土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号: 土木学会論文集
79 巻, 22 号
特集号(土木情報学)
選択された号の論文の39件中1~39を表示しています
特集号(土木情報学)論文
  • 野中 崇志, 川井 彩佳, 朝香 智仁
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22001
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     これまで著者らは,衛星SARデータを用いて,被害が大きい地域において地区レベルで建物の被害状況の把握を目標とし,予め都市域を切り出したコヒーレンス画像を用いた手法の開発を行ってきた.本研究では,熊本地震を取り上げ,LバンドのALOS-2 PALSAR-2による複数の撮影条件(異なる軌道,撮影方向)で取得した画像を用いて,コヒーレンスと建物の被害度の関係を明らかにすることを目的とした.熊本県益城町を解析対象とし,益城町内の200メートルメッシュ内のコヒーレンスの平均値と建物の被害度の関係を評価した.その結果,撮影条件によらず,これらに有意な相関があることとともに,被害度が小さいほど撮影条件によるコヒーレンスのばらつきが大きい傾向があることを示した.さらに本研究による土地被覆を考慮したコヒーレンスと被害度のモデルの構築には,撮影日,撮影間隔,基線長100m程度の違いよりも,軌道や撮影方向による違いの影響が大きいことを明らかにした.

  • 繁森 央一, 須﨑 純一, 小林 知生, 米田 瑞生, Marek Ososinski
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22002
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     昨今の建設現場では生産性の向上が課題であり, クレーンの自動操縦化が求められる. その実現にはブーム先端に取り付けた単眼カメラから取得した動画像を用いたクレーン周辺の三次元復元が有効と考えられる. しかし, 取得される画像にはフックが映り, 三次元復元の精度を著しく損なう要因となっている. そこで本研究ではフックなどの三次元復元精度を損なう要因となる対象の画像からの除去を目的に, 計算コストの小さい特徴点による物体判別を試みた. 分類にはオプティカルフローを用い, その軌跡の形状を利用した分類手法を三つ提案した. その結果, ベイズ統計を使用した手法では振動などの影響にも頑強な分類が可能となり, 使用動画中のほとんどの場合で分類精度を表す指標であるAccuracyが0.85以上となる結果が得られ, 提案手法の有効性が示唆された.

  • 杉本 賢二, 谷 眞太朗, 八木 隆征
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22003
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     日本では近年,甚大な風水害が頻発しており,住家被害だけでなく自動車での移動中に濁流に巻き込まれる被害が増えている.都心部に多いアンダーパスは,前後の区間と比べ高さが低いため冠水しやすい形状である.本研究は,道路網及び避難場所データを用いて,平時とアンダーパス冠水時における避難経路を解析し,最寄り避難場所までの距離や目的地の変更への影響を評価した.大阪府を対象とした解析の結果,都市部では避難場所が密度高く存在しているため避難距離は短い傾向があるが,都市部の中でもアンダーパス冠水により,平時の8倍以上の距離を迂回しなければならない地域があることが明らかになった.また,平時と冠水時とで最寄りの避難場所が異なる地域もあり,事前の防災対策としてアンダーパス冠水を想定した複数の避難経路を検討することが重要である.

  • 小林 知生, 須﨑 純一, 繁森 央一, 米田 瑞生, Marek OSOSINSKI
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22004
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     建設現場での人手不足が深刻化する昨今,クレーンの操縦補助や完全自動操縦などの技術が注目されており,それらの実現のためにはクレーン周辺の三次元地図を精確かつ高速に作成することが必須ともいえる.ここで,旋回するクレーンのブーム先端に設置したカメラは,直線軌道上を移動するカメラに比べて写真測量の観点からは不利である.そこで本研究ではステレオマッチング技術を用いて視差画像を生成することにより,クレーン周辺の三次元地図の生成を試みた.その際,視差画像に対する中心投影から正射投影への変換処理や視差の閾値の自動設定,複数枚の視差画像の重ね合わせなどの処理により精確性の向上を実現した.その結果,SLAMを用いた先行研究では得ることが難しかった密な三次元点群を,準リアルタイムの処理時間で得ることができた.

  • 佐々木 輝音, 原田 隆郎
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22005
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     近年,畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network,以下CNN)を用いた耐候性鋼橋梁のさび外観評点の判定モデルが提案されており,実用化に向けた多くの研究が行われている.本研究では,学習データであるさび画像の多様化による判定モデルの汎用性向上を目標に,角度のついたさび画像を学習させた場合のCNNの精度検証を行い,点検者による様々な撮影条件のさび画像に対する,さび外観評点判定モデルの汎用性を検討した.その結果,様々な角度から撮影したさび画像を学習させておくかどうかで,構築したさび識別器の判定精度は大きく変わり,さび外観評点判定モデルの汎用性に影響を与えることが確認できた.

  • 加藤 諒, 北川 悦司, 村木 広和, 山川 蓮輝, 伊藤 哉太, 二宮 古都音
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22006
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     3次元点群データを用いたブレイクライン生成は,構造物の形状把握やCAD図面化,ダウンサンプリング,面(TIN)の生成など多様な分野で利用される.ブレイクラインを生成する既存研究では,点群の平面交線を用いた手法や法線ベクトルを用いた手法,断面図ごとに断面変化点を求めて繋ぐ手法などが提案されている.しかし,3次元点群データに含まれる植生や樹木などのノイズが影響して正確にブレイクラインを生成できないことや,対象とする構造物が限定される課題がある.そこで,本研究では,ノイズに影響されず,構造物も限定しない平面抽出手法をRANSAC(Random Sample Consensus)の特性を用いて実現することで,既存研究より高精度で汎用的な構造物のブレイクラインを生成することを目的とする.

  • 名波 健吾, 和田 一範, 豊岡 亮洋
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22007
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     近年,2018年大阪府北部地震をはじめとして,鉄道構造物本体にはほぼ損傷が見られないものの,点検のために長時間鉄道運行が停止する事例が発生している.ここで,近年発展が著しいセンシング技術を活用することにより,点検を省力化して早期復旧を図ることが考えられる.ただし,鉄道における点検箇所は多岐にわたり,すべての対象箇所にセンサーを取り付けることは費用および労力の観点から容易ではない.そこで,本稿では点検時間や移動時間を踏まえた鉄道路線におけるセンサーの効率的な配置方法を提案した.提案法を用いることにより,総当たり計算を実施する場合と比較して計算量を大幅に低減させつつも,点検時間,点検コストを効果的に低減させるための配置が選定できることを検証した.

  • 木村 優介, 東川 晃久, 須﨑 純一
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22008
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     本研究は,Wi-Fiパケットセンサのデータにより,観光地の街路空間における歩行者行動や混雑の実態を把握しうる解析方法を提示するとともに,街路の利用状況が目的の異なる歩行者行動に与える影響を明らかにすることを目的とする.京都市東山地区を対象とした分析により,次の成果を得た.1) 各時間帯の観測データ数の推移を時期ごとに視覚化し,ライトアップ等の施策と対応したリンクの利用変化を把握した.2) 複数の行動目的を仮定した上で,EMアルゴリズムを用いて制約付きの混合正規分布と,単純移動・短時間滞在・長時間滞在に対応した分布の特性値を推定し,その時間変動からリンク上の観光行動や利用状況を把握した.3) 観測データ数と目的別平均値の関係から,所要時間に影響を与える観光行動や環境要因,購買行動が抑制される混雑水準を明らかにした.

  • 山野 亨, 荒木 義則, 桐山 魁, 白 宇, 河村 圭
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22009
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     高度経済成長期に集中的に整備された社会資本は一斉に老朽化が進むため,今後は施設の維持管理が課題であるが,現在の施設点検記録は紙ベースの帳票を基本としており,コンピュータで自動処理することを前提としていない.著者らはスマート調査を開発し,施設点検のデータベース化とGIS化を実現した.スマート調査は,2次元の地図上に点検写真の撮影位置を記録できたが,点検写真撮影時には変状部位に接近する必要があるため,施設全体に対する位置・方向・大きさを把握出来ないという課題があった.そこで本稿では,砂防堰堤を対象としてスマート調査に3次元モデルを適用し,UAVで撮影した写真から生成した砂防堰堤3次元モデルを3次元GISに投入し,現地で撮影した写真を砂防堰堤3次元モデルに貼りつけることで,上記課題を解決した.

  • 小笠原 雅人, 桑原 祐史
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22010
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     近年,集中豪雨の発生頻度は上昇している.日本の河川は急勾配で延長は短く,流域面積も小さい.このため洪水リスクが高く,防災対策の基礎として河道形状や被覆の把握は不可欠である.環境面に注目すると,国内一級河川では河川水辺の国勢調査により環境基図の作成が行われている.緑量を定量化したバイオマス量の変化は防災と環境の両面の諸対策を講ずる上での基礎資料(粗度に注目した流下機能の変化,CO2吸収の点での緑量変化など)として活用できると考える.本研究では全国の一級河川を対象にバイオマス量推定と長期変遷(約40年)の分析を目指し,光学衛星画像から草地と樹林を簡便に抽出する方法を工夫した.検討の結果,データの量子化レベルや季節に着目して緑地(草地・樹林)の抽出方法を工夫する事により実用に優れた簡易な方法を提案した.

  • 渡邊 花蓮, 阿部 美帆, 桑原 祐史
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22011
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     海面上昇が予測されている中,平均標高が数mと平坦な環礁州島では海岸沿岸域で強い影響を受ける.環礁における適応策として,堤防の設置,養浜といったハードウェア対策に加えて,島の形成に寄与する有孔虫の保護が挙げられる.このような中,人口集中などに伴う水質悪化やリーフの環境が変化しており,有孔虫の減少が危惧されている.このため,有孔虫の生息域を調べ,保護区域の設定等の対策が重要となる.本研究では,予備調査により明らかになった「有孔虫の藻類への付着,有孔虫生息域の地形的特徴」を予備知識として,新たな空撮を行い,生成した地理空間情報を組み合わせた画像解析による有孔虫生息域の推定を行った.有孔虫生息可能性比率との対応や分類精度を参照し,n次元画像を用いたマジュロ環礁の離島における有孔虫生息域を示した.

  • 吉原 到, 海老原 格, 水谷 孝一
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22012
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     音波を用いた水中測位における課題の一つとして,浅海域や港湾部における多重反射(マルチパス)環境における欠測の発生や大きな誤差の存在がある.我々は不要な反射波を排除する信号フィルタリング技術を有する新しい「耐マルチパス水中音響測位技術」を構築してきた.この技術は,空間上のある領域に音源が存在する場合,音源から各受波器までの伝搬時間を予め計算機上で求めておき,該遅延時間前後のインパルス応答のみを抽出することで,マルチパス環境でも三角測量に必要な基線長を安定かつ精度良く測定するものである.本稿では,提案手法の性能を移動体環境で評価した.マルチパス環境である大型プールで,船底に音源を設置したボートを移動させながら,その位置をリアルタイム測位した.その結果,移動体の測位平均誤差は0.12~0.24m,欠測率は0%であった.

  • 鈴木 雅大, 大川 博史, 中祖 諒大, 樫山 和男
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22013
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     本論文は,マーカー設置が不要なロケーションベースARに着目し,小型GNSS受信機を用いて位置情報を取得する水環境流れのAR可視化を行うシステムの構築を行った.小型GNSS受信機の位置情報の取得精度をオープンスカイ環境下と非オープンスカイ環境下で比較するとともに,2台の受信機を用いて角度補正を行うことで,簡便かつ高精度に重畳を行う手法を示した.本可視化手法の妥当性と有効性を検討するために,都市河川流れの可視化を例に従来のマーカーベースAR可視化手法との比較を行った.

  • 井関 禎之, 船田 征, 西山 哲
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22014
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     河川における不法投棄物は,週1~2回程度の河川巡視で状況把握され,最小30cm程度が巡視対象である.堤防上から見えにくい低水路等では不法投棄物の把握が困難なため,低水路を含む河川区域全体で不法投棄物を網羅的に把握できる手法が必要である.衛星写真や航空写真に比べ,UAV写真は,撮影のしやすさや高解像度である点で河川巡視に適用しやすいと考えられる.しかし,UAV写真から不法投棄物を目視判読する作業は手間を要する.そこで,本研究では,河川区域全体の網羅的な把握を実現するため,UAV写真とAIを組み合わせた不法投棄物把握手法の実現可能性と作業効率化の効果を確認した.その結果,UAV写真により河川区域全体における網羅的な不法投棄物の分布状況が把握でき,AIによる自動検出では不法投棄物を検出する作業時間の短縮を確認した.

  • 竹内 大輔, 野澤 正裕, 山岸 洋明, 梅原 喜政, 肖 智葳, 中畑 光貴, 松尾 龍平, 川﨑 悠史, 青木 大誠, 大上 航平
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22015
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     我が国では,標準耐用年数である50年を経過した下水道管きょの割合が急速に増加しており,管きょの効率的な維持管理手法が求められている.しかし,現状の点検業務では,CCTVカメラで撮影した長大な管きょの画像から調査員が目視にて異常箇所を確認しているため,多大な時間と労力を要するという課題がある.加えて,調査員が経験に基づいて損傷度合いを判定しているため,均一かつ定量的な評価が難しい.そこで,本研究では,深層学習を用いて管きょを撮影した動画像を解析することで,クラックや破損といった損傷を検出し,損傷度合いを判定する手法を提案する.これにより,損傷度合いの定量的な評価が実現でき,点検業務の省力化・高度化に寄与できる.そして,実証実験を通じて,提案手法の有用性を確認した.

  • 角田 直嵩, 尾﨑 平, 窪田 諭, 檀 寛成, 安室 喜弘
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22016
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     近年,地球温暖化による気温上昇や,ヒートアイランド現象によって熱中症患者数並びに死亡者数が増加している.環境条件による熱中症の起こりやすさを事前に判断するために開発された暑さ指数は,熱中症リスクを数値化するという点で市民への意識付けに有効であり,環境省は都市圏単位で暑さ指数をWeb上で公開している.しかし,身の回りの屋外の生活環境や作業環境において,市民が局所的な暑さ指数を知る機会はない.同じ暑熱環境下でも,日向と日陰でのリスクの違いや分布および,時刻による変化がわかれば,行動や作業の計画も立てやすい.本研究では,3Dデータ化した現場の空間に対して日照条件を計算し,さらにグローバルイルミネーションによる陰影をレンダリングしたCGをもとに暑さ指数をピクセル単位で推定する.ゲームエンジンを援用した実装により,時々刻々と変化する暑熱環境に対してリアルタイムに暑さ指数分布を可視化するシステムを開発した.

  • 村岡 叶夢, 窪田 諭, 安室 喜弘
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22017
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     コロナ禍では,密になるリスクを減らすことと,行動を制限しないことの両立が重要視され,人が集まりやすい環境での混雑度合を知る需要が高まった.人感センサ等を使って混雑状況を色分けして可視化する既存技術は,表示内容が抽象的で人の混み具合を理解し難いという難点があった.本研究では,施設管理の観点から,定期的な警備巡回業務の中で運用することを想定し,移動しながら360°の視野をもつ全天球カメラで撮影した画像を利用して,人の分布を定性的に可視化する方法を提案する.SfMに基づく対象空間の3次元モデル化と,機械学習による人物検出・追跡の両方に,全天球カメラ画像を使用する.抽出した人物の足元を通るカメラの視線と床面との交点として人物位置を求め,現場の 3次元モデルにマッピングすることで,実空間での人の分布を可視化した.

  • 塚田 義典, 中原 匡哉, 梅原 喜政, 西田 義人, 窪田 諭, 田中 成典, 川﨑 悠史, 佐野 龍太, 田中 剛, 大月 庄治, 稲見 ...
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22018
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     近年,社会基盤の維持管理のためにMMSで計測した点群データが利用されているが,費用対効果の観点から全国の地方公共団体での導入が難しい.そこで,筆者らは,安価なセンサ機器を用いた車両搭載型センシングユニットを製作してきた.既存研究では,水平と斜めに設置したLiDARを用いたSLAMによる自己位置補正手法の有用性を示した.ただし,斜めにLiDARを設置した場合,連続地点間の計測データが同一形状のときに点群データの生成精度が低下した.また,網羅的に計測するためには計測範囲の異なる複数のLiDARの点群データを重畳する必要性が示された.そこで,本研究では,水平に設置したLiDARの自己位置から斜めに設置したLiDARの自己位置を補正し,両点群データを重畳して広域の点群データを生成する手法を提案する.そして,評価実験により提案手法の有用性を確認した.

  • 梅原 喜政, 塚田 義典, 田中 成典, 上月 康則, 下鳴 恒彰, 平野 順俊, 大上 航平
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22019
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     我が国では,敷地を隔てる構造物にブロック塀が多用されている.ブロック塀は,安全性や防犯性の高さから広く普及しているが,災害時に倒壊することで,死亡事故や緊急車両の通行及び人々の避難行動の阻害要因となる可能性が指摘されている.こうした背景のもと,著者らは,ブロック塀の維持管理を円滑に進めるため,広域な都市空間を計測した点群データからブロック塀を抽出し,倒壊の危険度を判定する技術を開発してきた.これらの研究では,散在する危険なブロック塀を明らかにすることに成功したが,倒壊した場合の隣接道路の閉塞状況を加味できていない.そこで,本研究では,点群データからブロック塀が倒壊した場合の道路閉塞の判定技術を開発する.これにより,緊急車両や避難民の移動を阻害する緊急性の高いブロック塀の重点的な点検に寄与できる.

  • 石田 仁, 矢吹 信喜, 大森 禎敏, 森屋 陽一, 藤田 真司
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22020
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     山岳トンネル工事において,発破直後の切羽は肌落ちによる死亡災害が発生することが多く,切羽の無人化の取り組みが急がれる状況である.建設現場には既に省人化や無人化を目的として,自動運転機械や遠隔操作機械が導入されつつあるが,肌落ち災害に直結するブレーカーによるコソク作業の省人化・無人化の事例は見られない.一方で,雲仙普賢岳の噴火による火砕流や土石流に対して1993年より始まった無人化施工は,現在では地元の建設会社が実施しているケースも見られ,今後普及が見込まれる状況だが,自動運転への対応はまだ難しい状況である.本研究では建設現場における自動運転の普及を目指し,既存の建設機械を自動化する手法を構築するとともに,SLAM (Simultaneous localization and mapping)を活用することで非GNSS環境である山岳トンネル内での走行やコソク作業に適用し,実用性を検証した.

  • 塚田 義典, 中原 匡哉, 梅原 喜政, 窪田 諭, 田中 成典, 武内 克樹
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22021
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     我が国では,高度経済成長期に施工された社会インフラの老朽化が深刻であり,長寿命化のための点検や補修が急務である.国土交通省では,CIMやi-Constructionを推進し,点群データや3次元モデルの活用による維持管理業務の効率化を目指している.しかし,高架橋や交通量の多い道路では,計測地点に制約が生じるため,構造物を隈なく計測した点群データの取得が困難である.既存研究では,このような欠損が生じた点群データでは正しく3次元モデルを生成できない.そこで,本研究では,深層学習を用いて橋梁の点群データの欠損を補完し,安定してパラメトリック橋梁モデルを生成できる手法を提案する.

  • 今井 龍一, 中村 健二, 塚田 義典, 麻生 紀子, 山本 忍
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22022
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     公共事業への移動計測車両や地上設置型レーザスキャナ等の導入により,様々な場所で大量の点群データが計測・蓄積されている.点群データは膨大な点の集合体であるため,未加工の状態では用途が制限される.そこで著者らは,車の自動運転用の高精度3次元地図データのHDマップを用いて抽出した点群データに信号機や標識等の道路地物の意味を与え,地物単位で空間処理・検索が可能なプロダクトモデルの構築手法を提案した.しかし,道路の図面や地図の未整備区間では提案手法が適用外となる.

     本研究では,提案手法で自動抽出した道路地物の点群データを用いて,道路地物を自動識別するための教師データを生成し,道路地物の識別モデルを構築した.その結果,完成平面図や道路地図の未整備区間でも点群データから道路地物を自動識別できることを明らかにした.

  • 今井 龍一, 山本 雄平, 中原 匡哉, 神谷 大介, 姜 文渊, 中畑 光貴, 住吉 諒
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22023
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     我が国では,自動車交通量調査の効率化・省力化に向けて,ICTの活用が推進されている.特に,動画像を用いた調査が注目されており,様々な手法が提案されている.現在は,断面交通量の計数は実現されているが,地点間の車両の流動調査の実現には至っていない.そのため,既存手法に同一の車両を特定する手法を追加することで,地点間における車両の流動の調査も可能となり,当該調査の高度化に寄与する.そこで本研究では,複数台のウェアラブルカメラで撮影した動画像からナンバープレートの一連指定番号を認識し,同一の車両を特定する手法を考案した.実験では,考案手法を2地点間で撮影した動画像に適用し,同一車両の特定可否を検証した.その結果,既存手法では計測できなかった同一車両を特定できる可能性を明らかにした.

  • 金井 翔哉, 今井 龍一, 山本 雄平
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22024
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     安全・安心で円滑な道路空間の維持には,時々刻々と変化する交通実態の把握が必要である.そこで,道路管理者は車両から取得されるプローブデータを用いて道路交通分析を実施している.具体例として,道路を線分で表現した道路ネットワークデータを用いてプローブデータが取得された道路を特定するマップマッチング処理後,各道路単位の旅行速度等を網羅的に分析されている.一方,交差点毎の進行方向別速度等の分析は,マップマッチングや集計の機械的な処理ができない場合が往々にしてある.本研究では,緯度経度のみで位置関係を把握できるポリゴンメッシュを用いた交差点におけるプローブデータの進行方向判定手法を考案した.そして,実証実験を実施し,進行方向の正答率は 9 割以上であり,考案手法により進行方向を機械的に判定できる知見を得た.

  • 今井 龍一, 山本 雄平, 姜 文渊, 中原 匡哉, 神谷 大介, 野村 圭哉
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22025
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     イベント時や通勤時間帯に群衆の人数を計数することは,事故を未然に防ぐために重要である.近年,深層学習の高速化・高精度化により,画像から手軽に人数を計数する手法が開発されている.しかし,群衆の撮影条件は多様であるため,動画像中の人物のサイズやオクルージョンの度合いで人物の映り方も多様となる.そのため,1つの計数手法で様々な条件下の群衆の人数を正確に計数するのは困難である.そこで,群衆を撮影する場面と条件を類型化し,各場面と撮影条件における群衆の状態に最適な人数計数手法を適宜切り替えることで,一定の精度を担保する計数手法を確立できると考えた.本研究では,各場面に対して4種類の人数計数手法を適用し,場面ごとに最適な手法を切り替える必要性の高さと適用手法の切り替えに向けた課題を明らかにした.

  • 河村 圭, 菅原 駿輔, 劉 小熙, 若月 強
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22026
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     日本は,山地や丘陵地で覆われ,地震や集中豪雨に伴う土砂崩れなどの災害が多い.土砂災害部の判定の現状は,災害後に撮影した空中写真から目視による判読作業で行われている.しかし,この作業は経験者による長時間の目視作業が必要であり,作業者への負担が大きい.この作業の効率化のため,近年,空中写真を用いた深層学習による土砂移動部自動検出に関する研究が進められている.本研究では,UNetによる土砂移動部の自動検出精度を改善するために,誤検出を抑制できる特徴があり,土砂移動部検出精度の向上が期待できるUNet++を識別器として適用し検証を行った.

特集号(土木情報学)報告
  • 西内 裕晶, 宮本 あきの
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22041
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     本研究では,地域公共交通の車内において地域交流を促進させるための情報提供を行うことで,住民のバスに対する利用意識の変化と地域交流意識の向上効果について明らかにする.具体的には,情報提供に利用する昔の地域写真の動画を作成し,実際に高知県梼原町にてヒアリング調査を実施した.その後,調査結果を用いて共分散構造分析により住民の意識構造を分析した.その結果,バスの利用意識の変化の把握について,情報提供の導入によりバスの利用促進につながる可能性を示唆した.また,地域交流意識の向上効果について,情報提供の取り組みを人に伝えたくなる意識が高まり,情報提供が会話のきっかけとして地域での会話が促進され,情報提供によるバス乗車を通じた地域交流促進に結びつくような波及的効果を有する可能性を示すことができた.

  • 箱石 健太, 一言 正之, 菅田 大輔
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22042
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     近年,BERTの登場により,自然言語処理技術が飛躍的に発展しているが,データ量が少ない専門分野への適用に課題があることが指摘されている.国土交通データプラットフォームにより,様々なデータが集約され,それらを活用し様々なイノベーションの促進等や効率化が実現可能となってきている.しかし我々が日常的に使用する土木分野における工事情報や巡視点検,技術情報などに関わる専門的な文章に対して,既往の自然言語処理技術による精度は十分ではない可能性がある.本研究では,土木に関連する文章をBERTに学習させ土木BERTを構築した.構築した土木BERTと既往BERTに対して土木の専門的な文章を用いた精度検証を実施し,土木BERTの優位性を示し,土木の文章の学習が有効であることを確認した.

  • 村上 篤志, 安室 喜弘, 窪田 諭
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22043
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     我が国の社会インフラ施設の多くは高度経済成長期に集中的に整備されたため,老朽化に伴う維持管理の需要増大が喫緊の課題であり,より効率的かつ戦略的な維持管理が求められている.従来の道路維持管理では,2次元データを用いた管理が主流である.しかし,橋梁や法面の詳細構造,点検箇所を把握しづらいことや,点検者と補修担当者が異なる場合や経験の浅い技術者の場合に現場の状況を正しく理解できないという課題がある.本研究では,維持管理業務の効率化およびデータの蓄積を目的として,道路の損傷を視覚表現に優れ情報共有が容易な3次元点群データとして計測して可視化し,これを損傷の概要とともに2次元地図上に可視化する情報システムを提案した.そして,実務者によるシステム評価を行い,その有用性と課題を示した.

  • 山口 愛加, 田中 友悠, 窪田 諭
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22044
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     都市空間においては,デジタルツインを志向した現実空間とサイバー空間を連携するプロジェクトが進められている.しかし,施工分野においてデジタルツインのためにデータを蓄積する取り組みは少ない.施工分野において現場の進捗や環境情報などの取得データを定義することにより,施工管理,安全管理,品質管理などの利用が可能となる.本研究では,施工現場の3次元空間化に用いるデータとして施工現場で取得可能なデータを考察し定義して,施工中または施工後に作業進捗を確認できる3次元点群データを基盤とするデジタルツインを検討する.そして,施工現場において複数機器を用いてデータを取得し,各データを重畳させデジタル空間上に施工現場の可視化を実践し,課題を明らかにする.

  • 王 博, 大川 博史, 藤山 麗, 樫山 和男
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22045
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     本論文は,津波による人的被害の軽減および防災意識の向上を目的として,防災教育のためのVR技術を用いた津波疑似体験システムの構築を行ったものである.高精度かつ簡便に地域モデルを作成するために,GIS/CADおよびドローンデータを用いるともに,建物モデルをルール化して作成するモデリング手法を構築した.また,津波のCGを高品質に行うUnityに基づくレンダリング手法についても構築した.津波被害が想定される地域を対象とした都市・地域モデル,津波および避難シミュレーション結果を統合し,避難場所および避難者の視点から体験が可能なシステムの構築を行った.システムの使用性と有効性に対する評価を行うために,本津波疑似体験システムを地域の中学生に対する防災教育に導入しアンケートを実施した.

  • 田村 悠太郎, 佐田 達典, 江守 央
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22046
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     準天頂衛星システム(QZSS)の提供サービスであるセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)は,国土交通省国土地理院が全国に整備している電子基準点のデータを利用して高精度補正情報を計算し,現在位置を正確に求めるためのセンチメータ級測位補強情報をQZSS衛星から送信するサービスである.本研究では,複数衛星の併用効果を検証するためにリアルタイム測位と後処理解析による測位を用いたCLAS測位を行い,マルチパスの影響が受けやすい大学内の様々な遮蔽環境下にて静止測位実験を行った.Fix率,RMS誤差等の結果で評価を行った.結果,リアルタイム測位,後処理解析測位共にGalileoを併用することで,水平方向の誤差を低減する傾向があった.

  • 山田 真, 佐田 達典, 江守 央
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22047
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     本研究では,センチメータ級測位補強サービス(CLAS)の都市部街路での性能を評価するため,CLAS(AQLOC-Light)による測位実験を行った.評価指標には,主にFix率,使用衛星数,および走行した車線の位置と測位位置の整合性に着目した.評価の結果,CLASではFix率やFloat率の変動が大きい傾向を確認した.Fix解と車線位置には一定の整合性を確認したが,ミスFix解の発生などの課題も明らかになった.ミスFix解は,主に実験車両の停止時や,大きな測位誤差を持つFloat解の取得後に発生し,車線位置から測位位置が外れた.CLASの使用衛星数は,Float解取得時よりFix解取得時に多い傾向にあった.

  • 山下 翔雅, 山口 裕哉, 白石 宗一郎, 岡本 直樹, 岩上 弘明, 佐田 達典, 江守 央
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22048
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     道路インフラの点検においてモービルマッピングシステム(MMS)の活用が進められている.その中で,計測して得られたデータをどのように分析するかが課題となっている.そこで,本研究では位相差方式レーザスキャナを搭載したMMSを用いてトンネルを計測し,画像処理の輪郭抽出手法を用いてトンネルの損傷を自動検知した.結果として4cm程度の崩落を模した部分を自動的に検知することができた.同時にノイズ等の影響により損傷がない部分も誤検知されてしまうことが明らかとなった.

  • 木村 延明, 皆川 裕樹, 福重 雄大, 馬場 大地
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22049
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     本研究では,計測機器の不具合等で発生する複数種類の異常値や異なる特徴の正常値を有する時系列データの品質保証を行うために,機械学習を用いた複数種類の異常値・正常値を同時に分類する技術開発を行った.農業水利施設等で観測される水位データには,主にスパイクノイズやスライドずれの異常値や正常値でも,常時と洪水時の異なる水位変化が見られる.本研究では,これらの四項目を同時に分類可能な自己組織化マップ(SOM)を導入して分類を行い,クラスタリング手法(K-means法,Ward法,多数決法)を用いて,四値分類における分類精度の評価指標(Accuracy,f1値)を計算し,分類状態を2次元マップ上に可視化した.Accuracyとf1値では共に多数決法が相対的に良好で,かつ可視化でも真値が多数決法でクラスタリングされた領域に概ねプロットされることを示した.

  • 井上 晴可, 梅原 喜政, 今井 龍一, 神谷 大介, 田中 成典, 中畑 光貴, 島野 寛己
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22050
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     近年,Society 5.0の推進に伴って,様々な分野でAIやIoTなどの先端技術が導入されている.建設現場では,業務の効率化や安全性の向上への貢献が期待されており,作業員の位置や状態を管理する技術の開発に関心が高まっている.そこで,著者らは,作業員が装着するヘルメットに着眼し,ヘルメットに貼付した模様を深層学習により解析することで人物を識別する手法を提案してきた.しかし,先行研究では,RGB値に閾値を設けて画像処理にて模様の画素を抽出するため,日照条件や天候の影響で模様の色合いが変化すると模様抽出に失敗する課題がある.そこで,本研究では,人物識別手法の改善に向けて,深層学習を用いて多様な環境下で撮影した場合においても汎用的に模様を抽出する手法を考案した.そして,実証実験を通じて,提案手法が有用である知見を得た.

  • 今井 龍一, 中村 健二, 塚田 義典, 小宮 涼
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22051
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     国土交通省は,3D都市モデルの整備,活用およびオープンデータ化の施策Project PLATEAUを推進している.2022年度は,全国56都市の3D都市モデルが整備されており,屋内空間まで整備が進むと一層の用途拡大が期待できる.この実現には,手軽に屋内空間を計測してバリア情報等を付与した3Dモデルが生成できるような手法の確立が必要になる.

     本研究では,点群データをボクセルで表現した屋内3Dモデルの生成手法を考案した.そして,実証実験より,考案手法は,可搬型端末のLiDARで取得した点群データの密度が不均一で背景が透過する課題を解決できること,段差等のバリア情報を判定できること,さらに様々な地物を付与したデータ処理が容易なことを明らかにした.

  • 今西 将文, 中村 公一, 西山 哲
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22052
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     航空レーザ(LP)測量データより作成した微地形表現図や地形量図を用いて,業務に利用する事例が増加している.ここでウェーブレット解析図は傾斜量図と異なり,斜面傾斜に影響されず段差地形を抽出することができる.はじめに斜面傾斜と段差の大きさを変更した模擬地形を作成し,ウェーブレット解析図と傾斜量図が表現可能な段差の大きさについて検討した.つぎに,落石発生源を含む平均斜度40°程度の斜面を対象に,ウェーブレット解析図と傾斜量図が抽出できる段差の大きさについて,踏査結果も用いて検討を行なった.これより抽出できる段差の大きさは,ウェーブット解析図は約2m,傾斜量図は4m以上であることがわかった.したがってウェーブレット解析図は,傾斜量図よりも小さい段差地形を抽出可能である.

  • 大月 庄治, 平野 順俊, 今井 龍一, 中村 健二, 塚田 義典, 梅原 喜政, 田中 成典, 中畑 光貴, 岩本 達真, 山本 忍
    2023 年 79 巻 22 号 論文ID: 22-22053
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/28
    ジャーナル フリー

     国土交通省では,3次元情報を活用して施工現場の生産性を向上させるi-Constructionを推進している.レーザースキャナで計測された現況地形を示す3次元情報の多くは,点群で保存されている.点群は,一般的に3次元座標値と反射強度のみを保持するが,カメラ画像を用いてRGB値を付与することができ,地物の視認性の高さから広く活用されている.しかし,多くの計測機においてレーザースキャナとカメラは一体型でなく同期されていないため,走行車両などの動体は,レーザースキャナの計測時刻と異なる時刻でカメラ画像に映り込む.その結果,正しく着色できていない箇所を含んだ色付き点群が生成される課題がある.そこで,本研究では,色付き点群における正しく着色できていない不良着色箇所を検出し,補正する技術を開発する.

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