褐毛和種去勢牛の肥育過程における肉質の変化を明らかにするため, 生後6.2から31.6カ月齢の32頭を用い, 高栄養下における肉質 (脂肪交雑, 色沢, きめ・締まり) と生後月齢, 終了時体重および枝肉構成の諸項目等との関係について検討を加えた。
肉質と生後月齢, 終了時体重および枝肉構成の諸項目等との相関は, 枝肉の脂肪重量および枝肉に占める脂肪の割合等で相関係数が高く, 肉質の変化は脂肪組織の成長との関連の深いことが示された。
肉質と生後月齢, 終了時体重および枝肉に占める脂肪の割合との関係を, 大塚の折れ線モデルにより検討した。いずれの場合も, 2つの折曲点をもち, 第1折曲点から第2折曲点にかけて評点が急速に向上し, その後その度合が非常にゆるやかになるパターンをとった。肉質向上のピークともいうべき第2折曲点は, 生後16.9-17.9カ月齢, 体重535-555kgおよび脂肪の割合25.4-25.7%と現在出荷されている時期よりも, かなり早い時期と推定された。また, これ以降データの変動が大きくなり, とくに脂肪交雑でその傾向が強かった。
これらのことから, 肉質は加齢や各組織 (とくに脂肪組織) の成長に伴い急速に向上していくが, そのピーク以降は, その程度が非常にゆるやかになることが明らかとなった。
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