本研究は鹿児島県薩摩地区および鹿児島中央地区13ヵ所の登録審査場で, 昭和60年12月から昭和61年3月までに登録を受けた黒毛和種雌牛318頭について, 各牛の発育値, 「登録審査での栄養度」, 栄養度指数, Body condition score (BCS) , 各部位の減率および審査得点を調査し, その結果を審査場別および種雄牛別に分析するとともに発育値, 減率および審査得点とBCSの関係を明らかにしょうとしたものである。
審査場によって登録牛の発育値, 栄養度指数, BCS, 各部位の減率および審査得点では有意な差が認められたが, 「登録審査での栄養度の判定値」は1ヵ所の審査場で2.9の値を示したのみで, 他の審査場では全て3.0の値を示した。また, 種雄牛によっても登録牛の発育値, 栄養度指数, BCS, 各部位の減率および審査得点には有意な差が認められたが, 「登録審査での栄養度の判定値」は全て3.0の値を示した。このため, 現在の登録審査での栄養度の判定方法では, 登録牛の栄養状態を正しく評価し得ないことが明らかになった。BCSと発育値とは正の, 各部位の減率とは負の, 審査得点とは正の高い相関関係がそれぞれ認められた。このため, 現在の栄養度の判定方法では, 栄養状態を審査得点に反映させることは困難であり, 過肥牛ほど得点が高くなる傾向にあることが明らかになった。
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