食品と微生物
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1 巻, 2 号
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  • 森重 正幸, 金城 俊夫, 源 宣之
    1984 年 1 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    Campylobacter jejuniの鶏卵からの分離を試みた. 卵からの本菌の分離に当って, 卵内容を直接培養するよりも, 予め卵をそのまま37℃, 48時間静置した後, その卵黄から分離培養した方が, 微量菌の検出に優れていることを見出した. この簡単な増菌培養法を用いて, C. jejuniを排菌している鶏の生んだ卵を含む366個の卵から本菌の分離を行ったが, 全例陰性であった.
    さらに卵殻からのC. jejuniの侵入, 汚染を想定し, 各種実験を試みたが, その可能性も確認できなかった.
    このようなことから, 鶏卵がC. jejuniに汚染され, それがカンピロバクター腸炎の感染源となる可能性は極めて低いと思われる.
  • 小林 とよ子, 上野 一恵
    1984 年 1 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    市販のあさり30検体, しじみ55検体, ほたて貝28検体を用いて, 増菌培養および定量培養法によってClostridium属の分布を検討し, 次の結果を得た.
    1) 貝類からのClostridium属の検出率は, 自家製のChopped liver brothと市販のCooked meat mediumを用いた増菌培養法で比較したところ, 市販培地 (検出率100%) の方が自家製培地 (検出率89%) よりも優れていた. しかし, 自家製培地を用いるとC. pergringensの分離率が著しく高い事が認められた. 一方, C. perfringens以外の菌種の分離には市販培地の方が優れている事が認められた.
    2) Clostridium属の汚染菌量はいずれも5×102以下であった. また, 非加熱処理と加熱処理検体で菌数がほぼ同数であることから, 貝類に汚染しているClostridium属は主として芽胞型である事が推定された.
    3) 分類菌株の菌種は, あさりではC. bifermentans, C. perfringens, C. sporogenes, C. hastiforme, C. irregularisおよびC. aurantibutyricumの6菌種であった. しじみではC. perfringens, C. bifermentans, C. hastiforme, C. sporogenes, C. barati, C. fallax, C. glycolicum, C. lituseburense, C. putrificum, C. cadaveris, C. aurantibutyricum, C. pseudotetanicum, C. ghoniおよびC. sordelliiの14菌種であった. ほたて貝ではC. perfringens, C. sporogenes, C. hastiforme, C. lituseburense, C. barati, C. irregularis, C. bifermentansおよびC. sordelliiの8菌種であった.
    4) C. perfringens52株のHobbs血清型は1型3株, 2型2株, 4型3株, 5型2株, 8型1株, 10型1株, 型別不能株40株であった. また, C. perfringens52株中3株 (5.8%) はエンテロトキシン産生株であった. 血清型, エンテロトキシン産生株と検体の種類との間には, 特定の関係は認められなかった.
    5) 今回の実験方法では, 貝類の増菌培養液かC. botulinum毒素およびC. botulinumは検出されなかった.
  • 細田 康彦, 中野 三郎, 武田 陽之, 西浦 清, 野村 薫, 仲西 寿男, 貫名 正文
    1984 年 1 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    食肉処理業および食肉販売業におけるニワトリの各臓器のthermophilic Campylobacter汚染状況を調査検討した.
    (1) 各臓器の検出率は, 腸内容, もも肉, 心, 肝および筋胃について, それぞれ51.7%, 38.5%, 35.0%, 27.5%および27.3%であった.
    (2) 食肉販売業および食肉処理業におけるthermophilic Campylobacterの検出率はそれぞれ48.9%および22.0%であった.
    (3) 分離菌株35株はすべて馬尿酸加水分解陽性であった. C. coliは全く含まれていなかった. また, 硫化水素を産生する生物型2は3株, 残り32株は産生しない生物型1であった. 血清型は6型に型別できた. 型2が14株, 型11, 12および15がそれぞれ5株, 型1が2株および型5が1株であった. 型別不能は3株 (8.6%) であった.
  • 池亀 公和, 持永 泰輔, 寺田 厚, 上村 昌弘, 友栗 徹士, 内田 和夫, 五十嵐 英夫, 潮田 弘, 坂井 千三
    1984 年 1 巻 2 号 p. 130-136
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    BHI培地における黄色ブ菌の増殖とEnt産生に及ぼす食品由来細菌の菌種と温度の影響について検討した.
    1)黄色ブ菌表皮ブ菌の混合培養では, 黄色ブ菌の増殖に対する影響はほとんどみられなかったが, Ent産生は黄色ブ菌103/mlと表皮ブ菌106/mlの組合わせにおいて, 35℃では48時間で32ng/mlと黄色ブ菌単独培養と比べて低く, 25℃では全く認められなかった.
    2) 枯草菌との組合わせでも黄色ブ菌の増殖に対する抑制作用はみられなかったが, Ent産生は黄色ブ菌103/mlと枯草菌106/mlの組合わせで, 35℃, 48時間後に明らかな抑制が認められた.
    3) 黄色ブ菌103/mlとクレブジェラ103/mlおよび106/mlの両組合わせの混合培養では, 黄色ブ菌の増殖は黄色ブ菌単独培養に比べて抑制され, Ent産生が全く認められなかった.
  • 和田 正道, 村松 紘一, 小林 正人, 笹井 貞雄
    1984 年 1 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
  • 18研究機関の共同研究を中心にして
    P. Entis, 仲西 寿男, 寺本 忠司, 坂崎 利一
    1984 年 1 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
  • 魚介類における分布について
    三輪 憲永, 赤羽 荘資, 佐野 文彦, 塩沢 寛治, 竹田 晃男, 浅川 豊
    1984 年 1 巻 2 号 p. 148-154
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    市販魚介類における病原ビブリオ7菌種 (O1 V. cholerae, non-O1 V. cholerae, V. mimicus, V. parahaemolyticus, V. fluvialis, V. vulniflcus, V. metschnikovii) の汚染を定量的に調査し, 次の結果を得た.
    1) 市販魚介類から, O1 V. choleraeを除く6菌種が検出された. そのうち, V. parahaemolyticusの検出率が最も高く (36.4%), 次いでV. fluvialis (31.6%), V. vulnificus (29.5%), non-O1 V. cholerae (21.7%), V. metschnikovii (17.1%), V. mimicus (5.4%) の順であった. これらの汚染菌量は, 大多数が100gあたり102個台以下であったが, 一部の検体では103~104個台/100gに検出された.
    2) V. fluvialisは, 55株中28株 (50.9%) が生物型1で, 他は生物型2 (V. furnissii) であった. V. parakaemolyticusの神奈川現象は, 分離株すべて陰性であった.
    3) Non-O1 V. cholerae, V. mimicus, V. fluvialis, V. vulnificusの血清型 (O抗原) は, 検体の由来による差は認められず, また, V. fluvialisの生物型による差もはっきりしなかった.
    4) コレラ毒素の産生株は, non-O1 V. cholerae9/12 (75.0%), V. mimicus2/9 (28.6%) であり, 前者の方が産生率が高かった. また産生例11例中8例 (72.7%) が毒素力価64倍以上を示した.
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