亜熱帯地域に属する沖縄での乳牛飼養において, 暖地型イネ科牧草を活用した飼料給与体系を確立するために, パンゴラグラス品種トランスバーラ (
Digitaria eriantha Steud.cv.Transvala: トランスバーラ) 乾草を用いた混合飼料 (Tra区) と輸入エンバク乾草を用いた混合飼料 (Oat区) を給与し, 泌乳性に及ぼす影響を比較検討した.両混合飼料とも飼料構成 (配合割合) は乾物ベースで約60%を自家配合飼料, 残り40%を粗飼料として, 粗飼料のうち約65%をトランスバーラあるいはエンバクとし, 残りをアルファルファ乾草とした.Tra区の可消化養分総量 (TDN) は73.0%, 粗タンパク質 (CP) は18.2%, 中性デタージェント繊維 (NDF) は39.0%で, Oat区ではそれぞれ72.0%, 15.8%, 35.6%であった.試験はホルスタイン種搾乳牛8頭を用いて, 1期2週間のクロスオーバー法によった.
その結果, Tra区はOat区に比べて乳生産量, 乳脂率, 乳タンパク質率および体重などには有意な差は認められなかったが, 乾物摂取量は有意に少なく, 血中尿素態窒素, 乳中尿素態窒素 (MUN) は有意に高かった.これらのことから, トランスバーラはそのNDFおよびCP割合を考慮することにより, 輸入エンバクに代わりうると考えられた.
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