土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
73 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集号
  • 水野 希典, 前田 佳克, 海瀬 忍, 前田 洸樹, 重田 佳幸, 松岡 茂, 西村 和夫
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_1-I_9
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     トンネル覆工の変状原因としては,トンネルの外部から作用する力(以下,「外力」という.)等による外因と,材料や施工等による内因があるが,原因別によるひびわれの特徴については,不明瞭なところが多い.そこで本研究では,東日本,中日本,西日本高速道路株式会社(以下,「NEXCO」という.)が管理する道路トンネル覆工のひびわれ展開図から,ひびわれ指数(以下,「TCI(Tunnel-Lining Crack Index)」という.)を用いて標準的なひびわれを抽出した.これにより,内因と外因のひびわれを定量的に分類できた.また,外因による変状トンネルにて,走行型レーザー計測により断面計測を実施し,ひびわれ形態と断面変形に相関があることを把握した.
  • 海瀬 忍, 伊藤 哲男, 八木 弘, 水野 希典, 前田 洸樹, 進士 正人
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_10-I_20
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     高速道路会社(NEXCO)のトンネル覆工詳細点検システムは,覆工点検画像取得システムによる覆工表面画像撮影記録から机上調査を実施し,重点点検個所を抽出する机上点検と技術者による実施点検の組合せで構成されている.両点検とも覆工ひびわれ指数(TCI)にもとづく外力およびはく落に関連する評価点と特記項目を組合せて評価を行っている.本研究では,高速道路の覆工詳細点検の高精度化および効率化を目的に,ひびわれの進行性について定量的な評価指標として取り込むために, 覆工表面画像撮影記録を複数回行っている99トンネル,9 683スパンの点検データ分析を行った.データ分析より,覆工ひびわれの進行性をTCIを用いることで定量的に評価することが可能であることがわかった.
  • 嶋本 敬介, 野城 一栄, 川上 義輝, 輿石 正己, 井出 一直
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_21-I_31
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     鉄道トンネルの維持管理上,剥落事故は列車の安全運行を脅かす事象であり,適切な検査と措置により未然に防がなければならない.本研究ではポリウレア樹脂を吹付けた場合とアラミド繊維シートを貼り付けた場合の挙動を,曲げ試験,トンネル覆工模型載荷実験により評価し,整理した.模型実験ではコールドジョイント等に着目し,ポリウレア樹脂を吹付けることで,大変形時の耐力低下や剥落を防げることを確認した.さらに,廃線トンネルにおいて漏水の有無,下地処理の方法をパラメータとして試験施工を実施した.その結果,狭い坑内においても短時間でポリウレア樹脂を吹付け可能なこと,漏水の有無,下地処理方法によらず,1年間経過しても付着強度の低下が見られないことを確認した.
  • 白岩 誠史, 栗原 浩彦, 三沢 良太, 土屋 徹, 川中 政美
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_32-I_45
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     坑口付近の覆工コンクリートは,インバートの拘束による温度ひび割れや乾燥した外気による乾燥収縮ひび割れや積雪地域では融雪剤の飛び散りによる塩害等が発生する可能性が高い.そのため,外部拘束による温度ひび割れ対策として“部分パイプクーリング”および“膨張コンクリート”,乾燥収縮ひび割れや塩害対策として“シート吸引方式給水養生工法”を現場に適用し,これらの品質向上効果を現場計測および三次元FEM温度応力解析により定量的に評価した.これらの対策により,ひび割れ発生確率は30%程度低減,乾燥収縮ひずみは50~130×10-6低減,透気係数は1/15~1/4改善する効果が得られた.また従来技術である膨張コンクリートとの外部拘束ひび割れ抑制効果を比較し,部分パイプクーリングのほうが効果が高いことが確認できた.
  • 塚本 耕治, 進士 正人
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_46-I_60
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     トンネル切羽前方地山の状態を的確に予測することは,安全で経済的な施工に必要不可欠である.ノンコアボーリングの調査である削孔検層法は,山岳トンネルの施工に用いられるドリルジャンボの油圧式削岩機を利用できること,削孔速度や削岩機の油圧データを用いて地山の硬軟の程度を定量的に評価できるなどの特徴がある.この削孔検層法の応用技術として,油圧式削岩機が地山を削孔する際の振動を切羽に設置した複数の受振器で計測し,弾性波トモグラフィ解析により地山等級区分の重要な指標である弾性波速度の分布を予測する調査法を開発した.現場実験により切羽前方地山の弾性波速度分布の予測に適用できることを確認した.
  • 香川 敦, 菅野 静, 阿部 靖, 日高 基裕, 木村 志照
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_61-I_74
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     泥土圧シールドの切羽安定を目的として,チャンバー内土砂の粘性抵抗を把握する装置(フラッパー)と流体解析を組み合わせ,土砂流動性を評価するチャンバー内可視化システムを開発し,シールド工事に活用しながらシステムを改良してきた.さらなる精度向上に向け,流体解析に重要な土砂の粘性特性を明確に把握することが課題として挙げられた.本論文では本システムの土砂流動性の評価方法について述べるとともに,粘性特性の把握を目的とした土砂撹拌実験を行い,実験結果に基づいて改良を加えた本システムの現場適用結果について考察した.その結果,セグメント組立中のフラッパーの回転数を適切に制御することで土砂の粘性特性を把握できること,流体解析から出力される土砂の粘度・ずり応力の分布によって,土砂の流動性を精度よく評価できることが明らかになった.
  • 岡 滋晃, 伊藤 喜広, 横田 彩加, 斉藤 仁, 金子 俊輔, 赤木 寛一
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_75-I_84
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     軟弱地盤中においてトンネル内への地下水の漏水に伴って周辺地盤の圧密により変状したトンネルの適切な補強対策設計では,将来の荷重増加量を確実に予測することが重要である.しかし,従来の手法1)では,竣工時点からトンネル全周より常時最大の漏水が発生していると仮定して荷重増加量を算出していたため,補強対策の仕様が過大になるおそれがあった.そこで今回,トンネルの補強設計に使用する将来の荷重増加量を,既往の内空変位量の経年変化やトンネル周辺の間隙水圧計測結果から予測する手法を考案した.
  • 水上 博之, 新井 泰, 仲山 貴司, 津野 究
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_85-I_94
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     近年の地下駅改良工事では,既設開削トンネルの側壁の一部を撤去し,開口を設置する事例が増えている.これらの設計では,開口部は剛性低下を見込んだ仮想梁,開口部上下端はピン結合とした二次元骨組解析モデルを適用することが多いが,開口部に隣接する上床版の正曲げモーメントを過大に評価する欠点があった.本研究では,実在する地下鉄駅部の開削トンネルをプロトタイプとし,開口幅をパラメータとした三次元FEM解析を行い,側壁開口の設置が断面力に及ぼす影響を把握した.加えて開口部上端に残置するハンチの形状寸法と開口幅に応じたねじり剛性を有する回転ばねを配置して,開口幅に応じた床版の合理的な断面力の算定が可能な二次元骨組設計手法を提案し,三次元FEM解析結果との比較することで当該手法の妥当性を確認するとともに,開口部に隣接する上床版の補強の要否判断指標について考察した.
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