テレワーク実施者に対し,その頻度と通勤行動変化の調査を行い,CO2排出量低減効果を推定するとともに,ICT利用に伴うCO2排出量を概略評価し,地域特性も含めて比較した.通勤交通の鉄道依存が高い東京23区と,自動車依存が高い栃木県を対象に,2020年4–6月,11月をテレワーク最多時期とし1週間当たりの勤務と通勤状況を尋ね,東京23区(n=1032),栃木県(n=506)の有効回答を得た.
テレワークによる年間の1人当たり環境負荷削減効果を両地域で推定すると,東京23区で60kgCO2,栃木県で233kgCO2だった.しかし,確実に削減が見込まれる乗用車と二輪車のみの評価とすると,栃木県では226kgCO2の低減だが,東京23区では4kgCO2のみの低減となった.鉄道利用者比率が高い東京23区ではビデオ会議の利用時間次第でテレワークによりCO2排出量が増加する可能性も示された.
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