日本の草の根無償支援は,途上国の遠隔地で人間の基本的ニーズを満たすための個別の要請に応えることができ,事業形成から実施まで短期間で行われる点で重要なODAの一つである.一案件の事業費は1,000万円以下で,日本大使館を通じて現地業者等により学校や病院の建設が多く行われる.一方,それらへアクセスするための小規模道路の整備は要請も多いが,既往の事業実施体制では延長のある道路の複雑な詳細設計や,工期内に所定の品質で完成させる施工監理が困難なため,実施件数は少ない.
本稿では,途上国での小規模道路整備の技術と経験を有する日本の国際NGOが詳細設計と施工監理をすることで実現した草の根無償の道路整備事例を示す.草の根無償を活用し,途上国の遠隔地でも地域社会の生命線である生活道路の整備を実現する方法を提案する.
抄録全体を表示