作用後の過剰間隙水圧消散に伴う地表面沈下を評価するための変形解析手法について検討した.

  • 梶谷 遼平, 山本 浩一
    2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18194
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,山口湾の干潟における砂質,砂泥質,泥質によってアマモの流れ藻が物理的に細粒化されるまでの分解速度を測定し,その速度を低下させることのできる底質の条件を明らかにした.直径2mmのメッシュバッグに直径6mmの円盤に加工し乾燥したアマモを入れて山口湾(山口県山口市)の砂浜・干潟環境で分解試験を行い,アマモが直径2mm以下まで細粒化される分解速度を求めた.また,海水への溶出試験や底質調査により,細粒化されずに残った各地点のアマモの乾燥重量と底質条件との関係を検討したところ,泥質中でアマモが細粒化される速度が抑制されることが分かった.砂泥質よりも泥質の方が分解速度は低く,透水係数,ORP,10%粒径は分解速度と負の相関があった.

特集号(海洋開発)報告
  • 福原 朗子, 今野 克幸, 三原 義広, 杉野 義都
    2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18045
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究の背景は磯焼け対策と木材加工の際に発生する切削くず(木粉)の有効利用である.磯焼け対策,つまり藻場造成は漁業資源の回復だけでなく,ブルーカーボン生態系の創出という観点からも重要な社会的テーマである.このような背景のもと,著者らは酵母を使って発酵させた木粉(以下,発酵木粉)を含有したコンクリートによる藻場造成ブロックの開発を試みており,本論では実験室レベルで基礎的な実験を行った.主な実験内容として,発酵木粉を含有したモルタル供試体の施工性と強度,そして一つの供試体に含まれる酵母数と栄養塩の量を調べた.実験結果より,発酵木粉の体積含有率の最大値は概ね15%と考えられ,今後コンクリートでブロックを作製する際の基礎的なデータを得ることができた.

  • 松長 悠太, 西 広人, 水野 辰哉, 琴浦 毅, 西畑 剛, 松葉 義直, 田島 芳満
    2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18115
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/04
    ジャーナル 認証あり

     港湾分野での波浪観測は設計・施工・維持管理のいずれの段階においても重要であり,これまでも最先端の観測技術が現地に適用され,観測データ解析手法についての研究も多くなされてきた.また,近年,ICT技術の進展に伴いレーザーを活用して3次元形状把握が可能となる面的LiDAR(Light Detection and Ranging)が汎用化されつつあるが港湾分野での適用事例は少ない.そこで,本研究では面的LiDARを用いた現地観測を行い,波浪観測等への適用性,将来性を検討した.

     汀線際や構造物周辺での計測では,複雑に変動する水面変化を面的に点群が取得できることを定性的に評価するとともに,取得した点群を評価するにあたり,格子分割寸法やサンプリング時間の検討により水位時系列を算出可能とする定量的な評価手法を構築できたことで,今後の波浪変形状況の研究への活用が期待される結果が得られた.

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